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全国書店新聞
平成22年3月1日号
2社に文書回答求める/送品・返品同日精算問題で/日書連

日書連は2月18日午前11時から書店会館で定例理事会を開催した。日書連が取次各社に求めてきた送品・返品の同日精算問題については、2月17日の各種委員会終了後、正副会長らでトーハン、日販両社を訪問し、3月15日までに文書で回答するよう求めたことが報告された。
〔取引改善〕
日書連は2月17日の各種委員会終了後、大橋会長、柴﨑、藤原、面屋、西村副会長らで手分けしてトーハン、日販両社を訪問。送・返品同日精算の促進を求め、トーハンは山﨑社長と近藤専務、日販では橋専務が応対したことが報告された(3面参照)。
当日のトーハンとの懇談の内容について大橋会長は「書店の現状を縷々説明して、5年かかっても一歩ずつ進めるべく踏み切ってほしいと述べた。3月15日までに文書回答を求めた」と報告。
藤原副会長は日販とのやりとりについて「理はこちらにあることは理解している。最終的にいつまでにやるという回答はなかったが経営会議の議題にのせているという話だった」と説明した。
柴﨑委員長は「あとはトップの決断だ。繰り返し行かないと進まない」と交渉を継続する方針を示唆。さらに「返品を機械読み取りしていながら入帳しないのは不公正」として、改めて日書連理事・常任委員から昨年9月末と今年3月末の返品入帳実態の調査報告を求めた。
〔再販研究〕
公取委の再販6品目には電子出版が含まれず、再販が適用されないという問題について、岡島委員長は「紙と電子出版の折り合いをどうつけるのか、出版社の意見を聞きたい。電子出版には再販が及ばないのか議論していきたい」と問題点を指摘した。

道組合など27組合に/読書推進企画に約1千万円

〔読書推進〕
国民読書年にあたって各県組合から募集した読書推進企画は2月10日の締め切りまでに30組合からの応募があり、12日に審査を行った結果、27組合に150万円から5万円まで、総額998万円を支給することが決まった。
このうち、北海道組合の企画は『高校生はこれを読め』の冊子製作費として150万円。愛知県は「サン・ジョルディの日フェスティバル」のイベント、山梨県は「辻村深月講演会」、新潟県は「新潟文学検定」の実施プランで補助金を申請した。
西村委員長は審査基準について「事業主体が組合単独であること、読書推進の企画であることを念頭に精査した」と述べた。
このほか、出版文化産業振興財団が企画した「20歳の20冊」は、来年度も各市町村に声をかけて運動を継続していくことを再確認。首都圏の書店で買った本のレシートを送ると図書カードが当たる読売新聞主催「本屋さんへ行こう!キャンペーン」は、今年も日書連として協賛することを確認した。同キャンペーンは3月10日からスタート。
また、ショッピングセンターに入る書店で「お買いものクーポン」が行われている問題で同委員長は「割引に類する行為について」をまとめ、日書連の見解(2面掲載)として発表するとした。
〔政策委員会〕
文字・活字文化推進機構、日本図書館協会、活字文化議員連盟などがジャパンマークによる書誌データ一元化を呼びかけている問題で、日書連としては、今後の動向を見て対応していく方針を承認した。
出版販売年末懇親会は会場を予定していた帝国ホテルが12月15日は満杯のため16日に変更。これに伴い各種委員会は12月16日、理事会は17日に1日繰り下げることを了承した。
5月に行われる出版人大会の長寿者表彰では日書連から小川恵一郎(兵庫)、浪花剛(北海道)、八田哲弥(東京)、高野嗣男(埼玉)の元副会長4氏を候補者として推薦する。
新年度事務局体制として、事務局の土曜日出勤は第1・第3土曜日のみとし、第2・第4土曜日は休業とすることを了承したほか、4月1日付け人事(2面)を決めた。
〔流通改善〕
読者に対する雑誌の直接定期購読で、書店定期購読にはない特典が付いて書店の定期客を奪っているとして、1月末、該当の雑誌社と雑協に是正の申し入れを行ったことを藤原委員長が報告した。
また、出版各社から責任販売、計画販売などとする企画が出され、取次からも各種責任販売の仕組みが出されていることから、委員会として精査して比較のための一覧表を作りたいとした。
4月16日に発売される村上春樹『1Q84』③については初版50万部配本の話が伝わっている。新潮社に確認したところ、詳細はまだ決定していないということで、決定次第、連絡があることになっている。
〔情報化〕
店頭でのコミック試し読みシステム「ためほんくん」は3月末までが実験期間だが、田江理事は「13台の端末を設置しており、1店舗で月に300平均のアクセスがあった。売上げは間違いなく伸びている」と報告。4月以降、地域の書店で広く利用できるよう出版社と検討していきたいとした。
中央会の補助金でネット選書システムとして開発した「図書館選書ツール」については、4月理事会でデモを行う。
〔指導教育〕
アマゾンの電子ブック「キンドル」をはじめ、アップル「アイパッド」、バーンズ&ノーブル「ヌック」など海外で電子ブック・リーダーの発売が相次いでいることを受け、指導教育委員会ではデジタル化と電子ブックをテーマに勉強会、講習会を検討していく方針を鈴木委員長、鶴谷委員が説明した。
今井理事からは「キンドルの端末を見たが、読者が直接コンテンツをダウンロードすれば、書店は不要になる。そこにクサビを打つために勉強していかなければならない」と委員会の意向を支持した。

万引きポスター制作で記者会見

日書連と古書組合、リサイクルブックストア協議会の三者は、万引き防止を呼びかけるステッカーを三者の連名で製作することを決めた。
3月2日午後1時から、東京・お茶の水の「山の上ホテル」に全国紙、業界紙、テレビの報道各社を集めて記者発表を行うことになった。

拡材に読書ガイド2種/子どもの本夏休みセールで/2月理事会

〔増売運動〕
2010年度の「心にのこる子どもの本夏休みセール」の実施要領が決まり、舩坂委員長から報告された。児童図書出協会員各社の売れ行き良好書を①絵本、②読物、③あそびと学習、④読み聞かせにふさわしい絵本の4セットに分類し、6カ月長期委託で出荷する。
今年はセット注文に対し拡材として別冊・こどもの本『乳幼児・小学生のための絵本ガイド』30部、『小学生・中学生のための読書ブックガイド』20冊が送品される。
大阪組合から提案のあった年3回の実施については、児童図書出協、取協と再検討していくことになった。
〔広報〕
全国書店新聞は編集部3名体制で推移してきたが、田中編集長の定年退職により4月1日以降、旬刊発行から月2回発行に変更することを面屋委員長が報告。現在の1日・11日・21日発行、月間16頁体制から、4月以降は1日・15日発行、月間10頁体制になる。
面屋委員長は「この時期に書店新聞の回数を減らすのは断腸の思いだが、やむを得ない」と述べたほか、小泉副委員長も「財政的に増員できないとなれば、涙をのんで月2回発行にするしかない。(速報性は)ホームページの活用も考えていきたい」と説明した。理事会は広報委員会の説明を了承した。
〔共同購買〕
フェリカを利用した書店ポータルサイト「タッチホン」事業について中山委員長は、運営会社のブルーオーシャンセンターと各書店の契約が始まることを説明した。設置希望の書店には同社が順次、説明に回る。
携帯電話に情報を発信するフェリカパネルはファッション雑誌サイズとコミック大判サイズの2種類。
〔組織〕
各都道府県組合の1月期異動は加入ゼロ、脱退13店で、1月末現在の組合員総数は4月1日対比218店減の5284店となった。
◆事務局人事
(4月1日付、○昇格)事務局次長(総務部長)
○石井和之
総務部主任○小沢誠
編集部主任○白石隆史

「割引に類する行為」について

かつての再販契約書は、景品類の提供を「割引に類する行為」として、出版社の意志で禁止していましたが、現在では、「割引に類する行為」は、実質的な値引と認められる景品類を指すようになって、再販問題と関わりを持つと考えられるようになりました。
Ⅰ、景品表示法上の考え方
景品表示法の告示では、値引は景品類から除かれています。(景品制限告示・同運用基準)
又、次に掲げる経済上の利益については、景品類に該当する場合であっても、値引と同様の経済効果を有する「割引に類する行為」として、景品規制は適用されません。
「自己の供給する商品又は役務の取引において用いられる割引券その他割引を約する証票」について(消費者景品告示・運用基準第4項)
証票には、次のものを含めるものとする。
ア.金額を示して取引の対価の支払いに充当される金額証。(特定の商品又は役務と引き換えることにしか用いることのできないものは除く。)
イ.他の事業者の商品購入にも共通して使用できる金額証。
ウ.自己及び他の事業者の商品購入にも共通して使用できるものであって同額の割引を約する割引券。(他の店舗での割引額が自店の割引額と異なる場合はこれに含まれない。)
出版物小売公取協顧問、元永剛先生からは次のような指摘があります。
ある景品提供企画が前記判断基準によると「値引き」に当らないとされる場合であっても(例えば、前記資料Ⅲの例1〔書店が図書カードを提供する場合〕)、再販の問題と考えるときには、これらを実質的に判断すると「値引き」ないし「割引類似行為」に該当する場合があります。
したがって、その最終的な判断は出版社に委ねられていますが、こうした企画については、別途再販契約上の観点から十分な検討が必要です。(「景品・値引きの判断について」(改訂版)全国書店新聞H22・2・1号掲載より)
景品表示法に規定された「値引」や「割引に類する行為」は、あくまでも景品規制の対象外となる考え方であって、これに基づく行為が行われた場合に、再販契約上直接律することが出来るかどうかは不明ですが、関わりがあることは自明の理です。
Ⅱ、再販契約上の考え方
実質的な値引とされる「割引に類する行為(金額証の提供等)」を考えるとき、再販契約上の問題とすることが自然でしょう。
再販契約の目的は、出版社が出版物自体に付した再販売価格を維持するためであり、定価とは出版社が指定した再販売価格のことです。
定価販売を守ることが、この契約の目的なのです。
独禁法第23条は、原則違法とされる再販売価格維持行為を、一定の条件のもとに特別に許容する法律ですから、この法の規定に則って、出版社や取次が現実に再販行為を行わなければ、又、その再販行為に実効性が伴わなければ意味がありません。
再販が守られるということは、有効適切な再販行為(違反措置等)が行われるということでなければなりません。
販売価格を拘束するという意味合いからいえば、(取次―小売)の再販契約上に示された小売業者の義務条項が最も重要な意味をもちます。
再販契約書(取次(乙)―小売(丙))
第3条丙(小売)は、出版業者又は乙(取次)から仕入れ或いは委託を受けた再販売価格維持出版物を販売するに当っては、定価を厳守し、割引に類する行為をしない。
この第3条の禁止規定に基づく行為(違反の措置等)は法第23条第1項に定められた、再販売価格を維持するための正当な行為なのです。
契約違反に問うか否かは契約主体者である出版社の裁量の問題とはいえ、販売業者に定価販売を義務づけている以上は、「定価を厳守」すると同様に、実質的な値引と考えられる「割引に類する行為」についても厳格な対処が求められてしかるべきです。(以上)

マイナス幅最少に/コミック、児童書が牽引/日販調べ

日販経営相談センター調べの1月期書店分類別売上調査がまとまった。年始の売上げは96・8%と低調なスタートだったが、中旬以後、全国的に天候が回復したことも影響して、売上前年比は98・9%と直近1年間で最もマイナス幅が小さくなった。前年を上回ったジャンルはコミック104・6%、文庫101・7%、児童書105・5%の3部門。
コミックは『NARUTO』『君に届け』『バガボンド』最新刊の発売があり、2カ月ぶりに前年を上回った。
児童書は小学館『くらべる図鑑』が昨年7月の発売以来、好調を持続している。定価1995円と高額なことから1月も児童書売上げの2%を占め、下支えしている。
客単価は1204・3円、前年を若干下回った。1人あたり買上げ冊数は100・4%と前年を上回ったが、平均単価は99・9%と減少した。

「情報BOX」説明会を開催/進級処理作業の手順解説/京都組合

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は2月5日、6日の両日午後2時から京都市中京区の書店会館で学校図書館蔵書貸出・管理システム「情報BOX」の作業説明会を開催した。「情報BOX」の導入校に図書納品している組合加盟書店を対象に、京都組合のITサポート委員会(辻本和樹委員長)が企画したもので、両日あわせておよそ35名が参加した。
新年度を控えた今回は「進級処理」作業についての手順が説明された。「進級処理」とは、図書館のパソコンに登録されている生徒名簿のデータを、新年度用に適合化させる処理作業のこと。パソコンで蔵書の貸出管理をするには、年度当初に新入生の名簿をパソコンに登録するのはもちろん、旧年度に登録された生徒名簿のデータを書き換えて1学年繰り上げる進級作業のほか、「クラス替え」にも対応させる一連の「進級処理」作業が必要となる。
「進級処理」自体は学校側が担う作業だが、情報BOXは昨年にバージョンアップされており、京都市をはじめ京都府内の学校図書館でも昨夏、導入校で一斉に新しいバージョンへ変更された。バージョンアップでは図書館蔵書のキーワード検索のほか、データの自動バックアップ、自動アップデート機能などが加えられたことから、操作方法の変更点も多く、学校からの問い合わせが増えている。日書連MARCを使用した図書館電算化支援を行っている京都組合では、書店が「情報BOX」導入校を全面的にサポートしている関係上、進級処理が行われる年度当初には学校からの要請が書店に集中すると予想されることから、この説明会を開催した。今回の進級処理に関する改善点は、進級させる全学年分の名簿が一括で処理できるほか、進級によるクラス毎の名簿並び替え処理でも名前の照合作業で発生する転出入の未修正による差異や新旧字体の違いによる訂正処理などが分かりやすくなり、作業効率が大幅に向上している。説明会で出席者は作業手順の変更点を把握し、実際にコンピュータを操作しながら理解を深めた。
京都組合では、組合員の要望に応じて現場でも対応するほか、対処方法など収集した情報は共有するために履歴としてまとめ、FAXのほか京都組合ホームページの組合員専用ページから提供するなどして、学校からの窓口である書店に今後も充実したサポートを行いたいとしている。
(澤田直哉広報委員)

中山寿賀雄ブロック長を再選/鹿児島で日書連九州ブロック会

日書連九州ブロック会は2月9日午後3時から鹿児島市のサンロイヤルホテルで開かれ、各県組合理事長および理事、オブザーバー計20名が出席した。
中山寿賀雄ブロック長あいさつのあと、中山ブロック長を議長に議案審議。平成21年度事業報告、決算報告、平成22年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
このうち事業計画案では、国民読書年で「モデル図書館作り」(熊本)、「大隈重信や偉人のしおりを製作」(佐賀)、「孫の日の真心エッセイを募集、表彰」(鹿児島)の計画を日書連に出すとの報告があった。また、任期満了に伴う役員改選では中山ブロック長などすべての役員を再選した。また、次回は沖縄県で開催することを決めた。
議事終了後、テジマ、天龍運輸、九州産交運輸の運輸3社から現況報告、九州雑誌センターから報告および決算見込報告があった。

〔九州ブロック会役員〕
▽ブロック長=中山寿賀雄(長崎)
▽副ブロック長=山口尚之(福岡)、田中隆次(宮崎)
▽監査=大隈劭(大分)

正副会長らで訪問/トーハン、日販トップと懇談/送・返品同日精算

日書連は2月17日、昨年9月以来約5カ月ぶりに送品・返品同日精算問題でトーハン、日販両社を訪問。この間の取り組みについて話を聞き、送品・返品同日精算をあらためて求めた。

【トーハン】
大橋信夫会長、柴﨑繁副会長、中村晃造理事、宇治三郎理事の4名は17日午後5時、東五軒町のトーハン本社を訪れ、山﨑厚男社長、近藤敏貴専務と懇談した。
大橋会長は「送品と返品のズレが5日間ある。これを1年に1日ずつ縮めて、5年後に同日精算を実現することはできないか。一気に実現とは考えていない。一歩一歩前進してほしい。書店がこれ以上廃業すれば出版業界に与える影響も大きい。英断をお願いしたい」と述べ、3月15日までに文書で回答してほしいと要望した。また、柴﨑副会長は「資金繰りがうまくいくことにより商品を早期返品しないで売るほうにつなげることができる。チャンスロスの回避ということが(送品・返品同日精算の)バックボーンにある」として理解を求めた。
これに対して山﨑社長は「書店が置かれた切実な状況を深刻にとらえている。日書連が送品・返品同日精算を重要課題として取り組んでいることも理解している。しかし、仕組みを変えることは容易ではなく、資金も相当かかる。出版社の協力も必要。業界全体で取り組むべき課題だ。いま軽々に出来るとは申し上げられない。同日精算は難易度が高く大きな問題と考えている。日書連の要望の趣旨は理解した。検討したい」として、何らかの回答をしたいと答えた。

【日販】
日販には17日午後5時、藤原、面屋、西村3副会長と、鶴谷、井上、戸和理事、大川専務理事の7名で9階の役員応接室を訪れ、橋専務と懇談した。
冒頭、橋専務は昨年12月の返品入帳が2日繰り上がった事実について「日販の作業ミスで2日前に締めた。本来は12月30日、1月4日と出て5日前にやる体制を組まなければならかった。申し訳なかった」と陳謝し、再発を防ぐ考えを明確にした。
日書連からは「昨年9月にも日販を訪問し、解決をお願いしたが、事態は変わっていない。請求書が遅れてもよいから、その分、月末まで返品入帳してほしい」(藤原副会長)、「技術的にむずかしいというが、栗田、大阪屋は対応している。キャッシュフローの問題はわかるが、1回資金を手当てすれば済む。社会通念上も月末まで入帳する大阪屋、栗田の方が普通の取引。いつか直さなければいけないのではないか」(戸和理事)と日販の決断を求めた。
これに対し、橋専務は「来週、経営会議があり、その議題をかけることになっている。段階的になるかもしれないが、方向的にはそういう方向に進んでいることは間違いない」「出版業界以外では(日書連の考えが)通常の取引であり、これは正常にしないといけない」と答え、日書連の返品入帳の考え方には理解を示したものの、具体的な解決策については明言しなかった。

地域読者を本屋に呼び戻そう/東京青年部20周年記念パーティー

東京都書店商業組合青年部は2月22日午後6時からセンチュリーコート丸の内で「20周年記念パーティー」を開き、会員書店40名、出版社42名、取次5名など総勢103名が出席した。
パーティーは磯田直樹氏(文星堂)の司会で進行し、牛房邦夫会長(赤城書店)があいさつ。「創立が平成2年2月22日。当時を振り返ると、その年のベストセラーは二谷友里恵の『愛される理由』とシドニィ・シェルダンの『真夜中は別の顔』。社会的には東西ドイツの統一が成り、普賢岳の噴火もあった。バブルが崩壊した年でもある。青年部の20年間は苦闘の歴史だったが、組織として情報を共有し同じ課題に取り組み仲間との連帯を強めた20年でもあった。20年たった今年、私以外は新しい世代の人間が理事になり、いちばんの強みであるインターネットやIT等の技術を駆使した、書店を盛り上げたるための施策を実行していく。先日、書店組合の各店がホームページを持つため、知識と技術がなくても誰でもできる、更新も簡単にできるホームページ網を青年部で用意した。青年部140店だけではなく、親会の協力もいただき600店以上のホームページ網が完成する可能性を秘めている。店頭在庫開示と検索もゴーサインを出した。地域の書店を愛する方々にもう一度地域の書店を認識し来店してもらえる方向に向かう武器になると考え、これからの1年間、可能性を求めて活動していく。戦略としては、リアル書店で本を選ぶ楽しみ、TS流通協同組合を中心にして本を注文して待つ喜びをもう一度実感していただきたい。それが今年の課題と思っている。日曜日の朝日新聞の書評でダイヤモンド社の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の書評を読んだ。経営にとって必要なのは顧客の創造とイノベーション。イノベーションとは技術そのものだけではなくて対外的に及ぼす変化のこと。我々も技術論に邁進するだけではなく、地域読者の来店の動機になるような形で、ホームページ網と店頭在庫開示を進めていきたい」と述べた。
続いて親組合を代表して東京組合の大橋信夫理事長があいさつ。「何を頑張るか。本屋は本を売ることだと思う。これに全力投球していただきたい。親会も活動の中心に読書推進と増売を置いている。そのためには読者が欲しがる本を出してもらわねばならない。そして、それを書店に配本してもらわねばならない。つまり出版社と取次に頑張っていただかねばならない。しかし残念ながら今日、売れる本がなかなか入ってこないため、読者がだんだん離れていくという状況にある。読者といちばん接点を持っている書店が出版社に『読者はどういう本を求めているのか』ということを伝えなければ。売れる本をできるだけ早く作って取次に入れてほしい。東京組合は3月から出版社に『売れる本を出してほしい』とお願いする会合を開く」と述べた。
東京青年部初代会長の東京組合・柴﨑繁副理事長は「青年部20年の歩み」をテーマに話した。柴﨑副理事長は「平成2年2月22日に出版クラブで青年部は発足した。そのとき出版社代表であいさつした河出書房新社社長の清水さんは『とにかく売ってくれ』と一言だけ言った。青年部は売ることを中心に今日までやってきた。当時は本が来なかったので商品調達を大きな使命としていた。そこでTS流通協同組合を作り、商品はそれなりに入るようになったが、今度は本が売れなくなってしまった。これから町の本屋がお客さんを獲得するには新しいアイデアで、お客さんに来てもらえるフィールドを作ることが必要。今は商品をただ置くだけで売れる時代ではない。本だけを売って成り立つ時代はもう終った。お客さんを誘因するため他の商材を扱う必要がある。本以外の商材を置いて本を売りたい。若い人たちの知恵で書店のビジネスモデルを変え、町の本屋が生き残れるよう努力していただきたい」と話した。
青灯社・野崎保志取締役の発声で乾杯。歓談の途中、小川頼之副会長(小川書店)が「青年部新システム」について説明した。

学参売場の基礎知識から超得テクニック/三省堂書店・柿沢幹男氏が講演/学参・辞典勉強会

学習書協会と辞典協会は共催で「2010年新学期学参・辞典勉強会」を2月16日午後1時半から飯田橋の研究社英語センターで開催。三省堂書店神保町本店仕入課課長の柿沢幹男氏が、「学参売場にかかせない基礎知識から超得テクニック」をテーマに講演した。

〔新学期へ資料の準備進める〕
まず2月、3月の今の時期、新学期の準備としてどういったことをすればよいか。この時期は、中学・高校入試ものはある程度落ち着いてきている。大学入試は、赤本などの過去問は2月も動いている。センター試験や、東大、東工大や早慶の赤本は3月、4月も意外と動く。受験生はもう試験が終了しているが、2年生が最新の試験問題が載っていなくても購入しているということのようだ。
センター試験ものは12月、1月がピークで、あとは下がっていって新しい年度を待つという動きだ。しかし、中経出版の黄色い表紙のものや、学研の「きめる!」シリーズの公民、倫理、政経、生物、地学などは4月、5月にけっこう売れている。調べたところ、公務員採用試験の勉強用に推薦されているらしい。新学期で受験関係のアイテムを絞ると思うが、この辺りは残しておいて動きを見るのも良い。
新学期商品が1月頃から五月雨式に入ってくると思うが、それに合わせて入れ替えをしてしまうのは、棚のメリハリや、入試ものの残り具合との関連であまりよくない。ある程度商品がたまったところで一斉に取り替える方がお客様にもインパクトがある。ウチの店では中学は2月中旬、高校は3月頭くらいに入れ替えを行ない、そのときに売場の看板や資料も取り替えて新学期を始めるという見せ方をしていた。
棚を入れ替えるときに揃えておくべき資料は、まず準拠版元からいただく各学校の採択一覧表だ。これを用意し、なおかつ売場には大きな看板をつけてお客様にわかるようにしていた。そのほか「高校自習書目録」や「補助教材目録CD―ROM」といったものを準備しておく。何を買っていいかわからないというお客様が結構いるので、こういうものを用意することで、4月の繁忙期の問い合わせを効率よくさばけるようにする。
教科書ガイドは、分割発行とか、発行と発売が違うといった部分が分かりづらい。検索でもチェックされないことがあったりして、お客様からの問い合わせで探すのに手間取ることが多い。これについては自家製の一覧表を作ってレジに用意していた。私の経験では、高校の教科書ガイドを調べているのに「ガイド」という字を入れても検索に引っかからず、調べていくと「高G数学」と出ていたということがあった。これは書店の要望としてデータをぜひ変えていただきたいと思う。
学校採用副教科書も、新学期に大変問い合わせが多い。「プログレス21」といった、検定教科書でない教科書だ。中高一貫学校等で使われている英語教材で教科書ではないので、ガイドや準拠問題集が発行されていない。お客様は、学校の授業で使っているということで教科書と思っている方が非常に多い。その辺りの説明を出版社がホームページ等で説明しているので、それらをファイリングしてレジに用意しておく。

〔十分な応援体制整え接客を〕
準備が終わればいよいよ新学期、最盛期を迎える。どういう接客をするかだが、さばく接客と、丁寧な接客をどう使い分けていくかになると思う。新学期なので初めてというお客様が多い。その中でも、自分で選べるお客様と、選べなくて迷っているお客様、あとは全く探せない、「私は何を買ったらいいんでしょう」というお客様がいる。その辺りを話しながら区別していく感じだと思う。
自分で探せるお客様なら既に用意した資料や看板を「このようにお使いください」とお伝えして自分で調べて買っていただく形だ。迷っているお客様には、問い合わせに対して「これはこういう商品です」といった説明が必要になるので、ある程度時間をかける。全く探せないお客様には、逆にこちらから何を買いに来られたか引きだす接客が必要だ。お客様が学校から配られた一覧表等をお持ちだったら、それを預かって調べて「こちらをお使いです」と伝えるようにする。
こういったことは学参の一担当者ではさばききれないと思うので、この時期はチームワークで、お店や売場の他の担当者にフォローしてもらうこと。そのためにも先ほど言った資料を用意し、事前に使い方を教えておくことが必要だ。ある程度自分で選べるお客様は、他の担当者に手当てしてもらい、深い情報をお探しのお客様には自ら当ってこなしていくというのが重要ではないか。
私たちが当たり前だと思っていることを、お客様は知らないことも多い。「東書版」という表示も、お客様には「東京書籍」と言わないと分からない。「明治書院版」と書いてあるガイドの下の方に「真珠書院」と書いてあったりする。POP等で表示をしてあげることが大事だ。ただ、お客様はそういう表示を見ていただけていないことも多いので、接客の中できちんと対応していく。
新学期によく言われることだが、中学入試からお得意様になっていただけたら、大学入試まで6年間お店に来てもらえる。そういうお客様には時間をかけての接客ということになる。忙しい時期はその辺りの割り振りが難しいが、いかにお客様をつかまえるかという意識で、今年だけでなく何年か先までを考えながら接客をすることが大事だ。

〔新指導要領見据え情報収集〕
今年は新指導要領が始まる前の最後の年だが、目玉になるものがないのが実情だ。新指導要領までの経過措置という形で、ここ1、2年、対応した参考書や問題集がいろいろ出ていたが、版元に聞くとそれほど動かなかったという話だ。新しい指導要領にならないと伸ばすのは厳しいだろうが、現状維持はできると思う。来年以降にかけてどうしていくかが大事になる。
「ゆとり教育」ということで、前回の改訂で教科書の内容が3割くらい薄くなってしまった。そのため、教科書を勉強しないという流れがあったようだ。売場でお客様に聞いた話だと、早い時期に一通り検定教科書をやってしまって、その後は副教科書的なもので授業をやる。あるいは先生がオリジナルの問題や資料を作ってやっているという。来年以降は新指導要領になって教科書の内容も増えてくる。家庭では、塾や予備校に使う費用を削っているという。個人的な意見だが、家庭学習にかける費用が増えるのではないか。教科書の勉強に附随してガイド、準拠問題集、参考書に火がつくんじゃないかなという感じがしている。
あと1年の間に、どういう流れになるのかが地面の下で動いていると思う。そういう情報はどこよりも書店に早く来る。お客様から一番先に問い合わせを受ける立場だから、この新学期は逆に情報を集めるようなつもりで、どういう動きで何が売れているのかを取次、版元にフィードバックしていく。それが新しい商品につながっていくという流れになるのではないか。
新学期の学習辞書は3月から5月の頭くらいまでに集中している。昔は学校が「この辞書を買いなさい」と推薦するのが多かったそうだが、いまは何社か並列して推薦し、この中のどれかをというのが多いので、売場に来て選ぶお客様が増えている。各社が資料や目録等を用意しているので、これらを利用してご案内すること。
小学校の辞書は、新学期のあとも5~6月から秋口まで動く、タイプの違う辞書という感じになっている。深谷先生の辞書引き学習法などで、辞書を引きながら学習するという動きが増えているからだ。教科書でも5~6月あたりに授業で引き方を教えたりすると聞いているので、新学期集中型でないということを覚えておくと良い。

〔5~6月も商品点数は保持〕
新学期以降どういう形で売場を運営するかについて。繁忙期が終わったあと、5月、6月はある程度なだらかな丘になる。昔に比べて4月の山の形が年々低くなっていて、その分5月、6月にお客様が流れている感じだ。昔は授業が始まる4月に集中していたが、混雑しているところでの購入は大変だというお客様が見受けられる。新学期が始まったらある程度商品の整理に入ってくるが、アイテムを減らさない形で様子を見るという感じでやっていくということになる。
6月から7月は期末試験と夏休み対策というところで、ここが1つの山になっている。気をつけた方がいいのは実技科目だ。期末試験対策ということになるが、アイテムが少ないので、忘れがちなところがある。必ず問い合わせがあるので、1カ所にまとめて置いておくことが大事だ。
夏休みは、小学校のサマーテキストが出る。中学は1、2年の復習ものが動いてくる時期になる。まだ入試ものは出揃わない時期で、高校案内などを前に出して販売していく。高校はそれほど赤本が揃っていない状況なので、ガイドが中心になると思う。
夏休みに気にしていたのが自由研究だ。実用系の版元のものが増えてきて、実験キットもあるので、書籍と一緒に販売する形を取っている。この時期に動く定番として、『詩のこころを読む』とか『二十一世紀に生きる君たちへ』『君たちはどう生きるか』といった本がある。国語の宿題で「読みなさい」と言われているものだと思う。児童書の売場に置くのもいいが、学参売場で国語の棚に入れて動きを見ると面白い。

〔入試動向と自店の動き確認〕
秋から受験体制へということになる。この時期でも暗記物の本とか、意外と厚物参考書が売れたりする。自社の昨年のデータを基礎に、メリハリをつける意味でそういうものを加えていくのがいいと思う。また、高校ガイドが秋にひと山動きがあるということを忘れないようにしたい。これは、進学校等で秋口から次の学年の教科書に入っていく進め方をしている学校があるからだ。既に入試向けの体制に入っていると、ガイド等のあつらえがちょっと薄くなったりするので忘れずに準備すること。
最近、シルバーエイジの方が、もう一度勉強しなおそうと参考書を買っていくということが増えている。一般書の版元が多いかなと思うが、大事なアイテムとして取り入れていく。昔学生時代に使っていた参考書という感覚で、結構学参売場に探しにいらっしゃるお客様が多いようだ。基本の参考書の品揃えにプラスアルファとして置いておくのがいいと思う。
入試が近づく9月、10月、11月は、棚の方もセンター試験や学校別問題集が出揃った形になってくる。このあとは品揃えということになるが、今年ウチの店はセンター試験もので苦労した。予想外に売れたということがあったのだが、入試の年度版は、受験人口やいろいろなデータを踏まえて、ある程度さばける数を事前に決めて作っているそうなので、10月、11月になってしまうと重版できない。発注のときにデータをじっくりチェックすることが必要だろう。過去問では、学部の統合分割があったりするので注意する。入荷した後の動きも気をつけて見ていく。ある程度、前年の数と受験者数などで割り振りをすると思うが、予想外に売れることがあるので、こういうチェックは必要だ。
12月、1月の入試繁忙期は、新学期と同じだと思う。1冊欠本になったら3冊、5冊売上げを見逃したといえる時期なので、担当者だけでなく周りのフォロー体制を作っていくことが大事だ。補充の商品がストックに入っているのに、それが出てないために売り逃すということがあるので、自分が休みの時には、誰かが必ず補充できるような体制を心がけてほしい。

文脈棚で「驚き」仕掛ける/ツイッター発ブックフェアも/千駄木・往来堂書店・笈入建志店長

「谷根千(やねせん)」は文京区から台東区一帯の谷中・根津・千駄木周辺地区を指す総称で、下町情緒が色濃く残るエリア。地下鉄千代田線の根津駅と千駄木駅の中間にある往来堂書店は「個性的な町の本屋」の代表的存在だ。メディアで取り上げられることも多く、見学に訪れる出版関係者も多い。出版不況のなか売場20坪の一見ふつうの町の本屋が多くの読者を引きつけてやまないのはなぜか。町の本屋の生き方、棚作りの秘訣、ミニブログ「ツイッター」を利用したフェア展開といった新しい試みについて笈入建志店長に話を聞いた。(本紙・白石隆史)

〔町の本屋のツイッター活用〕
個性的な棚作りで知られる往来堂書店は今、新しい試みに挑戦している。インターネットに短いつぶやきを書きこむサービス「ツイッター」から自然発生的に生まれた「ツイッター初?ツイッター発!猫本フェア」だ。「猫」にまつわる小説、随筆、絵本、写真集、マンガなど約150点を集めて展開している。
ツイッターはブログとチャットとメールを足したような新感覚のコミュニケーション・ツール。各ユーザーが140字以内の短いツイート(つぶやき)を投稿することでゆるやかなコミュニケーションを楽しむためのwebサービスだ。昨年以降、有名人の参加によって話題になり、ベストセラー作家の勝間和代氏、元ライブドア社長の堀江貴文氏、ソフトバンク社長の孫正義氏らがつぶやき始めた。オバマ米大統領が選挙戦でツイッターを効果的に活用したことが知られると、日本でも多くの「ツイッター議員」が誕生した。鳩山首相もその一人だ。日本でのユーザー数は現在500万人を超えると言われる。
出版界でもツイッターは人気。出版社、書店、読者、著者がアカウントを取得し、出版や本に関するつぶやきあいが起こっている。笈入さんも昨年12月末に往来堂書店のアカウントを作って、仕事の情報を得るため出版社のつぶやきを見るようになった。そんな中から生まれたのが「猫本フェア」だ。
発端は1月18日、早川書房が「人生の艱難辛苦から逃れる方法はふたつある。音楽と猫だ」というアルベルト・シュヴァイツァーの格言を投稿したこと。すると、直後から早川書房をはじめ筑摩書房、平凡社、河出書房新社などの出版社と読者が入り乱れて、オススメ猫本のリストアップが始まる。2日後に河出書房新社が猫本リストをまとめると、出版社アカウントの人間同士で「実際に本屋でフェアをやれないか」という話になった。そこに笈入さんが「じゃあウチで」と手を挙げ、往来堂でのフェア実施が一気に具体化した。2月5日からフェアをスタートし、2週間で約100冊を売り上げた。特に『猫語の教科書』(ちくま文庫)、『なぜ、猫はあなたを見ると仰向けに転がるのか?』(平凡社)の売れ行きがよい。
このフェアの特徴は、書店が選んだ本を並べる従来のやり方ではなく、出版業界から読者に問いを投げかけ、読者からの反応に基づいて本をリストアップしていることだろう。読者×書店×出版社のweb上でのやりとりから生まれた、新しい形のブックフェアといえる。猫本フェア目当てに来店する客は「本好き」というより「猫好き」。「こうした層に直接情報を届ける方法を、本屋は今まで持っていなかった。今までと違うタイプのお客さんが買ってくれている」という。
「ツイッターを活用したフェアは大型書店よりも小さい本屋向き」と笈入さんは指摘する。「大型書店が『猫の本を教えてください』と読者に向けてつぶやいたら、情報が集まり過ぎて収拾がつかなくなる。ウチぐらいの店だからお客さんの声をフェアに活かすことができる。ツイッターの良さはリアルタイム性と情報が伝わるスピード。今後も新しい切り口で挑戦したい」と話した。

〔関連本をひとまとめに展開〕
往来堂の外観はどこの駅周辺にもありそうな、ふつうの町の本屋の風情。入口前には雑誌があり、店内は細長く奥が少し広くなっている逆L字形。店内に入ると左側に岩波文庫が並ぶ。右側には猫本フェアの棚があり、人文書や文芸書が並ぶ。中央には新刊台やイベント台がある。雑誌は真ん中から少し奥にあり、実用書、児童書、コミックはいちばん奥にある。多くの本屋が入口近くに雑誌を置き、奥に行くほど重厚な書籍となっていくのに対し、往来堂はまったく逆である。「雑誌を買いに来たお客さんにも書籍の棚を見てもらうのが狙い。雑誌を奥にすれば、雑誌売場にたどりつくまでに店内をひと回りすることになる」と説明する。
往来堂の棚には「驚き」がある。書籍の棚を見ると面陳された1冊の本を軸に、読者の世界観を広げたり深めたりするジャンルを超えた関連する本が左右に展開される。これを「文脈棚」と呼んでいる。たとえば津田大介著『ツイッター社会論』の隣にアップル関連書、コンピュータ書、ビジネス書を置く。新しいコミュニケーション・ツールをビジネスに役立てるという「文脈」だ。「本は1冊だけで存在するのではなく、周りの本とまとまって存在したがるもの」という考え方がベースにある。
「一つのテーマに関連した本を集めて並べるほうが明らかに売れる。お客さんはそういう本の並びが好きということだと思う。そうなっていないのは、お客さんじゃない人の都合で店ができているということ。端的に言うと新刊委託制の都合だと思う。ベストセラーは目立つようにたくさん積めば売れる。それ以外の部分はテーマをもって見せないと、お客さんは本を探す気にならないと思う。文庫と新書はパターンをもらっているけれど、他の商品については仕入れる本は店で決めて注文している」
魅力的な棚とは「人が集めた感触のある棚」だ。パターン配本の結果が機械的に目の前に現れたような棚は作らない。「人間の手によって引き合わされた何冊かの本が並べて置いてある。そうでなければ本は魅力的に見えないし、お客さんの心に届かない。ウチはレアな本を置いているわけではない。ジュンク堂に行けばどこかにある本を置いている。取捨選択して集めた複数の本を引き合わせる作業を続けている。お客さんが買いたくなるように見せる棚作りが何よりも大切」
よい本屋の条件について質問すると「都市部の本屋と地方の本屋では条件が違う。同じやり方をしてもうまくいくとは限らない。地方は都市部とは比べものにならないほど厳しい」と前置きした上で、「いい店は提案する力がある」と語った。「お客さんにいい本を提案し、その関連書まで薦める。そこには本に対する評価というものがある。『往来堂はPOPがない』とよく言われるが、置いてあること自体が評価し推薦しているということなので、あえてPOPをつける必要はないと考えている」笈入さんは1970年、東京生まれ。早稲田大学商学部を卒業して東京旭屋書店に入社。池袋店に6年間勤務。個性的な棚作りで注目されていた往来堂が店長を募集していることを知り、2000年往来堂に転職した。「流通している本をすべて置きたいというのが大型書店の論理。それに疲れたところもある」と当時を振り返る。大型書店とはまったく別の店の作り方があるはずと考えていた。それは限られたスペースに選び抜かれた本を置くこと。往来堂なら実現できると笈入さんは考えた。
旭屋での6年間は今に生かされているという。いろいろな種類の本を大量に触る経験は大型書店でなければできない。次々と入荷してくる新刊本、既刊本を現物に触って棚に入れていく毎日。往来堂に移って自分で本を選ぶ立場に立ったとき「そういえばこんな本があったな」「こんなタイプの本が売れたな」という記憶をもとに品揃えすることができた。「インターネットで調べられることは情報にすぎない。モノを扱う商売では経験が大切」と強調する。
「出ている本を揃える競争は大きな店同士でやっていればいい」と笈入さん。「われわれはお客さんの立場に立って棚を作る。町の本屋は面白さで勝負!」と言い切る。往来堂は店先に「オルタナティヴ・スモール・ブックストア」というキャッチフレーズを掲げている。小さくとも型にはまらない店という意味だろうか。往来堂の棚は日々進化し続けている。

海外の出版・書店事情③/ノセ事務所代表取締役・能勢仁

〔ドイツ・マインツ市の書店〕
07年のドイツの書籍の出版点数は8万6084点で、06年より6・0%増加した。ドイツ最大の出版都市はベルリン(1万317点)で、ミュンヘン(1万279点)がほぼこれに拮抗している。次いでシュトゥトガルト(4838点)、フランクフルト(4494点)となっている。日本の場合、首都圏で80%あり東京偏重は世界でも珍しい。
ドイツの出版点数を分野別に見ると、もっとも多いのは「文芸書」の1万4056点で、全体の16・6%を占めている。2位が「ドイツ文学」で1万86点で、占率は11・7%である。以下「児童書」(占率7・9%)、「医学・健康」(5・4%)、「法律」(4・9%)、「神学・キリスト教」(4・4%)「経済」(4・1%)、「マネージメント」(4・1%)、「情報科学」(3・6%)、「地理・旅行」(3・0%)である。
07年の書籍総売上高は95億7600万ユーロ(約1兆1400億円)で、前年比3・4%増。この中で書籍小売専門店の売上は51億3700万ユーロ(約6110億円)で、市場占率は53・6%である。書店以外の販売ルートは訪問・通信販売(シェア12・6%)、百貨店書籍部、ブッククラブとなっている。インターネットによる書籍の販売高は07年は前年より約21%伸び、8億5300万ユーロに達している。書籍総売上高の8・3%を占めた。
ドイツには日本の再販制度に相当する定価維持制度がある。それ以外に書店からの返本をリメインダーとして販売するルートがある。しかしここがドイツ人らしい論理性、硬い民族性というのか、バーゲンセールであっても、この価格で売りなさいという再販制度が存在するのである。書店の数は約6000店、出版社は約2000社である。標準税率は16%であるが、書籍、雑誌、新聞の付加価値税率は7%と、保護政策が取られている。
〈ドーム・ブーフハンドルング書店〉
マインツはドイツ西南部にある都市で、活版印刷の発明者ヨハネス・グーテンベルク(1400年頃~1468年)の出生地である。マインツにグーテンベルク博物館がある。フランクフルトブックフェアに参加する出版人の多くが訪れるので有名である。
ドーム書店はグーテンベルク印刷博物館の真ん前にある書店である。博物館の前は広い広場であって、多くの人、自動車、観光バスが行き来している。この書店は場所柄、印刷史、印刷関係書、グーテンベルクの伝記書が多く陳列されていた。四十二行聖書、初期印刷期の文献は博物館の売店で販売されているので、ドーム書店にはなかった。
主力になっている商品はマインツ市を紹介する本であった。マインツ市といえばグーテンベルクの生誕地として有名であるから、印刷博物館を見学にきた人が立ち寄ることを意識した品揃えである。建物は三階建てであるが、店舗は一階のみで、約40坪くらいである。角店なのでウィンドウが多く、八つ(90㎝幅)ある。ウィンドウの半分はマインツの紹介書、地図、ガイドブックである。
あとの半分にはグーテンベルク関連書、印刷関連書、その他は人文書が陳列されてあった。店内の狭い売場に多くの商品を陳列する工夫として二重式のスライド棚を採用していた。40代の店主は常時ニコニコと接客していた。仏頂面の多いドイツにしては珍しい風景であった。ドーム書店は市との関係が深い様子で、市関係の書物も多く陳列されていた。

取次

◆日販「新書大賞2010」受賞作品フェア
日販は2月25日発売の中央公論新社『新書大賞2010』と連動し、受賞銘柄を集めたフェアを約660書店で展開している。
「新書大賞」は2009年の1年間に刊行された教養新書を対象に、新書に造詣の深い書店員、出版社の新書編集部員等からの投票を元に決定する賞で、今年で3回目。フェアでは『新書大賞2010』とあわせて、第一位である新潮社『日本辺境論』を始め新書5点、ロゴ入り店頭展開用オリジナルPOPを参加書店に送品した。

人事

★講談社(2月23日付)
代表取締役社長
野間佐和子
同副社長(社業全般)野間省伸
専務取締役(編集部門統括担当局=第五編集局・ディズニー出版事業局)五十嵐隆夫
常務取締役(管理部門統括担当局=広報室・業務局)横山至孝
同(雑誌事業担当担当局=第一編集局・第四編集局)持田克己
同(営業部門統括担当局=雑誌販売局・広告局・宣伝企画部)森武文
取締役(担当局=経営企画室・書籍販売局・流通業務局)岩崎光夫
同(担当局=社長室・社史編纂室・総務局)
山根隆
同(書籍事業担当担当局=校閲局・文芸局・学芸局)鈴木哲
同(担当局=ライツ事業局・国際事業局)
入江祥雄
同(担当局=編集総務局・経理局)金丸徳雄
同(コミック事業担当担当局=第三編集局・第七編集局)清水保雅
同(担当局=第二編集局・生活文化局)田村仁
同(担当局=販売促進局・コミック販売局・新事業営業部)峰岸延也
同(担当局=第六編集局・児童局)大竹永介
取締役相談役(渉外・関連会社担当)浜田博信
常任監査役関根邦彦
監査役足立直樹
*退任した柳田和哉取締役は顧問を委嘱。
〔機構改変および職務掌程の一部改変〕
1、第二編集局に新事業企画部を新設する。
2、第五編集局に新雑誌研究部を新設する。
3、広告局広告制作部を企画制作部と改称する。

★河出書房新社
(2月24日付。兼務職務については3月1日付)
◎昇任、○新任
代表取締役社長兼管理本部本部長若森繁男
常務取締役編集本部本部長兼管理本部副本部長(総務部担当)◎小野寺優
同営業本部本部長兼管理本部副本部長(製作部担当)兼営業第二部部長
◎岡垣重男
取締役営業本部副本部長兼営業第一部部長
○伊藤美代治
同編集本部副本部長兼編集第一部部長○阿部晴政
監査役野村智夫
*吉田正夫常務取締役管理本部長は退任
(3月1日付)
〔組織変更〕
・事業開発室を新設し、営業本部本部長の所管とする。
・事業開発室内に「大人の塗り絵プロジェクト」を置く。
〔人事〕
事業開発室室長矢田堀章

★東洋経済新報社
(平成21年10月1日付)
〔組織変更〕
・第二編集局とデータベース事業室を統合し、データ事業局を新設する
・第一編集局を編集局に改称する
・情報化本部を廃止する
〔人事異動〕
取締役CIO(CIO兼取締役情報化本部長兼データベース事業室長)
横澤達雄
取締役データ事業局長兼新事業準備室長(取締役第二編集局長兼新事業準備室長)駒橋憲一
(平成21年12月22日付)
〔組織変更〕
・広告局とマーケティング局を統合し、マーケティング局とする
〔人事異動〕
CIO兼取締役総務局長兼社長室長兼コンプライアンス室長(取締役CIO)
横澤達雄
取締役編集局長兼WEB事業室長(取締役第一編集局長兼WEB事業室長)
山縣裕一郎
取締役出版局長(出版局編集第一部長)
○川島睦保
監査役(取締役広告局長)勝呂敏彦
*大貫英範、清野一芳両取締役、井上ちはる監査役は退任
*マーケティング局については、小林勉常務取締役マーケティング局長に変更なし

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・井出ひかる

◇2歳から/『だっこのおにぎり』/長野ヒデ子=作/つちだのぶこ=絵
/佼成出版社/1365円2009・8

「だっこのおにぎりしてちょうだい」とやってきた可愛い我が子をおにぎりにしちゃいます。くちゅくちゅまぜて、ぺたぺたお塩をつけて、ぎゅっぎゅっとにぎって、笑うとおいしいこちょこちょおにぎりでは親子の笑顔が弾けます!!ふふふのふと親子の心が満腹になるふれあい絵本です。

◇4歳から/『なわとびしましょ』/長谷川義史=作/学研/1260円
2008・3

ペッタンペッタンのリズムとおはいんなさいの呼びかけに次々と大縄に入ってくるのは…えっ?!と思うあの人?も、誰かが入る度に子ども達の歓声が起こります。長く続いた大縄も誰かが縄を踏んじゃいます。「なわをふんだのだれですか…」の問いへの子ども達の答えに笑顔になります。

◇小学校低学年向き/『かさの女王さま』/シリン・イム・ブリッジズ=作/ユ・テウン=絵/松井るり子=訳/セーラー出版/1575円2008・12

長い間守ってきた伝統の傘の絵つけをお母さんのようにしたかったヌットは、とうとう絵つけが出来る事になりました。でも、自分の描きたい柄は伝統の柄ではありません。しかし、ヌットは心から絵付けをしたその傘で、かさの女王さまに選ばれました。タイの山あいの村が舞台です。
講談社、当期損失57億円/売上92%、1245億円に

講談社は2月23日に定期株主総会を行い、総会終了後、報道関係者に平成21年度決算概況ならびに役員人事を報告した。
講談社の第71期決算(平成20年12月1日~21年11月30日)は売上高が1245億2200万円で、前年比92・2%。内訳は雑誌787億円(95・3%)、書籍276億円(94・1%)、広告109億円(74・1%)、その他70億9200万円(86・6%)。
利益面では雑誌広告出稿の減少に伴い製造原価が低下。コミック単行本や文庫など原価率の低い製品売上げ構成が上がったことにより売上原価率は下がった。編集費・宣伝費を中心に大幅な経費削減を進めたが営業利益は73億円の損失。営業外で資産運用収益の減少、為替、有価証券等の評価損により費用が増加し税引前当期純利益は61億円の損失。当期純利益は57億円の損失を計上した。
雑誌売上げを雑誌とコミックに分けると、雑誌が190億円(90・4%)、コミック597億円(97・0%)で、本誌の収益性が低下している。書籍は文庫、新書は昨年を上回ったが、単行本が振るわず大きな減収となった。特に年度前半の落ち込みが大きく、これを最後まで取り戻せなかったという。
決算概況を説明した金丸取締役は、今後の課題について「業績回復を最優先課題と位置付け、売上高の確保、売上率の改善を図る。長期的な安定成長を追求するため活字を軸に質の高いコンテンツ創造と多様な収益源確保を実現する新たな時代の出版社像を模索していく。雑誌は全雑誌の基本設計を見直し収益力の改善を図る。営業管理部門は新倉庫稼働に伴う流通体制の整備、社屋隣接地開発による財務体質の強化など将来に向けた経営基盤の強化を進めていく」と述べた。期末社員数は957名。
今期の売上目標は売上高1244億円、前年比100%。税引前利益はまだ若干のマイナスが予想されるが、さらなる経費削減で今期で収支均衡を実現し、来期は確実に黒字を目指す。
今回改選の役員は9名。柳田和哉氏をのぞく8名は留任し、柳田氏は顧問に就任。役員の昇任、新任はない。野間佐和子社長は引き続き業務を行う意思が非常に強く、社長交代は環境が整ってからになる。

宇宙から読み聞かせ/講談社おはなし隊

昨年9月、6周目に入った講談社の「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」。来年9月から全国7周目の巡回に入ることが決まった。
創業90周年を記念して1999年にスタートしており、今年1月までに1万2066カ所の会場を回り、100万人を超える子どもたちに出会ってきた。キャラバンカーの走行距離は延べ地球14周に相当する58万キロになる。
3月3日には宇宙飛行士の野口聡一さんが国際宇宙ステーションから世界初となる「宇宙からの読み聞かせ」を行い、新宿区立愛日小学校を訪れるおはなし隊のおはなし会で野口さんの読み聞かせ映像が初公開される。

142回直木賞に佐々木、白石両氏

第142回芥川・直木両賞は、芥川賞は該当作なし、直木賞に佐々木譲氏『廃墟に乞う』(文藝春秋)、白石一文氏『ほかならぬ人へ』の両作が決まり、贈呈式と祝賀会が2月19日午後6時から丸の内の東京會館で行われた。
直木賞選考委員の渡辺淳一氏は「白石氏は20年前、お父さんの選考の場にもいた者として驚き感動している。親子で直木賞はすごい。作品は男女の問題を正面から取り上げ、読みでがある。佐々木さんはすでに出来上がった作家だが、陰りある主人公が作品の陰影を濃くした。これからも刺激的なよい小説を書いてほしい」と選評。
受賞者は「年の功で書けるものが出てきたかもしれない。しぶとく書いていく」(佐々木氏)、「ふくらみ、豊さを盛り込んだ小説を書いていきたい」(白石氏)とあいさつした。
日本文学振興会平尾隆弘理事長は「佐々木さんは北海道で7人目、白石さんは福岡で8人目の受賞。両作とも人生の機微を感じさせる大人の小説。大いに喧伝してほしい」とPRした。

代表世話人に宮川氏/ブックサミットも盛大に/東海日販会

東海日販会は2月25日午後4時から名古屋東急ホテルで第54回通常総会を開催。役員改選で篠田元弘世話人代表が退任し、宮川源副代表(鎌倉文庫)が世話人代表に選出された。総会に先立ち第7回東海ブックサミットが行われ、出版社百社が自信の商品を展示して商談会を行った。
総会ははじめに篠田代表があいさつ。「東海3県の人口は全国の8・8%のシェアだが、既存店の売上げは94%と5年連続で前年を下回った。電子書籍はアメリカでベストセラーを含む35万冊が配信され、今後ゲーム、映像も配信される。三位一体が崩れ、書店が取り残されることを危惧している。書店の存在感が確立するための努力を期待している」とあいさつした。
片桐栄子氏(磨里書房)を議長に議案審議に入り、吉田哲夫世話人(文正堂本店)が平成21年度事業報告・会計報告を行い、新年度事業計画・予算案とともに拍手で承認した。共同拡販は昨年のブックサミットでPOP大賞を受賞した『はらぺこレシピ』(オレンジページ)『16歳の教科書』(講談社)『非常識の医学書』(実業之日本社)を取り上げたと報告された。
役員改選では、新世話人代表に宮川源氏、副代表に林茂夫(松清本店)、佐藤光弘(光書店)両氏を選出。宮川氏は「篠田前代表の発案でブックサミットが実現し、書店の若手が実行委員で活躍してくれた。そうした若手で青年部会を作る。出版不況の泥沼に加え、トヨタショックでひどい状態だが、数字、データに追われ個性的な品揃えができなくなっている。真剣な棚作りが課題だ。書店が食べていけるシステムを考えていきたい」と述べた。
共同拡販表彰では『16歳の教科書』、『はらぺこレシピ』の販売上位3店を表彰。ブックサミット会場の投票で選んだ第2回POP大賞には岡森書店白鳳店の『「億万長者ボード」を重ねるだけでロト6が当たる本』のPOPが選ばれた。
来賓あいさつで日販古屋社長は「出版業界はとうとう2兆円割れで、21年前の数字に戻った。日販の決算も単体で6千億円を割るかどうか厳しい数字だ。東海地区は全国より2ポイントほど低く推移している」と報告したあと「アマゾン、楽天など元気な業態の顧客サービスを取り入れ、実現していきたい。本屋が儲かるようにするには少しずつ買切りに移し、返品を減らしてシェアすることだ。出版社の協力で利幅の大きい商品を取り上げていきたい」とあいさつした。

本屋のうちそと

友人が本を出します。カナダ在住の金谷武洋君にとっては5冊目となる新書の題名は『日本語は亡びない』です。そう、一昨年話題を呼んだ水村美苗著『日本語が亡びるとき』を充分に意識した、というよりも積極的に異論を唱える内容になっています。版元も同じ筑摩書房であるという所に、編集者の矜持のようなものを感じませんか。
小学生から英語を勉強するという事になってきました。英語を公用語にという議論も聞こえてきます。日本語が乱れているそうです、僕らも店頭にいて日々感じている事です。でも、ちゃんと日本語で挨拶や自己紹介ができない人間に英語を教えてもしょうがないのではないかと思うのです。
広辞苑を寄贈したモントリオール大学の学生たちから届いた礼状を大切にしています。たった2年間の勉強とは思えないその文章力に驚かされました。ちょっとおかしな(微笑ましい)言い回しはあるものの、感謝の気持ちがちゃんと伝わってくるのです。
金谷君はカナダで日本語を教えるという仕事をしています。相当な苦闘の年月があった事と思うのですが、外国、それもフランス語圏で日本語と格闘し続けた彼だからこそ見えた日本語の奥行きの深さ。古代では中国語、そして近代では英語等の圧倒的な風圧の前にしなやかに立ち向かう日本人とその文化が語られます。
水村さんや林望さんの著作の前で、「でもちょっと違うのではありませんか」と口ごもっていた僕の胸のつかえがおりた一冊でした。(広辞猿)
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