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平成21年10月1日号
小売競争規約の一部変更を承認

出版物小売業公正取引協議会(井門照雄会長)が7月24日付で認定申請していた「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」の一部変更は、8月25日付で公正取引委員会(竹島一彦委員長)から認定された。同じく、「出版物小売業公正取引協議会の組織及び運営に関する規則」の一部変更についても同日付で承認になった。

中古図書販売研究委が発足/トーハンもインフラセンター加入

日本出版インフラセンター(JPO)は9月16日に運営委員会を開き、リサイクルブック調査研究委員会を改組して中古図書販売研究委員会として活動を再開することを決めた。研究委員会の委員長には小学館社長室顧問の佐藤善孝氏が就任する。
リサイクルブック研究委員会は経産省メディアコンテンツ課の要請を受けて、リサイクル流通の影響調査、出版流通との共存方策を検討するため設立されたものだが、近年、新刊書店が中古図書を併売するなどの変化を受け、流通上のトラブルを避け、健全な販売ルールを探るため研究していくことになったもの。
このほか、ICタグ研究委員会委員長には奥脇三雄氏(集英社)に替わって、田中弘一氏(角川グループパブリッシング)が就任することになった。
また、これまで日本出版インフラセンターに未加入だったトーハンが加入することになり、JPO運営委員には近藤敏貴氏が就任する予定。

トーハン・日販再訪問/送・返品同日精算求めて/日書連

日書連は9月17日午前11時から書店会館で定例理事会を開催した。取引改善では送・返品の同日精算問題で、昨年の取次各社訪問から1年が経過したため、改めて日販を訪ねてその後の取り組みを聞いたことが報告された。トーハンは17日の理事会終了後に大橋会長らで本社を訪問した。
〔取引改善〕
送・返品の同日精算を求めて、9月16日に日販橋専務を訪問したことを大橋会長が報告した。
日販橋専務は、同日精算の実現について「技術的、物理的にむずかしい。解決には時間がかかる」とした一方、「(返品入帳を)1日ぐらいは短縮できる」とも述べたという。
柴﨑委員長は①日販と同じ出版共同流通蓮田センターを利用している大阪屋、栗田は請求日前日まで返品入帳している、②日販は着荷日に読み取りを完了しているにもかかわらず、5営業日前の入帳である、③トーハン、日販は5営業日前から月末までに商品を送れば請求がたち、押し込み販売が可能になると、不合理な仕組みを指摘した。
理事からは、「大手ナショナル・チェーンは返品データ入帳を認めている。中小に認めないのは不公平」という指摘もあった。
一方、先頃、民事再生を決めたゴマブックスの返品対応については、「9月7日の東京地裁申し立て以前、8月末の段階でネットに多数の書き込みがあった」「8月末、組合員に連絡を流したところ、取次から撤回を求められた」などの報告があった。
柴﨑委員長は「出版社有事の場合、書店が被害をこうむる。今後もこういうケースが起こり得る」とし、トーハンの場合、ゴマブックスの新刊委託126点(7面参照)と長期委託のバースデイブック366点以外の返品は逆送すると案内があったことを報告。出版社―取次間の新刊委託期間は180日あるのに対して、書店―取次間が105日は不合理と指摘した。
〔物流研究〕
85掛の取次web注文を通常正味並みに下げられないか、トーハン、日販と交渉したところ、両社とも現状では無理だが、トーハン石井孝文執行役員、日販中山剛取締役を窓口に検討を進めていることを戸和委員長が説明した。
取次2社は「システムに原資がかかっており、回収のためにも正味は下げられない」という主張だが、戸和委員長は①返品減少による流通経費の削減から原資が出ないか、②出版社に報奨金を求めてはどうかとし、期間限定でウェブ客注の正味を8掛で出庫し、正味引下げの原資が出るか検証するテストを年内にも示す方向を提起した。
〔情報化推進〕
コミック本の内容の一部を店頭に設置したパソコン・モニター画面で試読できる「ため本」の実験は、11月1日から福島・高島書房、東京・ブックスページワン、大阪・ブックスふかだ、広島・廣文館など11店舗で展開することになった。
毎月、小学館、講談社、集英社、白泉社、秋田書店の5社が30点のコミックについて第1巻の内容と宣伝コピーを店頭に流すことにしている。
日書連マークの図書館導入状況は、鹿児島市の小・中学校77校で導入が決定したほか、山形、滋賀でも日書連マークによる電算化が進んでいると報告があった。
これに関連して井門委員長は「選書ツール」は年内にリリースする予定であること。「在庫情報」の提供は年明けにずれるかもしれないと紹介した。
さらに、日本図書館協会と相談して、ICタグを利用した安価な図書館管理システムの開発も進めたいとした。
〔財産運用〕
日書連共済会は8月31日付で残余財産5億3446万4715円を日書連に移譲し、日書連共済会清算人会議を解散した。
残余財産の処分については、各都道府県組合から意見を求めていたところ、東京、千葉、長野、島根、福岡、鹿児島、沖縄の7組合から具体的な提案が示された。
各県の提案は①東京組合が所有する書店会館の買収(東京、鹿児島)、②事務所・会議室の取得、中古ビル買収(千葉、長野)、③教育研修・情報化推進基金に(島根)、④職員退職給与引当金の充当(福岡)、⑤発売日繰り上げ実現の調査費、取次の買収(沖縄)など。
神奈川組合山本理事長は「会員に全額を返却すべきだという意見が最後まであり、県組合として一本化できなかった。当初、日書連に財産を移しても課税されないはずだったが、その前提が崩れた。この間の経緯をまとめ、書店新聞に発表してもらいたい」と要望があった。
各県から提案の趣旨説明を受けたあと、大橋会長は「財産運用委員会で検討して、10月理事会に結果を発表してほしい」とまとめた。
◇理事交替
奈良組合=櫻井晃二(五條市・櫻井誠文堂、所属委員会=組織、増売)
富山組合=丸田茂(富山市・清明堂書店、所属委員会=指導教育、再販研究)
◇退任理事
西本功(奈良)、吉岡隆一郎(富山)
◇派遣委員
書店データベース運営委員会委員=水野兼太郎(埼玉・水野書店)

くじ特賞は図書カード/海外旅行は当面見送りに/9月理事会

〔増売〕
書店くじ特賞の商品見直しを行ってきた増売委員会は、①海外旅行ペア招待などの手直しを図ってきたものの、旅行参加の辞退が多い、②福利厚生で参加する書店も減ってきた――ことから、春の書店くじ、読書週間書店くじの2回とも特賞は図書カードとし、海外旅行の商品は当面見送ることにしたと委員会の結論を説明した。今秋の読書週間書店くじ申し込み状況は9月10日現在で280万枚。
〔流通改善〕
読者が出版社に直接定期購読を申し込むと、書店ではもらえない付録が提供されているのではないかと、各都道府県組合で調査が行われたが、藤原委員長は「書店経由でも提供されるものや、書店で不扱いの雑誌も含まれていた」と報告。回答をさらに精査して、直扱いだけに提供される特典があれば出版社に是正を申し入れるとした。
9月19日(土)から5連休になるシルバーウイークの配送問題では、「雑誌の配送が連休前後に集中して困難になるため、23日に雑誌を配送することになった」と報告があった。
〔読書推進〕
来年の国民読書年に向けて出版産業振興文化財団(JPIC)は、①自治体から新成人に本を送る「20歳の20冊」、出版業界関係者から不要になった本を集め、施設や日本人学校・学級に本を寄贈する「ブックリボン」を企画している。西村委員長がJPICの企画内容(別掲)を説明し、理事会として了承した。
〔指導教育〕
万引き防止対策に活用が期待されるICチップの導入と、普及を妨げる問題点について、委員会で勉強会を行いたいと鈴木委員長が説明した。
先の国会で廃案になった児童ポルノ禁止法案については、なお推移を見守っていくとした。
〔再販研究〕
埼玉県内のヤマダ電気TECランドが3店舗で書籍の3%引き販売をしていると、埼玉組合水野理事長から報告があり、岡嶋委員長は江東区のTECランドも書籍売場で3%引きを行っているとして、再販研究委員会に報告するとした。
〔組織〕
8月の各県組合加入状況は新規加入が6組合で9店、脱退は18組合で60店、差し引き51店減少し、4月対比では129店減の5373店となったことが中山委員長から報告された。
〔出版販売年末懇親会〕
今年の出版販売年末懇親会は12月16日午後6時から帝国ホテル3階富士の間で開催し、400名程度の出席を予定していると報告があった。会費は1名1万8千円の予定。
〔共同購買・福利厚生〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター2010年版」は9万部製作し、9月15日までに7万6700部の注文があった。残数は1万3100部。
〔広報〕
面屋委員長は9月11日号に掲載したアマゾンジャパンのインタビューについて「早稲田大学の8%引きを放置すると、街の本屋はなくなる。アマゾン側の考え方を確認する目的で取材した。アマゾンは定価販売の部分と、8%引きの部分がある。直接話を聞くことで事態の深刻さを伝え、今後の対策を考える狙いだった」と説明した。
大橋会長は「生協の割引販売は法律に基づくもので、アマゾンが早稲田大学で行っている割引は別物ということを、はっきりさせたい。日書連として理論構築する必要がある」と指摘した。
10月14日午後1時から全国広報委員会議の開催を予定しており、各県からの参加を求めた。
〔消費税〕
与党民主党はマニフェストで4年間は消費税率を上げないことを約束していることから、当面、政府の動きを静観する。

『きものサロン』ムック化で返品ミス

世界文化社発行の季刊誌『きものサロン』が2月20日発売の2009春号を最後に、季刊からムックに刊行形態を変更。8月20日発売の秋号が出て、春号を返品したところ逆送されたという問題で、9月理事会に世界文化社販売本部の鈴木修三副部長が訪れ、連絡の不徹底があったことを認め、陳謝。『きものサロン』春号は返品入帳することを強調した。
鈴木副部長によると、季刊をムックに変更したのに伴い、春号の返品期限延長の措置をとるべきだったが、これをしなかったため、6月20日以降、『きものサロン』春号が返品期限切れで入帳しなくなったという。
取次によっては返品期限切れの春号を逆送せず、故紙化したケースも考えられ、伝票で入帳処理したり確認中の取次も。同社では現品があれば「返品了解済」と添付して返品いただきたいとしている。

ブックリボン運動提唱/国民読書年に向けてJPIC

来年の国民読書年を記念して、出版文化産業振興財団(JPIC)は「ブックリボン~本は世界を結ぶ」と「20歳の20冊」の運動を提唱している。
「ブックリボン」は広く国民に呼びかけ、家庭に眠っている図書を寄贈してもらい、図書を必要とする国内外の施設や団体にプレゼントしようというものだが、初年度は試験的に出版・印刷・製本など出版関連業界に呼びかけてテスト実施する。
この運動を通じて「国民読書年」をPRできるほか、「本・読書による新たな社会貢献モデル」を作るのが狙い。図書の寄贈先は
刑務所や少年院など矯正施設の図書館、在外日本人学校を想定しているほか、古書販売やバザーを通じて売上金を読書環境整備に充てることも考えている。
一方、「20歳の20冊」は成人式に自治体から新成人に本を送る企画。生涯にわたる読書の重要性を訴え、読書を通じて自立した社会人になってほしいというメッセージを届ける。
「20冊の選書」については実行委員会の選書委員会が選考し、リーフレットを製作する。各県書店組合は参加自治体との交渉や、商品手配、成人式会場での商品受け渡しなどを担当し、地域の商業振興にも役立てるという。

8月期売上93・3%/客数、客単価とも落ち込む/日販調べ

日販経営相談センター調べの8月期書店分類別売上調査によると、前年同月比の売上げは平均93・3%で、8月期の数字としては2005年以来最低の数字となった。8月は東日本・北日本で日照時間が少なく、中旬から下旬にかけて暴風や大雨が発生するなど天候が客足に影響を与え、客数は前年同月比95・1%にとどまった。
ジャンル別で前年同月を上回ったのは学参101・6%と辞書100・9%。学参は駅前・駅ビル、郊外、SC内とも好調な売れ行きを示した。郊外では児童書とともに2カ月連続で前年を超えている。
文芸書は前年は『O型自分の説明書』『上地雄輔物語』などの大型銘柄があったが、今年は有力銘柄の発売がなく、前年平均を74・4%と大きく下回った。
客単価は平均1179・6円。2カ月連続で前年を下回った。1人当たり買い上げ点数が99・4%、買い上げ1点当たり単価も99・5%とともにマイナス。

雑誌発売日励行委員会を開催/愛知

愛知県雑誌発売日励行委員会が9月11日、組合事務所で開催された。冒頭のあいさつで谷口理事長は「発売日違反を根絶し、組合員を守る」と基本理念を表明した。
県組合で違反対策を担当する矢倉委員長(天祐堂)の司会でスタートし、違反事例の報告と最近の情報。特にジャンプの早売りの手口が巧妙になり、零細な町の本屋がますます追い込まれる現状を思うと、前渡し制度は本当に必要であるかとの問題が浮き彫りになった。出席した取次からは「規則を順守し、問題発生と同時に至急対応する」との回答を得た。佐藤副理事長(光書店)からは再販問題についてお願いがあった。
当日のその他の出席者は本部委員会から早川委員長(小学館)、大久保副委員長(集英社)、古橋地区委員長(三省堂)、そして日販、トーハン、中央社、太洋社、新進の各社。
(榊原壮一広報委員)

再販契約の意義再確認を/書協・小峰理事長に要望書/日書連

日書連の大橋信夫会長、柴﨑繁副会長、岡嶋成夫再販研究委員会委員長、山本裕一同委員、大川哲夫専務理事は9月18日午後、書協を訪問。小峰紀雄理事長と懇談し、「再販契約を結ぶ意義再確認のお願い」と題する要望書(別掲)を手渡した。
要望書は中小書店の経営環境が厳しい現況に加えて、再販違反と思われる事例が多発しては、再販契約を忠実に守っている書店は消えて行かざるを得なくなると指摘。再販違反を放置することは再販制度の崩壊につながり、書店の転廃業の多発は最寄りの書店の消滅によって読者に迷惑をかけることになるとして、出版社に対して再販契約締結の意義を再確認するよう要望している。


〔再販契約を結ぶ意義再確認のお願い〕
謹啓初秋の候、貴協会におかれましては愈々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。平素は弊会の諸事業に際し、格別のご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、最近とみに再販違反と思われる事例が多発しております。しかも、その傾向としましては、「10%還元」といったものが目立ってまいりました。ポイントカードやクーポン券を使ったこうした大幅な値引きは、大型チェーン店やネット通販などで多く見受けられます。しかも、継続実施という様相を呈しております。これに対し、再販契約上、主導権を持っているはずの出版社個々の対応が見えず、隔靴掻痒の感を強くしているような次第です。仄聞するところによりますと、違反をやめさせるべく努力している一部出版社もあるようですが、他の貴協会会員社はどうされているのでしょうか。これを機会に、是非、再販契約を結ぶことの意義をもう一度ご確認いただきたいと思います。
ただでさえ、中小書店の経営環境が厳しい現況に加え、近隣の大型店やネット書店での再販違反が横行しては、再販契約を忠実に守っている書店は消えていく運命を余儀なくされるばかりです。再販違反を放置することは、再販制度そのものが崩壊することになりますし、書店の転廃業の多発は、「最寄り性」を失って最終的には読者に迷惑をかけることになります。改めて申すまでもなく、再販売価格維持契約を結ぶことにより、出版社は末端小売価格を拘束する権利を有することになる訳ですが、その一方、当然のことながら差別取引にならぬよう努力する義務があるとか思います。ともあれ、私どもは全国同一の定価販売が文化の偏在を防ぎ、読者に資するものと信じております。どうかこれらの点をご理解いただき、再販契約締結の意義再確認をお願い申し上げる次第です。
まずは取り急ぎ文書をもって、「再販契約を結ぶ意義再確認のお願い」と致します。
敬具

送品・返品の同日精算/1年ぶり日販、トーハンと懇談/大橋会長ら

日書連は昨年8月以降行った送品・返品同日精算問題での取次8社訪問から1年が経過したことを機会に、日販、トーハン両社を再度訪問。この間の取り組みについて話を聞き、送品・返品同日精算をあらためて求めた。

〔日販〕
日書連の大橋信夫会長らは9月16日に日販を訪ね、日書連が求める送品・返品の同日精算について懇談した。
16日に日販を訪問したのは、大橋会長、藤原、面屋、柴崎各副会長、鶴谷、山本、藤田各理事、大川専務理事の8名で、日販・橋専務と懇談した。
席上、大橋会長は「昨年8月に送品・返品の同日精算をお願いした。その後1年以上が経過し、この間の取り組みとご努力の結果にについてお聞かせいただきたい。改めて文書でご回答いただけるということであれば、9月末までにご回答をお願いしたい」と訪問の趣旨を説明した。
これに対し橋専務は、「(返品入帳を)縮める努力はいろいろしてきているのだが、前にも申し上げたように、版元への働きかけの必要もあってなかなか進捗していないのが本当のところ」と現在の状況を説明。
同日精算の実現については、「努力は重ねているが、この中間決算はなかなか難しく、来年3月までにはもう少し何とかしたいと思っている。うちだけの努力でそこまで持っていくには、版元の協力を得ないと難しい。キャッシュフローの問題は別にして、物理的にどこまで縮められるかを今検討しているところだ。データチェックの予備日が1日あるので、この分は短縮できるかもしれない」と述べ、努力を続けていくことを約束した。

〔トーハン〕
日書連の大橋信夫会長、柴﨑繁副会長、舩坂良雄理事は翌17日、トーハンを訪れた。同社では近藤敏貴専務、谷川直人取締役が応対した。
大橋会長は「昨年、送品・返品同日精算のお願いで訪問してから1年がたった。この間のご努力の経過と状況をご説明いただきたい」と趣旨説明。
これに対し、トーハンの近藤専務は「努力は続けているが、一気に行うことは難しい。会社の体力などを勘案しながら引き続き検討していきたい。当社の努力だけでなく、版元の協力も必要だ」と述べた。
大橋会長は「日書連も一気にとは考えていない。送品と返品のズレが現在、5日間ある。これを1年に1日ずつ縮めていっても5年かかるが、5年後にはこちらの要望は実現する。ところが1年たってもまったく改善しないとなると、百年経っても今のまま。一歩でも進めていただきたい。少なくとも5年の間に実現していただかないと、本屋は本を売ることすらできなくなるのではないかと危機感を持っている」として、理解と協力を求めた。
近藤専務は「送品・返品同日精算について検討するのは当然のこと。今後の取り組みについては、社長とも相談して回答したい」と応えた。

トーハン、60周年の記念式を開催

トーハンは9月18日、本社で創立60周年記念式を開催し、併せて永年勤続者の表彰を行なった。
今年度の永年勤続者は、30年勤続51名、20年勤続43名、10年勤続35名。山﨑厚男社長のあいさつ要旨は以下の通り。
「昭和24年9月19日、トーハンは設立された。高度経済成長とともに出版マーケットは拡大し、トーハンの業績も順調に成長を続けてきた。平成3年度にいわば第二の創業となるCIを導入。東京出版販売からトーハンへと、『知的活動支援企業』としての方向性が明確に定められ、不断の営業改革・流通改革への本格的な取組みが幕を開けた。
現在、我々を取り巻く状況は楽観視できるものではない。読者にとって真の利益を生み出し得るのかどうかを見極めて、我々のマーケットを守り拡大していく必要がある。
『私たちは、質の高いサービスと情報・流通のネットワークを通して、人々の知的活動を支援し、ゆたかな社会の創造に貢献します。』この企業理念に表された原点とともに、私たちにはトーハンと出版界の新たな未来を切り開いていく使命があるということを、今一度胸に刻んでいただきたい。
創立60周年記念事業については、株主に対して感謝の意を込めて記念配当を実施した。トーハン会バリューアップコンクールについてはトーハン会プレミアムセールとして雑誌も含めて責任販売の要素を取り入れた展開を図っていく。さらには「MVPプロジェクト」を立ち上げ、「MVPブランド」と「MVPサプライ」の2つの新たな施策を展開していく。
いよいよ来年は国民読書年を迎える。トーハンとしても一層ビジネスを充実させて読書推進に貢献すると同時に、創立61年目の新たな歴史の第一歩を踏み出していくべきときだ。」

出版インフラセンターと合併/書店マスタ・ユーザ会全体報告会

書店データベースの作製を日書連と協業して行なっている共有書店マスタ・ユーザ会は、9月18日午後4時から港区赤坂の明治記念館で全体報告会を開催。「一般社団法人日本出版インフラセンター(JPO)」と合併し、10月1日からはJPO内において「書店マスタ管理センター」として活動していくことなどの説明を行なった。
ユーザ会は1999年、出版社有志52社による任意団体として設立。出版業界の情報基盤整備と会員各社のコスト削減のため、「共有書店マスタ」のメンテナンスと配信を行なってきた。2003年から日書連とデータベース作製を協業化、その後の会員社増加に伴い、より信頼性のある組織とするため2007年11月に法人化を行ない、参加出版社は今年8月現在で289社に拡大している。
報告会では、冒頭で若森繁男理事(河出書房新社)が「ユーザ会は今後JPOの一部門として活動するが、現在の運営委員の皆さんがそっくり入って大きな枠組みの中で活動していく。皆さんのご協力をお願いしたい」とあいさつ。
JPOとの合併について岡垣重男運営委員長(河出書房新社)は「出版業界インフラ運営組織の統一という観点から、ユーザ会の公的な組織への移管を運営課題として討議・検討を重ねてきたが、このたびJPOの中に吸収合併するという結論に達した。現行のユーザ会は解散し、新しくJPO内の『書店マスタ管理センター』として業務を継続する。JPOの日本図書コード管理センターや商品基本情報センターと並列する形で置かれ、組織の運営自体は現在の形でやっていく。ユーザ会の運営委員会は常任委員会に名称を変更して運営を担当する」と述べた。
このほかウェブサイト改訂について、古澤亘システム委員長(新潮社)が、トップページに書店や会員社以外の出版社でも共有書店コード・書店名・開店状況などを知ることができる「かんたん検索」を設置したことなどを説明した。

〔常任委員会委員〕
▽委員長=岡垣重男(河出書房新社)▽副委員長=田沢敬久(集英社)古澤亘(新潮社)▽センター長=永井祥一(講談社)▽委員=橋本俊彦(太田出版)久保昭彦(角川グループパブリッシング)大谷亨(学習研究社)永井祥一(講談社)楠本勝司(光文社)高久田布人(主婦の友社)原本茂(小学館)平川恵一(筑摩書房)奥村貴司(中央公論新社)山本喜由(文藝春秋)
※若森繁男理事(河出書房新社)と菊池明郎監事(筑摩書房)は退任。

稚内東小学校など4校に朝読大賞/全国出版協会

読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校、地方自治体、団体、個人を顕彰する、髙橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」(社団法人全国出版協会主催)の第3回受賞者がこのほど決定した。
今回受賞した学校・団体と受賞理由は次の通り。
〔朝の読書大賞〕
▽稚内市立稚内東小学校(北海道稚内市)=平成18年から司書教諭に加え学校図書館協力員の配置による図書館の活性化を図り、市立図書館との緊密な連携、ボランティアによる読み聞かせなど、活発な読書活動を展開している。
▽千葉市立緑町中学校(千葉県千葉市)=「朝の読書」運動が本格化する以前の昭和57年より、生徒指導の一環として20分間の朝の一斉読書を開始した。そのいち早い取り組みと、現在までのたゆまぬ読書活動が評価された。
▽岐阜県立恵那農業高等学校(岐阜県恵那市)=平成17年に「朝の読書」を開始。全教職員、生徒が毎日読書活動を行ない、専門高校における「朝の読書」の実践成功例となった。
▽山陽女子中学校・高等学校(岡山県岡山市)=創立123年の伝統校。蔵書6万5千冊の図書館を備え、中学校と高校が一体となって「朝の読書」運動を行い、私立学校における読書活動の好例として評価された。
〔文字・活字文化推進大賞〕
▽「本の学校」生涯読書をすすめる会(鳥取県米子市)=同会は、鳥取県西部圏域の読書支援活動をしている団体や個人が集まり、「胎児から老後まで、本との出会いによる豊かな暮らし」をテーマに、読書の楽しさを伝えるネットワークとして平成10年に発足。以来、県内における読書推進に数々の成果を挙げたことが評価された。
なお、贈呈式は10月28日(水)午前11時から、千代田区大手町のクラブ関東で行なわれる。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・原亜矢子


◇2歳から/『ふってきました』/もとしたいずみ=文/石井聖岳=絵/講談社1575円/2007・1

かめと散歩するつるこちゃん。お母さんにあげるお花を摘み始めますが、空模様はあやしくなり次々とふってくるのです。わにやぞうなどが…。びっくり仰天の世界が展開しますが、誰もが笑わずにはいられません。そして最後にふってきたのは果たして?思わず拍手してしまいます。

◇4歳から/『てのひらどうぶつえん』/ハン・テヒ=作/星 あキラ、キム・ヨンジョン=共訳/瑞雲舎1260円/2007・4

この絵本の画は手のひらスタンプで描かれています。カラフルな色合いで動物たちが生きいきとしています。四人家族と一緒に動物園をまわるうち、だんだん手のひらがムズムズしてきそうです。でもご心配なく。巻末には、やってみよう、かいてみようコーナー付きですぐに遊べます。

◇小学校低学年向き/『三まいのおふだ』/おざわ としお=再話/かないだ えつこ=絵/くもん出版1680円/2007・7

山に入って暗くなり、泊めてもらった所は恐ろしいやまんばの家でした。小僧は和尚さんにもらったお札の力で危機を乗り越え逃げて行きます。ところがやまんばもすさまじい力を発揮し食い下がります。簡潔で無駄のない文章と版画家が描く独特の昔話の世界にぐいぐい引き込まれます。

第21回読書感想画中央コンクール/指定図書13点

第21回を迎える「読書感想画中央コンクール」(全国学校図書館協議会、毎日新聞社、実施都府県学校図書館協議会主催)の指定図書13点が発表された。
応募作品は、地方審査と表彰を経て中央コンクールで審査のうえ、すぐれた作品を提出した児童生徒および在籍校に対して以下の賞を授賞する。表彰式は2010年2月26日に東京で開催する。
最優秀賞4名、優秀賞8名、優良賞16名。奨励賞(上記入賞者及び大和証券賞以外の各都府県代表作品)、学校賞(最優秀賞・優秀賞・優良賞受賞者の在籍校)、凸版印刷株式会社賞(最優秀賞を受賞した児童生徒の在籍校)、大和証券賞4名。
〔小学校低学年〕
▽『たのしいたてもの』青山邦彦=作・絵/教育画劇/1155円▽『小さなりゅう』長井るり子=作、小倉正巳=絵/国土社/1260円▽『はいしゃさんにきたのはだれ?』トム・バーバー=作、リン・チャップマン=絵/小峰書店/1575円▽『ペンギンのヒナ』ベティ・テイサム=作、ヘレン・K・デイヴィー=絵/福音館書店/1365円
〔小学校高学年〕
▽『ハナと寺子屋のなかまたち三八塾ものがたり』森山京=作、小林豊=絵/理論社/1575円▽『雨ふる本屋』日向理恵子=作、吉田尚令=絵/童心社/1365円▽『三つ穴山へ、秘密の探検』P・O・エンクイスト=作、菱木晃子=訳/あすなろ書房/1365円▽『ムスタファの村イラク共和国』森住卓=写真・文/新日本出版社/1575円
〔中学校・高等学校〕
▽『空に唄う』白岩玄=著/河出書房新社/1365円▽『ドリーム・ギバー夢紡ぐ精霊たち』ロイス・ローリー=作、西川美樹=訳/金の星社/1365円▽『ベルおばさんが消えた朝』ルース・ホワイト=作、光野多惠子=訳/徳間書店/1575円▽『望遠鏡でさがす宇宙人』鳴沢真也=著/1575円▽『クラウディアの祈り』村尾靖子=著/ポプラ社/1470円

岐路に立つ町の書店/岩波ブックセンター社長・柴田信氏/本の学校研修会より

本の学校郁文塾が主催する「第15回本の学校出版業界人研修」(秋講座)が9月15日、東京・神保町の中央経済社6階講堂で開かれ、出版業界関係者約百名が出席。この中から岩波ブックセンター社長の柴田信氏が行った講演「岐路に立つ町の書店」の内容を抄録する。


〔浮世に生きる町の書店〕
まず、私たちの立ち位置について話したい。「私たち」というのは町の書店のことである。トーハンの『書店経営の実態』によると、調査対象145企業404店舗のうち年商2億円以下が57%。今日はこの57%の書店の話をする。残りの43%、大きな書店の話は一切しない。大取次から見ると小さい書店は煩瑣な存在だと思うが、そういう書店が57%あるということが大前提となる。
いま出版業界ではさまざまな合従連衡、資本提携が行われているが、こういった動きは57%の書店から見るとブラックボックスであり、どうなっているのかよくわからない。すごいとは思うが、知ろうとするつもりはないし、探ったところでわかるわけがない。向こうが相手にしないのだから、こちらもしない。火の粉が降りかかってきたら、それから考えればいい。
こうした動きは浮世離れしていると感じる。ところが57%の書店は浮世に住んでいるのだ。お客様からクレームがあり、返品があり、年に1回しか売れない常備があり……そうしたいろいろなことがある中で、毎日、近所の人たちと冗談を言ったり喧嘩をしたりしながら浮世を全うしている。合従連衡は浮世から遠いところにある。浮世から見たらわからなくてもいいことだと思っている。このことも話の前提としたい。
現場から見える外的状況として、まず取次、版元からのいろいろな提案がある。原則として、版元と書店の間に経済関係はない。だから版元側からの提案については、書店側に主導権がある。なされた提案について賞賛する必要も批判する必要もない。
取る取らないはこちらの問題で、自分の店に合わないと思えば注文しなければいい。注文しないということが、書店からの評価となる。「素晴らしい」とか「よくない」と言っている人たちは、経済関係もないのに余計なことをしているなと思う。提案に応じて取るか取らないかは自分たちで決める、ということに過ぎない。
問題は取次からの提案。これは降りかかる火の粉だ。今は降りかからなくても、将来降りかかるかもしれない。ヒタヒタと音もなくやってきて、気がついてみたらすごい提案になっている。大取次の言うことは見えないから知らなくていいということにはならない。気がついたらえらいことになるから、神経を使わねばならない。その中心にあるのは返品率改善と責任販売制。いろいろなことがヒタヒタと進行している。
いま就職難で、取次には優秀な人材がたくさんいる。偏差値の高い人たちが入金率や返品率などを記した得意先カードを見るとどう思うか。合理化しよう、画一化しようということになる。返品目標を設けてインセンティブを与える、達成できなければペナルティとかになってくる。
57%の店頭は浮世で、偏差値が低いから、そんなことはわからない。一生懸命売って、返品とか売れ残りとかいろいろなことがあって、一つの世界、宇宙なのだ。従業員は夢を持って楽しくやろうとしている。それを机上の論理で合理化しようとするから浮世離れする。版元の提案はまあいいが、取次からの提案については警戒しなければならない。既得権を失わずに今のシステムで改革するのは無理だと言いたい。
本屋には仕入能力がないという人たちがいるが、とんでもないことだ。本屋は賃金が安いので、長く勤めて仕入能力を身につけることができない。町の本屋はみんな一生懸命、安い給料で健気に頑張っている。仕入能力がないのではなくて、仕入能力がないのには理由がある。その最たるものが賃金が安いということ。賃金の安いところに人材は来ない。来て夢を持ってやろうとしても、流通の上流で夢を潰すようなことをする。
旨味と面白味のない提案は駄目だ。本屋は偏差値が低くて欲張りだから、旨味と面白味がある提案ならば、必ず注文する。提案する版元、取次の人たちは必ず言う、「町の書店のために」と。これはかっこいい。だけど、旨味も面白味もない。中身が伴っていないことが多い。
町の書店は毎日毎日、自分の店のことを考えている。一挙手一投足が自分の店のことにつながっている。たとえば昼飯を食べるときも、本を買いに来てくれそうな近所の中華屋で食べるというように。それが57%の書店の姿だ。町の書店1店1店は力がない。頼るのは日書連しかない。日書連は町の本屋の声を汲み取ってもらいたい。

〔情報の共有で課題克服〕
ならば町の書店はどうしたらいいか。丸の内に丸善が出来て、秋葉原に有隣堂が出来て……ところが私の店がある神保町は町作りの観点から言っても遅れをとっている。町全体がくすんでしまって、周回遅れになっている。町の書店は周回遅れのランナーだ。1周遅れでも仕方がない。でも、1周遅れのトップランナーでいよう。
町の書店は岐路に立っており、時代の変化に即応するためには、1周遅れであってもトップランナーでいなければならない。トップランナーでいるという目標を持ちたい。人のせいにばかりしていないで、周回遅れであることを自覚して、トップランナーでい続けようと思いたい。
こうした外的状況に対して、内的状況について話をしたい。私の店では、支払い状況などの内的情報について従業員全体で共有している。そうでなければ周回遅れのトップランナーの座は維持できない。そこには情報開示も伴わなければならない。情報の開示、共有が底辺にあって、はじめて次の課題が生まれる。
情報開示もなく、従業員に「何か考えなさい」と言っても、それは無理というもの。「うちは売上が悪い」とだけ言って、あとは何の情報も与えない。それで「おまえ店長だろ、頑張れ」と言ったところで、頑張れるわけがない。「じゃあ、辞めます」ということになってしまう。そうではなく、情報を開示した上で、「うちの店は今こういう状態だから、こういうふうにしようじゃないか」というようにしたい。
神保町の小書店2、3店に聞いてみると、POSレジは持っているけど使っていない。スリップを見て注文しているという。私の店も全部スリップ管理である。時代に逆行しているが、そのほうが私の店にとってはいいからだ。スリップを見ると、結果だけではなく、「現在」がわかる。返品率はまあまあじゃないかとか……。それでも返品は出る。返品はそれほど悪いのか。返品があって売上があって、書店なのだ。一つの戦略上、在庫管理上の許された手段だから、それを駆使するかどうかはそれぞれの店による。
情報を開示して全従業員が共有し、そしてある種の課題が生まれてくる。「うちの店はこんなに景気が悪い」ということが数字でわかり、すべてわかったことで次の課題が生まれてくる。そして、課題の克服が進めやすくなる。
店頭は一瞬たりとも同じ風景ではない。いろいろな変化がある。図書館が湖だとすれば、書店は川の流れだと思う。書店は常に流れている。流れているけれども、それは「現在」。「流れている現在」だから、主人や店長は常に店にいたほうがいい。店は流れているのだから、常にその流れを見ていなければならない。油断してはいけない。浮世の流れは厳しいのだから。書店は情報の発信基地で文化に尽くしていると言われる。確かにそうなのだが、それを強調はしない。浮世には欲望、無駄、ムラが山ほどある。うちの店のレジで「岩波文庫になぜ江戸川乱歩を入れたんだ。大江健三郎だって入っていないのに」と怒っている人がいた。岩波書店に言ってくれという話だが、それが浮世というものだ。その中に書店はいるのだ。
サービスには可視のものと不可視のものがある。可視のサービスは接客。「いらっしゃいませ」と言ったり、包装したり。不可視のサービスは品揃え。お客さんが見えないところで揃える。あらゆるサービスでなんとしても周回遅れのトップランナーの座を守り続ける。そうしなければ変化に即応できない。命懸けでやらなければ、町の書店は存在意義がない。
お客様も出版社も「お前ら、しっかりやれ」と言う。「自分たちはちゃんとやっているぞ」というものがないと反論もできない。いつもビリを走って、世間が悪い、自分は悪くないと言いながら走るのは、実にみっともないではないか。

〔自立に向けて人を大事に〕
町の書店が自立に向けてどうしたらいいか。とはいっても、取引は個々だから、みんな一緒ではない。書店の仕事には入口と出口がある。出口というのは、売れること。普通こちらにばかり光が当たるが、本当に大事なのは入口である。
私の店は「岩波に面倒を見てもらっているのではないか」とか「直接やっているから正味が安いんじゃないか」とか言われるが、とんでもない。岩波はそんなに甘くない。栗田を通して正常に来ており、直取引ではない。ただ岩波の本について、私の店は全国でベストスリーに入る。ベストスリーに入れば、5%の歩戻しがくる。私の店は岩波のシェアが高いから、この5%は非常に大きい。年間で計算すると、仕入原価率は73・1%で、26・9%が粗利となる。
もう一つは家賃交渉がある。家賃交渉は、店舗を借りている店にとって「入口」にあたる。大事なのは大家さんとの関係を良好に保つことだ。なんとしても家賃をまけてもらう。自分の店の状況を涙ながらに訴える(笑)。いや、本当にそうしているのだ。そうしなければトップランナーでいられないからだ。
自立するということの根源は、売るという「入口」にあるのではなく、家賃とか人とか取引先とかの「出口」の部分にある。これらを大事にしなければいけない。60%しか支払っていないのに、「商品が来るのが遅い」とは言えない。ちゃんと支払ってはじめて、「遅いぞ」と言うことができる。でなければ、自立への道は遠い。
従業員の人件費が安い。だから人材が来ない。来ても働く意欲がない。夢もない。退職金すら払えない。人を大事にするなら、退職金については中退共制度がある。中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度のことだ。従業員1人当たり5千円積んでいれば、従業員が辞めたときに店が退職金を払えなくても、中退共が払ってくれる。これをやるためには従業員1人ひとりの判が必要だから、1人ずつ呼んで判を押してもらう。そうすれば「うちには退職金制度があるんだ。ありがたい」と思ってもらえる。中退共に入って退職金への不安をなくすことで人を大事にする。
書店の原点は人材の育成であり、これを最優先としなければならない。売上ではない。人材の活用であり、教育するということだ。私の店の時給は1千円で、休憩時間も拘束給として払っている。この地域で一番にしようという思いがある。このように人を大事にする。主に扱っているのが専門書だから、仕入をしっかりとするには長く勤めてもらわなければならない。他の書店は時給8百円だけど、私の店は1千円だから長くいる。そうすれば精通してくる。仕入能力がないなんて言われない。
人を大事にする。商品はスリップで管理する。家賃は一生懸命値切る。こうしたことを一生懸命やればトップランナーでいることができる。町の書店に絞って言えば、そういうことが言えるだろう。

歴史書充実ファンは全国に/世界遺産の街・奈良随一の老舗書店/桂雲堂豊住書店

〔江戸後期、伊賀上野で創業〕
奈良は「青丹よし奈良の都は咲く花の薫ふがごとく今盛りなり」と万葉集に詠われた時代の息吹が、今も暮らしの中に生き続ける街である。桂雲堂豊住書店は、充実した歴史書の品揃えで全国にファンを持つ、悠久の歴史ある古都ならではの老舗書店だ。店主の豊住勝郎さんを訪ねて話しをうかがった。奈良は寺社仏閣と自然が一体となった景観が守られ、「古都奈良の文化財」としてユネスコの世界遺産に登録されている。来年は平城京遷都から1300年を迎え、さまざまな事業やイベントが行なわれることになっており、国内外から注目を集めている。
豊住書店は、近鉄奈良駅からほど近い商店街の中にある。少し足を伸ばせば興福寺。近くに奈良県庁や県立美術館、奈良女子大がある立地である。駅から登大路の北側に東向北通りを入って商店街を北に進むと、右手にレトロな木製の看板が見えてくる。
豊住書店の創業者は、松尾芭蕉門下8代目の弟子にあたる豊住伊兵衛氏。江戸時代後期に三重県伊賀上野に本店をかまえ、ほかに津と大阪、奈良の3箇所に店があった。何代目かの伊兵衛が明治初期に奈良に移り、この店が受け継がれて現在に至っている。
店主の豊住勝郎さんは「江戸時代から明治始めは小売っちゅうのはないですから、みんな出版業です。上野の本店は、たくさんあった版木を収めたり、職人たちが働くので面積が一町四方(約1ヘクタール)あったいいますわ」と話す。豊住書店が江戸時代に出版した本は、寛政年間(1789~1800年)や文政年間(1818~1829年)の記録があるが、創業の年ははっきりしない。
「俺はたぶん5代目やと思うんやけど」という勝郎さん。実は、店の創業は「慶応3年(1868年)」を公称しているのだが、これには訳がある。明治100年にあたる1968年に、これを祝う記念行事が日本各地で行なわれた。勝郎さんのお父さん、謹一さんは「うちも慶応3年にしたら創業100年記念ができるやないか」と言い、「奈良学講座」を記念事業として開催したのだ。
謹一さんは奈良県書店組合理事長の要職を務めた人である。「うちの親父さんはそういうの好きやったから、記念品いっぱい作ってあっちこっちまきよった。講座は月1回で百回やりました。受講は無料やったし、やるのはお金がものすごいいった。そのときは店も儲かってたさかいね、いけたんや」と勝郎さんは当時を振り返る。
豊住書店に1歩足を踏み入れれば、コミックや雑誌、児童書が置かれた棚が並び、商店街にある普通の書店のたたずまいだ。しかし店の奥に進むと、歴史書の充実ぶりに驚く。奈良に関する本はもちろん、日本からアジアにいたる歴史学、民俗学、文化人類学、考古学、古典文学など、幅広い分野の書籍を数多く揃えているのである。店内にぎっしり本が詰まっており、年季の入った木製の棚もあいまって、懐かしい雰囲気のする書店だ。
勝郎さんに品揃えについてうかがうと「歴史はうちの親父さんも好きやったけど、俺も好きやからね。法律経済は分からんから一冊も置いてない。こんな小さな本屋で分からん本置いてもしょうがないわ。小さな本屋は内容まで聞かれるしね」と話す。
店には、京阪神や東京をはじめ、九州から北海道まで全国からお客が訪れる。研究者はもちろん、観光案内のガイドに載っているのを見て来店する人も少なくない。「九州からよう来て、奈良関係の新刊ごそっと買うてくれる人もある。宅急便で送りますんやけどね。『これ地元で注文したらみんなあります』ゆうても、『いやここで買いたい』言うてくれはる。ありがたいことですわ」。著者が店に立ち寄って「これ私の本です」と名乗ることも多いという。

〔歴史が息づく店づくり〕
豊住さんの家では、終戦前後の時期に畑作りをしており、その一つが古墳地帯の山にあった。勝郎さんは道端で露出していた瓦を見つけ出した。謹一さんに見せると「これは珍しいな」。「当時は文化財保護法がなかったからね。その瓦を博物館に持ってったら、『これは初めてや』いうことでね、俺の名前で登録してくれよった。そうやって掘ったものが二つある」と勝郎さん。
また、謹一さんに連れられて、戦後すぐに開かれた第1回正倉院展を見に行った。皆食うや食わずの時代だったが、博物館は大変な混雑だったという。「親父さんが『見とかなあかん』言うてね。展示に竹矢来が組まれて『この先行ったらあかん』てなってて、その竹だけや、覚えておるんは」。当時は畑作りがしんどかったりで全然面白くなかったが、だんだん歴史に興味を持っていった。中学生から店の手伝いを始め、奈良高校を卒業して本格的に書店業務に携わることになった。
豊住書店では、所蔵する古代瓦から写し取った拓本や、特別な和紙を用いた「拓本はがき」を販売している。奥さんの順子さんが、謹一さんから拓本を習ったのを活かして始めたものだという。ブックカバーは、江戸後期の豊住書店の版木を用いて勝郎さんがデザインしたものだが、愛好者の集まりである「書皮友好協会」から2007年に「書皮大賞」が贈られた。
勝郎さんは骨董品に造詣が深く、仏像、ランプ、蕎麦猪口などテーマは多岐にわたる。仏像研究に関しては、専門家向けのサイトのスポンサーをやっていた。スタッフが多忙になったため、サイトは2年ほど前に閉めたが、国立博物館や大学の研究室から多くのアクセスがあるなど、高い評価を得ていた。蕎麦猪口は7千個集めたが、業者に売るなどしてほとんど手放してしまったという。
「趣味高じて商売始めてはあきません」と勝郎さんは言う。「骨董品は品物見て『ええなあ』いう考えでいくさかいね、『なんぼだからええ』なんて考えたことないです。趣味は人がなんちゅう言おうと自分が好きやったらそれでええんやからね。商売だったらそういうわけにはいきませんわ。お客の望むやつを買うてこなきゃならんし、なんぼよくても売らないかん。書店が新刊見るのと一緒です。箱開けたとたんに売れる売れへんいうのをパッパと分けていきますやろ、それと同じ」と話す。
50年以上書店をやってきて、やはりうれしいのは、遠くから来てくれたお客の「長年探してた本はこれだ」の一言。逆に落胆するのは「ここへ来たらあると思ったんだけど」。奈良関係で絶版になってる本は分かるから、時間があればインターネットで古本屋を探して、「ここやったらありまっせ」と案内する。「それもサービスかな、自分の遊びかな。仕事も遊びやさかい思うてるからね。遊びの境目がないからあきまへんな、ほんまに」と笑う勝郎さんは、根っからの書店人だ。

実践的ノート術紹介/Nanaブックス

大阪府立大学工学部大学院を卒業後、花王㈱でヒット商品の開発を手掛けながら、異業種勉強会、交流会を多数主催するスーパーサラリーマン、美崎栄一郎氏の『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』が9月11日発売後、紀伊国屋書店のビジネス書ランキング1位となり、10月5日取次搬入分で早くも4刷4万3千部。
同書ではメモノート、母艦ノート、スケジュールノートを組み合わせた3冊ノート術や、予想・実行・結果の3段階記録法などの実践的ノート術を紹介。会議・企画・時間管理・出張の「仕事ノート」、勉強・読書・セミナーの「自己投資ノート」に今すぐ応用できる。四六判256頁、定価1470円。
出版したNanaブックスでは『情報は1冊のノートにまとめなさい』『読書は1冊のノートにまとめなさい』に続くノート本ブームが来るのではと期待している。

『たいやきくんBOOK』11月発売

トーハンは11月に宝島社と共同でMVPブランド商品、「親子のたいやきくんおたのしみBOOK」を発売する。タカラトミーの大ヒット調理玩具「親子のたいやきくん」の特別バージョンで「お兄さん」サイズとレシピ本をセットにしたファミリー商品。
「親子のたいやきくん」は、電子レンジで親子2サイズのたいやきが簡単にできて好評を博した。今回、宝島社と開発した商品は「お兄さん」サイズとA4・32頁のレシピ本のセット。レシピ本では基本のつくり方をはじめ、いろいろな味のバリエーションレシピやたいやきをアレンジしたスイーツも紹介され、より広い楽しみ方が提案されている。
希望小売価格は1980円(本体1886円)で、条件は買切。書店マージンは最大41・2%。流通はトーハン一手扱い。
幅広い年齢層が訪れる書店にとって、親子で楽しめる商品は親和性も高く、集客力アップのプロモーション効果も期待できる。子どもを持つファミリー層、女子中学生、孫を持つ熟年層を主なターゲットと想定しており、クリスマス、年末年始、バレンタインのプレゼント需要をねらう。

より多くの利益享受へ/MVPプロジェクトを説明/トーハン

トーハンは、より多くの利益享受を実現する販売モデル「MVPプロジェクト」について、9月18日、本社で出版社説明会を開催。「MVPブランド」「MVPサプライ」の2施策について説明を行った。
MVPは、モア・バリュー・プロデュース(より多くの価値を創造する)の意味。読者の要求に適う商品を適正な場所、時期、数量、価格で、出版社と生産計画段階から打ち合せ、個別条件を設定し、セールスプロモーションもバックアップする販売モデル。
書店マージン向上のためのプライベートブランド戦略「MVPブランド」は、書店マージン40~50%を実現するため、商品はすべてトーハンが買い取り、企画から販売まで一貫してサポートする。
既に取り組んでいる『東方神起写真集』は、再販制適用外商品として店頭希望価格を4200円に設定。最終的な値付けは書店が行うが、送品48日後の9月16日現在、93・5%の実売率となっている。
「MVPサプライ」は、商品供給の次世代モデル。商品特性に合わせ4タイプで展開。需要予測に基づく書店・銘柄別の冊数提案と供給、「MVPサプライ」専用の在庫と即時追送によるきめ細かい物流、得意先との販売契約に基づく商品供給が特長。
①大型新刊=初回配本数提案と60日間の即時出荷を組み合わせた大型新刊の販売手法を「トータルサポート契約販売」として展開。②通常新刊=トータルサポート契約販売の追送のみを実施し、消化率と店頭欠品率を改善する「新刊オートチャージ」として展開。③既刊ベスト(売行良好書)=通常新刊同様、消化率と店頭欠品率を改善する「良好書オートチャージ」として展開予定。
④ジャンル単位=コミックの新刊・重版・注文・販売まで一貫して支援する総合提案を「コミック一気通巻」として展開。

参考図書

資生堂名誉会長、文字・活字文化推進機構会長の福原義春氏は経済界随一の本読み。福原氏が自らの読書人生を紹介しながら、人生を豊かにする読書の魅力と意義を語る『だから人は本を読む』を東洋経済新報社から上梓した。四六判上製2百頁、定価1575円。
「最近、欲しい本、読みたい本に出会えなくなっている」と嘆く福原氏は、出版界が本を消費財化してしまったのではと指摘する。書店に対して「あるジャンルの本を求める買い手に、そのジャンルのカタログを届けるようなワン・トゥ・ワン・マーケティングが求められている」と鋭い提言も行っている。
人事

◇栗田出版販売
〔組織変更〕
①営業第二部の営業第三課と営業第四課を統合し、営業第三課とする。②営業第三部の東北課と東部課を統合し、営業第四課とする。③営業推進部の営業企画課と書店支援課を統合し、営業推進課とする。④雑誌仕入部のコミック課をコミック・KMI課へ変更する。⑤システム部の企画課と開発課を統合し、開発課とする。
〔人事異動〕10月1日付執行役員雑誌仕入部長・書籍仕入部担当(同雑誌仕入部長)川窪克誌書籍仕入部長(営業推進部長)森川正信営業推進部長(雑誌仕入部長)佐藤勉

文革を考えるフェア/出版社9社企画で

10月1日は毛沢東主席が天安門の楼上から中華人民共和国の建国を宣言してから60年目。中国建国60年を機に、改めて文革を考えようという「中国建国60年を文化革命から読み直すブックフェア」が平凡社、文藝春秋など出版社9社で展開されている。フェア出品図書14点は以下の通りだが、『中国文化大革命の大宣伝』(芸術新聞社)は今年5月刊、『林彪春秋』(中央大学出版部)は7月刊。
『毛沢東語録』平凡社、1020円、『毛沢東の私生活(上下)』文藝春秋、各820円、『毛沢東伝(上下)』みすず書房、上8400円、下9450円、『威風と頽唐』太田出版、4935円、『マオ(上下)』講談社、各2310円、『目撃!文化大革命』太田出版、3500円、『鄧小平秘録(上下)』扶桑社、各1785円、『中国文化大革命の大宣伝(上下)』芸術新聞社、各3675円、『林彪春秋』中央大学出版部、4830円。

本屋のうちそと

去年のリーマン・ショックから9月15日で1年が経った。
仄かな回復傾向にあった経済は、自由落下状態。当店の売上対前年比も84・75%。昨年10月から配達業務を取りやめたことから、その分を調整しても89・36%。客数は96・15%。
概観して、町工場の工員さんの来店が激減して、子供達の購入額が減っている。いささか持ち堪えているのが、女性客の購入だ。雑誌の不振もあるが、景品に近い付録が付いている女性誌が下支えしていても、客単価の減少傾向をどうにも支えきれない。
スーパーやドラッグストアではポイント2倍とか3倍と店内放送を繰り返している。先だっては10倍セールと連呼していた。商品を売るのではなく、ポイントの販売をしているように見えるほどキャッシュフローの獲得に血眼だ。
景況が右肩下がりでは、大は百貨店から小はパパママ店まで今まで同様の商いを続ける限り、利益は出ない。商品価格の大幅な引き下げか、「売り」から「買い」に約定する相場のような商いでなければ利益は生み出さない。つまり通常の「仕入れて売る」という小売では成り立たない状況だ。
さらに景気の二番底が噂される中で、書店も出版社も次の破綻はどこかと疑心暗鬼となっている。そんな中、ジュンク堂が文教堂の筆頭株主になったと報じられている。帳合の垣根を越えて資本関係を結ぶマンモス化で勝ち残りを図るのか、ゴキブリのように極小生存圏で生き残りを賭けるのかの時代だと思っている。(井蛙堂)
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