全国書店新聞
             

令和2年2月15日号

決済手数料経営を圧迫/キャッシュレス化対策急務/神奈川組合新年懇親会

神奈川県書店商業組合は1月28日、横浜市中区の華正楼で新年懇親会を開き、書店、取次、出版社など93名が出席。松信裕理事長(有隣堂)は、キャッシュレス化の進行に伴う決済手数料の増加が利益率の低い書店経営の大きな負担になっている現状を憂慮し、日書連の矢幡秀治会長が「若さ」と「新しい感覚」で力を発揮してほしいと期待を示した。これを受けて来賓の矢幡会長は「今年の目標は一歩踏み出し、前に進めること」と諸課題解決に向けて意気込みを語った。
あいさつに立った松信理事長は「今までのシステムの延長線上では書店はもうもたない」と述べ、キャッシュレス決済の普及に伴い手数料負担が増加していることについて「日本は決済手数料が3~5%と高く、書店経営の新たな問題になっている。利益率の低い書店がこれをすべて負担している」と指摘。「書店は瀕死の状態で、このままでは死んでしまう。それは出版の死も意味する。出版社が『書店がなければ立ち行かない』と考えているならば、ともに対策を考えていただきたい」と課題解決へ理解と協力を求めた。
また、日立製作所出身で、昨年51歳で日書連会長に就任した矢幡氏の「若さ」と「新しい感覚」に期待を表明し、「キャッシュレス化対策やICタグ導入など多くの問題で矢幡会長は大きな力を発揮できると信じている。日本の文化と学術のため、書店は必要。出版界の風景をきれいにしたい」と決意を述べた。
来賓の矢幡会長は、今年の目標について「一歩でも前に進める」ことを掲げ、「業界を変えていくための一歩を踏み出し、進めていく」と意気込みを語った。
キャッシュレス化については、組合加盟書店のキャッシュレス決済の導入状況を把握するためアンケート調査を実施し、調査結果を持って出版社や取次と意見交換を行いたい意向を示した。ICタグについては、生産コストの高さが障害になっていると指摘し、経済産業省とコンビニ各社が行っている実証実験の動向などを注視しながら、出版物への導入が可能かどうか業界全体で検討するとした。
トーハン・小崎修関東第二支店長が「出版界も五輪の波に乗り、感動と応援を消費に変える年にしたい」とあいさつし、乾杯した。

顔認証データ16名登録、3人捕捉/3書店が防犯カメラで万引対策/「渋谷プロジェクト」実績を発表

東京都渋谷区の大盛堂書店、啓文堂書店渋谷店、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店の3書店は、防犯カメラの顔認証システムで集めた個人データを登録して共同利用する「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」の取り組みを、昨年7月30日から始めた。
同プロジェクト事務局は、このほど開始後3ヵ月の実績をまとめた。10月31日までの期間中、万引を行った16名(17件)の顔認証データを登録し、このうち3名を捕捉した。17件中1件では、同一人物が顔認証データ登録した店以外にも出没し、アラームが鳴って発報後に警戒態勢に入ったが、最終的に逃亡した。これが同プロジェクトが機能した初めてのケースになったという。
確認した万引行為はすべて単独で行われ、同じ単行本、コミック、写真集が複数冊あるなど転売目的が約半数を占めた。万引行為は書店の人員が手薄になる時間帯に多く見られ、万引行為にかかる時間は最短1分、最長40分で、10分以内が12件、このうち5分以内が6件と、あらかじめ狙いを定めたと思われる事案が多かった。期間中に3書店がとった防犯行動は、掌握できただけで45件だった。
同プロジェクト事務局は「確実に万引行為が行われていることが確認された。当初予測よりも登録件数は若干下回った。店頭の実感は、確実に減っているという手応えはないという店舗と、かなり減っているという感触を得ている店舗に二分された。まだ3ヵ月の実績なので、このプロジェクトの評価を下すには時期尚早だが、今後登録件数が増えていく中で機能していくという確信を持つことができた」と総括している。

阪神・淡路大震災から25年/「組合の底力発揮しよう」/兵庫組合新年互礼会

兵庫県書店商業組合は1月15日、尼崎市の尼崎商工会議所で新年互礼会を開催。書店16名、出版社20名、取次7名ら総勢46名が出席した。
和装で登壇した森忠延理事長(井戸書店)は「先が見えない今、『脚下照顧』の実践と読書推進による価値創造へ弛まぬ努力を尽くす。阪神・淡路大震災から25年を迎える本年、兵庫組合の底力を発揮していこう」とあいさつした。
来賓のトーハンの豊田広宣専務・近畿支社長が祝辞を述べ、大阪府書店商業組合の面屋龍延理事長の発声で乾杯。聖教新聞社から酒どころ兵庫を代表する銘酒が振る舞われ、途中、森井宏和理事(森井書房)が謡曲観世流「鶴亀」を披露した。近隣4書店組合の理事長も参加し、盛会となった。(安井唯善副理事長)

「読書推進に力を入れる」/新春賀詞交歓会で春井理事長/愛知組合

愛知県書店商業組合は1月14日、名古屋市千種区のルブラ王山で新春賀詞交歓会を開き、組合員34名、出版社28名、取次20名など計82名が出席した。
冒頭のあいさつで春井宏之理事長(正文館書店)は、2020年を「学校図書館年」とする国会決議案が提出見送りとなったことに言及。図書館司書はAIに置き換わるから必要なくなるという反対意見を取り上げ、AIに置き換わる前提条件である書誌情報の登録内容が不十分と指摘。司書の重要性を説いた。そして、「今年も読書推進に力を入れていく」と誓った。
日販の濱田智中部支社長は、当日乗車した地下鉄車内で乗客を観察した結果、タブレットよりも紙の本で読書する人のほうが多かったことを報告し、乾杯の音頭をとった。
歓談後、講談社の峰岸延也常務は「本の販売は国力に結びつく。先進国で日本だけ本の売上げが落ちている。本を読むことは日本人の幸せと未来につながることを声を大にして言っていただきたい」と中締めのあいさつを述べた。
なお、新春賀詞交歓会に先立ち、長年コミック事業に携わってきた峰岸常務が「日本のコミックの将来」と題して講話会を行った。(近藤五三六広報委員)

絵本専門士養成講座第7期受講生を募集

国立青少年教育振興機構は、絵本に関する高度な知識、技能や感性を備えた専門家を養成する第7期「絵本専門士養成講座」の受講生を募集している。
同講座は6月~21年1月まで実施。受講料6万5千円。定員70名(35名×2クラス)。募集締切3月6日、受講者決定5月中旬。申し込みは同機構ホームページの申込フォームから。
問い合わせは絵本専門士委員会事務局(同機構内)まで。℡03(6407)7713

返品現地処理実現に強い意欲/北海道合同新年会で志賀理事長

北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会が1月21日、札幌市中央区のJRタワーホテル日航札幌で開かれ、総勢38名が出席。北海道組合の志賀健一理事長は返品現地処理の実現に強い意欲を示した。
志賀理事長は「返品現地処理の実現に向けて活動を始めてから3年目になる。これまで取次や出版社など様々な関係者に会い、具体的なお願いをして、ようやく先が見える状況になった」と経過報告。「先月、また書店に返品運賃値上げの話がきた。書店経営が非常に苦しい中、なかなか折り合いがつかない。このような状況を何とか乗り切るためにも、返品現地処理が実現するよう全力を尽くす」と決意を語った。
トーハンの小林英嗣北海道支店長、静山社ホールディングスの吉川廣通副社長があいさつ。亜璃西社の和田由美社長の発声で乾杯した。(事務局・髙橋牧子)

図書納入の地元優先、指定管理者対策/髙島図書館サポート部会長が講演/埼玉組合研修会

埼玉県書店商業組合(奈良俊一理事長)は昨年11月19日、さいたま市浦和区の浦和ワシントンホテルで研修会を開催し、日書連顧問で図書館サポート部会長の髙島瑞雄氏(高島書房)が「日書連・図書館サポート部会からの提案」と題して講演。図書納入や指定管理者制度の現状を踏まえ、今後の書店や納入組合の対応はどうあるべきか、具体例をまじえながら解説した。
髙島氏は、図書館への納入で、県外民間企業との競合で地元書店がなかなか落札できないことや、納品時の装備ができないことなど問題点を指摘。活字文化議員連盟の公共図書館プロジェクトが昨年6月に発表した、公共図書館の改革に向けた答申書「公共図書館の将来―『新しい公共』の実現を目指す」で、公共図書館は地域書店からの図書購入を優先することや、指定管理者・書誌データ・図書納入業者の3点セット入札を止めて個別入札に転換することなどを提言していると説明した。
今後の書店や納入組合の対応については、「公共図書館が指定管理者に移行する際には条例の改正が必要。まず県市町村の条例が改正されていないことを確認し、議会でそのような動きがないかを常時監視する。行政が条例の改正を画策した場合は、公共図書館の人事異動の際、財政・企画といった管理部門の担当者が条例改正の素案作りを目的として館長・副館長として送り込まれてくる。この段階ならば、地元企業を守る議員を探して訴え、行政の方針変更を抑え、議会で条例改正を否決させる方向に持って行く。ここまでで制止できなければ、次年度以降に指定管理者の入札に進む。また、年間一括購入契約が実施される際は、入札になる可能性が高い」と説明。
地元書店が行うべきこととして、①地元役所・教育委員会への定期的な訪問と業界情報提供、②現在の図書館取引の正確性・迅速性・情報提供の継続実施、③地元小中学校の日書連MARCによる電算化の実施――の3点をあげた。

「春夏秋冬本屋です」/「『本屋って面白い』支部から発信」/東京・教文館取締役・森岡新

「皆さま、本年もよろしくお願いいたします」支部長の一声で、当店も所属する東京都書店商業組合中央支部の新年懇親会が、1月初旬、書店や出版社など総勢40名が参加して賑々しく開かれました。恒例の出版社全員の一言アピールを聞くと、「新しい年が始まったな」と感じます。
中央支部は中央区で営業する9書店で構成。毎月開かれる支部会の出席率は高く、理事会報告をはじめ官公需のことや各書店が抱える問題等について、活発に意見交換が行われます。他愛のない会話の中から打開策が生まれることもあります。
私が支部の庶務業務を仰せつかったのは5年前のこと。外商や宣伝広告で協力し合ったり、中央区観光協会とのお付き合いから、「中央区観光検定」公式テキストの販売を支部書店で手掛けることも始めました。また、公共図書館の共同受注問題は、ここ3年にわたり、関係各所に協力を仰ぎながら支部全員で知恵を絞り、一歩ずつ前へ進んでいる状況です。
月島、築地、銀座、八重洲、日本橋、日本橋室町、新富町、八丁堀、東日本橋――区内各地域に観光地案内のように散りばめられた支部9書店。直面する問題はそれぞれ異なります。ここ数年、残念ながら廃業する仲間がいるのも事実です。
「本の力」をアピールするため、これから中央区の書店の存在を発信していくつもりです。各自が日常業務をこなしながら力を蓄え、支部の協力体制を強固にしたいものです。「本屋って面白い」ことを広く知っていただくために。

7月からレジ袋有料化各支部に意見求める/東京組合が対応検討へ

東京都書店商業組合は2月4日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。主な審議・報告事項は以下の通り。
[事業・増売委員会]
7月からプラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられることで対応を検討するため、支部会での意見を寄せてほしいと要請した。
河出書房新社より、「池澤夏樹=個人編集日本文学全集」(全30巻)が2月25日搬入発売の『源氏物語下』(角田光代訳)で完結記念するのに合わせ実施する「日本文学全集」セットセールの拡販企画について説明が行われた。
[指導・調査委員会]
組合ホームページについて、サイトの更新やメンテナンスがしやすい管理システム「Wordpress」を導入してリニューアルを行い、ほぼ完成したと説明があった。
[再販・発売日・取引改善委員会]
2月18日に書店会館で開催する「BooksPRO」書店向け説明会への積極的な参加を呼びかけた。

コミック絶好調など明るい兆し/小学校英語必修化で需要創出も/静岡新年総会

静岡県書店商業組合は1月17日、浜松市の舘山寺サゴーロイヤルホテルで第52回新年総会を開き、組合員24名をはじめ出版社、取次の合計32名が出席。吉見光太郎理事長(吉見書店)は、『鬼滅の刃』をはじめとするコミックの絶好調や小学校の英語教育必修化による需要創出といった明るい兆しに触れ、スピード感をもって小回りの利いた行動を心掛けたいと求めた。
はじめに吉見理事長は「今年の干支のねずみのように、書店もスピーディーな判断と小回りの利いた行動が必要。昨年は大型台風19号で多くの書店が被害に遭った。店舗の修繕や災害保険の見直しなど危機管理をお願いする」と述べた。
また、出版輸送問題について「今年は昨年以上に休配日が増える。輸送業界の働き方改革が進み、3年以内に週休2日制になるだろう。そうなると我々の仕事のやり方も変わってくる」と述べ、組合員の意見を聞きながら対応を考えていきたいとした。
最後に「厳しい状況の中でも、コミックの大ヒット作の誕生、小学生の英語教育の開始による副教材、辞典の需要などプラス要因も大いにある」と力説し、この新年総会で積極的に意見交換を行い今後の仕事に役立ててほしいと求めた。
続いて来賓の出版社の各担当者が来年度の営業施策を説明。小学館パブリッシング・サービスの新井課長は『キッズペディア歴史館』、集英社サービスの内山係長は芥川賞受賞作の古川真人『背高泡立草』、静岡新聞社の大林副部長は鈴木英治『義元、遼たり』と秋山香乃『氏真、寂たり』の2冊を紹介し、拡販へ協力を求めた。
懇親会では、普段会うことの難しい組合員同士が情報交換に勤しみ、親睦を深めた。(佐塚慎己広報委員)

トランスメディアが事業停止

女性ライフスタイル誌「GLITTER」を発行するトランスメディアは、1月27日までに事業を停止し、1月29日に任意整理を弁護士に一任した。
同社は2000年に設立。女性誌のほか、女優や海外セレブのライフスタイルを紹介する書籍を扱い、06年3月期には売上高約16億円を計上していた。しかし近年の出版不況で雑誌や書籍の発行部数が落ち込み、15年8月期(決算月変更)には売上高は約5億9200万円まで低迷。人員整理を進め販管費を圧縮するなど打開を図ったが業績は好転せず、今回の措置となった。

出版梓会新理事長に江草氏(有斐閣)/「問題解決型団体にシフト」/出版文化賞など4出版社表彰

出版梓会は1月15日、東京・千代田区の如水会館で第35回梓会出版文化賞、第16回出版梓会新聞社学芸文化賞の贈呈式を開催。梓会出版文化賞にジャパンマシニスト社、同特別賞に西日本出版社、新聞社学芸文化賞に柏書房と有斐閣が選ばれた。また、懇親会の席上、同日開催の第8回定時総会と理事会で選ばれた新理事のお披露目を行い、今村正樹理事長(偕成社)に代わり、新理事長に就任した江草貞治氏(有斐閣)は「出版梓会も問題解決型にシフトしなければならない」と所信を表明した。
贈呈式では、賞の贈呈後に受賞各社の代表があいさつ。ジャパンマシニスト社は1958年に創立し、機械工学系の出版物からスタート。現在は教育関係を柱に出版活動を行い、「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」「おそい・はやい・ひくい・たかい」の2冊の雑誌を発行している。中田毅社長は「科学技術は私たちの生活に欠かすことのできないものになっているが、ともすれば人間性が失われがちな社会。それを取り戻す可能性は個人の尊重とつながりにある。そういったことを探りながら、これからも出版を続けていく」と意気込みを語った。
西日本出版社の内山正之社長は「社員4名の会社で、私は編集も営業も宣伝もやっている。本を作りながらひたすら書店を回っている日々。この17年で車で35キロ走った。店頭に元気を作り、日本中の書店と一緒に頑張っていきたい」と喜びを述べた。
柏書房の富澤凡子社長は「業界未経験で採用した編集者が、オタクゾーンを引き付け当社の読者層を拡げてくれた。しかし、そうした土壌を作れたのも、これまでの営業と専門編集者の努力と情熱があったからこそ」と語った。
有斐閣の江草貞治社長は「昨今、社会科学全般に冷たい風が吹いて辛い思いもしているが、受賞を励みに頑張りたい」と述べた。
懇親会では江草新理事長が所信表明あいさつ。「出版業界の前提が崩れている。出版梓会も会員社の親睦・懇親、研鑽を積む団体から問題解決型にシフトしながら、新しいことにチャレンジしていかなければならない」と意欲を語った。
[出版梓会役員体制]
▽理事長=江草貞治(有斐閣)▽副理事長=岡本光晴(あかね書房)、下中美都(平凡社)、山本憲央(中央経済社ホールディングス)▽理事=青木誠也(作品社)、小山英俊(白水社)、内田真介(ベレ出版)、岡本功(ひかりのくに)、風間敬子(風間書房)、喜入冬子(筑摩書房)、黒田拓也(東京大学出版会)、田尻勉(幻戯書房)、富澤凡子(柏書房)、富永靖弘(新星出版社)、中川進(大月書店)、山野浩一(偕成社)▽監事=小川典子(成山堂書店)、島田孝久(晶文社)、宮部三郎(職業訓練教材研究会)

フローラル出版『史上最強のCEO』/著者のスキナー氏が特別セミナー

フローラル出版は1月8日、東京・千代田区の丸善丸の内本店で、新刊『史上最強のCEO』出版記念として著者のジェームス・スキナー氏による特別セミナーを開催した。
スキナー氏は、アメリカ最大級の研修会社フランクリン・コヴィー社の日本支社長などを務め、ビジネス書『7つの習慣』を日本に紹介してベストセラーに導いたことでも知られる。『史上最強のCEO』は、ビジネス書で初となる初版100万部で発行。アマゾンジャパンには出荷せず、街の書店への応援施策として、書店に仕入1部に対して100円、実売1部に対して100円の販促支援金を支払う仕組みを導入している。
冒頭であいさつしたフローラル出版の津嶋栄社長は、同書について「日本の会社と出版業界を何とかしたいという、スキナー氏と私どもの思いが重なって実現した出版事業だ。初版100万部というアプローチは、出版業界に一石を投じ活性化できればという思いで実施した」と述べた。
特別セミナーでスキナー氏は同書について、企業を変えるための原則として、経営者のリーダーシップ、顧客を満足させるイノベーション、利益を出し続ける仕組み、企業の目的――の4点を解説していると述べ、「経営とは顧客のニーズを満たす作業だが、要望に応えるだけでは最低限のレベル。我々の商品やサービスが顧客の気持ちを変化させたり、人生の一部になることが重要で、最高レベルの顧客満足は新しい世界観を提供すること。我々はビジネスを通じて世界をより良いものに変えることができる」と語った。
さらに、「経営者は愛の心を持って経営することが大切だ」と述べ、企業の利害関係者やコミュニティ、自然環境を含め全ての幸福に心を向けることが必要だと指摘。同書を100万部刷るには6836本の木を伐採することになるため、1万5千本の植樹に寄付したと言い添えた。
この後、AKB48の元メンバーでアパレル会社を経営する川崎希氏がゲストとして出席し、スキナー氏とトークセッションを行った。

河出書房新社『日本文学全集』完結で記念セール/1セット1万円の特別報奨/店頭・外商で拡販企画展開

河出書房新社は、『池澤夏樹=個人編集日本文学全集』(全30巻)が2月25日搬入販売の『源氏物語下』(角田光代訳)で完結することを記念し、書店向け拡販企画を実施する。
『日本文学全集』は、古典作品を第一線の現代作家による新訳で出版し、近現代作品で斬新な巻立てを採用するなど、画期的な全集として、2014年に第1巻『古事記』が刊行された当初から注目を集めており、これまで4200セット以上の定期予約を獲得、シリーズ累計52万部と好調な売行きを示している。
今回、完結記念セットセールとして『日本文学全集』と、『池澤夏樹=個人編集世界文学全集』(全30巻、在庫限り・限定50セット)を対象に、30巻セットでの販売に対し1セット1万円の特別報奨を設定する。『日本文学全集』は一括購入特典として、完結記念スペシャルブック『池澤夏樹と語る日本文学の愉しみ(仮)』(非売品、先着1千セット)を同梱する。報奨対象期間は2月25日から6月30日まで。出荷条件は3ヵ月延勘。どちらも30巻専用セットケースで出荷し、『日本文学全集』は3月下旬から、『世界文学全集』は2月25日から順次搬入。売上集計は、ケース付属の特別スリップにより集計する。
セットセールと並行し、店頭フェアを『源氏物語下』の発売に合わせて展開するため、同巻を除いた既刊29巻セットも用意。同セット限定で、帯装画を用いたポストカード5種類を1冊に1枚ランダムに封入する。2セット以上の注文には、30点全点の手書き風POPと、店頭配布用「読み比べしおり」(6種類・ランダム送付)を拡材パックで搬入する。
『源氏物語』の全3巻完結については、美麗ケース入りの限定セットを用意し、角田氏のメッセージカードを封入する。
1月29日に開いた記者説明会で、河出書房新社の田丸慶営業第一部次長兼第一課課長は「全巻が揃ってからでないと予算が下りないという図書館もあるので、そういうところも含めてセールスをかけていただければと思っている。店頭フェアも同時に開催し、多くの読者に手に取っていただく展開をお願いしたい。チラシやパンフレットなどの拡材を用意して盛り上げたい」と書店に働きかけていく方針を示した。
また『源氏物語』について、日本文学全集編集部の東條律子編集長は「角田さんは、ストーリーが本当に面白いので、途中で読者が挫折しないよう、細々とした枝葉には行かずに筋をしっかり読める訳を心掛けたと話していた。複雑な心理をうまく描きながらも、入り込み過ぎず俯瞰して訳しているので読みやすい」と角田訳『源氏』の新しい魅力をアピールした。