全国書店新聞
             

令和6年9月15日号

日本ど真ん中書店会議 愛知・岐阜・三重組合が共催 書店243名来場 活発に商談 「日本ど真ん中書店大賞」に黒栁桂子さん

 東海3県の書店商談会「日本ど真ん中書店会議2024」が8月28日、名古屋市の名古屋市中小企業振興会館(吹上ホール)で開催された。出版社235社が出展、書店243名が訪れ、商談や情報交換を行った。また、東海3県の書店員らが選ぶ「日本ど真ん中書店大賞2024」が発表され、大賞に黒栁桂子さんの『めざせ!ムショラン三ツ星』(朝日新聞出版)、特別賞に喜瀬雅則さんの『中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由』(光文社新書)が選ばれた。

 日本ど真ん中書店会議は、愛知、岐阜、三重の3県の書店と出版社、取次が年に1度集まり、商談、交流、情報交換を行う。ここでの仕入れや情報交換から店頭を活性化し、出版文化の発展に貢献することが目的。
 主催は日本ど真ん中書店会議実行委員会。共催は愛知県書店商業組合、岐阜県書店商業組合、三重県書店商業組合。後援は東海日販会、中部トーハン会、書店楽結会、日書連。
 開会にあたり、主催者を代表して春井宏之実行委員長(愛知県書店商業組合理事長、正文館書店)があいさつ。書店支援の動きについて「これまで書店議連などを通じていろいろな活動を続けてきて、今年3月、齋藤健経済産業相が『書店振興プロジェクトチーム』を立ち上げたことがゲームチェンジになった」と述べた。
 その上で、「本を読んでくれる人を増やさない限り、われわれの業界に光が差すことはない。SNSでの発信なども含め、読書の良さを伝え、読者をどうやって増やすのか、業界関係者一人一人が考えなくてはいけない」と強調した。
 商談会に先立ち、「日本ど真ん中書店大賞2024」を発表。続けて表彰式を行い、春井実行委員長が大賞の黒栁さんと特別賞の喜瀬さんに、賞状と副賞の愛知県発祥の和菓子「大あんまき」を手渡した。その後、両氏が受賞の喜びを語った。
 黒栁さんは、岡崎医療刑務所(岡崎市)に勤務する管理栄養士。『めざせ!ムショラン三ツ星』は、受刑者たちとの食事作りに奮闘する日々を描く。黒栁さんは「担当編集者や前代未聞の企画を許可してくれた所長、さまざまなエピソードを教えてくれた刑務官らに感謝している。小学生から弁護士まで、いろいろな方に読んでいただいている。変な言い方かもしれないが、刑務所を身近に感じてもらえるのでは」と話した。
 『中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由』は、立浪和義監督をはじめ多くのOBや関係者への取材を基にしたドラゴンズ論の決定版。スポーツライターの喜瀬さんは、「中日ドラゴンズは今季も最下位争いをしているにもかかわらず、観客動員数は昨季より増えている。立浪監督が来季も続投するのか、または交代するのか、読み解きをしながら読んでいただければ」と語った。
 表彰式終了後、商談会がスタート。会場のいたるところで商談が活発に行われ、新刊やおすすめ商品の話に花が咲いた。また、黒栁さんと喜瀬さんがサイン会を行い、来場した書店員と談笑するなど交流した。

東京組合、定例理事会を開催 「ブルーロック」とコラボ確定

 東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は9月3日、東京都千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
 総務・財務委員会では、エリア活動費について、令和7年度以降はエリア会開催後に実費支給とすることを承認した。
 組織委員会では、組合員状況調査、定款変更条文新旧対照表について報告した。条文の変更は次回の理事会で諮る予定。
 事業・増売委員会では、河出書房新社の文庫『源氏物語』(角田光代訳)と新書『いま読む「源氏物語」』(角田光代、山本淳子著)を特別増売商品とすることを承認した。また、秋の読書推進月間「BOOK MEETS NEXT2024」の読者還元祭について、販促物としてレジ前での使用を想定した応募用店頭カード(二次元コード入り)が配布されると説明した。
 共同受注・デジタル委員会では、2023年度の日本教育公務員弘済会東京支部による学校図書助成事業が終了したと報告。24年度も実施する方向で検討に入っている。
 指導・調査委員会では、書店経営研修会を11月21日に書店会館で開催すると報告した。活字文化研究所事務局長の菊池壮一氏(元日比谷図書文化館図書部門長)が「図書館と書店はいかに共存するか」をテーマに講演する。
 デジタルスタンプラリー特別委員会では、テレビアニメ「ブルーロック」第2期とのコラボが確定し、デジタルスタンプラリーの特典やアプリなどを制作中との説明があった。

9月24日、大阪でトークセッション

 「本屋の危機と未来」をテーマに語るトークセッションが9月24日、大阪市のナレッジキャピタルカンファレンスルーム(グランフロント大阪北館タワーB)とオンライン配信で開催される。
 今年5月に発刊された『2028年 街から書店が消える日』(プレジデント社)の著者の小島俊一氏、大阪市の丸善ジュンク堂書店梅田店顧問の福嶋聡氏、神戸市の井戸書店社長の森忠延氏(兵庫県書店商業組合理事長)がトークを通して書店の未来を考える。
 定員は会場参加50名、オンライン配信最大100名。参加費はいずれも2000円(税込み)で、Peatixで事前決済する。問い合わせはツクヨミプランニングの野坂匡樹氏まで(toiawase@tukuyomi.info)。

小学5、6年生がおすすめ本紹介

 文字・活字文化推進機構は10月12日、東京・池袋のジュンク堂書店池袋本店で「小学生ビブリオバトル・ワークショップ」を開催する。おすすめの本を紹介し、どの本が一番読みたくなったかを決める。時間は午後1~4時。対象は小学5、6年生16名で、応募多数の場合は抽選。同機構ホームページから申し込む。締切は9月29日。参加無料。

大阪組合、大阪維新の会と政策懇談会 図書館納入問題など陳情

 大阪府書店商業組合は7月26日、大阪市の大阪維新の会本部で政策懇談会に臨んだ。大阪維新の会からは、政調会長の岡崎太・大阪市議、政調会長代行の高見亮・同市議、政調会長代理の前田洋輔・大阪府議、広報局長の佐々木りえ・大阪市議、岩木均・大阪府議、前川和也・忠岡町議が出席。大阪組合からは、深田健治理事長、堀博明副理事長、福島浩一理事、今西麻由美理事が出席した。
 深田理事長が大阪組合と大阪読書推進会の活動を説明。さらに大阪組合から維新の会への要望として、①大阪市内学校図書館への納入における装備負担と過度な価格競争の解消、②自治体公共図書館への地元書店の納入、③第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づく学校図書館の予算、④家庭学習支援としての図書カードの配布――について説明・陳情した。
 岡崎政調会長は、「昨年の陳情の際に積み残しとなっていた特定業者に偏った仕様についての調査は途中だが、書店の要望は継続して検討していく」と説明した。(石尾義彦事務局長)

神奈川組合、厳しい状況に立ち向かう 「両利きの経営」も視野に

 神奈川県書店商業組合は8月26日、横浜市のかながわ県民センターで第47回通常総会を開催し、組合員70名(委任状含む)が出席した。
 松信裕理事長(有隣堂)はあいさつで、「今年も厳しい前半戦を過ごした。出版科学研究所の出版指標6月号によると、5月の推定販売部数は昨年対比で書籍がマイナス2・9%、雑誌がマイナス12・6%と前年を割り続けている」と指摘した。
 その上で「この状況に何とか立ち向かっていかねばならない。すでに実行しているとは思うが、陳列の工夫、ポップの掲載、お客さまへの声掛け、店頭ポスターやのぼりの掲出、外商での売り込み、催事の実行など、手の届く範囲で対策が見えないだろうか。もっとも、紙の本の退潮は大きな流れで、『両利きの経営』としてもう一本何か経営の柱を立てる必要もあろう。工夫もせずに流されていくわけにはいかない」と呼びかけた。
 最後に「本は人が人らしく生き、文化を育てていく砦。どうか生き残って、弱体化した日本の力になっていきたい」と力を込めた。
 議案審議では、令和5年度事業報告、決算および監査報告、令和6年度事業計画、収支予算案、定款改正案などすべての議案を原案通り可決承認した。

大阪組合、レディースランチ開催

 大阪府書店商業組合は8月7日、大阪市北区の中之島フェスティバルタワー37階のフランス料理店「ラ・フェット ひらまつ」で第19回「レディースランチ」を開き、43名が出席した。コロナ禍のため5年ぶりの開催となった。
 レディース委員会の松田和子委員長の開会のあいさつに続き、深田健治理事長があいさつ。「昨日、齋藤健経産大臣と、組合から私、戸和繁晴副理事長、堀博明副理事長、二村知子経営活性化委員長が出席し、街の書店の現状を説明した」と、前日に大阪市で行われた「車座ヒアリング」での意見交換について報告した。
 参加者は、最上階に位置する同店から眺める景色とともに、繊細で洗練された料理を堪能し、歓談した。   (石尾義彦事務局長)

連載「春夏秋冬 本屋です」 読書県を支える本屋さん/岩切 承自(宮崎・岩切書店 代表取締役会長)

 今年の秋の読書週間に、宮崎県立図書館は「読書県みやざきを支える本屋さん」として県内の書店にスポットを当てた企画を予定しています。
 宮崎県は「読書県みやざき」を推進しており、その一翼を担う書店に注目し、県民に図書館と書店との連携や本の流通に関心を持ってもらおうとの試みです。
 内容は、各書店の沿革や歴史、特色の紹介、宮崎本大賞の説明と展示、書店を題材にした小説や絵本の展示、各書店の店長がおすすめする「私を変えた一冊」の紹介展示、ギャラリートーク「教えて本屋さん」などなど。
 このように宮崎県立図書館が書店を主題にした企画を行うのは初めてだと思います。図書館と書店との共存・共生を考えるとき、私たち書店としても協力し、成功してほしいと願っています。
 宮崎県立図書館は1902(明治35)年に創設され、その後変遷しながら2022年に120周年を迎えました。この間、1922(大正11)年に観光名所の青島海水浴場に「納涼文庫」、1947(昭和22)年に「臨海文庫」を開設し、海水浴に訪れた方々に海浜での読書を提供しました。
 また自動車文庫「やまびこ」をはじめ、「農村文庫」「PTA母親文庫」「へきち仲よし子ども図書館」など、山村やなかなか図書館に行く機会のない人々のところに積極的に出向き、読書する機会の提供に励んできました。
 1947~58年には、芥川賞候補作家であった中村地平氏が図書館長を務め、いろいろな施策を行うとともに知り合いの文人を招き、講演会を催しています。
 このような活動を通して読書の推進に努めてきた宮崎県立図書館と書店との関係をもっと密なものにし、「読書県みやざき」として県民がもっと読書に親しんでもらいたいと思っています。

日書連のうごき

 8月1日 学校図書館賞表彰式に事務局が出席。
 8月6日 図書館委員会(Web)に髙島委員長が出席。車座ヒアリング大阪に深田副会長、戸和理事が出席。
 8月7日 三井住友カードとのキャッシュレスについての意見交換に矢幡会長、平井副会長が出席。
 8月15日 読書推進委員会(Web)に矢幡会長、春井副会長、成田、森両理事が出席。
 8月23日 全国万引犯罪防止機構理事会に矢幡会長が出席。
 8月26日 野間読書推進賞選考委員会に事務局が出席。
 8月28日 文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。日本ど真ん中書店会議に事務局が出席。
 8月29日 「出版再販・流通白書」事務局打ち合わせに事務局が出席。

紙の出版販売金額6%減少 2023年 紙と電子の合算は2年連続前年割れ

 全国出版協会・出版科学研究所が発行した『出版指標年報 2024年版』によると、2023年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比6・0%減の1兆612億円だった。内訳は、書籍が同4・7%減の6194億円、雑誌が同7・9%減の4418億円。電子出版は同6・7%増の5351億円だった。紙と電子を合算した販売金額は同2・1%減の1兆5963億円で、2年連続で前年割れとなった。

[■書籍 文芸書1%増も全体では厳しく]
 書籍の推定販売金額は前年比4・7%減の6194億円。年間を通した物価高と新型コロナの行動制限解除に大きく影響された。
 文芸書は同約1%増の売れ行き。ウェブ発・SNSや動画との連動からヒットする作品も目立った。学参や地図・旅行ガイドも健闘した。しかし、児童書が同6・5%減、ビジネス書が同約5%減、趣味・生活実用書が同約3%減、文庫が同6・1%減、新書が同9・9%減と全体では厳しい結果になった。
 推定販売部数は同6・7%(3354万冊)減の4憶6405万冊で、1998年の7・1%減に次ぐ減少幅。1人当たりの購入冊数は3・7冊で、前年の4・0冊からさらに減った。
 金額返品率は前年比0・8ポイント増の33・4%。2009年の40・6%から長期的に改善傾向が続いていたが、ここ2年は悪化している。
 新刊点数は、前年比3・0%(1980点)減の6万4905点で2年連続の減少。内訳は、取次仕入窓口経由が同1・1%(538点)減の4万6642点、注文扱いが同7・3%(1442点)減の1万8263点。取次仕入窓口経由は11年連続で減少した。
 新刊推定発行部数は同4・4%減の2億5777万冊。電子版のリリースや小ロットでの増刷、スピード化もあって、企画を厳選し、部数もメリハリをつけて無駄を省くというのが当たり前になっている。1点当たりの発行部数は前年並みの4000冊。
 平均価格は、新刊が同2・9%(37円)増の1305円。一方、出回り平均価格は同2・3%(29円)増の1285円。
 23年の単行本総合ベスト10は次の通り。①『汝、星のごとく』凪良ゆう(講談社)②『変な家』雨穴(飛鳥新社)③『街とその不確かな壁』村上春樹(新潮社)④『地獄の法』大川隆法(幸福の科学出版)⑤『変な絵』雨穴(双葉社)⑥『日本史を暴く』磯田道史(中央公論新社)⑦『頭のいい人が話す前に考えていること』安達裕哉(ダイヤモンド社)⑧『安倍晋三 回顧録』安倍晋三、橋本五郎(聞き手)ほか(中央公論新社)⑨『続 窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子(講談社)⑩『人は話し方が9割』永松茂久(すばる舎)
※文庫、趣味・生活実用書、児童書、学習参考書、ゲーム攻略本は除く

[■雑誌 部数の減少続く 創復刊数最低に]
 雑誌の推定販売金額は前年比7・9%減の4418億円。内訳は、月刊誌が同7・2%減の3728億円、週刊誌が同11・3%減の690億円。月刊誌の内訳は、定期誌が同5・3%減、ムックが同7・1%減、コミック(単行本)が同9・8%減だった。
 推定発行部数は同10・7%減の11億6205万冊。内訳は、月刊誌が同10・8%減の8億5726万冊、週刊誌が同10・5%減の3億479万冊だった。
 定期誌はほとんどの部門で発行部数が1割近いマイナス。刊行ペースを落とす雑誌が多いだけでなく、合併号にして年間の刊行本数を減らす動きも目立つ。出版社は紙媒体だけに頼らない、雑誌ブランドを生かしたビジネスへとシフトしつつある。
 ムックは地図・旅行ガイドやシニア向け生き方本、漫画やゲームの人気作関連など売れるものはあるが、全体としては低調。新刊点数は前年比305点減の5424点で、発行・販売ともに市場規模は縮小傾向。
 コミックは、『【推しの子】』(集英社)や『葬送のフリーレン』(小学館)などのアニメ化作品が大ヒット。しかし、市場規模は前年からマイナスとなり、コロナ禍以前の18年をも下回った。
 平均価格は同5・4%(34円)増の661円。1981年以来の5%台と大幅に上昇した。内訳は、月刊誌が同5・5%(39円)増の743円、週刊誌が同5・4%(22円)増の429円。
 創復刊点数は同14点減の25点。2021年の33点を下回り、過去最低だった。一方、休刊点数は同31点減の64点。『Popteen』(発行・ポップティーン、発売・角川春樹事務所)、『レコード芸術』(音楽之友社)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)、『週刊ザテレビジョン』(KADOKAWA)などの歴史ある雑誌が次々と姿を消した。

[■電子出版 高成長率を維持 コミックが牽引]
 電子出版の市場規模は前年比6・7%増の5351億円。内訳は、電子コミックが同7・8%増の4830億円、電子書籍が同1・3%減の440億円、電子雑誌が同8・0%減の81億円。コロナ禍の巣ごもり需要は完全に終息し、物価高など紙市場・リアル書店は逆風が吹く中、電子市場は引き続き高い成長率を示した。
 出版市場全体での電子出版の占有率は33・5%と前年比2・8ポイント増。電子出版での占有率は、コミックが90・3%、書籍が8・2%、雑誌が1・5%だった。
 電子コミックは、各ストアの広告出稿や活発な施策で引き続き堅調に推移し、市場を牽引。縦スクロールコミックも依然好調で、全体の数字を押し上げた。
 22年に調査開始以来初の微減となった電子書籍は、23年はさらに数字を落とす結果になった。ライトノベルや写真集は比較的好調だが、文芸やビジネス、実用書などは不振。
 電子雑誌は、減少幅は若干緩やかになったが、NTTドコモの定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員減少が続いている。

第78回読書週間ポスター公開 標語は「この一行に逢いにきた」

 読書推進運動協議会(野間省伸会長)が主催する第78回読書週間(10月27日~11月9日)のポスターが決まり、同協議会のホームページ(HP)で公開された。同協議会は、ポスターと広報文書を全国の公共図書館や小中高校の図書館、書店、出版社、報道機関などに配布。ポスターのデータは同協議会のHPでダウンロードできる。
 今回の標語は、応募総数663点の中から中山実穂さんの「この一行に逢いにきた」が選ばれた。中山さんは「本の中にグッとくる一行があって、何度も何度も目でなぞり、ついには暗記してしまう。作者はこの一行のためにこの本を書いていて、読者はこの一行に出逢うため読んでいるのだと思うとき、幸福になる自分がいます」とコメントした。
 イラストは、応募総数381点の中から熊梨江さんの作品が選ばれた。熊さんは「ページをめくってたどり着いた一行は、心を豊かにしてくれます。感動したり学んだり、どこでも誰でもいつだって読書は成長の糧です」とコメントした。

読み聞かせ講座好評 家の光協会

 家の光協会は7月に実施した「第21回家の光読書ボランティア養成講座」と「第18回家の光読書ボランティアスキルアップ講座」の開催報告書をまとめた。読み聞かせ活動を広げる目的で、初心者向けと経験者向けの2講座をオンラインで開催した。
 開催後に実施したアンケート調査の結果によると、読書ボランティア養成講座(回答数197件)の全体を通しての感想は、「たいへんよかった」が62・9%、「よかった」が34・0%、「ふつう」が2・5%、「あまり参考にならなかった」が0・5%だった。
 開催内容については、「読み聞かせボランティアが具体的にどのようなことをするのか、どのような準備や知識が必要なのかの導入部分を知ることができて良かった」「家で、無料で学べるのは大変嬉しい。今回のように理論と実践を見せてほしい」「視聴期間も2週間ほどあったので、繰り返し見られたのも良かった」などの感想があった。
 また、読書ボランティアスキルアップ講座(回答数171件)の全体を通しての感想は、「たいへんよかった」が71・3%、「よかった」が26・3%、「ふつう」が1・8%、「あまりよくなかった」が0・6%だった。
 開催内容については、「地方で勤務をしながら学べる大変ぜいたくで配慮された取り組みに感謝」「常時開催型のイベントも企画してほしい」「熱心に活動している皆さんの読み聞かせの実践例が見られるのはとても勉強になる」などの感想や意見が寄せられた。

中央社 23年度決算は増収減益 総売上高は0・4%増

 中央社は8月20日、東京都板橋区の本社で定時株主総会と取締役会を開き、2023年度(23年6月1日~24年5月31日)決算と役員人事を決定した。総売上高は前期比0・4%増の203億4151万円、営業利益は同3・5%減の3億779万円、経常利益は同1・0%増の1億4025万円、当期純利益は同4・4%減の7307万円と増収減益の決算だった。
 部門別の売上高は、雑誌が同2・6%減の110億8930万円、書籍が同6・5%増の81億272万円、特品等が同14・2%減の8億9260万円。
 雑誌部門のうち、コミックを除く雑誌は同1・0%減、雑誌扱いコミックは同3・3%減。コミックはコロナ禍が明けてから低迷を続けており、マイナス成長を払拭できていない。書籍部門は、ヒットコミックの小説版やイラスト集など大物商品が続いたことで前年を大幅に上回った。
 返品率は、雑誌が同1・2ポイント増の29・2%、書籍が同0・6ポイント増の29・8%、特品等が同5・0ポイント増の14・9%、総合で同1・3ポイント増の29・0%と悪化した。経費面では、全部門での利益創出と経費削減の取り組み「ハイ・パフォーマンス・プロジェクト」の効果で販売費と一般管理費の合計は同2・2%増で抑えられた。
 24年度は売上高同2・1%増の205億1310万円、返品率同1・3ポイント減の27・7%を目指す。
 取締役および執行役員全員の任期満了により役員改選を行った。
[役員体制]
代表取締役社長 経営計画本部長 森岡 憲司
専務取締役 営業本部長兼経営計画本部副本部長兼市場開発室担当兼第三営業部担当兼仕入部担当兼第三営業部長 山本 章雄
同 管理本部長兼経営計画本部副本部長兼総務部担当兼人事部担当兼取引経理部担当兼物流管理部担当兼総務部長 片山 秀樹
取締役 営業本部副本部長(営業部門)兼第一営業部担当兼第二営業部担当兼市場開発室長兼第一営業部長 竹内 純一
同 情報システム部担当兼人事部長兼経営計画推進部部長兼人事課長 早川 和邦
監査役(新任) 竹内 文利
執行役員 物流管理部長 木山 良樹
同 第二営業部長兼市場開発室部長兼配本課長 足立 良二

日販調査店頭売上 7月期は前年比4・4%減 週刊誌が1年8ヵ月ぶり前年超え

 日本出版販売(日販)調べの7月期店頭売上は前年比4・4%減だった。ジャンル別では、雑誌は同0・9%減、書籍は同2・6%減、コミックは同10・3%減、開発品は同8・2%減だった。
 雑誌は週刊誌が2022年11月期以来、1年8ヵ月ぶりに前年超えとなり、特に「anan2024年7月24日号」(マガジンハウス)や「あぶない刑事DVDコレクション」シリーズ(デアゴスティーニ・ジャパン)などが売上を牽引した。
 書籍は英検やTOEICの関連書籍、夏休みのドリルシリーズの好調により、学参が前年超えとなった。また、コミックは「ONE PIECE」「呪術廻戦」(集英社)など人気作品の新刊が売上を伸ばしたが、全体では前年を下回った。

本の価値伝える 河出書房新社

 河出書房新社は7月29日、東京都新宿区の本社で今後刊行予定の書籍などを紹介する企画説明会を開き、大型企画や注目作品などを紹介した。
 小野寺優社長はあいさつの中で「消費者は、今ここでしか手に入らないものに価値を見いだす。私たちが考えなければならないのは、どうすれば本の価値をもっと上げられるかだ」と強調。「私たちは価値、魅力のある出版物を刊行していると自負しているが、その価値を十分に伝えられていない。いったんゼロ地点に立ってこれからの出版物のあり方や情報発信の仕方を考えたい」と決意を示した。
 続いて、各担当者から企画説明があった。まずは今年注目の文芸書として、現在販売中の『下町サイキック』(吉本ばなな著)、10月発売予定の『ナチュラルボーンチキン』(金原ひとみ著)や、河出文庫「古典新訳コレクション」を紹介した。
 大型図鑑企画では、最新CGと図版で2500年の歴史を再現した『古代ローマ帝国大図鑑』のほか、『気候と生態系でわかる 地球の生物大図鑑』『地球の科学大図鑑』『シャーロック・ホームズの世界 大図鑑』、世界を知る新しい教科書シリーズの『数学大図鑑』『法の歴史大図鑑』を9月から11月にかけて刊行する。
 累計800万部超の世界的ベストセラー『美術の物語』のポケット版(10月発売予定)については、通常価格4990円(税別)のところを、2025年1月末まで刊行記念特価3990円(同)で販売する。
 11月には、カリフォルニア・ディズニーランド・パークの世界が楽しめるポップアップブック『ディズニーランド・パーク ポップアップ・パークツアー』(予価8250円〈税込み〉)の発売を予定している。
 新規事業プロジェクトでは、音楽アーティスト・カンザキイオリの最新小説『自由に捕らわれる。』の通常版とCD付き特装完全版、「文藝×monogatary.comコラボ賞」から生まれた短編小説集『白山通り炎上の件(仮)』(有手窓ほか著、10月発売)、音声合成ソフトで楽曲を制作する人気ボカロPのピノキオピーの書籍刊行プロジェクト、10月放映開始予定のテレビアニメ『魔法使いになれなかった女の子の話』の原案者によるノベライズ小説など、バラエティーに富んだ企画を発表した。
 最後に、世界著作発行累計が4500万部を突破している歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏の最新作『Nexus(原題)』の日本語版を25年春に刊行すると発表した。今後の刊行情報については同社の公式Xなどで随時発表される予定。

連載「本屋のあとがき」 平山流〝脱線〟映画解説/宇田川 拓也(ときわ書房本店 文芸書・文庫担当)

 毎週土曜日配信のYouTubeチャンネル「平山夢明のシネマdeシネマ」を愉しく視聴している。
 『独白するユニバーサル横メルカトル』や『ダイナー』といった代表作を持つホラー作家の平山氏は、映画に造詣が深いことでも知られている。映画関係のライターであるギンティ小林氏をレギュラーゲストに迎え、新作はほどほどに、死ぬまでに絶対に見るべき名作・傑作を中心に一作を取り上げ、話が進められていく。
 いまどき映画の解説動画など珍しくもあるまい、と思った方もいるに違いない。確かにその通りではあるのだが、それでもついこのチャンネルを視聴してしまうのは、平山氏の愛すべきテキトーさと創作者だからこその確かな目にある。
 まずどれくらいテキトーかというと、『ゾンビ』『ロッキー』を取り上げた際は、序盤から脱線に次ぐ脱線で笑いを巻き起こし、ついに作品に触れることなく丸々一回分が終わってしまったくらい。
 そして確かな目は、豊富なトリビアを交えながら見どころと注目ポイントに触れつつ、そうした見方もあるのかという気付きをもたらすのみならず、またその作品を頭から見返さずにはいられなくさせるのだ。
 この愉しさは、講義のような堅苦しいものではなく、酒場の陽気な映画談義に通ずるものがある。ざっくばらんに、好きなものについて思うままに語るひとの顔は輝いているものだ。その声に耳を傾ける面白さと同じ味わいがあるから、また視聴してしまうのである。