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平成24年5月15日号
紙も電子も本は書店が販売しよう/電子書籍事業で新ビジネスの創造目指す/日書連・電子書籍対応部会・鶴谷祿郎部会長に聞く

日書連がウェイズジャパンと提携して進める電子書籍販売事業は、1月末にサービスを開始して3ヵ月余りが経過。現在11組合96書店でプリペイドカードや電子コミックリーダーの販売に取り組んでいる。日書連指導教育委員会・電子書籍対応部会の鶴谷祿郎部会長(青森県書店商業組合理事長)に、同事業の狙いと今後の展開について聞いた。(聞き手=本紙・土屋和彦)

〔電子書籍で需要を喚起〕
――日書連が電子書籍サービスに取り組む意図は。
「電子書籍は、出版社や著者が、電子書店のプラットフォームを経由して読者にダイレクトに届けるビジネス。紙の本に関しては、書店が読者の要望を聞いて自分のお店に活かし、また業界の川上に反映してきた。電子書籍という新しい市場において、書店が蚊帳の外に置かれてはいけないという危機感から、我々が電子書籍も扱えるようにしようということが一つだ。
もう一つは、紙と電子が融合する新しい書店づくりが可能になるだろうということだ。出版物の販売は年々右肩下がりで、読書離れも言われているが、新しい需要を掘り起こす道具として電子書籍が役立つのではないかと期待している。
青森という遠隔地の書店として、電子システムを使うことで物流面における地方格差解消が図れないか、地方出版物を電子化して配信できないか、という思いもある。従来の市場になかった新しい書店ビジネスが広がっていくと考えた」
――ウェイズジャパン(以下ウェイズ社)と事業提携した経緯について。
「平成22年にさまざまな電子書籍端末が登場し、多数の企業が電子書籍事業に参入するなど、『電子書籍元年』と大いに騒がれた。日書連では勉強会を開催し、電子書籍市場について動向の把握に努めた。
そうした中、ウェイズ社から書店店頭で電子書籍サービスを展開したいという提案をいただいた。同社は電子雑誌や電子新聞の分野で実績を持っており、協議を進める中で、書店が持つ読者との関係性や地域社会との結びつきを重視しているという話を伺った。『電子書籍市場において書店の役割を確保する』という理念で一致し、協力して事業を進めることになった」
――電子書籍対応部会の取り組みを教えてください。
「部会では、都道府県組合が事業の契約主体となるための土台作りをした。日書連とウェイズ社が締結する『電子書籍販売事業基本協定書』、組合とウェイズ社が締結する『電子書籍販売事業基本契約書』や、書店とウェイズ社が結ぶ各種契約書のひな形を作成した。
また、事業モデルについても協議を進める中で当初の計画からモデルチェンジを図っていった。コンテンツ販売を中心に据えた取り組みを一層明確に打ち出すために、電子書籍の購入に使うプリペイドカード『雑誌オンラインカード』を開発して、書店店頭で販売することにした。
現在の電子書籍市場の中心となっているのはコミックだ。若い読者を書店店頭に呼び戻すことに特化した販売戦略をとるために、電子端末機『イストーリア』の最初のバージョンはコミック専用リーダーとした。現在書籍用の端末を開発中だ」

〔全組合に部会設置進める〕
――電子書籍サービスの現在の状況は。
「日書連とウェイズ社で12月15日に基本協定書に調印。1月19日に青森組合が全国に先駆けて基本契約書の調印を行い、1月31日にプリペイドカードと端末の販売を開始。同日に東京組合も先行販売の形でサービスをスタートした。
現在、青森、神奈川、東京、山梨、愛知、石川、福井、大阪、奈良、熊本、大分、鹿児島の12組合が基本契約書を締結し、電子書籍販売事業に参加した書店は約100店となっている。出版社からは予想より参加店が多いと好意的な反応をいただいている」
――今後の取り組みは。
「事業の参加書店にアンケート調査を実施する。調査項目は、①参加した動機②事業に求める関心事とメリット③実現してほしいこと④困っていること――の4点で、5月の定例理事会で調査結果を発表する予定だ。また、各都道府県組合に電子書籍対応部会を設置するよう呼びかけていく。各組合で電子書籍に詳しい人材が育ち、組合員を引っ張ってもらえたらと期待している。また、プリペイドカードの愛称を全国の組合員から募集したい。
今年度の目標としては、来年3月末までに全都道府県組合がウェイズ社と基本契約書を締結するよう働きかけたい。店舗参加率は、厳しいかもしれないが、今年度中に全組合員の30%超を目指していく」
――参加書店の反応はどうでしょうか。
「アンケートの集計待ちになるが、青森組合で調査を先行実施しており、既に回答が来た中から紹介すると、参加した動機で最も多かったのは『新しい収益源にしたい』というもの。事業に求めることと、実現してほしいことでは『電子書籍のデジタルコンテンツが早く充実すること』『安くて見やすい読書専用の端末機が早く販売されること』が上位になった。また、困っていることでは、『国内及び県内における電子書籍の販売状況を知りたい』『これからの書店はどのように変わればよいのか知りたい』という声が多く寄せられていた」
――この事業の今後の可能性について。
「3つの可能性があると考えている。1つ目は、リアル書店は在庫を抱え込み、回転が悪いという問題がある。これを電子コンテンツでカバーし、書店の資本投資の軽量化を図ることができるのではないか。また、電子システムの機能性を現状の書店経営に役立てることができるのではないか、というのが2つ目の可能性だ。
3つ目は、書店の新しい営業分野の創造について。電子書籍は、著者と読者がダイレクトにつながることができる。そこに書店が介在することで、新しいサービスを基本としたビジネスを生み出せる。『クロスマーケティング』の手法で、著者やコンテンツに関連する商品やサービスを書店が仲介して販売する。今後の重要なニュービジネスだと考えている」
――現在の段階で見えてきた課題はありますか。
「電子書籍市場が成長していくためには、コンテンツの充実、安くて使い勝手のよい端末機の普及、読者サービスシステムの開発・整備という3つの課題があると思う。
出版各社が連携して立ち上げた出版デジタル機構は、5年計画で100万点の電子出版物を制作するという。また、官民ファンドの産業革新機構が出版デジタル機構に150億円を出資するとのことで、出版物のデジタル化が一気に進みそうだ。
読者サービスシステムについては、ブックレビューや、推薦文・推薦図書を紹介する『レコメンドサービス』、『試し読みシステム』など、書店店頭で無料で閲覧できるサービスシステムが、出版社の協力を得て開発・整備できればと思う。読者に本を読むことの楽しさ、大切さを伝え、書店店頭に読者が来るような策を考えていきたい」


【電子書籍サービスの概要】
電子書籍を購入したい読者は、パソコンやスマートフォンなどの端末でウェイズジャパンの運営する電子書籍プラットフォーム「雑誌オンライン+BOOKS」にアクセスしてコンテンツを購入する。
書店では、この購入金額に充当できるプリペイドカード(1500円、3千円、5千円の3種類)を販売する。販売時にカードの10%が手数料収入となる。
また、購入金額の決済方法をプリペイドカードからクレジットカードに変更した場合は、その読者に最初にプリペイドカードを販売した書店を対象に、クレジットカード決済額の約10%が手数料収入となる。
コミック専用の端末として、電子コミックリーダー「イストーリア」(販売価格1万8千円=写真)も用意。こちらは販売額の15%が手数料収入となる。
初期導入費は、什器、サンプルカード、イストーリア1台等が一式となって2万5千円。
この事業についての問合せは所属の書店組合、または日書連事務局へ。

6月21日に第24回日書連通常総会

日書連は6月21日(木)午前11時から東京・神田駿河台の書店会館で理事会を開催。引き続き午後から第24回通常総会を開催し、平成23年度事業報告・決算報告、平成24年度事業計画・予算案などを審議する。
また、出版物小売業公正取引協議会の通常総会は5月17日(木)午前11時から開催される。

本と花の祭典に2万人/サン・ジョルディ名古屋2012

第27回を迎えた「サン・ジョルディフェスティバル名古屋2012」が4月21日、22日の両日、名古屋市東区のOASIS21銀河の広場で開催され、リサイクル本やバラのチャリティ販売、絵本作家の読み聞かせなど多彩なイベントが行われた。2日間の来場者数は約2万人にのぼった。
愛知県書店商業組合はリサイクル本のチャリティ販売を実施。読者から本を寄贈してもらい、定価の2割以上で販売するもので、売上金は東日本大震災の被災者支援や、中日新聞社社会事業団が行う各種福祉事業に役立てるよう寄託する。今回は約1万冊が寄せられ約45万円を売上げた。同時に行ったバーゲン本販売の売上は約35万円となった。
21日昼に行われたオープニングセレモニーで、愛知組合の佐藤光弘理事長は「今回は絵本作家の先生方4人をお招きし、読み聞かせやサイン会を行っていただく。また初めての企画として『大人の塗り絵教室』を開催する。フェスティバルのメインとなるリサイクル本のチャリティ販売は、今年も東日本大震災の義援金として、たくさん寄付させていただきたいと思っている。ご協力をお願いしたい」とあいさつした。
会場では、21日に三浦太郎、高畠純、22日に宮西達也、こじましほの各氏が読み聞かせとサイン会を行い、多くの親子が詰めかけた。22日に行われた『大人の塗り絵』(河出書房新社刊)の体験教室は、午前・午後2回の開催がともに満席となる盛況だった。

第16回春の書店くじ/図書カード5万円分

第16回「春の書店くじ」抽せん会が5月7日午後5時から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で行われ、特等賞「図書カード5万円分」をはじめ各賞の当せん番号を決めた。
抽せん会は、日書連書店再生委員会の杉山和雄委員の司会で進行。大橋信夫会長が出席いただいた関係各社に御礼のあいさつを述べた。続いて抽せんを行い、出席者の中から選ばれた、トーハン・谷川直人取締役ら5氏がボウガンの射手をつとめ、特賞から4等賞まで次々と当せん番号を決定した。
最後に舩坂良雄委員長が経過報告を行い、「書店くじは販売促進の大きな柱。日本図書普及から多大なご賛助をいただき、賞の図書カードでお客様に還元し、書店で利用していただいている。図書カードとともに私どもの書店くじは成り立っており、これをいかに増売につなげていくかが委員長の役目ではないかと思っている。新企画があれば、ぜひ皆様のお力を借りて一層お客様に喜んでいただける書店くじにしていきたい」と述べた。
懇親会に先立ち、小学館の早川三雄常務が「書店くじを読者と書店のコミュニケーションのツールに大いに使っていただき、委員長がおっしゃったように増売に結びつけていただければと思う。我々も一緒になって盛り上げていきたい」とあいさつして乾杯の音頭を取った。
なお、書店くじの引き換え期間は、5月23日(金)から6月30日(土)まで。
*訂正

本紙5月1日号1面掲載、黄綬褒章受章の記事で岡吾朗氏とあるのは岡吾郎氏の誤りでした。訂正いたします。

「読書週間」ポスターのイラスト募集/読進協

読書推進運動協議会では「2012年(第66回)読書週間」ポスター用のイラストを募集している。
読書週間のポスターは全国の学校、公共図書館、書店等に掲出されるもので、大賞を受賞したイラストを図柄に採用。また各種雑誌に掲載するPR広告にも使用する。
イラスト募集は新人イラストレーターの意欲的な挑戦の場となっており、読進協では美術・デザイン系の大学・短大・各種学校や画材店等に要項を配布するなど、読書週間の標語募集と並んで普及活動の一環として位置づけている。
応募要綱の詳細は読進協ホームページ(http://www.dokusyo.or.jp/)へ。

北から南から

◆埼玉県書店商業組合第28回通常総会
5月23日(水)午後3時から、さいたま市浦和区の埼玉書籍で開催。

JPIC「20歳の20冊」成人式で「本」を贈る/出版文化産業振興財団専務理事・矢作孝志氏

各界の著名人が推薦する20冊の中から、新成人が選んだ1冊を成人式で自治体から贈る「20歳の20冊」に出版文化産業振興財団(JPIC、肥田美代子理事長)が取り組んでいる。若者に読書に親しんでもらうとともに、本は自治体が地域の書店から定価購入するので書店の売上にもつながる。4月27日に開かれた愛知県書店商業組合(佐藤光弘理事長)の理事会で事業の概要を説明したJPICの矢作孝志専務理事は、「ふだん自治体と付き合いのある地域の書店からも実施を働きかけていただきたい」と協力を求めた。

〔本は地域書店通して購入/売上に貢献する読書推進事業〕
JPICが運営事務局となって、国民読書年の2010年より、成人式で自治体から新成人へ本を贈る「20歳の20冊」という事業を推進している。本格実施から今年で3年目を迎える。
地域の担い手となる新成人にもっと本を読んでほしいという願いを込めて成人式で本を渡すことを目的にしている。成人式という若者が一堂に会する場は、読書から遠ざかっている若者にも本を手渡すことのできる絶好の機会になる。
10年1月に全国4自治体でプレ実施を行い、これまでに34自治体・1校で採用され、6735名の新成人に本が手渡された。読書教育に力を入れ、この事業を継続実施している市町村から近隣の市町村へと少しずつ広がり、実施自治体は増える傾向にある。すでに実施している自治体に、実施検討中の自治体から概要について問い合わせがある、県内の教育委員会での報告や情報共有があるとも聞いている。本12年度も、成人式で本を贈る光景が全国各地に広がっていくことを願い、事業をいっそう発展させていきたい。
12年1月の成人式から、「20歳の20冊」リスト(別掲)を一新した。モデルの杏さん、キャスターの内田恭子さん、陸上選手の為末大さん、フリーライターの永江朗さん、ノンフィクション作家の柳田邦男さんという、読書に造詣が深く若者に影響力のある著名人5名が、20歳のときにこそ読んでほしい20冊をリストアップ。このリストの中から新成人が自ら読みたい1冊を選び、成人式当日に生まれ育った自治体から記念品として本が贈られる。
新成人に贈られる本は、地域の書店を通して自治体が購入する。定価販売で返品も発生しない。自治体が負担する実施費用は、840円(税込)×新成人数(書籍注文冊数に準ずる)。費用の内訳は、書籍1冊、ブックリスト、しおり。本の定価はそれぞれ異なるが費用を統一したのは、自治体が予算組みしやすいから。また、いくつかの自治体に成人式の記念品の予算を聞いたところ800円前後が多かった。

〔地元自治体に実施働きかけを〕
毎年、ゴールデンウィーク明けに、全国の自治体に「20歳の20冊」の資料を送付している。しかし、東京の一財団である私どもの名前で資料を送るよりも、ふだんから自治体と付き合いのある地域の書店が採用するよう働きかけたほうが効果が高い。この事業はJPIC主催、日書連協力で実施している。この仕組みは日書連傘下組合加入書店しか利用できない。ぜひ地元自治体への促進をお願いしたい。あとひと押しで決まりそうだというときはJPICの職員が同行して説明する。実施が決まったら、自治体との細かいやり取りはJPICが行う。
多くの自治体は9月から10月に成人式の記念品を決める。だから、今から自治体に働きかければまだ間に合う。実施が決まったら、自治体からJPICに申し込んでもらう。10月にJPICから「20冊の紹介と選者の推薦メッセージ付きブックリスト」を新成人の人数分送り、自治体は新成人にブックリストと希望書籍の申込書を送る。自治体は11月上旬に新成人からの希望書籍をとりまとめ、注文冊数をJPICに連絡する。12月下旬に書店が書籍、JPICがしおりを自治体に納品するというのが、実施までの流れだ。
11月上旬から12月下旬までの取引については、まずJPICと書店組合が担当書店・取次を決める。JPICは自治体から受けた注文冊数を担当書店に報告、取次に商品手配を要請し、取次は書店に通常正味で納品する。JPICから書店にしおりと熨斗を送り、包装は書店が行う。書店は自治体が指定する日に納品する。ブックリストの20冊については、在庫がなくなったら必ず重版するよう出版社から約束を取り付けている。過去3年、自治体から注文が来て手配できなかったことは一度もない。
「20歳の20冊」は書店業界が元気になってほしいというJPICの活動の一環。若者の読書推進とともに、地域の書店の活性化につなげていくことが狙いだ。この事業を多くの自治体が採用することで、全国各地に読書の根が張っていくものと確信している。
出版文化産業振興財団は事業の内容を説明するため、各都道府県組合に出向いて説明会を行っている。希望する組合は下記まで問い合わせを。℡03―5211―7282FAX03―5211―7285Email=watanabe@jpic.or.jp


【実施実績】(カッコ内は新成人数)
□2009年度(プレ実施)
2010年1月=茨城県・大子町(258名)千葉県・袖ヶ浦市(644名)鳥取県・日吉津村(28名)島根県・東出雲町(130名)
(4自治体・1060名)
□2010年度(本格実施初年度)
2010年8月=長野県・辰野町平出地区(40名)同・南相木村(8名)鳥取県・西伯郡伯耆町(149名)同・日野郡日野町(29名)
2011年1月=北海道・厚沢部町(43名)同・壮瞥町(29名)同・真狩村(25名)岩手県・普代村(40名)福島県・大熊町(150名)茨城県・大子町(225名)千葉県・袖ヶ浦市(630名、市内3ヵ所の会場で実施)岐阜県・恵那市(610名、2011年のテーマが「読書のすすめ」)同・白川町(120名)同・高山市朝日支所(27名)山梨県・丹波山村(6名)奈良県・十津川村(35名)福井県・おおい町(99名)鳥取県・日吉津村(35名)同・八頭町(254名)島根県・東出雲町(130名)同・邑南町(130名)高知県・大豊町(34名)同・越知町(48名)同・田野町(40名)同・室戸市(170名)長崎県・東彼杵町(140名)宮崎県・新富町(200名)鹿児島県・喜界町(100名)
(28自治体・3546名)
□2011年度
2011年8月=福島県・南会津町(235名)長野県・南相木村(17名)鳥取県・日野町(35名、1名3冊)同・伯耆町(139名)
2012年1月=北海道・厚沢部町(50名)同・壮瞥町(30名)同・中頓別町(15名)同・真狩村(25名)岩手県・普代村(50名)福島県・大熊町(120名)茨城県・大子町(215名)静岡県・藤枝明誠高等学校(34名、中高一貫校)岐阜県・白川町(140名)同・高山市朝日町(19名)奈良県・十津川村(48名)鳥取県・江府町(35名)同・南部町(120名、1名3冊)同・日吉津村(25名)島根県・邑南町(145名)高知県・大豊町(41名)同・越知町(50名)同・田野町(40名)同・室戸市(170名)同・安田町(45名)長崎県・川棚町(175名、東彼杵町での実施を参考)同・東彼杵町(111名)
(25自治体・1校、2129名)
※通算34自治体・1校、6735名

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

雨と寒さに邪魔をされていた春がもう初夏になってきました。この季節に思い浮かぶ言葉は「風薫る」です。本を開きますと、
「薫風、薫る風、風の香り。初夏に風が若葉のうえを渡り、花や草の香りを含んでさわやかに吹くこと。……」
詩歌が引かれ、「薫風」という日本画も添えられています。先人たちの豊かな感性に触れることができます。【註1】
東北大震災関連の本を眺めております。ある俳人は、3・11当時文化使節としてパリにいました。帰国して被災地に向かう彼女の背中をある作家が押してくれました。
「後ろめたさを持ってはいけない。きっとすでに俳句を作っている人もいるだろうから、短冊を持って行きなさい」
彼は阪神・淡路大震災の後に神戸の合唱団から震災の詩を依頼されました。被災現場を見たら書けなくなると思い、行かずに書きました。今も悔んでいます。
「作家として後の人生の負債になった……、卑怯な人間である」【註2】
別の本では、ジャーナリストが告白しています。この1年、自分を東北の被災地に駆り立てているものは、阪神・淡路から「逃げた」、あるいは「何も学べなかった」という後悔の念。しかし、1年取材したところで「10年以上抱え続けていた悔恨は消えるものではない」【註3】
真剣に考え、行動する人ほど悩みは深いものとなるのでしょう。元被災者(どこかエラソー)の立場で申しますと、そう言ってくれるだけでありがたいです。気にかけてくれている、できることをしてくれている……、感謝です。
『大正大震災』【註4】という本があります。「関東大震災」のことですが、この呼称はいわゆる公式統一名称ではなく、一般的になったのは戦後のことだそうです。「関東」という地域名ではなく「大正」という元号で呼ぶ当時の日本の政治社会事情を解き明かしています。それは現在の「大震災後」に通じることでもあります。
「全国新聞社ふるさとブックフェア」を開催中です。24社、約400点、【海】では最大規模のフェアです。地元の神戸新聞総合出版センター担当者が、すべての事務・雑務を引き受けてくださっています。私は並べて、本紙などでギャーギャー言うだけです。嬉しく・ありがたいのは、東北から4社が出品してくれていることです。特に被災3県の参加に感激しています。お客様の反応もとても良く、各地の郷土色豊かな書籍を手に取ってご覧になっています。電話での問い合わせも……、
「新聞で見たんやけど、何とかいうのをやってるらしいな?」
(はい、全国の新聞社の出版物を集めています)
「……何?……」
(神戸の神戸新聞のように、京都の京都新聞やら、北海道の北海道新聞が本を出していまして)
「なんちゅう本?」
(各地の歴史やら土地のお祭りや食べ物やらです)
「……いっぺん見に行くわ……」
東北の震災記録集を集めて置いてはいますが、そこだけご覧、
「それで、他の本はどこに?」
(目の前の棚、全部そうです)
お客様の鋭いツッコミ(?)を受け止め、かわしてボケて楽しんでいる私です。
【註1】『日本の歳時記』平凡社コロナ・ブックス
【註2】黛まどか編『まんかいのさくらがみれてうれしいな』バジリコ
【註3】西岡研介・松本創『ふたつの震災』講談社
【註4】尾原宏之『大正大震災』白水社

夢枕獏氏が受賞/吉川英治賞

吉川英治国民文化振興会が主催する吉川英治賞3賞の贈呈式が、4月11日に東京・千代田区の帝国ホテルで行われた。
受賞したのは、第46回吉川英治文学賞に夢枕獏氏『大江戸釣客伝』(講談社)、第33回吉川英治文学新人賞に西村健氏『地の底のヤマ』(講談社)、第46回吉川英治文化賞に大山泰弘氏(「働くことで人間は幸せになれる」を信条に、50年以上にわたり知的障害者雇用を実践し続ける)、岡野眞治氏(独自の放射線測定器を開発、「現場第一主義」のもと、チェルノブイリ、福島両原発爆発事故で現地調査を行う)、畠山重篤氏(20年以上におよぶ植林により森を守ることで海の再生を果たし、「人々の心にも木を植える」活動を続ける)。
贈呈式では、吉川英治国民文化振興会の吉川英明理事長のあいさつに続き、講談社・野間省伸社長が賞を贈呈。賞の選考について、吉川英治文学賞選考委員の北方謙三氏は「釣りという非常に専門的なものを描きながら、普遍性を持って人生の小説になりえている。非常にいい作品を吉川賞は選び出すことができた」、同新人賞選考委員の伊集院静氏は「三井三池炭鉱の闘争は戦後の資本主義と民主主義の葛藤が如実に出た闘争だったが、その時に生きていた人間を鮮やかに書いた」と述べた。

人事

日本出版取次協会は4月25日開催の第60回通常総会で平成24年度新役員を決定。新会長に古屋文明氏(日販)が就任した。
▽会長=古屋文明(日本出版販売)
▽常務理事=山﨑厚男(トーハン)南雲隆男(大阪屋)郷田照雄(栗田出版販売)風間賢一郎(中央社)河野隆史(日教販)國弘晴睦(太洋社)坂井光雄(協和出版販売)
▽理事=阿部好美(トーハン)安西浩和(日本出版販売)齊藤隆巳(日本雑誌販売)
▽監事=関貴司雄(明文図書)山本和夫(公認会計士)
▽顧問=上瀧博正(トーハン)金田万寿人(同)小林辰三郎(同)

□東京大学出版会
(4月1日付、○印は昇任)
専務理事山口雅己
常務理事黒田拓也
編集局長小松美加
出版局長高木宏
営業局長○橋元博樹
総務局長○高柳光男
なお、常務理事を退任した竹中英俊氏は常任顧問に就任した。

実業之日本社『脳を創る読書』著者の酒井邦嘉氏が講演

昨年12月に実業之日本社から刊行された『脳を創る読書』の著者である言語脳科学者、酒井邦嘉氏(東大大学院准教授)が4月4日、東京・新宿区の朝日カルチャーセンターで「脳を創る―紙の本で読む、電子書籍で読む」をテーマに講演した。
同書は、電子書籍が進化する現在、紙の本がいいのか電子書籍がいいのかという問いに対し、言語脳科学の視点から答えたもの。脳の特性と不思議を説き、読書が脳に与える影響に言及しつつ、実際に紙の本と電子書籍で読書した場合の脳の反応について解説する。どちらも使う側の意識が問題としながらも、人間にとっての紙の本の重要性を強調。教育現場での電子教科書への安易な移行にも警鐘を鳴らす。四六判、200ページ、定価1260円(税込)。
講演会で酒井氏は、紙の本の読書について「想像力と考える力を育て、脳を変化し成長させる」と意義を強調。紙の本は「ページ数に対応した厚さや位置情報の手がかりが記憶を助ける。考えるためのツール」、電子書籍は「情報量、効率、経済性を追求する一方、個性や手がかりに乏しい」と両者の違いを説明し、「教育に現状の電子書籍やプログラムは不十分。脳を創ることが目的の読書には、紙の本が必要」と話した。実際に自身が、大学で学生に手書きのレポートを課しているというエピソードも紹介した。
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