全国書店新聞
             

令和6年7月1日号

大阪府書店組合総会 「自助努力+支援」で経営活性化 経産省PTなど政治の動き活用を 「本の帯創作コンクール」20回目、記念企画実施へアイデア求める

 大阪府書店商業組合は5月25日、大阪市北区の組合会議室で令和5年度通常総会を開催した。深田健治理事長(ブックスふかだ)は経済産業省が書店振興プロジェクトチームを設置したことなど書店支援を巡る政治の動きが活発化していることを報告し、「風向きが変わってきた。自助努力をしながら、政治による支援をうまく活用していきたい」と話した。また、今年節目の20回目を迎える大阪組合の読書推進事業「本の帯創作コンクール」について、記念的な企画を実施したいと意欲を示した。
 総会は組合員96名(委任状含む)が出席。戸和繁晴副理事長(トーワブックス)の司会で進行し、はじめに深田理事長があいさつした。
 深田理事長は「組合員数が1年前と比べると約1割減少して164名になった。各都道府県組合でも同じ悩みを持っているが、大阪は減り方が大きい」と懸念。一方、そのような厳しい状況の中で書店支援を巡る政治の動きが活発してきたことを歓迎し、「昨年4月に書店議連の第1次提言が出され、それに基づいて経産省、文部科学省、文化庁、公正取引委員会の各省庁が動き出した。経産省は大臣直轄の書店振興PTを設置し、マスコミで報道されるなど大きな話題になっている。そんな中、今年4月17日、齋藤経産相と書店経営者による車座ヒアリングが行われた。5月15日には日書連と公明党の政策要望懇談会を行った。大阪組合も茨木市で公明党の市会議員と話し合いの場を持ち、書店として困っていることを訴えた」と報告。「業界内外で風向きが変わってきたと感じている。もちろん支援頼みではいけない。自助努力をしながら、支援を上手く利用して書店経営を頑張っていきたい」と述べた。
 続いて虎谷健司副理事長(虎谷誠々堂)を議長に議案審議を行い、令和5年度事業報告、収支決算書、令和6年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
 事業報告の総括と事業計画案の総論を説明した深田理事長は、「本の帯創作コンクール」について、昨年はコロナ前と同水準の応募があり、4年ぶりに表彰式を開催することができたと報告。「今年は節目の20回目。記念的な企画を盛り込みたい。アイデアがあれば提案してほしい」と求めた。また、「読書ノート」運動では例年と同じく5万冊を作成し、希望する学校に配布することができたと報告。「これらの活動は確実に子どもたちの読書推進につながっている」として、理解と協力を求めた。
 昨年9月に行なった大阪の地域政党「大阪維新の会」との政調懇談会については、①府がコロナ禍で実施した図書カード配布の継続②学校図書館の装備負担や不公正な入札の説明と改善③公共図書館への納入の地元書店優先――を陳情したと報告。「書店の現状を知ってもらう第一歩を踏み出すことができた」と手応えを語った。
 さらに、日書連の「読者還元祭」や「BOOK MEETS NEXT」など業界全体の読書推進運動に言及し、「一つひとつの活動やイベントは小さな書店にとってすぐに利益に結び付くとは限らないが、自店にあった企画をうまく利用できるように、組合としてもきめ細かな情報提供を行っていきたい」と話した。

福井県書店組合総会 組合員減少に歯止めを 経産省「書店振興PT」に期待

 福井県書店商業組合は5月27日、あわら市温泉の灰屋で第42回通常総会を開催し、組合員24名(委任状含む)が出席した。
 冒頭あいさつした安部悟理事長(安部書店)は齋藤経産相と書店経営者との車座ヒアリングに触れ、「厳しい書店経営の現状と組合員の減少に歯止めがかかることを願っている。組合財政は厳しいが、昨年に続いて今年も5月4日にショッピングモールのエルパで絵本展『親子で楽しむ絵本の世界』を開催し、好評だった。来年も引き続き開催する予定だ」と述べた。
 総会は京藤敏実副理事長(ひしだい書店)の司会で進行。角谷幸治理事(カドヤ書店)を議長に選出し議事を行い、すべての議案を原案通り可決した。
 続いて来賓のトーハン北陸支店・田辺義博支店長、日本出版販売北陸支店・藤井竜太支店長、聖教新聞社関西支社・新井正人副支社長、同社福井支局・河上和浩支局長、同・加藤幸治担当部長、第三文明社・桑原健太営業部長があいさつした。 (清水祥三広報委員)

春の叙勲 鹿児島県書店組合・楠田哲久理事長が旭日双光章

 令和6年春の叙勲で奄美大島商工会議所副会頭の楠田哲久氏(76)が旭日双光章を受章した。産業振興の功労。発令は4月29日。
 楠田氏は1972年、鹿児島県奄美市の楠田書店に入社し、現在同社会長。2010年から鹿児島県書店商業組合理事長、日書連理事を務める。

愛知県書店組合総会 書店支援の動き進展に期待 春井理事長「経産省PT設置で風向き変化」

 愛知県書店商業組合は6月5日、名古屋市千種区のホテルルブラ王山で第41回通常総会を開催し組合員100名(委任状含む)が出席した。
 総会は武藤哲哉理事(武藤清州店)の司会で進行。
冒頭あいさつした春井宏之理事長は、学校図書館図書整備等5か年計画で大きな金額が動いているにもかかわらず図書購入費に使われる割合が6割弱にとどまっていることに触れ、「図書館も書店も現場が恩恵にあやかれていないと感じている。正しく執行されるようガイドラインや法律の制定などルール化が必要」として、「『街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟』(書店議連)は自民党で最大規模の議連。法律やガイドラインを制定しやすい環境が整っている」と書店議連の意義を強調した。
 さらに、書店議連の提言を受けて今春設置された経済産業省「書店振興プロジェクトチーム」が「ゲームチェンジャーになった」と評価。「マスコミ報道の影響で注目度が上がり、これからいろいろなことが動くだろう。読売新聞東京本社で開かれた活字文化推進会議に出席し、『私の地元岡崎市では学校・公共図書館など本を無料で貸す施設が100あるのに対し、書店は15しかない。こうした厳しい環境下での経営では自ずと結果は見えている』と書店の窮状について発言したが、浅田次郎さんをはじめ出席者の皆さんはとても興味を持ってくれた。いろいろな場所で風向きの変化を感じる」と述べ、書店支援を巡る政治の動きの進展に期待を示した。
 続いて林茂夫氏(松清本店)を議長に選出して議案審議を行い、令和5年度事業報告、収支決算報告・監査報告、令和6年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
 事業報告では、①第18回「中学生はこれを読め!」を7月21日~8月31日に13店で実施した、②第62回「青少年によい本をすすめる県民運動」に協賛し、出版社16社から寄贈された児童図書1450冊を61校に届けた、③「孫の日」キャンペーンは9月18日~11月9日に18店で実施し、出版社15社のおすすめ本15点を拡販した、④「なごやっ子読書イベント」を10月8日に名古屋市公会堂で開催し、孫の日推薦本の展示販売などを行った――などの報告があった。
 事業計画を説明した春井理事長は、「従来の事業はこれまで通り進めていく。新しい事業の提案もしていただきたい」と求めた。また、返品運賃や図書館納入問題に言及し、「中身の濃い活動を年間通してやっていきたい」と述べた。

埼玉県書店組合総会 組合員一丸で難局乗り切る

 埼玉県書店商業組合は5月21日、さいたま市の埼玉書籍で第40回通常総会を開催し、組合員69名(委任状含む)が出席した。
 総会は江原宏信事務局長の司会で進行。冒頭あいさつした奈良俊一理事長は「能登半島地震はいまだ大変な状況が続いている。経済不況の中、書店業界は各界各層から再生への支援施策が行われているが、まだまだ厳しいものがある」として、「今年も業界全体で困難が続くが、組合員一同で力を合わせて乗り切っていきたい」と呼びかけた。
 続いて来賓の埼玉県中小企業団体中央会の倉華澄・組合支援部主事があいさつした。
 水野兼太郎理事を議長に議案審議を行い、令和5年度事業報告、収支決算報告、監査報告、令和6年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
 最後に、日販の安藤直也・首都圏営業部第三支店長、トーハンの澤野正路・関東支店長が来賓あいさつした。
  (水野兼太郎広報委員)

沖縄県書店組合総会 「地域書店の特色、武器に」 小橋川篤夫理事長を再選

 沖縄県書店商業組合は5月20日、那覇市の組合会議室で第36回通常総会を開催し、組合員26名(委任状含む)が出席。任期満了に伴う役員改選で小橋川篤夫理事長(いしだ文栄堂)を再選した。
 総会は竹田祐規事務局長の司会進行で始まり、小橋川理事長があいさつ。「物価や人件費の上昇、人手不足など書店経営を取り巻く状況はますます厳しさを増している。県内では組合員をはじめ組合員外でも書店の閉店が相次いでおり、那覇市内の中心地から書店がまた一つなくなることに関係者は強い衝撃を受けている。その一方で、地域の書店をなくしてはならないと、経済産業省に大臣直轄の書店振興プロジェクトチームが設置され、調査・研究が進められていることは大変心強い。我々組合員は今一度、地域書店としての存在意義を捉え、お客様の求めるニーズに対して細やかに対応することが大切ではないか。地域書店だからこそできること、その特色を武器として地道に歩み続け、今後の存続に向けて継続的に模索することが、今、我々に出来ることではないか」と呼びかけた。
 続いて小橋川理事長を議長に議案審議に入り、令和5年度事業報告、収支決算報告、令和6年度事業計画案、収支予算案など、第1号議案から第6号議案まですべての議案を原案通り承認可決した。
 任期満了に伴う役員改選では小橋川理事長、大城行治(大城書店)、真栄城久尚(首里書房)両副理事長を再任した。また、監査役は幸喜源氏(幸文堂)を再任し、金城美智雄夫氏(さつき書店)を新任した。
 令和6年度の取り組みとして、①返品事業維持に向けた調査・研究②雑誌・書籍の発売日短縮に向けてのさらなる改善の継続③書店活性化に向けた取り組み④新規組合員の加入促進・研究⑤日書連が取り組んでいる「書店の粗利益拡大」の早期実現に対して当組合も昨年同様に協力していく――と提案した。
 大城副理事長の閉会あいさつで散会となった。
   (竹田祐規事務局長)

連載「春夏秋冬 本屋です」 あっ君の話 小田原健吾(愛媛・愛媛県教科図書マスヤ店 部長)

 あれは小学校4年生の時だ。あっ君は「ジャンピング屁」という技をあみ出した。走り出したあっ君は「ジャンピーング」と言いながらジャンプをして、お尻を宙に突き出すと「ぶっ」と屁をこき、両手を翼のように広げて着地した。助走の勢い、肩の高さまで到達するジャンプ力、最高到達点で出した屁のタイミングと乾いた音、そして体操選手を凌駕する着地、すべて完璧であった。当然あっ君はクラスのヒーローとなった。
 放課後、僕たちは大騒ぎしながら帰っていた。輪の中心はもちろん、すごい技をあみだした、ヒーローのあっ君だ。前を一人、いつもおとなしいT君が歩いていた。T君は肩から体操袋をぶら下げていた。あっ君は突如T君に向けて走り出した。あっ君は「ジャンピーング」と言いながらジャンプすると、なんとT君の肩にぶら下がっている体操袋にお尻を密着させて屁をこき、そして両手を広げて着地した。完璧なジャンピング屁であった。僕たちはすぐにあっ君とT君を取り囲み、「すごい」「体操袋に屁が入った」と騒ぎたてた。誰かが「くせー」と叫んだ。体操袋を匂ったのであった。皆、笑い過ぎて立っていられなくなった。T君は見る見るうちに真っ赤な顔になり、あっ君に突進した。T君に捕らえられたあっ君は、ボコボコと頭を叩かれながら、「ごめん」と寂しそうに言った。
 それ以降、あっ君の「ジャンピング屁」は封印されたままである。

京都府書店組合総会 発売日、亀岡市以北1日遅れに 物流2024年問題の影響報告

 京都府書店商業組合は5月30日、京都市下京区のザサウザンド京都で第40回通常総会を開催し、組合員60名(委任状含む)が出席した。
 総会は井上雅規氏(井上文鴻堂)の司会で進行。冒頭のあいさつで犬石吉洋理事長(犬石書店)は「輸送業界の2024年問題の影響で、4月から亀岡市以北は一部商品を除き発売日が1日遅れになった。3月に経産相直轄の書店振興プロジェクトチームが設置された矢先の痛手。書店経営を取り巻く環境のあらゆる問題解決になるよう今後とも注目していきたい」と述べた。
 続いて議長に中村佳正氏(桂書房)、副議長に北野裕行氏(本の花園)を選出して議事を進行し、事業報告、会計報告、監査報告、事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認した。
 各種事業については次の通り報告があった。
 ▽組織情報委員会=令和5年3月末日現在の組合員数は前年度より7店減の104店だった。
 ▽図書館納本事業委員会=図書館ごとに違った装備作業の均一化が進み、作業効率が向上した。
 ▽広報委員会=京都組合の広報誌「組合だより」を年2回発行した。また、理事会報を作成し、組合員にファックスで送信した。
 ▽厚生委員会=4年ぶりに秋の懇親旅行を1泊2日で挙行。正月には新春を祝う会を開催した。
 ▽事業活性化委員会=滋賀県書店商業組合と合同で森見登美彦さん&宮島未奈さんのトークショーを有料で開催したほか、第11回「京都本大賞」と第10回「京都ガイド本大賞」の発表を行った。
 事業計画では、組織情報委員会が、組合員の減少に歯止めがかからない現状を踏まえ、支部制度の見直しを検討すると提案した。
 中村佳正理事(桂書房)の5年表彰の後、懇親会が催された。
   (若林久嗣広報委員)

群馬県書店組合総会 竹内靖博理事長を再選 書店振興PT、街の書店への対策期待

 群馬県書店商業組合は5月27日、高崎市の群馬県教科書販売で第37回通常総会を開催し、組合員27名(委任状含む)が出席した。今回もコロナ感染防止対策をしての開催となった。
 開会あいさつで竹内靖博理事長(シロキヤ書店)は2024年問題に触れ、輸送運賃の高騰に懸念を示した。また、経産省が立ち上げた書店振興プロジェクトチームについて「街の書店に対してどのような対策がなされるか見守っていきたい。組合として要望・提案できることがあれば検討したい」と話した。
 この後、竹内理事長を議長に議案審議に入り、令和5年度事業報告、決算報告、監査報告、令和6年度事業計画案、予算案、役員改選などすべての議案を原案通り承認可決した。
 総会終了後の理事会で、竹内理事長と副理事長3氏を全員再選した。
 [群馬組合役員体制]
 ▽理事長=竹内靖博(シロキヤ書店)
 ▽副理事長=中村光雄(ナカムラヤ)小林卓郎(煥乎堂)木田龍夫(木田書店)
    (鹿沼中広報委員)

東京都書店組合 人気アニメ作品スタンプラリー実施へ 都中央会支援事業に今年も選定

 東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は6月4日、千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。東京都中小企業団体中央会の令和6年度中小企業組合等新戦略支援事業に係る特別支援「デジタル技術を活用した販売力強化プロジェクト」に東京組合が選定されたと発表した。
 実施にあたる特別委員会の名称は「デジタルスタンプラリー特別委員会」とし、矢幡理事長、平井久朗副理事長、小川頼之副理事長ら16名を特別委員に選任。プロジェクトの進行・決定の権限を同特別委員化いに一任する。
 今回のプロジェクトの名称は「いいコトあるよね、本屋さん」。アニメツーリズム協会と提携して人気アニメ作品とコラボし、来店ポイントを集めるスタンプラリーなどの施策を行うことで、書店への誘客と増売を図る。実施期間は10月末~2025年1月末の予定。
 事業・増売委員会では、NHK出版『プロジェクトX』、暮しの手帖社『おそうざい十二カ月』『おそうざいふう外国料理』、リトルモア『人間の証明 勾留226日と私の生存権について』を増売することを決めた。

第18回「大好きな本絵画コンテスト」 神奈川県書店商業組合賞など80作品選ぶ

 神奈川県書店商業組合(松信裕理事長)は4月23日、横浜市中区の神奈川新聞本社で、第18回「大好きな本絵画コンテスト」の審査」を行い、神奈川県読書推進会賞、神奈川県書店商業組合賞、神奈川新聞社賞など80点を選んだ。
 このコンテストは、先生や保護者が読んでくれる大好きな本や、本に出てくる主人公などを園児に描いてもらい、幼いうちから感性を豊かにし、ますます本を好きになってもらうことを目的に開催している。神奈川県書店商業組合と神奈川新聞社などで構成する神奈川県読書推進会が主催。
 県内在住・在園の保育園や幼稚園の園児を対象に実施し、今年は1177点の応募があった。神奈川県生涯学習課社会教育主事の多々納真治氏、神奈川県書店商業組合の山本裕一副理事長らが審査にあたった。
 表彰式は今年も行わず、6月15、16日、横浜市中区の全国共済ビルで展示会を行った。

東京組合・中野杉並支部 図書館選書応援する展示会開催

 東京都書店商業組合中野杉並支部は5月21日、22日の2日間、東京・杉並区のセシオン杉並展示室で「学校・公共図書館の選書を応援する児童図書・優良図書展示会」(協賛=日本児童図書出版協会、後援=全国学校図書館協議会)を開催した。
 小中学校図書館、公共図書館ならびに子どもと図書に係る関係者に向けて良書を紹介する目的で行なったもので、即売はなし。会場には新刊図書を中心に国語、算数・数学、理科、社会、図工・美術などの教科の本から、児童文学、エッセイ・ノンフィクション、マンガ、絵本、紙芝居など、出版社約200社、約3400点・1万2000冊の図書を展示した。
 書店店頭や巡回サービスでは入手しにくい図書もあり、来場者は自身のスマートフォンで展示図書のバーコードを読み込んで独自のリストを作成したり、作ったリストをプリントアウトコーナーで印刷して持ち帰るなど、様々な形で選書を行っていた。
 図書館関係者の関心を引くセミナーも企画。東京新聞編集委員で司書資格を持つ谷野哲郎氏による「司書記者のお仕事」、北極探検家で冒険研究所書店の店主・荻田泰永氏の「書店と冒険 読書は冒険の糧になるか?」などが行われ、盛況だった。

日書連のうごき

 5月7日 全出版人大会に矢幡会長が出席。
 5月8日 日書連監査会に矢幡会長、小泉、渡部、葛西各監事が出席。
 5月14日 全国書店再生支援財団理事会に平井副会長、髙島理事が出席。
 5月15日 公明党文部科学部会、同経済産業部会との意見交換に矢幡会長、柴﨑、春井、平井各副会長が出席。読書推進運動協議会理事会に春井副会長が出席。
 5月16日 JPO運営委員会に平井副会長(Web)が出席。
 5月20日 活字文化推進会議に春井副会長が出席。
 5月21日 読書推進委員会で出版社訪問に春井副会長が出席。
 5月22日 各種常設委員会。
 5月23日 九州雑誌センター株主総会に矢幡会長が出席。出版物小売業公正取引協議会通常総会。5月定例理事会。日本図書普及取締役会に藤原、春井両副会長が出席。
 5月28日 日本出版クラブ幹事会に矢幡会長が出席。JPO理事会に藤原副会長(Web)が出席。
 5月29日 文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。日本雑誌協会懇親会に矢幡会長が出席。

トーハン 単体・連結とも減収増益 取次事業の赤字幅縮小

 トーハンは5月31日、2023年度決算(23年4月1日~24年3月31日)を発表した。昨年に続いて単体・連結とも減収増益だった。単体は、不動産事業が利益を下支えし、最終増益には特別利益(固定資産売却益)も寄与した。取次事業の赤字幅は縮小しているものの、経常赤字が続いている。連結は、キャラクター雑貨のマリモクラフトが好調で、増益に寄与した。
 単体売上高は前年比2・5%減の3677億3300万円、営業利益は5200万円(前年は4億8500万円の損失)、経常利益は同42・8%増の8億6700万円、当期純利益は同71・7%増の14億1500万円。
 事業別では、取次事業は13億5500万円の損失となったが、赤字幅は前年より3億2200万円縮小した。不動産事業は前年比9・5%増の19億1400万円と好調だった。新規事業は8600万円の損失で、赤字幅は800万円縮小した。
 取次事業の商品種別実績は、書籍が同1・4%増の1812億900万円、雑誌が同0・2%増の1053億91000万円、コミックが同0・4%減の474億8000万円、マルチメディアが同1・2%減の364億5900万円、総合で3705億4100万円だった。
 返品率は、書籍が同1・0ポイント増の36・5%、雑誌が同0・3ポイント増の48・3%、コミックが1・7ポイント増の25・5%、マルチメディアが同1・4ポイント減の24・0%、総合で0・7ポイント増の38・3%となった。
 運賃の状況は送品金額が右肩下がりの傾向が続く一方、1キログラム当たりの運賃単価は同社が設定した運賃協力金要請基準単価35・33円を超えて43・53円まで上昇し、送品運賃は高止まりしている。
 子会社26社を含む連結決算は、売上高は同1・0%減の3988億2600万円、営業利益は同387・1%増の11億6100万円、経常利益は同434・6%増の18億8100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同364・7%増の14億5000万円と大幅な増益となった。
 セグメント別の経常損益を見ると、トーハンは8億6700万円の黒字、書店系連結子会社(10社)は2億6000万円の赤字、物流系連結子会社(3社)は8400万円の黒字。その他連結子会社(13社)は、マリモクラフトのキャラクター雑貨が好調で、同70・7%増の11億2500万円の黒字となった。
 トーハンは23年で「REBORN」を終了し、24年から26年までの3年間は新・中期経営計画「BEYOND」で本業改革と事業領域の拡大の2つの課題に取り組む。本業改革では「インフラ再構築と収支構造の強靭化」として、①マーケットイン型出版流通への転換加速(「enCONTACT」の普及拡大)、②書店マーケットの維持強化、③CVS流通の承継と構造改革、④IPや海外市場の開拓など本業関連の事業開発、事業領域の拡大では「事業多角化による収益基盤の多様化」として、①不動産事業の推進(トーハン旧本社跡地プロジェクト)、②グループ事業の展開拡大、③新規事業開発を推進する。

ブックセラーズ&カンパニー 直接取引契約出版社6社に ベストセラー創出企画を開始

 ブックセラーズ&カンパニー(BS&C、宮城剛高社長)は6月10日、新たにサンクチュアリ出版、インプレスと直接取引契約を締結し、これによりBS&Cと直接取引を行う契約社は主婦の友社、スターツ出版、徳間書店、三笠書房とあわせて計6社になったと発表した。また、新たな取り組みとして、主婦の友社、徳間書店、三笠書房の3社の作品で書店からベストセラーを創り出す「ナンバーワンプロジェクト」を6月1日より開始した。
 「ナンバーワンプロジェクト」は、BS&C参画書店チェーンの紀伊國屋書店、TSUTAYA、リブロなどの772店舗で、直接取引契約出版社から選出した作品を各書店員の提案力を活かし販売強化することで、新たな売上創出に挑戦するチェーン横断型のプロジェクト。『和食屋がこっそり教えるずるいほどに旨い鶏むねおかず』(笠原将弘著、主婦の友社)、『朽ちないサクラ』(柚月裕子著、徳間書店)、『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力』(枡野俊明著、三笠書房)の3作品について、期間内の売上冊数を店舗ごとに競うコンクール(8月31日まで)と、売場展開・装飾をSNSを通じて発信しながら競い合うコンクール(7月16日まで)の2つを実施する。

「ブックサンタ」参加書店を募集 今年は2000店舗目指す

 NPO法人チャリティーサンタ(清輔夏輝代表理事)は5月30日、貧困や病気、被災などで厳しい環境にいる子どもたちに新品の本をプレゼントするチャリティー活動「ブックサンタ」の2024年度参加書店の募集を開始した。公募締切は7月26日。
 ブックサンタは、「書店で誰でもサンタクロースになれる」をコンセプトに、2017年から始まったプロジェクト。「困っている子どもに本を届けてほしい」「自分の好きな絵本や児童書をプレゼントしたい」という声は年々増えており、寄付者が自ら選んで買った新品の本をそのまま書店のレジで寄付できるという新しい仕組みも好評を博している。参加する書店にとっても、①ブックサンタを目的に来店客が増える、②寄付者の3割が自分用の本も購入する傾向がある、③2023年の寄付された本の合計金額は約2億円――などの参加メリットがある。
 2023年度は47都道府県の1683書店が参加し、寄付した本の合計冊数は12万8898冊と開始6年で約150倍に成長している。1店舗あたりの寄付冊数の平均値は63冊、都市部だけでなく地方でも100冊を超える寄付が集まる書店が増加している。
 2024年度も昨年に引き続き秋分の日9月22日から寄付の受付を開始。クリスマス前後に参加者が急増することから、12月25日まで寄付を受け付ける。今回は全国47都道府県から2000店舗の参加を目指す。
 参加にあたっては、ポスターなどの印刷費用と拡材一式の送料分として、1店舗当たり1000円から3000円(税別)のパートナー費用を負担。応募は「ブックサンタ2024」書店応募フォームより。https://forms.gle/fEjLCh1LKxGxGqMP6

出版科学研究所調べ 4月期販売額は2・3%減 6ヵ月ぶりに前年比上回る

 出版科学研究所調べの4月期書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は、前年同月比2・3%増と23年10月期以来6ヵ月ぶりに前年同月を上回った。内訳は書籍が同4・8%増、雑誌が同0・9%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同1・0%増、週刊誌が同11・2%減。
 書籍は出回り金額が前年同月を上回り、返品率も低く抑えられたことでプラス成長となった。コミックスは有力新刊が集中し、急逝した鳥山明の作品が大部数で増刷された影響で、発行部数が同約10%増加した。
 返品率は書籍が同2・1ポイント減の29・8%。雑誌が同0・4ポイント増の42・7%。
 書店店頭の売行きは書籍が約4%減。文芸は約11%減だったが、前年同月に村上春樹の新刊刊行と本屋大賞発表で店頭が活性化された反動と見られる。
 雑誌は定期誌が約5%減、ムックが約10%減。コミックスは『呪術廻戦』『僕のヒーローアカデミア』(ともに集英社)など強力な新刊が揃い、売れ行きを伸ばした。

日販GHD 最終赤字拡大 取次事業36億円の経常損失

 日販グループホールディングス(日販GHD)は5月30日、2023年度決算(2023年4月~2024年3月)の決算を発表した。
 グループ連結の売上高は4021億7100万円(前年比9・4%減)、営業損益は16億6100万円の赤字(前期は4億1700万円の赤字)、経常損益は11億8000万円の赤字(前期は1億5800万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益は49億3400万円の赤字(前期は2億1800万円の赤字)だった。
 経常赤字は2期連続。売上の8割を占める取次事業の事業構造改善費用など計26億円の特別損失を計上したことで赤字幅が拡大した。一方、海外事業・エンタメ事業は過去最高の経常利益を達成、雑貨事業は増収増益、小売事業も経常赤字から黒字転換した。
 事業別では、取次事業は売上高3632億9000万円(9・7%減)、営業損益39億3700万円の赤字(前期は24億2900万円の赤字)、経常損益は36億2900万円の赤字(前期は21億7700万円の赤字)で減収減益。取引書店の売上減少・閉店に加え、取引変更が影響し、大幅な減収となった。
 小売事業は売上高508億7000万円(同5・3%減)、営業損益5600万円の黒字(前期は1億5800万円の赤字)、経常損益は1億8200万円の黒字(前期は1億9100万円の赤字)で減収増益、前期から転じて黒字を確保した。売上構成比の高いBOOKとレンタルが33億円減と大幅に減少したことが影響した。一方、駿河屋は新たに5店舗出店し、売上が同9億円増の17億円となった。
 海外事業は売上高74億5900万円(同0・7%増)、営業利益3億5000万円(同22・9%増)、経常利益3億4400万円(同20・8%増)。3期連続で最高売上・経常利益を更新した。海外駐在員向けeコマースのCLUB JAPANが好調だった。
 雑貨事業は売上高31億9800万円(同0・1%増)、営業利益1億1000万円(同30・6%増)、経常利益1億9400万円(同120・9%増)。直営店の売上が2%増、Amazon向け取引が17%増と大きく伸びた。
 コンテンツ事業は売上高34億4800万円(同14・4%減)、営業利益5億1600万円(同17・9%減)、経常利益5億2000万円(同17・3%減)。減収減益だったが、不動産事業に次ぐ黒字を確保し、引き続きグループの成長を牽引した。
 エンタメ事業は売上高19億6600万円(同21・1%増)、営業利益1億3400万円(同159・4%増)、経常利益1億3300万円(同157・9%増)。日販セグモ設立以来、過去最高の売上高・経常利益を達成した。検定事業では3期ぶりの国家試験運営受託のほか、新規受託も含め52件の検定を開催し、売上・粗利が拡大。イベント事業では16件イベントを開催し、3億円増収。「パンのフェス2024春in横浜赤レンガ」は約15万人を動員した。
 不動産事業は売上高31億3400万円(同2・8%減)、営業利益11億5800万円(同3・8%増)、経常利益10億7800万円(同4・3%増)。新お茶の水ビルの賃料収入減少が影響し減収だったものの、堅調な利益でグループを下支えした。
 その他の事業は売上高83億9500万円(同4・0%増)、営業利益1億5500万円(同15・7%増)、経常利益3億5000万円(同12・6%増)。グループ内外のIT事業を担う日販テクシードは外販事業の売上拡大で増収。22年度にリリースした「CONTEO」が順調に導入社数を拡大した。ASHIKARIが運営する「箱根本箱]は、インバウンド客の増加もあり、平均客単価は過去最高を記録した。
 日本出版販売(日販)単体の売上高は3114億8800万円(同12・3%減)、営業損益は40億9400万円の赤字(前期は20億6700万円の赤字)、経常損益は39億500万円の赤字(前期は18億5600万円の赤字)、当期純損益は55億7100万円の赤字(前期は22億9700万円の赤字)。
 商品売上高は、書籍1619億1500万円(同11・0%減)、雑誌781億6700万円(同14・3%減)、コミック493億3300万円(同22・6%減)、文具雑貨92億6800万円(同7・9%増)、その他開発品112億4700万円(同16・6%減)。文具雑貨以外の各ジャンルで減収となり、48⃣9億円の減収となった。
 返品率は、書籍29・6%(同0・2ポイント減)、雑誌47・8%(同1・0ポイント増)、コミック30・1%(同3・6ポイント増)、開発品39・1%(同3・8ポイント減)。書籍と開発品は改善したが、雑誌とコミックが悪化し、合計で36・0%(同0・6ポイント増)になった。
 商品売上高減収の要因の約9割が書店取引減少による。新規店影響で27億円増収となったが、既存店売上減少で118億円、閉店影響で133億円、取引変更影響で216億円それぞれ減収になった。
 同日の決算発表記者会見で、日販GHDの富樫建社長は「グループ各社のポテンシャル、収益力の強化、新たな成長の柱となりつつある事業の塊が出来ていることから、24年度は10億円を超える水準の経常利益を出すことができる見通しが立っている。25年度以降もグループ各社のさらなる成長と日販の収益改善を進めることで大きくV字回復を実現させていきたい」と話した。

書店横断「在庫情報システム」 JPICなど実証実験スタート

 出版文化産業振興財団(JPIC)とカーリル、版元ドットコムで構成する書店在庫情報プロジェクトは6月21日、開発中の「書店在庫情報」システムを一般公開し、実証実験をスタートさせたと発表した。
 この実証実験は3社を中心に準備が進められ、協力会社として光和コンピューター、トーハン、日本出版販売(日販)が連携。第1フェーズとして一部の書店から先行して在庫検索を開始し、実証実験の進展を見据え、協力会社と参画書店の拡充も視野に入れる。
 6月21日の実証実験サイト公開日時点で在庫横断検索できる書店はブックファースト、大垣書店、くまざわ書店、今井書店のグループと一部の地域書店。この他の書店チェーンとも在庫情報利用に向けた協議を進めており、在庫開示書店は随時増加の予定。また、在庫情報を持たない書店も、在庫情報の登録手段を準備しており、随時参加を募っていく。
 横断検索結果へとリンクしているサイトは、カーリル、版元ドットコムと青弓社、スタイルノート、ポット出版の出版社サイト。これらのサイトの書誌カタログを開くと、読者の検索する位置から近い順に書店在庫が見られるよう準備している。今後拡大を目指して各種サイトと協議を進める。
 これまで一般読者にとって、欲しい本があっても近隣の書店の在庫が分からないことが多く、購入のハードルになっていた。街の書店の在庫情報がオープン化され、スマートフォンを使って現在地周辺の書店在庫を横断的に検索できるようになれば、すぐに読みたい読者にとっては便利であり、書店にとっても新たな顧客を招くきっかけになるのではないかという着想から、このプロジェクトはスタートした。
 このプロジェクトの「書店在庫情報」システムの理念は、データ開示に同意した書店の在庫情報を、インターネット上のあらゆる書籍情報サイトや出版社サイトにオープンソースとして実装できるようにするもの。
 また、図書館OPAC(検索システム)と連携できれば、借りたい本に多くの待機者がある場合など、OPACの画面からこのシステムにアクセスすることで、近隣書店で購入できることを読者に伝えることができる。本と読者との接点を最大化していくため、図書館と地域書店が連携する一つの具体策として、実証実験の中で実現可能性を実証していく。
 開発にあたり、書店が在庫を登録する方法もいくつか準備。現在すでに在庫をウェブ上で公開している書店からは、システム的に自動取得することで、書店側の新たな開発や手間を省く。一方、書店の方針次第でAPI連携が望ましい場合は個別に対応する。さらに、今後より多くの書店が参加できるよう、単品在庫管理をしていない書店であっても任意の在庫を選んで登録できる手段も用意し、実証実験の中で検証していく。

公明党経産部会 持続可能な書店経営へ、齋藤経産相に支援要望

 公明党経済産業部会(部会長=中野洋昌衆議院議員)は6月13日、経済産業省で齋藤健経産相と面会し、文化創造基盤としての書店振興のための施策の実施を要望した。持続可能な経営戦略のモデルケースを地域の書店組合などと連携して考える仕組みの構築などを求めている。
 要望書の全文は以下の通り。
 [文化創造基盤としての書店振興のための施策の実施に係る要望]
 「知の泉」とも称される書籍との出合いの場の一つである街の書店は、幅広い人に良書を提供する文化と知識の貴重なインフラであり、守る手だてに知恵を絞るべきである。今年3月時点の全国の書店数は約1万1000店で、この10年間で約3割も減少、出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によれば、24年3月時点で、全国の「書店ゼロ」の市町村は27・7%に上る。電子書籍の普及やネット書店の利用拡大による業績悪化、書店の後継者不足などが背景とされるが、状況は深刻と言わざるを得ない。このままでは書店のない自治体がさらに増える恐れもある。本年3月には町の書店振興を進めるためのプロジェクトチームを経済産業省内で立ち上げられ、4月には齋藤大臣が車座で書店経営者らと意見交換をされた。
 公明党経済産業部会としても、地方・地域の書店が抱える課題や要望を聞き取り、他省庁の取り組みとも連携して、課題解決のために実のある支援策の検討を求め、わが国における文化創造基盤としての書店振興に必要な施策の実施について改めて申し入れるものである。
     記
 ●街の書店ならではの魅力を発信、経営基盤強化のための支援
 書棚に並ぶタイトルや表紙をみて思いがけない作品と巡り合えるなど、ネット書店にはない魅力を発信できる環境を整え、読書文化をさらに育むために書店の経営基盤強化、ICタグの導入などDX化に向けた取組を支援し、持続可能な経営戦略のモデルケースを地域の書店組合などと連携して考える仕組みを構築すること。
 ●事業再構築など好事例のプッシュ型展開
 事業再構築補助金などを活用したカフェや雑貨店などを併設した店舗や書店の棚を個人(棚主)が借りて好きな書籍を販売するシェア型の店舗など、消費者の多様なニーズにこたえる高付加価値化新事業への事業投資の好事例をプッシュ型で展開し、小規模書店を中心に、中小企業施策の一層の活用を促すこと。
 ●書店の活性化に必要な課題の整理
 書籍(とりわけ雑誌)返送時のコスト負担軽減のため域内古紙化の検討、官公庁等への書籍納入に係る入札における適正な価格等書店経営を巡る課題を把握し、課題解決にむけて、関係省庁と協力して必要な対応を検討すること。
 ●地方創生につながる書店振興への取り組み
 少子化や地域活性化の推進に資するクーポンの発行、書店を核としたまちづくり事例など、自治体が主導し、地域の書店と連携した取組の好事例の収集を行い、こうした取組が拡がるよう、自治体等に対して周知を図っていくこと。

大阪府書店組合 二村氏、「書店振興PT」で毎日新聞の取材受ける

 大阪府書店商業組合は6月8日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
 経営活性化・事業増売委員会の二村知子委員長は、毎日新聞から経産省「書店振興プロジェクトチーム」について取材があり、書店の立場を伝えたと報告した。記事は6月13日付の同紙「論点」に掲載された。
 読書推進委員会からは、大阪読書推進会総会が6月19日、朝日新聞大阪本社で開催されると報告があった。 (石尾義彦事務局長)

日販「NIPPAN CONFERENCE 2024」 持続可能な出版流通に取り組む 取次事業立て直しが最優先課題

 日本出版販売(日販)は5月14日、東京・文京区の東京ドームホテルで「NIPPAN CONFERENCE 2024」を開催し、出版社、書店など総勢400名が出席。日販グループホールディングス(日販GHD)の富樫建社長と日販の奥村景二社長、中西淳一専務、伊藤宏治常務が出版流通を持続可能にするための改革に向けた取り組みを説明した。
 冒頭、グループの基調報告に立った富樫社長は、2023年度決算について12億円の赤字と報告。取次事業は36億円の赤字だが、小売事業は黒字転換し、取次・小売以外の中核事業は増収増益で26億円の黒字を確保したとして、「2期連続赤字になった取次事業の立て直しがグループの最優先課題」と述べた。
 そして、グループの経営理念は「人と文化のつながりを大切にしてすべての人の心に豊かさを届ける」ことと説明。これを実現するためにESG経営を推進し、「新しい取次」をデザインすると表明した。グループの各事業は取次事業から機能拡張・派生したもので、グループの事業領域が拡大していく中、取次事業がコアバリューであることは変わらないと強調した。
 富樫社長は取次の価値を「書店・読者と出版社をつなぐネットワーク」とし、今後の取り組みについて、書店経営を持続可能にする「出版流通改革」、将来にも出版流通を持続可能にするための「大規模な物流再編」、地域・行政・他業界と書店との共創による「マーケットの創出」の3つを明示。「物流2024年問題・標準運賃引き上げへの対応など、持続可能な出版輸送の実現へ業界全体で課題を解決していきたい」と決意を示した。
 中西専務は「持続可能な出版流通」と題して報告。出版流通の持続のために必要なものとして「売上創出」「粗利改善」「インフラ」を列挙し、書店への集客施策として「バズコレ」「書店祭」、書店粗利改善のための「PPIプレミアム」「雑誌買切」、ブックセラーズ&カンパニー、ブックエントリー、NOCS0を説明した。
 また、輸送の運賃について、1㎏当たりの単価が2014年の25・1円から2023年には63・6円となり、2倍以上に上昇していることに言及。国土交通省は標準的運賃のガイドラインを設定して平均8%引き上げ、公正取引委員会はコスト増加分をサプライチェーンの中で適切に価格転嫁することを各業界に推奨しているとし、「類を見ないような金額規模での運賃上昇が早ければ年内、遅くとも1~2年の間で迫ってくることは避けられない。出版流通の持続性は危機的状況にある」と強調。運賃上昇分の負担について応分の負担をしてほしいと出版社に理解を求めた。
 伊藤常務は「物流を創り変える」をメインテーマに、「物流の将来計画」を説明。同社は1990年代の業量拡大期にシステム化や機械設備への大規模な投資を実行し、2000年代以降は流通量の減少に伴い集約を行いつつ、業界全体でのコスト最小化を図るため同業他社との協業を推進している。これらの取り組みにより2023年度の物流コストの総額は、2014年度との比較で70億円以上減少。一方、送品冊数は10年間で半減し、1冊当たりの物流コストは上昇が続く。伊藤常務は「コスト削減の効果が効率悪化のスピードに追い付いていないのが現状。90年代に導入した設備や機械が今の市場規模に見合っておらず、他の商材で転用するなどの融通が利きずらい。現状の課題を解決しながら、変化する書店の売場を支える物流に創り変えていく」との考えを示した。これまでの機械設備は雑誌・書籍など出版物に特化していたため、流通量が減少するとそのまま稼働率の低下に直結していた。「これからは他のあらゆる商材に対応できる汎用性のある物流に創り変えることで、流通量に対し柔軟性のある物流に変革したい」と話した。今年10月に埼玉県新座市で稼働する物流拠点「N-PORT新座」で再編の第一歩として文具雑貨物流を統合する。
 奥村社長は「日販が目指す未来」を語った。「出版流通の持続」「輸配送課題の解決」「マーケットの創出」に本気で取り組むとあらためて宣言。「書店こそが人の心に豊かさを届ける、地域のコミュニティセンター。しかし今、この大事な社会基盤が持続可能なものではなくなりつつある。このまま書店が減り続ければ人と本との接点はさらに薄くなっていく」と述べ、地方自治体・他業界企業と書店との連携によって新しいマーケットを創出することに意欲を示した。
 最後に、能登半島地震で被災しながら営業再開した書店を紹介し、「地域の書店の光を絶対に消してはならない」と訴えた。

日販調査店頭売上 5月期は前年比3・1%減 ビジネス書、新書が3ヵ月連続前年超え

 日本出版販売(日販)調べの5月期店頭売上は前年比3・1%減だった。ジャンル別では、雑誌は同3・9%減、書籍は同1・6%減、コミックは同6・0%減、開発品は同6・9%増。
 書籍ではビジネス書が4ヵ月連続、新書が3ヵ月連続で前年超えと好調を維持。ビジネス書では『書いてはいけない』(フォレスト出版)、新書では『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)などが売上を牽引した。コミックは、「キングダム72」「ワールドトリガー27」(いずれも集英社)などの新刊が売上を伸ばしたが、前年割れとなった。

連載「生活実用書・注目的新刊」 大口浩司監修『自分で押せる特効ツボ&マッサージ』(知的生き方文庫) 齋藤 一郎(遊友出版 代表取締役)

 鍼はツボを刺激して痛みや不調を和らげるが、起源は新石器時代の石で作られた石鍼や動物の骨を使った骨鍼という。傷をつけることで治療をしたと考えられている。現在では鍼灸と免疫の関係も、5つの経絡、例えば足三里-迷走神経-副腎髄質の抗炎症作用などが解明されている。
 漢方薬も、十全大補湯はアンチエイジングで、人参養栄湯は認知機能で研究が進んでいる。例えば風邪、インフルエンザは小柴胡湯7・5g分3で、睡眠障害は抑肝散加陳皮で、いずれも医薬品に比べより改善される。
 頭痛には天柱(首の付け根)攅竹(左右の眉頭のくぼみ)率谷(耳の上指幅2本分)手三里(肘から手首に向かって指3本分外側)を5秒ほど、ゆっくり押すと良い。巻末に厳選28のツボ一覧。
 大口浩司監修『自分で
押せる特効ツボ&マッサージ』(知的生きかた文庫 三笠書房 830円)は、全身のツボナップから76症状に対応する。肩こりは手三里、肩井と耳たぶの眼点がお勧め。