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平成29年11月15日号
第8回書店大商談会/書店710名が来場/240社が248ブースを展開

第8回「書店大商談会」が10月26日に東京都文京区の東京ドーム・プリズムホールで開催され、前年を3社上回る240社が出展、248ブースを展開した。来場書店は前年より30名少ない710名で、成立した商談は3560件、金額は7971万7839円(前年比16・1%減)となった。
この商談会は、「書店大商談会」実行委員会(実行委員長=矢幡秀治・真光書店社長)が主催、出版文化産業振興財団(JPIC)が事務局を担当して開催。会場には一般書、ビジネス書、児童書、第三商材の各コーナーが設けられ、出展は240社・248ブース(前年237社・250ブース)だった。
総来場者は前年より4名少ない2242名(書店710名、出展社1198名、取次207名、その他127名)。成立した商談は3560件、金額は7971万7839円で、前年実績は4205件、9490万9288円となっており、件数は645件減、金額は16・1%減と前年を大きく下回った。
昨年サロン形式で運営されたコミックは、今年は出版社24社がブース形式で出展。前回初めて実施した本会と分科会の2日開催が好評だったため、今回も分科会を2018年2月8日(木)に文京区の講談社を会場として開催する。児童書コーナーでは、児童書ブースをまわって集めたスタンプの数に応じて特別提供の拡材等をプレゼントするスタンプラリーを実施。絵本コーディネーターのさわださちこ氏によるラッピング講習会や店頭ディスプレイの講習も行われた。
セミナー会場では、児童書出版社4社による「児童書イベント勉強会~親子で楽しむイベントで店頭活性化!」や、『「言葉にできる」は武器になる』(日本経済新聞出版社)の著者でコピーライターの梅田悟司氏による「絶対売れる!POP講座僕なら、『書店POP』をこう書きます。」、文化通信編集長の星野渉氏による「日本の中小書店も必ず元気になる!独立系書店の存在意義―アメリカの小規模書店が元気な理由」が開催された。
また、9月に発表された「料理レシピ本大賞」受賞作品をブースで展示。サイン会コーナーでは、最新作『トップリーグ』(角川春樹事務所)を刊行した作家・相場英雄氏によるサイン会が行われた。

万引の再犯防止講習会を開催/水戸家裁で非行少年らに/茨城組合

茨城県書店商業組合(池田和雄理事長)は10月2日に水戸家庭裁判所で、茨城県教科書販売の秋田順一氏が外部講師となり、万引の再犯防止を目的とした「万引き防止講習会」を開催。少年・保護者・関係者らを含め約10名が参加した。
この講習会は、水戸家庭裁判所からの依頼を受け、参加者らに書店の被害の実態や経験に基づいた被害者の気持ちなど、書店の現場の生の声を伝えることで、再犯防止に役立てようというもの。
当日施設内の会場では初めにオリエンテーションを実施。その後行われた講習会で秋田氏は、茨城県内全ての小・中・高等学校に教科書を完全供給することを目的とする教科書供給の流れや、仕事へのやりがいなどを説明するとともに、それを支える書店の役割や重要性について話した。
一方、換金目的やゲーム感覚で起こす万引行為が「窃盗罪」にあたるということへの認識不足から、書店の万引被害が拡大し続け、書店経営を困難にしていると説明。いま全国で書店の数は減少し、1軒も書店のない市町村が多数存在しており、これは長年地域に根ざして教科書供給を支えてきた書店の空洞化を同様に意味すると述べた。
秋田氏は最後に、1冊の万引がどれほど多くの人を不幸にし、迷惑をかけることになるのかを説き、「これだけ『万引』という名の『窃盗』の罪は重いのだということを忘れないでほしい」と語った。
(茨城県書店商業組合総務広報委員会・青天目敦)

5氏に黄綬褒章/秋の叙勲

秋の叙勲で全国教科書供給協会から以下の5氏が黄綬褒章を受章した。伝達式は11月14日、東京・霞が関の文部科学省東館3階第1講堂で行われた。
▽浅野一郎(兵庫県・浅野書店)▽石井愼一(静岡県・長屋書店)▽遠藤美津子(新潟県・遠藤書店)▽北中弘(大阪府・北中書店)▽司馬豪久(岐阜県・司馬書店)

出版社3社が増売企画説明/平成30年前半の理事会日程等を承認/東京理事会

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は11月2日、東京都千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。各委員会の主な審議・報告事項は以下の通り。
〔総務・財務委員会〕
平成30年1月以降の理事会等の日程を承認した。
▽理事会=1月休会、2月2日(金)、3月2日(金)、4月3日(火)、4月25日(水)臨時理事会、5月休会。▽新年懇親会=1月16日(火)▽総代会=5月22日(火)
〔事業・読書推進委員会〕
第11回「読者謝恩図書カード」は、出版社17社17口の協賛を得て1万7千枚を発行し、12月1日から販売を開始すると報告した。
増売企画では、講談社、光文社、第三文明社の担当者が企画説明を行った。講談社は『婦人画報新年特大号』(ハースト婦人画報社発行)の内容を紹介するとともに、豪華特典店頭プレゼント企画を説明して増売の取り組みを要請した。
光文社からは、「姫川玲子シリーズ」(誉田哲也著)の最新刊『ノーマンズランド』と同シリーズの文庫既刊について説明。また、売行き良好書として東野圭吾著の文庫『ダイイング・アイ』、前野ウルド浩太郎著の新書『バッタを倒しにアフリカへ』を紹介し、増売を依頼した。
第三文明社は、11月29日発売予定の『春の消息』(柳美里、佐藤弘夫著)について企画説明を行った。
〔指導・調査委員会〕
荒川区と区内警察署の主催で10月24日に行われた「万引き防止のための防犯責任者養成講座」には2書店が参加したと報告。11月28日開催の「第13回東京万引き防止官民合同会議」について、小林副理事長が出席予定と報告した。
組合ホームページの作成では、レイアウト案を12月理事会に提示すると説明があった。

「春夏秋冬本屋です」/「子育てほっとクーポン」/大分・おおくま書店店長・大隈智昭

大分県では「おおいた子育てほっとクーポン」を発行している。就学前のお子さんのいる家庭を対象に住まいの市役所より配布している。クーポンの金額は1万円(500円券×20枚)。市町村内のサービス提供所で使用可能。有効期限は3年で、平成27年度のクーポン券は平成30年3月31日が有効期限。県内18の市町村が発行している。
先日、別府市役所子育て支援課児童係より、当店もサービス提供所に加わって絵本(児童書)提供サービスをしてもらえないかとの相談があった。快く引き受けることにした。市内では4軒の書店がサービス提供所とのことだ。
別府市では235種の絵本(児童書)をクーポンで購入できる。このうち当店に在庫のあるものは100点ほど。とりあえず棚に並べると、クーポンで買える絵本を見せてほしいというお客様がみえられた。子どもに絵本を買ってあげたかったので、こうしたサービスはとてもうれしいとのこと。そんな仕事ができるとこちらもとても気持ちがいい。書名を聞いて発注もできるが、実物を見たいだろうから、当店に無い絵本でトーハン在庫有を補充注文した。
9月末に大分図書で来年度の教科書確定注文書説明会があり、県内教科書供給所が勢揃いした。11月には教科書契約会もある。2018年春からの教科書業務の準備が始まった。大分図書と大ベテランの供給所各先輩方々から、楽しみながらもキチンとやっていく方法を教えてもらおうと思う今日この頃です。

神保町ブックフェスティバル/3日間で売上7300万円

本の街神保町の秋の恒例行事「第27回神保町ブックフェスティバル」(主催=同実行委員会、共催=東京都書店商業組合千代田支部、日本児童図書出版協会など、協賛=出版文化産業振興財団、文字・活字文化推進機構など、後援=東京都書店商業組合など)が11月3日~5日の3日間、東京・神保町のすずらん通り、さくら通り、神保町三井ビルディング公開空地の各会場で開かれた。今年も神田古本まつり(10月27日~11月5日)と同時開催。会場には出版社、東京都書店商業組合青年部、地元商店街などがワゴンを出展し、自由価格本や汚損本などを販売する「本の得々市」が行われた。期間中の売上は合計7300万円。15万人の来場者で大盛況となった。
3日午前10時半、すずらん通り入口で開かれたオープニングセレモニーでは、大橋信夫実行委員長(東京堂書店)の開会宣言に続き、東京都書店商業組合・舩坂良雄理事長、文字・活字文化推進機構・肥田美代子理事長、石川雅巳千代田区長ら関係者によるテープカットとくす玉割が行われ、明治大学応援団・吹奏楽部・チアリーディング部のパレードで華々しく開会した。
すずらん通りとさくら通りで行われた「本の得々市」は、これまでで最大規模となる141社・188台のワゴンが並び、多くの出版社が定価の半額で販売。掘り出し物を求める読者で連日賑わった。中でも人気作家のサイン本や名作『一九八四年』『ソラリス』『ニューロマンサー』のTシャツを販売した早川書房は今年も大人気で、ワゴンの前には長蛇の列ができた。東京都書店商業組合青年部はワゴン2台を出展。岩波文庫70%オフ、岩波現代文庫・新書100円が人気を集め、本を求める読者で人だかりが絶えなかった。
ドラえもん「のび太」くんの声優小原乃梨子さんの朗読研究会、『三省堂国語辞典』編集委員・飯間浩明氏のトークイベント「国語辞典ができるまで~神保町でことばを採集する~」、ニューオーリンズジャズ演奏などの催しも行われた。
神保町三井ビルディング公開空地に設けられた「こどもの本ひろば」では、児童書出版社による絵本・児童書のワゴンセールをはじめ、紙すき体験、おはなし会、ミニコンサートなどのイベントが行われ、親子連れを楽しませた。
このほか協賛イベントとして、本の学校が「出版産業シンポジウム2017in東京『神保町で本の“いま”を語ろう』」、日本書籍出版協会、日本印刷産業連合会が「第51回造本装幀コンクール公開展示」を行った。

日書連のうごき

10月2日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
10月3日JPO運営幹事会に事務局が出席。
10月6日出版平和堂功労者顕彰会に舩坂会長が出席。JPO第2フェーズ説明会に事務局が出席。
10月11日全国公正取引協議会連絡会議に事務局が出席。
10月12日経済産業省カメラ画像利活用サブワーキンググループに事務局が出席。JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
10月13日全国図書館大会東京大会に髙島部会長。
10月17日「若い人に贈る読書のすすめ」書目選定会議に事務局が出席。
10月18日書店大商談会実行委員会に事務局が出席。会計士による定期監査実施。
10月23日河出書房新社「文藝賞」贈呈式に事務局が出席。
10月24日岩波書店「広辞苑第7版」発表会に舩坂会長が出席。
10月25日軽減税率専門委員会流通ワーキンググループに柴﨑副会長が出席。
10月26日書店大商談会に舩坂会長が出席。万引防止出版対策本部に事務局が出席。学習参考書協会70周年式典に舩坂会長が出席。
10月27日JPO会費制度検討ワーキンググループに事務局が出席。
10月30日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
10月31日出版労連と意見交換に事務局が出席。出版サロン会に舩坂会長が出席。

取引条件の改善訴える/中島良太理事長を再任/兵庫総会

兵庫県書店商業組合は10月17日、尼崎市のホテル「ホップイン」アミングで第29回通常総会を開催。役員改選で中島良太理事長(三和書房)を再任した。
総会は原口守常務理事(川池書房)の司会で進行。大橋洋子副理事長(流泉書房)の開会の辞で始まり、中島理事長があいさつ。就任から1期2年を無事終えることができたことに対して組合員に感謝の意を表し、組合員数がピーク時の半分を切った現状を踏まえ、組合未加入店への加入促進の必要性を強調した。また、書店存続のためには、読書推進活動で地域と密接につながり、地域になくてはならない書店になることが必要と指摘するとともに、健全経営のため取引条件の改善を訴えた。
続いて議長に安井唯善専務理事(安井書店)を選出して議案審議を行い、事業報告、決算報告、監査報告を原案通り承認した。
任期満了に伴う役員改選では、安東興専務理事(伊丹文学館)より理事推薦案が上程され、全会一致で承認した。その後、第1回理事会を開き、中島理事長を再任した。
次に事業計画案、収支予算案を承認し、議事を終了。森忠延副理事長(井戸書店)の閉会の辞で総会を終了した。
引き続き懇親会を催し、出版社14名、取次7名、報道1名、書店23名、総勢45名が出席。小林由美子常務理事(小林書店)が司会進行を務め、聖教新聞社・島田純兵庫支局長の来賓あいさつ、日販・岩崎健太郎神戸支店長の乾杯の発声で開宴した。参加者全員で中島理事長体制2期目の前途を祝し、春名洋志副理事長(大和堂書店)のあいさつで閉会した。
(安井唯善広報委員)

雑誌販売の現状と今後/日書連近畿ブロック会がシンポジウム/雑協次世代雑誌販売戦略会議・井上議長、販売委員会・豊栖副委員長と意見交換

日書連近畿ブロック会(面屋龍延会長=大阪府書店商業組合理事長)は10月18日、大阪市北区の大阪駅前第三ビルで「今後の雑誌をめぐるシンポジウム」を開き、京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山・大阪の書店、取次など56名が出席。日本雑誌協会(雑協)次世代雑誌販売戦略会議議長の井上直(ダイヤモンド社)、雑協販売委員会副委員長の豊栖雅文(小学館)、大阪府書店商業組合副理事長の萩原浩司(宮脇書店大阪柏原店)、京都府書店商業組合副理事長の森武紀明(山城書店)、滋賀県書店商業組合読書推進増売委員長の桑野寛孝(扶桑書店)の5氏が、雑誌販売の現状と今後をテーマに意見交換した。兵庫県書店商業組合理事長の中島良太氏(三和書房)が司会を務めた。

はじめに面屋会長があいさつ。「この1年、業界の大黒柱である雑誌とコミックの落ち込みが激しい。これが倒れるとマストのない船になってしまう。アマゾンやdマガジンような岩礁がたくさんあり、これをどう乗り越えるかが課題。この会を何らかの方向性が出る意見交換の場としたい」と述べた。
このあと、雑協次世代雑誌販売戦略会議の井上議長が基調報告。同会議の活動内容を紹介し、10月1日~11月30日まで実施している「月刊誌〝とって置き〟キャンペーン」について報告した。
このキャンペーンは雑協が昨年まで17年間続けてきた「年間定期購読キャンペーン」に代わる、店頭取り置き定期推進のための新たな企画。店頭での都度払いによって取り置きする仕組みのため、従来の一括前払いよりもハードルが低く、書店への来店頻度を向上させることができるメリットがある。
期間中に全国のキャンペーン参加書店で定価500円以上の対象誌(60誌)を購入し、次号からの取り置きを希望する新規購読者にスタンプカードを配布。同一誌を5号連続で購入し、5つスタンプがたまった読者に図書カード500円分を進呈する。外商や配達分は対象とならない。
井上議長は「日本の出版流通は雑誌に依存して成り立っており、雑誌市場の下落は出版産業全体の崩壊を招きかねない。雑協は次世代販売戦略会議を作るなど、雑誌の価値再生を図るための様々な施策に取り組んでいる」と述べた。
シンポジウムでの討議の概要は以下の通り。

〔「月刊誌“とって置き”キャンペーン」/レジでの声掛けが申込みにつながる〕
中島「月刊誌〝とって置き〟キャンペーン」について意見を聞きたい。
萩原はじめのうちは店内にポスターを貼っているだけで、初動は良くなかった。
大阪組合の深田健治副理事長の店では、キャンペーンの内容を記した名刺サイズのカードを作り、対象誌にクリップ留めして連列して、対象誌を持ってレジに来たお客様に積極的に声掛けを行っているという。教えてもらってすぐ、自分の店でも取り入れてみた。すると、いきなり定期購読が入り始めた。一昨日、深田さんから話を聞き、その日の夕方からカード作りとクリップ留めの作業を行い、昨日1日で4人のお客様から定期購読の申し込みをいただくことができた。
ただ漫然とキャンペーンに参加しているだけでは定期購読を獲得することはできない。どう積極的に関わっていくかが大切だ。
昨年、岩手のさわや書店と東山堂で実施したときは、2ヵ月間でかなり多くの定期購読を獲得したと聞いている。こうした成功事例は他の書店でも活用できるのではないか。
森武キャンペーンのことは知っていたが申し込み方法が分からず、いつの間にか締め切りが過ぎていて参加できなかった。今からでも可能なら参加したい。
桑野現状はポスターを貼っているぐらいで、積極的な店頭オペレーションはやっていない。従業員への意識付けを徹底したい。
井上「年間定期購読キャンペーン」に代わる新たな企画を検討するため、全国の書店と意見交換していく中で、さわや書店と東山堂から取り置きキャンペーンのアイデアをいただき、昨年、両書店で実験的に実施した。
対象誌は雑協加盟社だけでなく非加盟社も含めてすべての雑誌とした。だから、対象誌60誌で行っている今回のキャンペーンとは、店頭のオペレーションがまったく違う。レジに雑誌を持って来たお客様にどんどん声をかけることができるので、定期購読が獲得しやすかったという面はあったと思う。それが数字につながった。
萩原ポスターを貼っているだけの2週間と、雑誌にカードをクリップ留めした2日間では動きが全然違った。レジでの声掛けの効果の大きさを改めて実感した。
ポスターだけでなく、雑協は告知方法をもっと広げてほしい。会員出版社の雑誌の誌面にキャンペーン参加店名を掲載したり、テレビやラジオでPRを行えば、効果は大きいと思う。
「インフルエンサー」という言葉が話題になっている。世間に与える影響力の大きい行動を行う人が、インスタグラム、ツイッター、フェイスブックなどのSNSで情報発信することで、商品やサービスの売上が伸びる。そうした仕掛けも検討してはどうか。
井上雑協ではツイッターの公式アカウントを取得し、雑誌に関する様々な情報発信を行っている。雑協加盟社の編集者にもインフルエンサーはいるので、アカウント登録していただくようお願いしている。女性誌のモデルのほとんどがインスタグラムやツイッターをやっているので、出版社と連携して発信していただくことも検討している。
萩原本屋は情報の発信基地と言われてきたが、今はむしろブロガーやモデルなどのほうが発信力がある。その人たちがつぶやいたことに読者が飛びついて、本や雑誌を買いに来るケースが増えている。これからは本屋と出版社がタイアップして売るための仕掛けをやっていくことも考えていかなければならない。
中島今回のキャンペーンは当初2000店参加を目標に募集を行い、さらに追加募集をかけた。今、何店になっているのか。
井上先週、2300店という報告がきた。書店への案内は取次と連携して行ってきた。日書連には雑協から直接案内しようと考えていたが徹底することができず、キャンペーン開始日の10月1日になってもまだ案内が来ないという書店からの声が、私のところだけでも50件ぐらい入った。日書連傘下3500店に案内する手立てが見つからなかったという経緯がある。9月の日書連定例理事会に呼んでいただき、そこで初めてしっかりと案内することができたのが実情だ。
書店への案内については、雑協と取次で役割分担を明確にして臨んだが、雑協から日書連への案内が徹底できず、議長として深く反省している。

〔雑誌は街の本屋の飯の種/配達頑張る書店に「配慮」ほしい〕
中島街の本屋にとって雑誌は飯の種。それを何とか伸ばしたいという思いから日書連は様々な施策を考えている。「書店組合に入るメリットって何?」と聞かれることがよくある。今回のようなキャンペーンを書店組合に入っていなければ参加できないという形で実施していただけると、組合加入メリットの面でありがたいのだが。
井上そもそも今回のキャンペーンをスタンプカードにしたのは、街の本屋さんが参加しやすいようにするため。大型書店がやるキャンペーンはポイントバックの形が多いが、街の本屋さんでそれに対応するレジを持つところはほとんどない。今回は雑協で紙のスタンプカードを用意し、規模の大小に関係なくどの書店でも参加できるようにと考えた企画であることをご理解いただきたい。
萩原雑誌にも店売と配達がある。街の本屋は配達分がかなり多く、その減少が雑誌の落ち込みにつながっている。配達には、お店への配達と個人宅への配達がある。従来の「年間定期購読キャンペーン」は、配達をやっている書店が売上上位に入って、それが配達手数料につながっていた。今回のキャンペーンではそれがなくなって、配達手数料が工面しづらくなったという意見も書店組合の中にはある。
雑誌を復活させるため、配達や店頭定期で必ず買ってくれるお客様を持っている書店に対して、特別な手当てを考慮する余地はないか。また、dマガジンや富士山マガジンと書店との棲み分けについて配慮していただくことはできないか。
豊栖雑誌で元気なジャンルが2つある。パズル誌と美容誌だ。両方ともリアルでなければ役に立たないという共通点がある。デジタルに置き換えることができない部分で雑誌作りをしなければ生き残ることはできない。付録もそうだが、読者がリアルでなければ体験できないものを雑誌は提供していく必要がある。
中島美容室の定期がいつの間にか無くなったと思って見に行くと、みんなタブレットで雑誌を読んでいる。定額読み放題サービスの影響について聞きたい。
森武特に影響は感じない。今まで週刊誌を週4回だったのを2回に減らすなどして、コスト削減を図っている美容室が増えているとは感じる。
桑野私の店もそれで定期が減っていることはないが、ミニサイズ版が出ている女性誌はすべてミニサイズ版に切り替える美容室が増えている。単価の低いものにシフトし、それが書店の売上を圧迫している。
萩原タブレットを導入した美容室から「月400円でほとんどの雑誌が読める。これ、すごくええねん」って言われる。
中島対象誌が多過ぎだ。雑誌全部見ることができたら、それならデジタルでいいとなる。出来れば電車の中吊り広告のように美味しいところだけ見せて、残りは書店で雑誌を買ってくださいというふうにしていただきたい。
自社の雑誌の中で直取引へ誘導する告知を掲載している出版社がある。そうした雑誌を店頭に並べることを問題と感じる書店が多いことも理解してほしい。
井上そうしたことを一律に止めようと強制することは雑協の立場として出来ないが、定期購読の申し込みは最寄の書店にしてもらう、そして出来るだけ書店で買ってもらえるような告知のやり方を考えましょうということは、提案として加盟各社に言っている。
中島雑協は今年も「年末年始特別発売」を実施する。
井上年末年始の1週間を業界全体で盛り上げる期間に出来たらいいねと話し合って企画した。昨年はたまたま31日に設定したが、31日にこだわっているわけではなく、年ごとにどの日を特別発売日に設定するのが一番いいか考える。今回は12月29日と1月4日とし、売上が期待できる定期誌を投入する予定。期待していただきたい。
森武いい商品を出していただければうれしい。ただ、うちのような商店街にある小さな本屋は、年末は営業しているが、年始は営業しないところも多く、そこが残念。配達のことを考えると、美容室がまだ営業している日にちに合わせてくれると助かる。今回の29日の設定はいいと思う。
桑野私の店は元旦も営業するので、新鮮な商品が入るのはありがたい。普段はパート中心に回しているが、12月29日から1月3日までパートは休み。アルバイトだけで営業するので、今回の発売日設定はちょうどいい。
中島シフトの関係でわざわざ年末年始に出勤してもらうのはコストがかかる。官公庁や企業に配達している店は、29日に商品が入っても配達に行けない。昨年はコミックの前倒し発売で支払いが大変だったという話も聞いている。そうしたことも勘案して企画内容を検討してほしい。
井上本日は貴重な場をいただきありがとうございました。少しでも書店のお役に立てるよう頑張りたい。今後とも雑協をよろしくお願いいたします。

第103回全国図書館大会東京大会の分科会から

10月13日に行われた第103回全国図書館大会東京大会(主催=日本図書館協会)の第12分科会「出版流通」は、「書店と図書館の協同を求めて―『公立図書館における図書購入の実態』を中心に」をテーマに開催。文教大学文学部の大場博幸准教授が2016年実施の『公立図書館における図書購入の実態』調査について基調報告し、日書連図書館サポート部会の髙島瑞雄部会長(郡山市・高島書房)が「地元の書店が本や雑誌を図書館に納入すること」と題して報告した。また、「公共図書館の役割と蔵書、出版文化維持のために」をテーマに行われた第21分科会「出版と図書館」で、文藝春秋の松井清人社長が「文芸書系出版社の立場から図書館を考える」と題して報告した。各報告の概要を紹介する。

〔図書館は地元書店から納入を/日書連図書館サポート部会・髙島瑞雄部会長〕
『公共図書館における図書購入の実態』の調査結果を見て、自治体内の書店や書店組合がどの程度利用されているのか、装備付納品や割引(値引)はどの程度なのかという点について、地元書店の視点から感じたことをお話しする。
集計結果の割引率については、噂で耳にしていた数字が挙がっており、「やはり!」というのが正直な感想だ。一般的な書店の粗利益率は21%~22%と言われ、今回の最大の割引率24~25%で装備なしというのは、超大手書店並の粗利益率と同じだ。まず落札しておいて、MARC代や装備費、指定管理費、人材派遣費などの付帯事業で収益を得た上、次回以降は随意契約に持ち込もうとする手法と考えられる。但しその対象は、全国的に名の知れた図書館であることが肝心で、当該業者が納入契約を落札したという事実が、宣伝効果として価値があるかどうかがポイントになる。実際に知名度の高い図書館並みの対応を、地方の小規模図書館で実施しているとはとても考えられない。業者にとって不利益以外のなにものでもないからだ。また、地元書店が同様の対応をするのは、とてもハードルが高いといえる。
基本的に、1図書館からの営業利益(売上から仕入と経費を差引いたもの)は、資料費、運賃(配送料)、単価・冊数・判型(予算が同じならば、高単価・小冊数・小判型ほど経費は少ない)、調達コスト、営業訪問頻度、支払サイト等々によって変動する。資料費が巨額で東京都内にあり、注文品の単価は高額、従って冊数は少な目で、ほぼ在庫品から調達可能、営業は年間数回のみ、入荷後1~2ヵ月で振込入金という図書館が対象であれば、納入業者はかなりの収益が見込めるはずである。驚きの値引が捻出される構図はそこにあると考えられる。基本的にはそこで収益でなく宣伝効果を求め、あるいは継続的な納入でボリュームを確保するというように思っている。
装備については、装備費にばらつきがあるのは理解ができる。従って、「装備なし」マイナス「装備あり」という単純な計算では割引率の説明はつかない。なぜなら、フィルムやラベルの材料費を誰が負担するのか、誰が装備作業をするのか、どこで作業をするのかによってコストが変わってくるからだ。図で納品と装備の流れを示した。例えば、書店や協同組合が素納品した資料を、図書館側が人を雇って館内で装備作業し、その費用を書店・協同組合が負担しているケースが実際にある。図の上から2番目の流れがそれだが、正確を期すためにはこうした事例も考慮する必要があるだろう。
また、意外に盲点となるのは、資料購入代金の平均単価だ。ある公共図書館では、地元書店と大手図書館専門業者とで納入単価に大きな差があった。実はその納入単価の差だけで、大手業者は充分に装備費を捻出できていたのだ。例として10万円の予算でシミュレーションしてみる。本体1万8千円の図鑑を5冊販売し、装備費、作業費やラベル、フィルム代などを概算すると最終的な利益は1万8390円。一方、本体1800円の単行本では、56冊の販売で最終利益は1万4千円。10万円全部同じ本を買うとは思えないが1つの指標として考えると、図鑑を5冊売った方が4390円得している。だから大手専門業者に図鑑を発注して、小さいものだけを地元書店に出すということは、大手業者は4千円分値引ができるということになる。図書館の方が地元書店に10万円、大手業者に10万円発注したといっても、よくよく見ると単価1万円以上の備品を大手に出していて、言葉は悪いが「逆にしてよ、有難迷惑だよ」と思っている書店があるかもしれない。
あえて「装備プラス納品」という形で考えるのであれば、私が思うに①装備材料を図書館から提供してもらって、フル装備をして定価納入、②装備費を別枠で予算化した上で、10%以内の割引(値引)というのが、地元書店としては経営上の限界ではないだろうか。
次に、自治体内の書店・書店組合経由での購入割合について。自治体内の書店からの購入が、1%未満という回答が13・7%あった。これは、多分に緊急性の高い資料や地元書店でしか入手できない資料を購入したものと考えられる。購入というよりはむしろ調達といった方が合っているかもしれないこのケースが、あまりに一方的な利用に見えてしまうのは私だけだろうか。なにしろ書店は1冊の納品のために、10冊記入できる5枚綴の伝票に1冊だけ書いて届けなければならないのだ。
また、25%未満の購入という回答は8・1%だった。これは、おそらく雑誌ではないかと思う。大手図書館専門業者が不得手な部門であり、「地元の書店から取ってあげてるよ」というようなニュアンスを感じる。さらに、3分の2以上の図書館が、資料の75%以上を、自治体内の書店・書店組合から購入していると回答しているが、果たしてこれが現実に即した結果になっているのかどうか、書店の立場からみると、いささか疑問を感じざるを得ない。全てとは言わないまでも、伝票上、形式上、あるいは表面上そうなっているだけなのかも知れない。私は、書店と言うのは業態ではなく業種だと思っているので、やはり本屋として生き残っていくには自分が本を納入することが大事であって、伝票を書くことが本屋の仕事ではないと思っている。
設置自治体や蔵書規模、地域などのクロス集計については、最初に述べたように、大手図書館専門業者や書店の営業利益から判断すれば、首都圏近郊、巨額な予算、業者在庫で賄えて面倒な注文が少ない、そして恐らくは支払が早いという条件の揃った図書館の割引率が大きくなっているという現状は、大いに頷ける結果だ。
最後にまとめとして、主題の「書店と図書館の協同を求めて」について述べる。
ある地方の書店協同組合と地元図書館の関係について特徴的な点をお話したい。その協同組合は地元図書館の大半の書籍・雑誌の注文を担っており、読者直接販売の書籍や高正味(仕切が高い)や定価仕入(利益が無い)の書籍も通常の書籍と同様、フル装備をして納品している。つまり、この注文だけを見れば、完全に赤字だ。また、年間一時払いの雑誌も受けており、年度初めに立替払いをして、月々分割して請求をしている。また、他社に注文しても「品切」と処理された短冊が戻ってくる低定価の書籍や安価なコミックについても、仕入れをする。協同組合が問合わせてみると、何故か版元には在庫があるのだ。そして、もちろんフル装備で納入している。それ以外にも、児童図書展示会や学校司書の研修会、読み聞かせボランティアの講習会などに積極的に関わり、連携して地域の読書環境づくりに努めている。
確かに大手図書館専門業者を使えば、図書館現場は業務が簡素化・システム化できるだろうし、総務省の言うところの「縮充」により指定管理者や人材派遣が増加するのもご時世なのかも知れない。
だが一方では、北海道の留萌市のように書店が無くなり、市として東京から書店を呼び寄せたり、青森県八戸市のように市営の書店を開業したが、その利益は運営費の3分の1しか稼げず、税金で穴埋めをする事態が起こっている。
そうした中で、超党派の国会議員でつくる活字文化議員連盟内に設けられた「全国書誌情報の利活用に関する勉強会」は、昨年4月28日付で答申を発表した。その中では、
①国会図書館は「選書用新刊情報」を作成し、書誌情報を作成する事業者・公共図書館・流通業者・研究機関などに無償で提供する。
②地方公共団体及び公共図書館は、図書館への図書納入に関して、指定管理者が入札業者を兼ねることがないよう区分し、図書納入にあたっては地域書店を優先し、地域文化の活性化に努める。
③出版社は、地域書店の育成という観点から、競争入札の範囲などの見直しを検討する。
以上の項目が、公共図書館の納入を取り巻く課題解決のための提言として挙げられている。
これらが推進されれば、(1)MARCの全国統一・無償化、(2)地元書店・書店組合の図書館納入事業への参加、(3)再販維持(定価納入)による地元書店の健全経営化――が促進されることは言うまでもなく、日書連としては、これらの提言が実現されるよう同勉強会に申入れるとともに、側面から支援を行っているところだ。
私は、いま全国にある地元の書店は、大小問わず、公共図書館、学校図書館につぐ第3の図書館であると考えている。地元住民からすれば、図書館も書店も本があることには変わりなく、なにより書店は雑誌や新刊本に関して既存の図書館をカバーすることができる。地方自治体は地元書店を行政の経費が掛からない第3の図書館として大いに活用していただきたい。そして地元書店としては、第1・第2・第3の図書館が協力して、地域の読書環境や文化的環境を作り上げていくこと、それによって地元がこの先何十年も住民に誇れる公共図書館を維持し、文化的な匂いのする街として、存続していくことを目標にしていきたいと考える。
結論として、地元書店が本や雑誌を図書館に納入するという事は、地元意識に基づいた情報や知識や人材を活用し、納入の融通性を利かし、郷土資料も含む資料収集の精度を高め、よりよい読書環境を公共図書館と協同して育み、数十年後にも地域住民に誇れる図書館、ひいては文化的香りのする地域を築き上げていくためには必要不可欠な条件と考える次第だ。
もちろん、その実現のためには地元書店の情報収集、集品力(資料調達力)、図書館との意思疎通に関する努力が欠かせないことは、書店として改めて肝に銘じておきたい。

〔公立図書館の図書購入調査から/「多様な資料の収集」と「地域書店の保護」について更なる議論必要/文教大学文学部・大場博幸准教授
公立図書館の予算はここ20年ほど徐々に減額されており、資料費の減少傾向が将来も見込まれる。資料収集では、所蔵タイトル数が多いほど、多様なニーズに応えることができる。資料費が限定されるならば、安価に購入することでより多くのタイトルを揃えることができる。購入における割引率の高さが図書館にとっては望ましいと言える。
自治体によっては図書館の仕入先が、自治体域内の書店に限定されることもある。その理由は域内の書店の保護にあることは明らかだが、その調達は図書館にとって望ましいことかという疑問が起こる。政令市以外の地方自治体の書店は零細であることが多いと思われ、これらの書店を仕入先とした場合、大手書店からの購入に比べ割引率は低くなると予想される。図書購入の現状はどうなっているのか、全国の公立図書館に調査を行った。
調査項目は、「自治体内書店からの購入の有無」「装備の有無」「割引の有無」「割引率」「書店組合経由の割合や金額」の5つ。図書購入の際の割引率をみると、割引なしは65・9%で、3分の1の図書館は何らかの割引を受けている。20%以上割引の図書館もあり、最大割引率は25%だ。
図書購入の際の装備の有無は、装備あり60・5%、装備なし37・6%。装備あり納品の平均割引率と装備なし納品の平均割引率の差は2・4%となったが、欄外コメントでは、割引率の差は4~12%とばらつきがあった。
装備なし割引なしは22・9%、装備あり割引なしは41・9%、割引ありは32・5%で、装備付き定価購入を割引に含めれば、約8割は何らかの割引を受けているといえる。装備付きで20%以上割引という非常に有利な契約を結んでいる図書館もあった。
自治体内の書店または組合経由での購入については、78・7%が「はい」と答えている。ただし、複数の取引先のうちの1つという場合も含む。自治体内の書店で購入する割合は「75~99%」というところが多い。大半を書店経由で買っている館と「25%未満」と形式的に買っている館とに二極分化している。
図書館の設置自治体別に割引率の分布をみると、自治体の規模が小さくなると割引を受けられる確率が減り、市町村立図書館は定価購入の割合が6割強。一方、区立等東京都区内の図書館は定価購入の割合が低く、割引率が高い館が多い。また、蔵書規模が大きいと割引の割合、割引率ともに高くなる。
地域別では、関東は割引されている割合、割引率ともに高く、関東から離れるに従い割引率は低くなる。北海道・東北は定価購入が8割になっている。直営館と指定管理館では、指定管理館の方が定価購入の割合が高い。蔵書規模とクロスさせてみると、経営形態ではなく、指定管理館は小規模の図書館が多いから定価購入になってしまっているのではないか。蔵書規模の大きい図書館は直営館が多く、指定管理館は蔵書規模の影響で割引図書館の占める割合が低くなっていると考えられる。
自治体域外業者と域内業者別の割引あり図書館の割合と、装備の有無の関係について、①自治体外で装備あり②自治体内で装備あり③自治体外で装備なし④自治体内で装備なしの4つに分けると、①が最も割引を受けている図書館の割合が高く、以下④③②の順になる。
調査をまとめると、割引納入のある図書館は全体の3分の1ほど。ただし無償での装備を含めると約8割の図書館は何らかの割引を受けている。割引率には1%未満から最大25%まで幅がある。自治体規模・蔵書規模が大きくなるほど、また東京及び近辺の図書館ほど割引率は高くなる。指定管理館より直営館の方が割引を受けている。自治体外の書店から購入する図書館の方が割引を受けている、という結果になった。
さらなる検証が必要だが、大規模図書館ならば、自治体域内かにはこだわらず、大手書店を仕入先とした方が高い割引率を期待できるということは言える。地元の書店を仕入先にすることは、店の経営を支え、地元で消費することで地域で経済が回るという経済効果が考えられる。これは、図書館の予算を文化や教育の振興のためではなく、「産業政策」として利用することを意味する。この論理が妥当なのかどうか、もっと議論の蓄積が必要だ。

〔図書館で文庫を貸し出さないで/文藝春秋・松井清人社長〕
私がこれから述べることは、書籍協会の共同見解ではもちろんないし、文芸書系出版社の総意でもない。ただ、その考え方に賛同して下さる出版社も少なからずあるとは思っている。
出版社において文庫とはどういうものなのか。さらにどうして文庫が収益の柱になっているのかをお話しして、できたら図書館は文庫の貸出をやめていただきたいというお願いをしたい。それが議論の出発点になればいいと考えている。
文庫の売上が大幅に減少しはじめたのは2014年のことだ。出版科学研究所によれば、販売金額で前年比6・2%、販売部数では7・6%の減少。15年には金額で6・0%、部数で7・0%の減少。16年には金額6・2%減、部数7・2%減と、減少の一途をたどっている。今年も凋落に歯止めがかからないどころか、さらに加速しているというのが実感だ。
それを表す確たるデータはないが、近年、文庫を積極的に貸出す図書館が増えている。それが文庫市場低迷の原因の全てなどと言うつもりは毛頭ないが、少なからぬ影響があるのではないかと考えている。大都市周辺の図書館では、蔵書における文庫の数、貸出数はかなりアップしている。図書館が公表しているものを見ると、平成27年の数字だが荒川区の図書館は一般蔵書数が52万7219点、うち文庫が9万4503点。蔵書数の比率で17・92%が文庫だ。貸出数の中では25・6%にのぼる。豊島区では一般蔵書数が56万1147点、文庫が7万4161点で、文庫の比率は13・22%、貸出数では23・6%。大都市の図書館は置いてある文庫の数も貸出数も非常に多くなっているということが言えると思う。また、地方の図書館のホームページを拾ってみても、文庫に力を入れていこうという動きが出ている。
我々文芸書系出版社にとっては、文庫の売上は出版社を支える屋台骨だ。文藝春秋でも最大の収益部門は文庫であり、収益全体の30%強を占めている。これは、『週刊文春』『文藝春秋』という、長く部数トップの座を保っている雑誌をも上回る数字だ。文庫市場の凋落は文芸書系出版社にとって死活問題であり、なによりも著作権者である作家にとって深刻な事態だ。
なぜ文庫が柱になっているか。著作権の第一人者である福井健策弁護士は、7年ほど前に、あるセミナーで「出版社には6つの機能がある」と話した。それは、①発掘・育成機能。雑誌などを通して、作家・書き手を発掘して育てる。②企画・編集機能。作品の創作をサポートし、時にリードする。③ブランド機能。著名な文学賞や強力な雑誌媒体の信用によって、作家や作品を紹介、推奨する。④プロモーション・マーケティング機能。作品や雑誌を宣伝し、様々な販路を通じて展開する。⑤投資・金融機能。①から④までにかかる様々なコストと失敗リスクを負担する。⑥マネジメント・窓口機能。映像化など作品の二次展開において窓口や代理を勤める――というものだ。
文庫というのは1つの作品の、いわば「最終の形態」だ。文芸作品が文庫化されるまでには、雑誌掲載あるいは文学賞に応募→単行本化→文庫化という基本的な流れをたどる。その過程で版元は、先の6つの機能を果たすために、多くの人と時間とコストを注ぎ込む。文藝春秋では、純文学なら『文學界』、エンターテインメントなら『オール讀物』という文芸誌に掲載し、そこを出発点として選ばれた作品が単行本となるわけだが、文芸誌の読者はずっと以前から激減していて厳しい状況だ。単行本も事情は同じで、高名な文学賞を受賞してもベストセラーになる作品はごくわずかだ。単行本は毎月20点ほど発行しているが、黒字になるのは5点あるかどうかだ。
それでも我々が本を出し続けるのは、後世まで残したいと思う作品があるからだ。それが文芸書系出版社の矜持だと思っている。そのためにどこかで稼がなければいけない。文庫は廉価だが、だからこそ購入してもらいやすい。発行部数も桁違いに多く、販売期間は長期に及ぶ。読みたい作品が文庫化されるのを待つ読者も沢山いる。単行本ではあまり動かないが、文庫になると一定の数をきちんと売ってくださる作家も何人もいる。色々な投資を文庫で回収しているというのが文芸書系出版社の偽らざる本音だ。
出版社は、かなりの部分を図書館によってサポートしていただいている。少部数の本を出した時、これは残したいという本を出した時にきちんと買って置いていただいているのが図書館だ。しかし一方で、収益の柱である文庫を貸出されるのは相当につらいことではある。私の読書体験を振り返ると、読書の面白さを最初に教えてくれたのは間違いなく図書館だが、自分の買える範囲で、小遣いをためて買っていくのが文庫本だったというのが正直な気持ちだ。自分のお金で買って読んだ本の面白さは借りたものとは全然違う。本がたまって蔵書になっていく喜びがあり、それを与えてくれるのは書店だと思っている。
2年前の図書館大会で新潮社の佐藤社長が複本について話した。話題の本を借りて読むということが習慣になった利用者が多い。問題の根底にあるのは、本は買うのではなく借りるものだという意識がある。このマインドを変えなければいけないと思っている。本は買って読むものだという感覚を育てたい。
もし文庫の貸出をやめて下さる図書館ができたとして、一気に文庫の売上が回復するとは全く思っていない。ただマインドを変えるきっかけにはなる。せめて文庫は自分で買おうというマインドが作られていくことが大事だと思う。

共通ポイントサービスを開始/対応する新POSも稼働/トーハン

トーハンは楽天、NTTドコモ、ロイヤリティマーケティングの3社と提携し、各社の運営する「共通ポイント」を導入できるサービスを11月1日から開始した。合わせて同サービスに対応した新POSレジ「POSV(ポスヴイ)」を稼働した。
「POSV」の導入で、客数・客単価の向上が見込める「共通ポイント」の取り扱いが可能となる。出版業界で唯一、「Ponta(ポンタ)」「楽天スーパーポイント」「dポイント」の3つの「共通ポイント」に対応。取引先書店のニーズに合わせて最適なポイントを選択でき、組み合せによっては複数のポイントの併用が可能となった。今後、POSベンダーや書店自社開発のPOSとのデータ連携にも対応予定。「POSV」と「共通ポイント」を合わせた価格は従来機と同額に抑えたため、取引先書店は追加負担なしで共通ポイントを導入できる。
また、「POSV」には、①JAN商品の自動配信と取扱い点数制約の撤廃(商品の多様化に対応)、②商品ポップアップ機能(お渡しするノベルティ等の情報をレジスキャン時に表示)、③取引保留機能(いったんレジを離れる顧客の処理を保留し、次の顧客のレジ対応が可能)、④支払金種数の増加(現金以外の金種登録数を増加)、⑤電子ジャーナル対応(レシート履歴の検索・参照・印字が可能)――などの新機能を追加した。
トーハンは、「POSV」稼働により取引先書店の負担軽減を実現し、「共通ポイント」の展開による顧客の利便性の向上、店頭の集客・増売に寄与したいとしている。

出版界で働く先輩が薦める100冊の本/出版白門会、中大生協でフェア展開

中央大学出身で出版関連業または著述業に携わるメンバーで構成する出版白門会(風間賢一郎会長=中央社相談役)は、一昨年に続き中大生協とコラボで「中大生よ、本を読め!2―出版界で働く先輩が薦める100冊の本」フェアを12月22日まで開催している。
大学の先輩が後輩に呼びかけるユニークなスタイルにより、スマホを文庫に持ち替える学生が増え、本の面白さや新しい世界に出会う喜びを知るきっかけになることを期待して企画したもの。
フェアを展開している中大八王子校舎生協書籍売場の会場では、会員36名が選書した110点が中大生協職員の手で飾り付けられ、推薦者のコメントも添えられて展示されている。
今回の選書の特徴は、前回と同じく「先輩が薦める『これだけは読んでほしい』一冊」(72点)に加え、同会ならではのテーマとして読書離れにある学生たちに読書の楽しみを知ってもらうために「読書を楽しむための本」(38点)という柱を設けたこと。
選書された38点の内容は、読書術、出版社、書店、編集、印刷、図書館など多岐にわたり、話題のベストセラー『あるかしら書店』(ヨシタケシンスケ、ポプラ社)、ドラマ化原作コミック『重版出来』(松田奈緒子、小学館)、最多4名から推薦のあった『死ぬほど読書』(丹羽宇一郎、幻冬舎)など、様々な切り口から読書の楽しさを提案したものが揃う。
同会は選書リストを掲載したパンフレットを3千部製作。中大八王子校舎生協書籍売場のほか、千代田区の中央大学駿河台記念館にも置いている。
中大生協の職員は「フェアのタイトルが目に留まり、多くの学生が足を止め、本を見ている。気軽に読める本が多く、出足は好調」と手応えを話している。

書店として成り立つ仕組み追求/デジタルとの融合で顧客接点作る/中部トーハン会総会で高須会長

中部トーハン会は10月26日、名古屋市中区の名古屋国際ホテルで第50回定例総会を開き、会員書店、出版社、トーハン関係者など総勢296名が出席した。
冒頭あいさつに立った高須博久会長(豊川堂)は、中部トーハン会の50年の歴史を振り返り、「この会が長く続いているのは、的確なアドバイスをしてくれる先輩が大勢いて、若い人たちをしっかりと育ててきたから」と話した。
また、東海エリアは自動車産業などが活況で好景気と言われるが、書店のような中小零細企業までは恩恵が及んでいないとして、「これから先、どうやったら書店として成り立つか、仕組みを考えなければならない」と指摘。一例として、書籍の奥付に書誌データをQRコードで印字するシステムを春井宏之幹事(岡崎市・正文館書店)が提案していることに触れ、「著者の出身地の書店に本を送れば、もっと売れるのではないか。著者の出身地や現住所がQRコードで分かれば、その地域に住む親戚縁者、知人友人に買っていただける可能性が高まる。アナログとデジタルを融合し、いかに読者に伝えるかを追求していきたい」と述べた。
議事ではすべての議案を原案通り承認した。また、木野村匡幹事(東文堂書店)が、この夏開催した創立50周年記念夏休みイベント「本といっしょに、未来へ」について報告。地域の書店を身近な存在として感じてもらいたいと、青年部が中心となって企画したもの。東海3県出身の絵本作家を招き、書店店頭で読み聞かせ・サイン会・ワークショップなどを実施し、多くの読者がつめかけた。また、地域イベントの来場者は累計820名を超えるほど盛況だったという。
このあと中央経済社ホールディングス・山本時男最高顧問、トーハン・藤井武彦社長があいさつした。
藤井社長は「出版業界は転換点を過ぎてカオス状態に突入した」と危機感を示し、スピード感をもって変化に対応することが求められていると強調。書店のない自治体が412市町村に及ぶことについて、行政のバックアップと地道な読書推進運動の継続が必要と述べた。また、出版輸送は「崩壊状態にある」と指摘し、「運送会社からの値上げ要請を受け入れているが、トーハン1社での負担は限界にきている。業界全体の問題として考えてほしい」と求めた。
続いてトーハンの金子俊之名古屋支社長がTONETSVを活用した店頭販売支援、店頭活性化プロジェクト、共通ポイントなどの施策説明を行った。
このあと中部トーハン会プレミアムセールの表彰式を行い、販売実績、ブロック別伸長率、飾り付けコンクールの上位店に賞を贈った。
記念講演では国際日本文化研究センター・呉座勇一助教が「『応仁の乱』のヒットを考える―英雄史観を超えて―」を話した。

「能勢仁が語る書店史道を拓いてくれた人」/須原屋・高野嗣男氏

高度成長経済の時は出版業界もゴルフブームであった。千葉県には三葉会という親睦会があった。出版社、取次、書店の三者が年に何回かコンペをした。埼玉県にも似た様な会があり、対抗試合を交互の県でやった。埼玉のキャプテンは高野社長で、千葉は小生だった。その関係でいつも同じ組でプレイをした。色々なことをプレイ中に教わった。ゴルフは尺取虫だよ、これなら曲がらずボギーで上がれますよ。この言葉は経営に応用できる名言だと思った。
須原屋さんには書店二世研修所があり、各県の書店二世達が多く学んだ。卒業生は皆各県のリーダーになっている。小生は研修生ではなく、フリーの立場で時々お邪魔した。高野さんは日書連の副会長、県教販、埼玉書籍の社長と、お忙しい立場であった。その時、教えて下さった二つのことが今でも忘れられない。簿記に詳しい高野社長は、経営で一番大事なことは資金繰りであることを強調された。コンピュータ、POSの無い時代に複式簿記で懇切丁寧に教えて下さった。今でいう営業キャッシュフローだ。
もう一つはチェーン展開の仕方であった。連続性のあるチェーン化を示して下さった。地図を拡げ、実践さながらにピンポイントして下さった姿が今も忘れられない。経営者は理論と実践に通暁しなければいけないことを学んだ。
(ノセ事務所代表)
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