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平成13年10月10日号
パソコン普及率8割に

東京都書店商業組合が全理事六十名を対象に実施したパソコン設置アンケートの集計結果がまとまり、二日の理事会で発表された。

これによると、回答のあった四十六名のうち「パソコンがある」と答えたのは三十八名、八二・六%にのぼり、「ない」と答えた八名についても、うち五名は「導入予定」と回答。

パソコンが書店の業務に急速に普及していることが明らかになった。

また、書店での使い方はインターネット、書誌情報検索、Eメールに利用している場合が多く、次いで受発注、売上、外商管理などに利用している書店が多かった。

主な設問と回答は以下の通り。

問1、あなたのお店ではパソコンはありますか。

a、ある 38名(82・6%)b、ない 8名(17・4%) *ないと答えた方は導入する予定がありますか。

a、ある 5名(62・5%)b、ない 3名(37・5%) 問2、あなたのお店ではパソコンを使っていますか。

a、使っている33名(71・7%)b、使っていない11名(23・9%)  無回答2名(4/4%) 問3、主な使い道は何ですか(○)。

また、今後利用したいと思う該当項目に△を付けてください。

○印インターネット検索29件(63・0%)Eメール 22件(47・8%)書誌情報検索21件(45・6%)外商管理 14件(30・4%)受・発注管理14件(30・4%)売上管理 13件(28・2%)会計管理 13件(28・2%)定期改正 7件(15・2%)顧客管理 6件(13・0%)ホームページ6件(13・0%) △印売上管理 4件(8・7%)会計管理 4件(8・7%)外商管理 3件(6・5%)返品管理 3件(6・5%) 問4、現在、なぜパソコンを使っていないのですか。

a、パソコンの知識が乏しい    8件(72・7%)b、インターネット接続が難しい  3件(27・3%)c、電子データで注文、商品調達の面で改善されるとは思えない。

3件(27・3%) 問5、現在、パソコンを持っていない理由はa、パソコン本体が高額すぎる   2件(25・0%)b、導入費用対効果が期待できない 3件(37・5%)c、未だパソコン導入の必要性を感じていない1件(12・5%) 問6、パソコン本体ならびにインターネット接続料込みで、月額どの位が妥当な線だと思いますか。

a、4千円くらい16店(34・8%)b、6千円くらい9店(19・6%)c、1万円くらい3店(6・5%)d、3千円くらい2店(4・3%)e、2千円くらい2店(4・3%) 問7、現在以下のような注文システムがありますが知っていますか。

a、S−net35店(76・1%)b、ティーエス流通共同組合    37店(80・4%)c、その他(文芸春秋、まる子、角川書店、BIRDネット、NOCS、ダイヤモンド、河出書房新社、JTB、BON)9店(19・6%)

−無題−

夢中!熱中!読書中!10月27日から始まる「読書週間」のポスターが出来上がった。

クマとリスが仲良く本を読む図柄だ。

「和楽」はこんな販売方法です

九月十九日付全国書店新聞に掲載されたコラム「本屋のうちそと」での「とんぼ」さんのご意見、拝読いたしました。

出版不況が長引くなかでの「和楽」の創刊ですので、書店様にも何かとご心配をおかけしております。

学年雑誌の販売などを通じて、長い間書店様とともに歩んでまいりました小学館は、今後ともその姿勢を崩すことは決してございませんが、「和楽」の販売方法について少しご説明が不足しておりましたので、この機会をお借りしてご懸念の部分につき改めて整理させていただきたく思います。

まず第一に「いちげんさんには読めません」という宣伝コピーは、確かに少々刺激的すぎたかもしれません。

現在は変更いたしましたが、お詫び申し上げます。

「和楽」は定期購読雑誌ですが〈和楽特約店〉様には毎号一冊ずつ「見本」をお届けいたしますので、読者は店頭で本誌と出会うことができます。

じっくりと内容を確かめた上で、その書店様に予約購読申し込みをすることができるということになっております。

次に、書店様の顧客を小学館が奪おうなどとは全く考えておりません。

ご予約してくださった読者とその書店様のつながりはずっと維持していただき、予約終了時が近づきますと「○○さんは×月で予約が切れますので、引き続きご予約をしていただけるよう働きかけて下さい」というインフォメーションを、その書店様にお送りする仕組みにしてあります。

ご予約が続けば、引き続き販売手数料をお払いする、ということにしております。

自店の予約読者一覧が見られるという仕組みは、当社のS−book.netでも生かされていますので、いつでも自店のご予約者状況が(他店はのぞくことができません)判るようになっています。

また、書店様へお支払いする手数料が些少だとお感じかもしれませんが、配送、集金その他のこまかい作業を全て小学館が受け持って、実質的に一〇%をお払いする仕組みは、人手不足などでお悩みの書店様への「支援策」と小学館では位置付け、その中で少部数でも存続しうる雑誌を育てるという、苦肉の策でもあることをぜひご理解いただきたいと思い筆をとりました。

難局乗り切る貴重な提案

この頃の売上の落ち込みは近年経験したこともないほど極端に悪化してきており、店の規模の大小を問わず存続できるかどうかの問題になってきた。

ここで手をこまねいていては最悪のシナリオになりかねない。

しかし、決め手になる解決策はない。

どうすればこの状況から回避できるかのアイデアを示す貴重な提案が「新文化」九月二十七日付に掲載された。

神奈川県書店商業組合前理事長の萬納昭一郎氏の「いま、書店が直面する三つの問題」は小売書店が全精力を傾けて取り組んでいかなければならない問題点を提起している。

この問題は急を要する。

超減速経済下でまさに淘汰寸前の書店群を救う三つ扉になるからだ。

経験豊富な氏の提案を身近な地域で話し合い、それを大きな力として全国展開の運動にしなければならぬ。

不利益を被っているのはまさに我々小売書店だということを思い知らせてくれる提案を、是非「全国書店新聞」に早急に全文掲載するようお願いする次第です。

中小書店の未来に大きな指針

月末、秋雨に見舞われ全くふるわぬ店頭で郵便物の仕分け中、「粗利益二〇%の専業書店に一〇%の景品無理」という、「新文化」の記事が目に止まった。

神奈川県書店商業組合全理事長・萬納昭一郎氏の記事である。

日頃、日書連理事会や神奈川県書店商業組合理事会で中小書店の代弁者として真剣に意見を述べられ、業界人として常に教えられ共鳴してきたが、改めて業界紙の活字となって丁寧に記された文章には、ただただ感激し理解を深めた。

元気のない書店人に激励ともとれる意見である。

再販後当面する日書連の大きなテーマとなる中小書店の将来に向かって、業界内改革の大きな指針であり、多くの論議を深めていく格好の教科書(問題提起)と受け止めている。

この提言をより多くの組合員に知らしめることは、全国書店新聞の役割に他ならないと思う。

新文化通信社のご理解と協力のもと、同文を転写することが可能ならばぜひ実現してほしいものだ。

ふうふうぽんぽんぽん

京都弁での民話の再話で、全国いたるところで聞く、和尚さんと和尚さんをやりこめる小僧との三つのお話がつながっている絵本です。

どの話も痛烈で中でも登場する言葉「はばかり」「ばば」に子ども達は大笑い。

京都弁が難しい人は、自分のことばで言い換えてください。

−無題−

<業務管理は経理同様、経営の基礎>書店が今の人員で、何か新しいコトを始めようとすると時間の不足という壁を感じます。

この不況でぎりぎりの人数でやっているからですが、それでも3分5分というスキマ時間は結構1日に散らばっているのが現実です。

経営要素を、人・モノ・金・情報とよく云われますが、経営行動の面から観ると、時間・計画と計測・場の設定など工程管理上のノウハウ、特に時間の使い方が成否を分ける要素になります。

この時間の管理は、自己管理でもあって個人にとって最もむづかしい問題とされています。

おおつかみ云えば、業務の進展を「時間」というカタチで管理するのが「業務管理」です。

<自主性を換気する動機づけも必要>ですから、業務管理は目標管理であり時間管理であり、その記録は店や従業者の行動記録・自己研鑽への軌跡でもあり、それゆえ未来を創るための情報倉庫にもなります。

それほど重要不可欠な業務管理表(業務日誌でも同様)でも、実行するのは「人」です。

人は「客観的な重要さ」だけでは自主的に行動せず、実力の半分も発揮しないことも多々あるのが現状です。

自主的に実力を120%発揮するための動機付け(モチべーション・コントロール)や執務の環境整備の必要性が説かれる理由もここにあります。

<業務管理表の実例、2つ>業務管理表の作成や活用法は次回に考えるとして、その実例を2例ご紹介します。

一つは「ダイエット業務管理表」で従業者が楽しく自ら目標管理を続けていった例として、もう一つは「パソコン業務日誌」で執務をしつつPCスキルと情報リテラシーを身に付け、サイドビジネスをし始めた例を。

<ダイエット業務管理表で自己認知へ>ある日、太った主婦がパートの応募。

「ここで働くと痩せられたと窺いましたので」と応募の理由。

(ナイショの噺、応募時は68 。

えっ?結果ですか?6ヶ月で58に、1年で52 になり、50 を切ると同時に退社。

シュン!)図1のD・F以外は通常の「業務管理表」ですが、それに消費カロリーのデータと計算部を付けたアレンジ業務管理表です。

最初は執務時間の記入(10分単位)を忘れがちでしたが2週間もすると痩せ始めたのか、身体が軽く感じられると、記入が楽しくなり、同時に自転車での配達や夏の雨の日の配達、荷物運びなどを率先して行い始めます。

いずれもダイエット業務管理表に記載された、時間当たり消費カロリーの大きな作業です。

配達先には喜ばれ新規予約も新規得意先も若干増えました(まあ本人にとっては痩せたい一心でしょうが、その為の行動はお客様の喜ばれる行動だった)。

副産物としてPCの表計算シートを毎日使いますから、計算式の埋め込みも覚え、外商個客管理表や家計簿を自作されました(勿論私店長の指導があったればこそですヨ)。

<一緒に本屋しません?PC教えます>この募集POPで応募してきたパートさん。

46才主婦。

商品管理や外商・図書館入力を中心に配属し、各担当の指示に従ってレジや陳列整備の合間に、MACデスクトップとWindowsノートPCを場所に応じて使い、ひたすら入力の日々でした。

1カ月を過ぎた頃、シートの改善提案を云ってきました。

報連相ルールに従ってEXCEL業務管理表に記入してLAN経由でメールのように。

そこで、シート構成変更を指導しデータ転送の自動化も教え、としているうちに自分でも本を読んで勉強したのでしょう「マクロ教えて下さい」と云う始末。

マクロとはEXCELのプログラムです。

そこで私のやりかけていた、雑誌管理の自動化を手伝ってもらいました。

結果、関数の活用ステージやシートデザイン、他のアプリ・シートとのデータのやり取り、若干のマクロ組立て技術を理解したようです。

この間7カ月でした(私より短期間)。

図1の表はこの女性の作品を経ています。

先日、会議所のIT講習会「データベース・ソフトの実務活用講習会」の指導員をさせて貰えると、丸い顔を一層まん丸くして報告してきました(謝礼が出るそうで…羨ましがる私には「出版流通データ」の入力協力をしてくれている。

感謝)。

街の本屋は寺子屋なのかもしれません。

本屋のうちそと

もう五年も前のことだが、息子の通っている中学校より父親に宿題が届いた。

「その仕事をなぜ選んだのですか」というものだった。

改めて考えた。

そして高校一年生の夏休みに、「新潮文庫の一〇〇冊」を読破しようとして(七〇冊ほどしか読めなかった)、本の素晴らしさを知り、こんな素晴らしい本というものを売る仕事がしたいと思ったというようなことを原稿用紙二枚に書いて提出した。

あとで文集になったものを見たら、「車が好きだから」「親もやっていたので」「友達に誘われて」とシンプルな答えがほとんどだった。

わが息子は「お父さんの文が学校で一番長かった」と誇らしげだった。

そして、今考えても、「新潮文庫の一〇〇冊」は自分の原点だなんてことを新潮社の担当のU田さんと酒を飲みながら話していると、「フェアをやりましょう。

オビを作るから」と乗せられて、すっかりその気になってしまった。

「笑いました。

考えました。

ほのぼのしました」というコピーにイラストまで入れてもらい、「読んだ私が保証します」とふきだしの付いたオリジナルのオビを作ってもらい、フェア開催中。

そのフェアから買っていただくと、本当にありがたいという気持ちになるから不思議だ。

目標は「新潮文庫の一〇〇冊」より多く売ることだが、そこまでは厳しいので、次はぜひオリジナルのストラップを作ってほしいものだ。

(たに)

初めて学ぶ決算書

トーハン・コンサルティングは書店経営者・書店員を対象に、十一月二十一日午後一時半からトーハン本社でトーハン書店大学「初めて学ぶ決算書の読み方セミナー」を開催する。

企業情報の宝と言われる決算書の仕組みを理解し、問題演習を通じて財務分析の基本を学習する。

講師は中小企業診断士・一級販売しで『書店経営の実態』の編集を担当している上野玉男氏。

主な内容は■企業経営と計数の考え方、■決算書に仕組み、■財務分析の基本、■損益分岐点。

受講料はテキスト代、資料代、消費税を含み、全国書店共助会加入店は三千円、非加盟店八千円。

定員二十名。

問い合わせ先はトーハン・コンサルティング、セミナー事務局。

■03(3267)8686番。

ホームページでも申し込みを受け付ける。

www.tohan-c.co.jp

10月期トーハン会

▽11日=新潟トーハン会(黒川村・胎内ロイヤルパークホテル)▽18日=京都トーハン会(京都市・知恩院)、中杉トーハン会(場所未定)▽23日=長野トーハン会(千代田区・ホテルエドモント)▽24日=熊本トーハン会(熊本市・熊本厚生年金会館)▽25日=中部トーハン会(名古屋市・名古屋国際ホテル)、大分トーハン会(日出町・大分厚生年金休暇センター)

お店の固定客つくるラッピングとPOP

日販は二〇〇一年度書店社員セミナーを十月二日の東京会場を皮切りに、全国九会場で開催する。

今回は売上低迷を打破するため、売場活性化に直結するラッピングとPOP実技習得がテーマ。

参加対象は書店経営者、店長、社員、売場主任など。

経験豊富な講師の指導で、短時間の中で実技力を身に付ける。

受講料はテキスト代、資料代、消費税含み、日本出版共済会加盟店は一名七千円、未加盟店一名一万円。

開催日程は以下の通り。

10月2・3日=東京(中央大学駿河台記念館)、4日=静岡(静岡商工会議所)、10日=札幌(日販北海道支店)、11日=仙台(日販東北支店)、12日=名古屋(日販名古屋支店)、23日=福岡(セントラルホテルフクオカ)、24日=岡山(岡山商工会議所)、25日=大阪(日販堂島ビル)

−無題−

対象全集リスト◇『愛蔵版藤村全集』全19冊、本体価格11万4千円、50セット◇『安曇野』全5巻、1万7千円、百セット◇『梶井基次郎全集』全4冊、2万4千2百円、百セット◇『八木重吉全集』全4冊、2万1千円、30セット ◇『山川方夫全集』全7巻、4万3千3百円、50セット◇『決定版太宰治全集』全13巻、7万4千5百円、70セット◇『詳註版半七捕物帳』全6巻、2万7千円、50セット◇『山田風太郎明治小説全集』全7巻、3万1千8百円、80セット◇『内藤湖南全集』全14巻、11万3千円、30セット ◇『フローベル全集』全11冊、5万円、70セット

−無題−

◇『明解になる著作権201答』一九九九年、二〇〇〇年と続けて改正された著作権法をQ&A方式により理解が深まるよう記述した。

出版・新聞・放送・音楽・映画における著作権の疑問に答える。

吉田大輔著、出版ニュース社刊、本体価格二千五百円。

◇『ひとすじの道−主婦の友社創業者・石川武美の生涯』一代で主婦の友社を築き大正・昭和の激動の時代を生きた出版人・石川武美の生涯を克明に描いた。

主婦の友社創業85周年・石川武美没後40周年記念出版。

巻末に昭和十四年から綴った「うた日記」を収める。

吉田好一著、本体価格三千円。

人事

◇誠文堂新光社誠文堂新光社は十月一日付で社長室、統括本部、総合開発室、出版事業本部、販売事業本部の本部制を採用。

以下の人事を発令した。

 社長室室長取締役    小川 典子 統括本部本部長取締役    大島 一彦 総合開発室本部長、出版事業本部本部長 社長兼務 販売事業本部本部長兼販売部長 取締役 永田秀夫 販売開発部長(旧販売部長)     山中建次郎 宣伝室長(旧宣伝部長)       関口 恒次 販売サービス事業部長(旧販売サービス部長)福永 忠秋 *編集局長・取締役瀧田實氏は退任。

9全集を自由価格に

筑摩書房は再販制度弾力的運用の一環として、「筑摩書房謝恩価格全集セール」を実施する。

対象商品は、■すでに完結している、■書店店頭で通常展開しにくい、■一定の需要がある−−の三点を基準に『愛蔵版藤村全集』(全19冊)など九シリーズを選定した。

取引条件は書店との直接取引で、五・五掛けの完全買い切り。

送料は筑摩書房が負担する。

販売はセット販売のみで、販売価格は書店の自由。

販売期間は「一定期間に限定して書店で決めてほしい」という。

事故防止のため各巻表4のバーコード上に「謝恩価格本」というシール貼付する。

同社はこれまで「非再販本セール」、共同企画「文庫の謝恩価格本フェア」に積極的に取り組んできた。

しかし、売れ行きは今一つで、読者が買い求めたい魅力的本ではなかったという反省から、書店、出版社双方に利益が確保され、読者にも歓迎される販売方法として、今回の全集セールを企画した。

注文受付は十月二十二日から十一月二十二日まで。

締切り後の注文、限定数量を越えた場合は受け付けない。

申込みは同社営業部・桃野一郎宛にFAXで。

FAX03(5687)2685番。

小説大賞に田村氏

メディアワークスが主催する第八回電撃ゲーム3大賞の贈呈式が九月二十八日午後四時から九段下のホテルグランドパレスで行われた。

今回、小説大賞を受賞したのは田村登正氏の『大唐風雲記 長安の履児、虎の尾を履む』。

イラスト大賞、コミック大賞はともに該当作なしだった。

贈呈式でメディアワークス佐藤辰男社長は「受賞は一つのゴールとともにスタート。

精進し、プロとして独り立ちすることを祈念する。

電撃ゲーム大賞は回を重ねて応募が増え、新人賞では傑出した数。

登竜門と認知された証しと自負している。

受賞者の作品が優れており、評価されて賞の重みが増す、いい循環になっている。

新しい才能にご支援を」とあいさつした。

このあと各部門受賞者に正賞と賞金が授与された。

選考委員からは「漫画界は厳しい状況だが、こういう時代こそ読み捨てられない作品を作らねば。

一コマ一コマ愛情を込めて書いてほしい」(コミック大賞・永井豪氏)、「絵は机に座ってひたすら描く時間が大切。

まわりにとらわれず自由に描いて技術と個性を伸ばしてほしい」(イラスト大賞・天野喜孝氏)、「大賞は印象深い凝った設定で先々が楽しみ。

一作で終わらず、読者の頭にイメージが浮かぶ作品を書いてほしい」(小説大賞・松本悟氏)と激励の言葉があった。

10月理事会は日光で

日書連十月理事会は恒例の移動理事会。

今年は関東ブロック会(鈴木喜重会長)主催、栃木県書店商業組合(小山田昭一理事長)の設営により、十月十六日、日光市・日光金谷ホテルで開催する。

当日は午後一時から理事会。

理事会終了後は地元、栃木県組合の役員を交えて懇親会を行う。

翌日は日光武者行列、中禅寺湖などを観光する予定。

ポイントカード実施

東京都書店商業組合は十月二日に開かれた理事会で各支部が行ったポイントカード実施状況を中間集計。

十九支部中、九支部から十八件の事例が報告された。

このうち、値引き率が最も高いのは、阪急ブックファースト神田店と、周辺四店舗で行われている五%。

ヨドバシカメラ、さくらや、ビッグカメラなど量販店では書籍・雑誌にも三%の還元が行われている。

理事会に報告された集計によると、ポイントカード実施事例は全部で十八件。

内訳はカメラ量販店が六件、百貨店系列が三件、チェーン書店が一件、独立書店系が八件。

このうち、カメラ量販店のカードは「ビッグポイントカード」「さくらやカード」「ヨドバシカメラゴールドポイントカード」と三種類六件で、いずれも三%のキャッシュバック。

百貨店のカードは渋谷パルコ内のリブロで「パルコ発行カード」、池袋西武百貨店内のリブロでは「クラブオンメンバーズカード」。

「パルコ発行カード」は、春秋二回パルコ内全店の商品を購入するとカード請求時に五%オフ。

「クラブオンメンバーズカード」は全商品二〜六%オフ、カードの種類によりポイントのランクがあるという。

阪急ブックファーストは五%の金券を還元。

独立書店系は神田地区・阪急ブックファースト周辺の四店舗を除くと目黒区と北区に各一件、武蔵野に二件あり、還元率は一%から五%まで。

荒川・足立支部からはTSUTAYAカードの事例が報告されたが、同店はCD、本、ゲーム購入百円ごとに一ポイントを還元、五百ポイントで五百円のクーポンと引き換える仕組み。

集計を発表した岡嶋再販委員長は「ツタヤは全店でポイントカードをやっているはず」と指摘したほか、文京区と江戸川区で区商連のポイントカードあることなどが報告された。

東京組合では九月四日に小学館、講談社を訪ね、ポイントカード問題をめぐって意見交換を行ったが、当面は二社の対応を見守っていく方針。

ポイントカード問題で小学館訪問

日書連広報委員会は全国広報委員会議終了後、今西委員長、山口副委員長ら五名で小学館を訪問。

ポイントカード問題について大竹取締役、蜂谷常務と話し合い、出版社側の理解を求めた。

−無題−

日書連広報委員会と各都道府県の広報委員、本紙編集部で昨年一年間の総括と今後の編集方針を検討する第三十回全国広報委員会議が十月三日、東京・千代田区の書店会館で開かれ、総勢四十四名が出席。

書店新聞の経費節減・リストラ案を話し合い、日書連活動における書店新聞の重要性を再確認、質を落とさず紙面再構築を図っていくことで意見集約した。

会議は山口副委員長の開会で始まり、今西委員長があいさつ。

今西委員長は「再販は書店新聞があったからこそ守ることができた面もある」と述べ、日書連活動における広報委員会の重要性を強調。

一方で組合員減少で収入が減少するなか将来を見据えた財政基盤を築かねばならない時だと指摘し、「今後も日書連の顔として大きな役割を果たしていくため、経費削減・リストラ策を話し合い、紙面再構築を図りたい」と話した。

続いて萬田日書連会長があいさつ。

「組合員減少が止まらないなか聖域なき経費二割削減を打ち出し、書店新聞も月三回刊化を提案させていただいた。

日書連ホームページを有効活用すれば、刊行回数を減らしても問題ないと考える。

もちろん、書店新聞が日書連活動の支柱であることは今後も変わらない」と述べた。

このあと編集部から 全国広報委員会議の隔年開催 書店新聞月三回刊化 取材交通費削減のため、北海道、福島、愛知、大阪組合総会は各県広報委員が担当 地方取次会も本部取材せず 広報委員の原稿料廃止−−など経費節減・リストラ案を説明。

「旬刊に戻すことで贅肉を取り、機関紙の原点に戻りたい」との考えを示し、各広報委員の意見を求めた。

これに対し、北村委員から「各県組合もリストラを進めている。

こういう時代だからやってみるべき」、松山委員から「本当に必要なのは質的リストラ。

量的なリストラを進めていけば活動が萎縮するだけ」(松山委員)との意見が出されるなど、活発に討議した。

 全国広報委員会議の隔年開催については、「広報活動の重要性を確認できる貴重な場」(中村委員)など年一回開催を求める声が大勢を占め、「全国会議が無理なら全国を東西に二分して毎年開催できないか」(小泉委員)との提案もあった。

地方組合総会への本部取材取り止めについては、今西委員長が「各県の広報活動活性化に力点がある」と説明。

これに対し、梅津委員から「広報委員が原稿を送るのは当然だが、地方で何か重大な問題が起こったときは編集部が現場取材したほうがいい」(梅津委員)と、柔軟な対応を求める意見が出された。

紙面の在り方については、清水委員から「組合員が読みたいのは、現場の生の声。

『実録・閉店』などのテーマで取材できないか。

厳しい時代だからこそ、もっと紙面活性化を」との提案があった。

全国広報委員の討議を受け、萬田会長は「リストラは次につなげるためのステップであり、新聞の質的低下を招来することは毛頭考えていない。

原稿料廃止や全国会議隔年開催については皆様の意見を踏まえて再検討したい。

紙面については業界の動きに偏らず、もっと書店経営に生じている生の問題を幅広く取り扱っていきたい」との考えを示した。

また、今西委員長は「リストラは衰退ではなく活性化への第一歩。

今日の議論を反映する形で再検討し、二十一世紀型の広報活動を行っていくことを結論としたい」とまとめた。

−無題−

全国広報委員会議出席者本部=萬田貴久会長、今西英雄広報委員長、山口尚之広報副委員長、丸岡義博広報委員、白幡義博専務理事、大川哲夫事務局長各都道府県組合=松山雄洋(北海道)岡田浩樹(青森)木村和一(秋田)栗原秀郎(岩手)佐藤一雄(山形)梅津理昭(宮城)佐藤良平(福島)北村喜一郎(茨城)亀田二郎(栃木)中村光雄(群馬)武藤武久(千葉)平井弘一(神奈川)小泉忠男(東京)稲勝元(静岡)五十嵐順一(新潟)渋谷恵一(富山)高嶋雄一(長野)清水祥三(福井)石岡英明(滋賀)並河●二、田中順二(大阪)梅澤マサミ(京都)堀一哉(和歌山)井澤尚之(鳥取)桑原利夫(島根)土井利彦(岡山)光永和史(愛媛)鹿子島慶正(福岡)近藤甲平(佐賀)古瀬寛二(長崎)宮崎容一(熊本)金光直明(大分)今村栄(宮崎)井之上博忠(鹿児島)安仁屋博一(沖縄)編集部=田中徹編集長、白石隆史、土屋和彦計43名

生活実用書注目的新刊

歩くことが流行っている。

手軽、健康、安価でもあることだし、きっと気分もいいからなのである。

クルマに乗って通過したのでは見えない景色が、歩けば簡単に見ることができる。

花が咲いている。

バッタも跳ねる。

では、まずどこから歩いてみようか。

井手彰著『休日、里川歩きのすすめ』(平凡社新書097 740円)は、ぶらりと水辺を辿るエッセイである。

栃木県の渡良瀬川から埼玉県元荒川下流までの十六章。

小江戸と呼ばれる川越を支えてきたのは、新河岸川とその舟運だった。

松平信綱が川越藩主に就任して間もなく始まり、安政年間(1854 60)には常時百●が行き来していたという。

水源は伊佐沼。

豊かな水で草亀が遊び、鮒や鯉が泳ぎ、カル鴨や小鷺の姿があった。

この章だけ珍しく幻想の美女が出てくるのだが、著者のお供はいつも缶ビール。

二日酔いでも、バスに乗り遅れても、とにかく歩く。

そこには静●で懐かしい風景が広がっている。

前著の『里川を歩く』(風●社 1500円)も面白い。

こんな歩き方もあったんだと、親近感が湧いてくるはずである。

里川を歩くのならば、今度は山である。

『里山を歩こう』(保健同人社 1300円)は、関東周辺の里山歩き30コースのガイドブック。

北は栃木県、塩原。

東は茨城県、潮来。

南は神奈川県、大磯の湘南平。

西は長野県、安曇野石仏の里を歩くといった具合でエリアは広い。

『休日、里川歩きのすすめ』にもそれぞれ地図がついているが、本書はガイドが中心だから交通アクセスや各コースの所要時間も載っている。

たとえば御岳渓谷遊歩道コースは、JR青梅線の軍旗駅から多摩川に沿って、せせらぎの里美術館に寄りながら御岳駅までの1時間50分。

途中、酒蔵の見学や、豆腐料理の名店も紹介されている。

いずれも、首都圏に近い場所が選ばれている。

ちょっと友人でも誘って、あわただしい日常を離れてみるのにぴったりの本なのだが、この二冊(三冊)を書店で一緒に買うのはなかなか難しい。

書店のプレートに「アウトドア」、「ハイキング」や「山の本」はあるのだから、「歩く」エッセイやガイドも仲間入りさせて欲しいものである。

(遊友出版・斎藤一郎)

週刊売行き情報

世界の中の日本を意識させられる事が多い。

「常識」という言葉は限られた場所、突き詰めると自分自身にしか通用しないかもしれないと気付かされる。

(文)(1)『ザ・ゴール』ダイヤモンド社4‐478‐42040‐8……8冊
(2)『ロジカル・シンキング』東洋経済新報社 4‐492‐53112‐2……6冊
(3)『タリバン』講談社 4‐06‐210255‐2……5冊
”『聞き取り・書き取り用CD付英語は絶対、勉強するな!』サンマーク出版 4‐7631‐9388‐0……5冊
”『同上〔初級編〕』サンマーク出版 4‐7631‐9400‐3……5冊
”『美女入門PART3』マガジンハウス 4‐8387‐1320‐7……5冊
”『ハリー・ポッターと賢者の石』静山社 4‐915512‐37‐1……5冊
”『ファイナルファンタジーXバトルアルティマニア』デジキューブ 4‐88787‐011‐6……5冊
(9)『V字回復の経営 2年で会社を変えられますか』日本経済新聞社 4‐532‐14934‐7……4冊
”『知の愉しみ 知の力』致知出版社 4‐88474‐610‐4……4冊
”『言葉でわかる「話を聞かない男、地図が読めない女」のすれ違い』主婦の友社 4‐07‐231900‐7……4冊
”『常識の世界地図』文藝春秋4‐16‐660196‐2……4冊
”『最強の経営学』講談社 4‐06‐149552‐6……4冊
”『ファイナルファンタジーXシナリオアルティマニア』デジキューブ 4‐88787‐010‐8……4冊
(15)『図解〔お客様の声〕を生かすシックスシグマ』ダイヤモンド社 4‐478‐37363‐9……3冊
(9月30日〜10月5日調べ)

週刊売行き情報

子供の運動会に出向いてきたが、生徒数減少により全学年2クラスしかないため、侘しいものを感じた。

昔、クラス対抗で競った頃を懐しく思う。

(井)(1)『ファイナルファンタジーXバトルアルティマニア』デジキューブ 4‐88787‐011‐6……12冊
(2)『デビルメイクライ解体』エンターブレイン 4‐7577‐0640‐5……9冊
(3)『ハリー・ポッターと賢者の石』静山社 4‐915512‐37‐1……7冊
”『プロジェクトXリーダーたちの言葉』文藝春秋 4‐16‐357670‐3……7冊
”『ファイナルファンタジーXシナリオアルティマニア』デジキューブ 4‐88787‐010‐8……7冊
(6)『十二番目の天使』求龍堂 4‐7630‐0106‐X……5冊
”『遊戯王デュエルモンスターズ5エキスパートI(下)』集英社 4‐08‐779122‐X……5冊
”『吉澤ひとみ写真集 よっすぃー。

』ワニブックス 4‐8470‐2676‐4……5冊
(9)『デビルメイクライ完全攻略ガイド』双葉社 4‐575‐16280‐9……4冊
”『プロジェクトX挑戦者たち(8)思いは国境を越えた』日本放送出版協会 4‐14‐080635‐4……4冊
(11)『愛の原点』幸福の科学出版4‐87688‐354‐8……3冊
”『ヘタな人生論よりイソップ物語』河出書房新社 4‐309‐24244‐8……3冊
”『エースコンバット04シャッタードスカイパーフェクトガイド』ソフトバンク 4‐7973‐1788‐4……3冊
”『政治のニュースが面白いほどわかる本』中経出版……3冊
(9月30日〜10月6日調べ)

世界の老舗書店・有名店

シンガポールは世界に例を見ない国際的な書店競合地域である。

書店戦争が始まる前に、すでに日本資本は上陸していた。

デパートがその良い例である。

進出企業は高島屋、伊勢丹、大丸、そごう、西友、パルコ等である。

シンガポールの書店業界を競争の坩堝に入れたのは、ボーダーズの進出であった。

九八年にオーチャード通りに鳴り物入りで登場してきた。

想像以上のダメージに現地書店は慌てたのである。

■ボーダーズオーチャード駅のある交差点角にあり、視認性のよい建物の一階路面である。

東京銀座四丁目角と思えばよい。

ビルの角々二カ所の入り口の前にはカフェテラスがあり、繁盛している。

オーチャード駅入り口を入った所にバーゲンコーナーがある。

シンガポールは再販国であるから、このコーナーは市民には好評である。

営業時間は日〜木曜九時から二十三時、金・土曜は九時から二十四時である。

競合店のインショップを逆手にとり、ボーダーズは早朝開店、新や営業をして若者に人気を博している。

ワンフロア四百坪をブック、ミュージック、カフェと差別化路線が成功の秘密である。

平台の多いこと、雑誌アイテムの豊富なことも、今後ボーダーズ人気を高める要因となるであろう。

陳列はアメリカ流の大量陳列である。

商品公正で特徴的なことはクッキング書の多いことある。

この流儀は編め裏kd絵は普通であるが、果たしてシンガポールでうけるか。

道行く人を見ても肥満な人を見かけないのであるが。

■紀伊國屋書店地元から見れば外資系書店である。

昭和五十年代に進出してから三十年経過した。

二十世紀末に始まった書店戦争を受けて一番ハッスルしたのが紀伊國屋書店であった。

五店あったチェーン店が今は三店である。

ボーダーズ進出に刺激され、シンガポール一番店として高島屋店(一〇九一坪)を完成させ、一年遅れてリャンコート店も増床、リニューアルした。

もう一店はパルコ店である。

パルコのあるブギス地区は明治、大正を通じて日本人街が作られたところである。

紀伊國屋書店高島屋店ワンフロア一〇九一坪は紀伊國屋書店としては東南アジア一番の店である。

高島屋B館三階全部を使用している。

テナント店として最大面積であり、キーテナントの役割を発揮している。

広く重厚な売場は風格を感じさせる。

店長のケニー・チャン氏は四十歳前後と思われる現地の人である。

補佐役に女性でペニーさんがいる。

店内を詳密に案内してくれた。

商品量は英書三十三万冊、日本書八万冊、中文書七万冊、仏独書二万冊、計五十万冊である。

売場はA〜Nの十四に大分類されている。

A=新刊、ベストセラーズ、雑誌(英語)、B=哲学、心理学、宗教、社会学、C=歴史、D=ビジネス、E=フランス書、ドイツ書、F=コンピュ−タ書、G=地球の本、H=一般教養書、I=コミック、旅行、音楽、言語、イベント、J=こどもの本、ライフスタイル、料理法、趣味、工芸、ペット、スポーツ、健康、K=絵画、デザイン、グラフィックス、写真、映画、演劇、L=文具、M=日本書籍・雑誌、N=中文書籍レジ前では新聞も販売していた。

朝日新聞四・五ドル(三一〇円)、日経五ドル(三五〇円)である。

新聞は現地印刷であるから、ニュースの早さは日本と変わらない。

出版物は船便であるから一週間は遅れる。

急ぐ場合は航空便であるが、販売価格が高くなるのは当然である。

■WHスミスかつてのイギリスの植民地再来ではないが、英国本土から進出した意味は大きい。

チャンギ空港売店と、ノビナショッピングセンターへの矢継ぎ早の出店は、シンガポール書店業界にショックを与えた。

地元出版社は二十社と少ないが、期待は大きいとペリプラス社リック・ウイ社長が語ってくれた。

WHスミス・ノビナ店は九十坪の中型書店である。

シンガポールのベッドタウンに出店したもので、今後町の中心地オーチャード通りに進出することは必至である。

店の中に書店らしからぬ商品があった。

それは陶磁器を販売していたことである。

しかもメーカーはWHスミスで、急須、茶碗、皿等で、器は中国風の作りである。

茶器の前にはお客様が群がっていた。

雑誌は壁面棚平陳列である。

この陳列方法は日本と同じである。

店内の床はフローリングの部分と、赤ジュータン部分に別れている。

ジュータン部分はレストスペースに使われている。

専門書前には家具調の椅子、机が用意され、店内を落ち着いた雰囲気にしている。

コミックは全くない。

イギリス本国に存在しないのと同じであった。

       160

弾力運用4年目の真価

相賀 この座談会は今年で4年目になりますが、再販弾力運用の方法にも、疑問のある例が散見され、色々な角度から検討していくいい時期だと思います。

ある程度、踏み込んで話しを進めていきましょう。

司会(清田) 本年3月に再販維持の結論が出ただけに、昨年とは緊張感が違いますが、これからが弾力運用の真価が問われる時期だと思います。

出版環境は非常に厳しく、もっと悪くなるかもしれない。

公正取引委員会(以下公取委)との議論を経て、業界で再販弾力運用の手引きを作りましたが、この中にはまさに業界の方向が示されています。

厳しい時期であればこそ、将来への展望を開いていく意味でも、本当に弾力運用をどうしたらいいか議論すべきではないでしょうか。

平成10年3月の「著作物再販制度の取扱いについて」で公取委は業界に対して6項目の是正を求めました。

弾力運用というと再販そのものがなし崩しになるのではないかという危惧も聞こえますが、出版業界が著作者や読者のために、流通を含めた改善努力をすることは再販そのものの論議を別にしても極めて重要なことであると思います。

よりよくなるために出版社、取次会社、書店の関係をどう変えていくか、それが再販弾力運用について考えていくことの本質ではないかと私は思っています。

まず再販存置までの過程とこれからの業界の責任をどうすべきか話しを進めていきたいと思いますが、菊池さんいかがでしょうか。

 菊池 再販維持運動の総括は膨大になるので詳細は省きますが、ともかく出版界で一番意識してきたことは、「読者の目」でした。

だからこそ、何とかゴールできたと思います。

今後も読者の理解を求めながら、いろんな活動をしていくことがカギになると確信しています。

これまで自由に議論をしてきたし、これからも頑なにならず、脱線しないように、具体的な取り組みを進めていくことが重要だと考えます。

とくに読者に約束した流通改善について、「これならいい」という線までたどり着くことが大事になる。

文藝家協会の皆さんと話しをした際、著者でありながら最も厳しい読者である人たちの視点からも、不満の出ないような流通改善を目指したい。

読者にもメリットがあり、出版界もビジネスとして成り立つという方向性です。

消費者団体等からの指摘がある資源の無駄を極力省いていくことも意識しなければならないでしょう。

読者の理解を得ながら粘り強く努力していくことが必要だと思います。

中村 再販は消費者の利益と出版社の意向に反しないことが基本です。

今の状況で読者のニーズに応えているかといえば、まだまだ努力する必要がある。

とくに注文流通は、ドイツのように3〜4日で入荷する体制を、ここ数年のうちに築いていかなければならないとの思いを強めています。

書店は川下、出来ることは限られていますが、流通インフラの早急な整備が不可欠と考えています。

上野 菊池さんが言われたことと同感です。

消費者の意識が関わってくるだけに、それが何なのかを注意深く見ながら取り組んでいくことが必要になってきます。

こちらが読者のためにと思って実行しても、そうは受け止められないこともある。

例えば、ポイントカードは果たして読者が喜んでいるのか、もっと他のサービス、例えば的確な書誌情報の提供や客注の迅速化を求める声も少なくないのではないでしょうか。

野村 読者の理解が必要なのはもちろんですが、流通の立場でインフラの整備に一層の努力を傾注すべきだと思います。

ここ数年来、大幅な改善を図ってきましたが、まだ十分とはいえません。

今後も必要な部分は随時進め読者の理解を得ていく努力をしていきます。

 弾力運用については、読者に受け入れられることが前提になると思います。

私たち内部の感覚を常に客観視していくことが大切です。

公平性等を勘案し、自己満足に陥ることがないようにと思います。

安西 読者ニーズによる様々な仕掛けや新しい自由な発想にもとづく体制を作っていきたいと考えています。

取次会社のインフラが整わないことが理由にならないようにしなければならないと思っています。

存続までの経緯、それぞれの思い

大竹 なぜ、再販論議が起こったのか。

昭和55年に部分、時限再販を実行していくことになった時点に遡る。

55年の公取委の公表内容を出版界は本当に理解していたのかどうか? 今年3月の結論に至るまでの我々の取り組みは、これを解きほぐす作業だったような気がします。

再販は著者、読者のためにあるのだということを今までの3冊のレポートなどで訴えて、また多くの弾力運用事例を紹介し実行してきました。

こうした取り組みが、著者、読者そして公取委にも理解されたのだと思います。

青木 今回の再販存置の結論は、さらに弾力運用を推進すべきという趣旨であり、いわば弾力運用が担保にとられて再販が残ったともいえるのではないでしょうか。

こうした認識をもって今後も取り組むべきだと思います。

取次会社の自由価格本フェアに限っていえば、反省点として出版社の商品内容が固定している、取引条件の工夫が足りなかったと考えています。

一部に買切条件もありましたが正味高のため取り組む書店が少なかったし、本当に読者ニーズにマッチしたのかどうか。

今のお客様の値頃感は一般商品では50%オフが当たり前の感覚もあり、価格だけではないが、もっと魅力のあるものにする工夫が必要だと思います。

下向 公取委が10年来、再販廃止を掲げていた経緯を踏まえると、よくぞ存続したと思います。

日書連としては、署名活動や自治体への働きかけなど、国民、読者との対話を積極的に展開してきた。

これは貴重な経験だったし、これからの具体的な取り組みにも役立つことだと思います。

業界として表明してきた読者との約束ごとは実行していくべきであると思います。

相賀 一九八〇年、私は再販55年体制と呼んでいますが、ここに戻って、やるやるといってやらなかった愚を繰り返してはならないと思います。

再販はメーカーによる小売価格拘束、その契約を結んでいること。

弾力運用においては、メーカーがこの商品は時間が経ったら再販から外す等をきちんと明示すべきです。

大型特定書店での展開事例が見られますが、これでは他の書店との格差が生じてしまう。

少なくとも、弾力運用はどの書店も参加できる機会を設けることが前提ではないでしょうか。

そうでないと書店の意欲をそぐ可能性も出てきます。

再販骨抜き論が出ているが、再販が存置されたからこそ、弾力運用もきっちりやる。

トラブルがあったら、解決して前進していくことが大切です。

新たな条件整備とルールづくり

清田 冒頭から総論、各論いろいろ意見が出されましたが、一定のルール作りやルールの改変は必要です。

昭和55年の新再販制度は、歴史的経過をみるとほとんど実施されなかったというのが実感です。

今回の公取委の結論は、平成7年以降の本格議論を踏まえ、その後の状況を睨んでの判断でしょう。

自由価格本などの方法は重要な要素ですが、流通改善も当然すべき。

要は読者に対してどうしていくのかが基本になります。

出版社、取次会社、書店の三者の関係性、ルールについて対読者ニーズを踏まえ、いかに新たな関係を築いていくかに関わっていると思いますが。

下向 大脇雅子参議院議員の質問への政府答弁書の中で明らかなように、現行制度下で可能な限り運用の弾力化を進めることだと認識している。

それは出来ることを実行していく、一定のルール、商売として成り立つかどうかは重要な要素になります。

非再販本、時限、部分再販の考え方についてのきちんとした議論が必要になります。

菊池 相賀さんが言われた、誰もが参加できる態勢は重要な要件だと思います。

そのための条件整備として、一定のルールが必要と考えます。

フランスの発行後1年以上経過した書籍で、店頭に6ヶ月以上在庫したもの等のルールは参考になります。

新しい本を簡単に安くしていいのかな、という思いがあります。

書籍によっては定価での販売期間を明確にするとか、第2流通市場での商品を含めて考えていけば交通整理がしやすくなると思います。

大竹 今回の結論にあたって、公取委より3項目の要請がありましたね。

弾力運用の手引きの作成、これは出来る範囲のルール化でした。

そして再販契約書と出版契約書の見直しでしたが、いわば非再販商品にも市民権を、加えて著作権者の保護という狙いがあったと思われます。

行政側のニュアンスは、出版界の実態は危機的な状況にあるとの認識があった。

全体の環境を勘案し、公取委としては再販そのものは維持しつつ、実質的にこれまでのタブーの見直しに踏み込んだのではないでしょうか。
本当の改善は注文システムだ

中村 先程もいいましたが、再販はそもそも出版社の権利。

だからこそ出版社が時限、部分再販の対応をきちんとすべきなのです。

書店の立場では出版社が決定した方法を店頭などでお客様に提供するだけです。

 心配しているのは、このままで時限、部分再販商品が出るのか? このままの方法で採算があうのか、また英国型の再販崩壊をたどるのではないかということです。

今こそ読者の立場で21世紀の出版業界のビジョンを話し合い、改革すべきではないでしょうか。

菊池 読者は本の断裁を資源の無駄遣いと指摘しています。

断裁するくらいなら安く提供して欲しい、といっているわけです。

もともと定価という形に対して文句を言ったわけではないし、最初から何がなんでも安くしてもらいたい、と言っているのではないと思う。

結果としてつくり過ぎの部分を、市場に還流させるということですね。

相賀 流通商品50万点のうち、注文しても実際には半分くらいしか確実に応じられないのが現実だと把握しています。

4万点くらいは出荷調整品扱いで出にくい。

重版未定・非在庫は25万点ぐらいでしょうか。

出版社の社員の多くは、出版流通・販売は取次・書店の仕事だと思っている。

しかしそれはおかしい、違うといって、意識変革を訴えています。

在庫の有無などに、すぐに応えられることが出版社に所属する者の責任だと思います。

来年4月立ち上げを目指し準備している「出版データセンター」は、リアルな在庫情報の集約拠点として、ローコストで、出版社が印刷会社に入稿する時点でデータを出してもらうべく、各団体等に協力要請をしています。

定価改定、絶版情報も盛り込む予定です。

現状では56%の出版社が情報提供していますが、これを80%に引き上げる努力を推進していきます。

書店のパソコン活用の促進も進めたい。

現在のパソコン導入は書店総数の約25%にあたる五千軒ですが、出来るだけ早い時期に一万軒に増やしたい。

ひとつのパターンができれば、他社にも呼びかけて汎用性を向上させていく予定です。

一番弱いのは注文システムだけに、3年以内に整備します。

未だにスリップが注文の生命線であるという業界は、成熟産業どころか、未熟産業です。

必死で推進していきたい。

安西 データベースの話しでいえば、当社の場合、170万点あります。

在庫情報を「○、×、△、?」で区分すると、「○」は50万点、「△」5~6万点、「×」が85万点、「?」が30万点。

「×」が多いのは、古いデータがそのまま残っているため。

「?」のうち半分は実は「○」なのですが、情報が整備されてない。

「?」に注文がきた場合、出版社に電話したうえ、出来る限り翌日には読者にメールで連絡します。

「在庫がありそうです」というと、大半の読者は時間がかかってもリクエストされる。

「?」の出版社は総じて規模の小さいところが多いですが、たかが在庫確認でどうしてこんなに時間がかかるという苦情があります。

 注文を早くするだけでなく、正確な情報提供を含めた流通改善が必要になってきます。

当社のネット専用倉庫には50万点常備品がありますが、読者とダイレクトでやりとりするようになり、読者の要望にデリケートになって、倉庫をつくった経緯があります。

「全体のコモンセンスのレベルを上げていこう」がかけ声になっています。

またネットに関しては、書店介在型が順調に伸びています。

中村 書店は色々なサービスを提供していくことを考えていかなければなりません。

読者は欲しい本は確実に早く手に入れたいと思っています。

菊池 取次の方が電話で出版社に在庫確認し、メールで連絡するのはすごく手間のかかる作業ですね。

情報を正確に知りたい、いつ届くのか知りたい。

本が早く届くことは大事ですが、届かないケースでは、その事情をきちんと伝えることが重要になってきます。

私の会社で、新聞の書評に紹介された専門書に注文が殺到し、在庫切れになり、つい先日重版した例があります。

タイミング次第で読者ニーズとマッチングすると急に需要が出てきます。

このように品切れになった本がいつ届くか分かることが求められているのだと思います。

取次会社の客注ネット対応も充実してきたようですね。

野村 将来展望を踏まえた整備充実が必要になってきています。

年7万点も新刊が出て、一般の商材なら不必要となるデータベースが、出版物は性格上エンドレスで増えていきます。

ところが、商品が本当に稼動しているのか否かがネックになっています。

そのため客注問題を解消すべく対応をしています。

ブックライナーでは、注文の可否、書店到着日等の回答を行い、受注から3日間で商品を届けるため在庫商品を手元に置いているわけです。

また、委託制度は非常にすぐれたシステムですが、反面注文品まで返品問題を発生させ、結果として注文が必ず入荷することへの弊害となっている部分もあります。

仕入れたものに責任をもって売っていく、そのかわり納品を保証する「契約販売」を展開していますが、これも流通の健全化と考えています。

厳しい書店経営から見えるもの

清田 他業界と比べると出版界は産業的には未成熟な部分があることは確かです。

とくに流通面では改善すべき点が多々あります。

例えば委託販売制をとってみると、委託期間に出版物がちゃんと並べられているか、返品のルールが守られているかなど問題点があることは事実です。

こう考えると委託販売制の現行のルールをよりよい方向に改変することが必要です。

弾力運用を内容的にみると出版社、取次会社、書店の関係性、条件、商慣行を個別具体的に検討する必要があるのではないでしょうか。

中村 色々検討することがありますね。

例えば、謝恩価格本の扱いは、仮バーコードをつけたり、とっても手間がかかり、実際のところ商売にならないという声が聞こえています。

下向 書店は現実として急速に衰退してきています。

書店の配達そして注文をとる機能は、この仕組み自体の期待はあるものの、現実には低マージンの中で負担増を強いられています。

長い目でみると続かない仕組みはよくない。

負担の押しつけ合いは改善しなければならないと思います。

清田 書店が生き延びるにはこれが必要という提言をお願いします。

下向 大書店・大企業限定の企画・展開は、中小書店から手をあげる機会がなく不公平感を招きます。

その店の中にある商品をセレクトして安くする要素もあり、これでいいのかという思いもあります。

独占的に行われ、実施書店の周辺の書店も知らない。

一定のルールは必要だと思います。

 中村 出版社の判断は極めて重要です。

それだけの権利をもっているのですから。

それなりの義務と、取引上の公正さと透明性の確保が必要だと思います。

菊池 謝恩価格本のガイドライン・指針が必要になってきます。

弾力運用の手引きのようなものですね。

大竹 公取委的にはガイドラインという名称は問題だが、手引きはOKというニュアンスでしたね。

ポイントカードと読者サービス

清田 実例を参考にしつつ、ある程度のルール作りは必要ということになりますね。

ポイントカードについてはいかがでしょうか。

 下向 ポイントカードについては、これまでおおむね議論はし尽くしたと思います。

公取委の考え方が変化してきました。

当初は、販売促進にとっては有効という促進論でしたが、書店に原資がない、再販契約上の問題を指摘していくうちに、ポイントカードは値引き行為で再販契約上は違反にあたるという認識になってきました。

ただし、出版社の契約上の問題であり、再販契約上きちんとした対応を出版社がとるかどうかが大切になってきます。

日書連では、再販契約上の問題がある以上、出版社の判断によってこの問題の打開の道が開かれるとの姿勢で臨み、主要各出版社に要請を行いました。

大脇議員への答弁書の中でも、この問題は当事者間で対処すべきとされています。

大竹 再販契約上は値引きと考えられます。

しかし契約違反という理由からだけではなくポイントカードには反対です。

読者サービスという視点から考えた場合に、本当にポイントカードが特別に喜ばれるものか疑問です。

どのようなサービス方法が読者に喜ばれるのか総合的に再検討していくことが大切と思います。

清田 公取委は多様性をいいながら、ポイントカードではこだわり過ぎの印象をもたざるを得ません。

出版界には独自のサービスがあるはずで、多様な読者サービスを模索することが重要になると思います。

上野 ポイントカード問題は私的な再販契約をどう守るかにつきます。

私的自治の限界が試されているともいえるでしょう。

書店と協力して“読書ノート”を

大竹 小売店がポイントカードの原資を出すのは難しい。

仮に出版社が原資を捻出するとすればいずれは定価に影響が出てきます。

仮に5%の原資の提供はコスト計算からすると定価換算で15%相当の影響が考えられます。

現在の低価格維持を前提に、多様なサービスを考える方が読者利益につながると思いますが。

中村 ポイントカードは個人の履歴を取ってデジタルデータ化し、蓄積することで顧客を囲い込むという仕組みもあり、個人情報の点から問題があると思います。

出版点数、価格の検証をきっちりやった上で多様な読者サービスを見出すことが重要になるでしょう。

下向 ポイントカードの実態を調査中ですが、神田の書店の例では販促手段が競争激化を誘発し、結果として書店自体が疲弊してしまいました。

菊池 レコード業界があっさり取り入れたのがポイントカード論議のきっかけです。

世の中に広まり、それを支持する消費者もいます。

様々な読者サービスをポイントカードによらず、どう見出していくかがカギになってきます。

読者が納得できるサービス提供、魅力を感じてくれる状況を作りだしていかなければいけないという、厳しい問題を突きつけられています。

相賀 思いつきですが、例えば子ども向けの読書ノートを作って、ラジオ体操の押印のように、購買金額や内容は問わず、ある数までいったら、図書カード・券がもらえるシステムはどうでしょうか。

日書連と組んでやれませんか。

中村 面白い発想ですね、早急に検討してみます。

新古書店、マンガ喫茶と権利問題

清田 多様なサービスの中で面白い実験になりそうな予感がありますね。

ところで「出版者の権利」の問題にはどう取り組んでいけばよいのでしょうか。

上野 コピー問題に端を発して、出版者に何らかの固有の権利を認めてもらう主張を展開しています。

著作物の伝達者として出版者はレコード製作者と、どこが違うのかという主張の運動でもあります。

新古書店、マンガ喫茶、図書館などでも問題が起きており、業界を揺さぶるような変化のうねりが出てきています。

仮に、補償金制度の導入など著作権法上の救済が認められても、著作権者が救済されるだけで、いまのままでは出版者には何の権利も救済もないという状況への危機意識が台頭しています。

新古書店、マンガ喫茶などは身近な存在だけに、今後の運動展開は出版者だけでは迫力不足の面もあり、出版界が一体となって取り組む必要があります。

著作者はじめ書店、取次会社の理解・協力を得ながら出版者の権利を出版文化の再生の原点として取り組んでいきたいと思っています。

菊池 諸外国に比べて出版者の保護政策は弱い。

出版文化をどう保護し育てるかの観点がないと、話しは安易な方向に流れてしまいます。

どう解決するかはたいへん難しい。

新古書店問題でコミック作家が立ち上がりましたが、打開するには壁が厚いようです。

長期戦覚悟でじっくりやっていくしかない。

具体的にもっと突っ込んで考えていくことも大事になってきます。

清田 この問題に関連していかがでしょうか。

中村 海外の事情を含めて日本の状況と対比することが一歩ではないでしょうか。

上野 新古書店は身近な存在であり、その対策についてはむずかしい点もあるが書店、取次会社も同じ立場で取り組める問題と考えているのですが。

図書館と今後も連携

菊池 図書館とは図書購入費が削られないように連携しています。

将来的にも連携の糸をたぐりよせながら、解決を図っていくべきだと思います。

図書館と短兵急に対立しかねない状況を助長するのは得策とはいえないと考えています。

上野 図書館とは本来、共闘していく立場にあります。

著作権の専門家・文化庁の審議会の場でも新古書店やマンガ喫茶の話題は出席者の関心を呼びました。

 相賀 文化庁が出版に関連する法律を見直す動きがあるようですが。

上野 そういう動きにあると思います。

結果として出版社に有利に働くかどうかは別問題ですが。

相賀 図書館の問題でいえば、図書館が多くなってきているし、利用率も高く、年間5億点も貸出している現実があります。

しかし、50年ほど前につくられた図書館法第17条で市民への無料貸出しが原則になってはいますが、著者側からクレームがつけられていることについて、今後どうするか考えなければなりません。

下向 今の図書館の在りようは、てっとり早く本を購入して、書店と競合するような運営がなされている部分があると思います。

単純に読みたい本という基準で本を購入するということでいいのか疑問です。

相賀 市民サービス論と図書館の在り方については、図書館業界でも議論されています。

バランスをとって運営されるべきで、同じ本を何十冊も購入するというのはおかしいといわざるをえません。

清田 図書館界のある団体の調査では、複本購入のうちベストセラーに関してはもっとも多い図書館で1%程度という数字があります。

量的には非常に少ないので、著者側からのクレームがありますが、図書館で借りて読む人たちが増大することは、それだけ読者のすそ野が広がることです。

著者側からのクレームも売れる作家の発言が目立ちます。

数多い作家のうち、自分の本を読んで欲しいと思う人が多いのではないでしょうか。

いずれにしても、図書館貸出しの問題は海外の事情を含めたレポートが必要になってきます。

出版文化の再生に何が必要か

清田 最後に活気ある出版文化の再生について意見をお聞きしたいのですが。

菊池 正直いうと自社のことで精一杯の状況にあります。

5年連続マイナス成長の状況下で、読者がついてきてくれるものを出していくことしかない。

読者の求める質の高いものを送り出すこと。

また本の内容をわかりやすく伝えてない部分もあります。

新聞の書評、テレビの関連番組、書店店頭でのPRなど本の良さや面白さが伝わる分かりやすいメッセージを送ることによって、読者は反応します。

当社の場合、地味な専門書が新聞の分かりやすい書評で紹介された途端、注文が急増した例があります。

良い企画を出し、その内容が分かりやすく伝わる工夫をしていくことが大切だと考えます。

一方で流通などのインフラ整備を進めることが必要だと思います。

青木 客注品の取り寄せ実態をみると、30%位に問題があると思います。

要因としては絶版品・品切れ・返答なしなどによる未入荷が考えられますが、在庫情報充実により、一定の解消はできるのではないかと思います。

お客のニーズや環境も変わってきていますから、原点に戻り、ひとつひとつ課題を克服していくことが重要だと思います。

書誌データの整備・インフラ整備が最も大切です。

情報も含めて、365日型に向けての出版社の協力が必要だと思います。

野村 書店と営業している中で感じるのは、読者に本の情報が伝わっていないことです。

きっかけ次第で売れるものはたくさんあるでしょうし、そのきっかけを与えていくことが必要と思います。

発行点数が多いことそのものが悪いことではありませんが、確かに点数が膨大な分、出版社・取次・書店とも機械的に量を処理しているという面があるかもしれません。

ひとつひとつの本をいかにアピールしていくかがとても重要だと考えています。

「読書」そのものを見つめ直したい

清田 読者の立場では書店は最前線ですね。

その立場で出版界再生の道についてどうお考えでしょうか。

中村 書誌データの整備と、外商をしっかり推進することだと思います。

ネットで選んで書店にくるお客さんは多い。

地域密着の外商は中小書店の基盤になると考えます。

下向 読者が変わってきましたね。

以前より書店店頭での問いかけが少なくなってきました。

書店店頭の活性化でいえば、読者に向かって見える形で情報提供などサービスができるかどうかにかかってきます。

日書連のような全国組織の強みを活かすことも重要になりますが、現実は転・廃業があまりに多い。

この状況にストップをかけることが再生への道だと思います。

相賀 出版社で働く人は作り手であると同時に読者である。

自らが読書をしっかり見つめ直し考えていくことが必須条件だと思います。

そして高齢化社会への対応をしっかりしていく。

活字の大きさひとつとっても、昔作ったままで放置しないで時代にマッチした読みやすさを追求していくことが大事だと思います。

清田 実際、新刊でも大きな活字を使ったものが増えています。

また、弱視者のための大活字出版も盛んになってきています。

時代の流れが本作りの新たな展開を生んでいるととっていいでしょうね。

相賀 当社では、自分が読者の一員としてどうあるべきかを考えていくこと。

そして本に記事なら記者名を記す、編集者だけでなく関連セクションの担当者名を出来る限りどこかに明記することを決めました。

本は著作者だけでなく色々な人が関わって共同作業でできるものだということを自然に理解してもらえたら、という思いがあります。

こうした動きが広がっていけば、出版者の権利獲得に側面的につながっていくのではないかと思っています。

清田 厳しい状況が続く中で、出版界としては読書推進運動は積極的に展開していかなければならない。

先程出ました、図書館と協力して図書購入費が削減されている現状を改善する努力も必要だと思います。

また、出版界は国からの保護政策が弱いような気がします。

他業種では独自の研究プロジェクトを作って、国からの助成を受けて業界の活性化に役立てている例がたくさんあります。

出版界も積極的に助成を受けられるような研究課題を立ち上げることをやってもよいと思うのですが……。

いずれにしましても、再販制の弾力運用を実施することが業界の課題であることを出版社、取次会社、書店が再確認する必要があることは確かです。

今日はどうもありがとうございました。

座談会「活気ある出版文化再生のために」前文

書協・雑協・取協・日書連で構成する出版流通改善協議会は、八月二十二日に座談会「活気ある出版文化再生のために」を開催した。

出版の活性化と読者サービス、流通改善や再販弾力運用など幅広いテーマで行われた論議を紹介する。

なお、この座談会は同協議会が作成する再販弾力運用レポートに収録される。

トーハン総研フォーラムで永井氏が講演

トーハン総研カルチャーフォーラム「永井伸和との熱き2時間」が十月四日、東京・東池袋の「かんぽヘルスプラザ東京」で開かれ、出版関係者百名が出席した。

今井書店グループ社長で鳥取県書店商業組合理事長をつとめる永井氏が読書推進から出版文化創造まで、ビデオ上映を織り交ぜながら講演。

「地域読者に支えられて今日がある」と強調し、一九八七年の本の国体「ブックインとっとり」、九五年の「本の学校」設立と、九九年まで連続五回開催された「大山緑陰シンポジウム」など、同氏が山陰発で巻き起こしたムーブメントの数々を解説した。

また、来年十月に開催される第十七回国民文化祭・とっとり2002「夢フェスタとっとり」で「出版文化展」を行うとし、「不況でピンチの今こそ出版界インフラ整備のチャンス。

読者の視点で取り組みたい」と呼びかけた。

言うに言えない本屋の現状、熱く語る

こんなに本屋が大変なもの、苦しいものと感じた時期はありません。

日々の売上が信じられないくらいのものとなり、人生そのものまでも考え始めているこの頃です。

売上が上がるどころか下がる一方という大きな問題、図書券の釣銭の問題、取次の返品処理の問題、付録をセットする日々、長い労働時間、利益の薄さ、抱えている借金問題、取次の対応問題……。

一つの例として広告主が出している付録のセット料はどこに行っているんだろう。

自分たちが朝早くから付録をセットして半製品から製品としている行為は、無料奉仕となっています。

各種金券は釣銭を出していないのが現状であり、図書券での釣銭を出している行為は、教養・教育・文化を売りにしている本屋が、子供たちに換金の安易さを教えるものです。

また、本屋によって図書券の扱いが違っていることは大きな問題であり、図書券裏面に「釣銭は出しません」の一言を印刷するべきです。

自分たちは本当に「弱いんだなあ」と感じます。

そんな時、「新文化」九月二十七日付で神奈川県書店商業組合の前理事長・萬納昭一郎氏が一石を投じてくださいました。

文面には今まで言えなかった本屋の現状と、どう対処したらいいかが熱っぽく書かれており、勇気をもらった感じです。

「新文化」を購読していない書店は多いと思うので、この文章を書店新聞に転記して載せるか、もう一度、萬納氏を取材され、それを文面にして載せていただきたい。

書店が抱える大きな問題をお互い出し合って一つひとつ解決し、本屋を商っていて良かったと思える職業にすべく、業界全員で考えるべきだと思います。

MLでウィルス対策の情報交換

「九月二十六日午後十時四十八分、コンピュータ・ウィルスnimdaが河出書房HPに感染。

アクセスには注意!」の報が、京都書店組合の辻本氏からメーリングリスト「hon-kinki」に流された。

伏見区の書店さんから感染情報が入り、速報を打ち、同時にワクチンを探索、午後十時時五十八分にはウィルスnimdaの感染情報や駆除ツール(ワクチン)の入手方法を続報されました。

午後十一時時六分には北海道の岩田書店さんからも対策情報とnimdaの語源など周辺情報がアップされました。

九月二十二日、あるHPのサーバーがウィルス対策でストップされていたのを聞いて、HP経由の発注を営業マン個人のメール発注やFAX発注に切り替えていました。

発注の作業工程が倍になりバイト君はブツブツ。

「河出書房HP感染・ただいま対策中」と判り、ひと安心です。

おかげで感染を免れました。

今のところ。

書店のIT化が叫ばれ、小店でもインターネットによる発注を日常的に行っていますが(FAX注文に比べて発注経費が四五%安くなるため)、ウィルスは困ります。

これもテロ(サイバー・テロ)です。

特にネットワークの要に打ち込まれるウィルスは、急速に広範囲に感染してしまいますから、早急な駆除ツールの注入が必要です。

しかしHPへアクセスする者にはどのHPが感染しているか判りませんから、余計に厄介です。

京都組合では小学館PC支援実験中ですので、百台のPCの感染防止のためにも、インターネット上の情報を日夜監視をされておられるのでしょう。

さらにその情報を「県」という垣根を越えて流通する「hon-kinki」ルートに載せられたことは、極めて「インターネット的」です。

貴重な情報をいただいた京都書店組合の辻本氏や北海道の岩田書店さん、「hon-kinki」を設定された方々に何らかの情報バックをしなければ、折角の「インターネット的」な動きが止まってしまいます。

情報バックを心掛けることで新しい発見も生まれもしますし。

書店相互の情報流通インフラを整備維持する事と同じくらい重要な、個人の情報発信やそれを支える日常の情報生活の姿勢が、これからの「書店現場のIT化」を推し進めていくのだと感じました。

ありがとうございました。
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