全国書店新聞
             

令和6年8月15日号

書店大商談会 10月30日、科学技術館で開催 「TOKYO BOOK NIGHT」と連携

 第13回「書店大商談会」(主催=「書店大商談会」実行委員会)の出版社向け企画説明会が7月17日、オンラインで開かれた。今年は10月30日に東京都千代田区の科学技術館で開催する。昨年は新たな試みとして、講師を招いての講演や企画説明などを行ったが、今年は従来の商談会形式に戻す。説明会の冒頭であいさつした矢幡秀治実行委員長(真光書店、日書連会長)は「リアルな大規模商談会を期待する書店の声が多かった」と説明。今回は「『TOKYO BOOK NIGHT』のイベントとの連携で、集客効果も見込める」と期待感を示した。

 昨年、千代田区のアルカディア市ヶ谷で開かれた第12回では、コロナ禍以降大きな変化が続く書店業界で、大商談会も新たな取り組みを進める必要があるとの考えから、従来のブース出展を中止してデジタルパンフレット(各社のおすすめ商品を掲載するWebサイト)での発注に切り替え、第1部は特別講演、第2部は新企画説明会と懇親会を実施した。
 出版社、書店あわせて210名が出席したが、いずれもリアルな商談会の開催を望む声が多かったため、従来の商談会形式に戻すことになった。矢幡実行委員長は「第10回まで使用していた文京区のプリズムホールとほぼ同規模の会場で開催するので、ぜひとも出展いただきたい」と出版社に協力を求めた。
 開催概要については、出版文化産業振興財団(JPIC)の松木修一専務理事から説明があった。主催は「書店大商談会」実行委員会、事務局協力はJPIC。開催日
時は10月30日(水)午前11時~午後5時半(予定)、会場は千代田区の科学技術館1階「展示・イベントホール」(総面積約3670㎡)。
 ブース内容は、パイプ椅子6脚、テーブル、社名板付きパーテーション1枚。コンセント使用は電気工事を伴うため有料。出展料は3万8500円、複数ブース出展の場合、2ブース目以降は3万3000円(いずれも税込み)。
 目標は出展200ブース、来場書店人数1000名。集客方法は、①東京都および周辺地域書店への強力な促進、②独立系書店への来場案内、③商談会終了後、午後6時半から(予定)同館地下2階サイエンスホールで出版社、読者を交えたイベント「TOKYO BOOK NIGHT」開催(詳細未定)。
 あわせて、商談会で書店が出展者に希望する販売企画として、①おすすめの新刊や既刊本のPR=商品の現物を用意、②当商談会のみの特別セット=ロングセラー、読者対象を絞った商品などの単独もしくは複数社による共同企画、③ポスター掲示やチラシ配布などの協力依頼、④本以外の開発商品、⑤作家を招き、来場書店との対話・懇談・サイン会、⑥著名人を招いてのサイン会・握手会・撮影会、⑦各ブースでの先着特別企画――を例示した。
 また、デジタルパンフレットについては、今回も作成する。データ必須項目は、社名・注文先・担当者名、入稿形式はPDFデータ、判型指定なし(推奨サイズはA4判)、カラー・モノクロどちらも可。掲載料は無料。
 続いて、井之上健浩副委員長(久美堂)が出展のお願いとして「アンケートでは書店の参加が少ないとの声が多く、改善策を試行錯誤している。出展者の皆さまに協力いただいて、魅力的な商談会にしたい」と呼びかけた。
 最後に、加藤勤副委員長(ブックスタマ)が「この時代に大商談会を行う意味を検討して、リアル開催を決めた。多くの出版社に参加いただいて会を盛り上げたい」とあいさつして説明会を終了した。
 出展に関しては、初めての会場になるが、過去の実績に従い、一般書・児童書・コミック・第三商材で場所を分ける方向。出展の申し込みはJPICホームページの申し込みフォーム(https://ws.formzu.net/dist/S903439671/)から。締め切りは8月19日(月)午後5時。申し込み多数の場合は抽選。出展者向け説明会は、後日改めて開催する。問い合わせ先は書店大商談会事務局(daishoudankai@jpic.or.jp)。

東京組合、定例理事会を開催 共同受注情報交換会実施へ

 東京都書店商業組合(矢幡秀治会長)は7月2日、東京都千代田区の書店会館
で7月の定例理事会を開催した。
 総務・財務委員会では、6月24日付で実施したキャッシュレス手数料に関するアンケートについて、7月1日時点での途中経過が報告され、集計は継続するので未提出の組合員は回答してほしいと要請した。
 厚生・倫理委員会では、令和7年新年懇親会の開催を決定した。日時は来年1月15日(水)午後5時半から、会場は文京区の東京ドームホテル地下1階「オーロラ」。
 事業・増売委員会では、河出書房新社の短編集「5分シリーズ」を特別増売商品とすることを承認した。4ヵ月長期、12点×1冊=12冊を7月下旬に送品。追加分は特別増売企画注文書で申し込む。また、読者謝恩図書カードの発行・販売を昨年と同様に実施することを決めた。
 共同受注・デジタル委員会は、2023年度の日本教育公務員弘済会東京支部による学校図書助成事業は順調に進んでおり、検収書の回収が完了次第、8月中に担当書店の検品手数料を支部口座に振り込む予定と説明した。
 また、8月23日(金)午後2時から書店会館で共同受注情報交換会を実施するので、各支部から最低1名は参加願いたいと呼びかけた。
 デジタルスタンプラリー特別委員会からは、プロジェクト実施内容について、現在、メインアニメキャラクターの知的財産について交渉中との説明があった。

書店でのイベントに助成 事前申請の受け付け開始 BOOK MEETS NEXT

 BOOK MEETS NEXT実行委員会(高井昌史運営委員長=紀伊國屋書店会長)は、書店に向けたイベント助成金獲得企画の事前申請書の受け付けを始めた。書店で開催されるイベントを対象に、奨励金として1店舗あたり最大5万円を助成する。対象は10月19日~12月19日の間に開催される店頭イベントとオンラインでの配信イベント。11月1日の「本の日」の前後で店頭活性化を支援する。
 申請は1企業につき1店舗。申請方法は、出版文化産業振興財団(JPIC)のホームページから事前申請書、質問表をダウンロードし、必要事項を記入の上、メール(shoten_event@n-shoten.jp)または郵送(日書連内「本の日」イベント助成金企画担当宛て)、FAX(03―3295―7180)で提出する。申請書の受け付けは9月1日まで。
 企画内容を考慮した上で助成対象店を決定し、9月11日までに審査結果を通知する。助成対象店は、イベント終了後に事後報告書とイベント報告書を提出する。提出確認後、指定の口座に助成金を振り込む。
 申請書の送付などに関する問い合わせ先は同イベント助成金企画担当(電話03―3294―0388)受付時間=平日午前10時~午後0時、午後1~5時)。

紙+電子1・5%減の7902億円 24年上半期の出版市場

 出版科学研究所は7月25日、今年上半期の紙と電子を合算した出版市場規模(推定販売金額)が前年同期比1・5%減の7902億円だったと発表した。
 紙の出版物は同5・0%減の5205億円。内訳は、書籍が同3・2%減の3179億円、雑誌が同7・8%減の2025億円だった。
 電子出版は同6・1%増の2697億円だった。

福島組合総会 書店振興へアイデア募る 図書館への要望書提出も報告

 福島県書店商業組合は6月29日、郡山市の郡山商工会議所で第40回通常総会を開催し、組合員37名(委任状含む)が出席した。
 はじめにあいさつした佐藤大介理事長(郡山書店)は、「本の価格が上がっているにもかかわらず、売上は下がっている。ネット通販や電子書籍の普及で街の書店が消えつつある」と指摘。経済産業省は書店振興プロジェクトチーム(書店振興PT)を立ち上げ、支援策を検討している。これに合わせ、日書連は書店振興PTに取り組んでほしい課題について理事を対象にアンケート調査を実施し、福島組合にも加盟書店の要望を汲み上げるよう指示がきている。アイデアを寄せてほしい」と呼びかけた。
 議案審議では事業報告、決算報告、事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。また、「公共図書館及び学校図書館の納入に関して」と題する要望書を石川町立図書館に出したことを報告。要望書では、「街の書店が生き残り、国民の読書推進の一助となるためにも、図書館との取引に関し、下記3点を遂行していただきたい」として、①地元書店からの優先仕入②随意契約(原則値引きなし)の推進③本と装備は別契約――を求めている。要望書の提出後、石川町立図書館の対応は大きく変化したと説明した。
 総会終了後、多くの書店が会場に残り、近況報告や意見交換が続いた。
(大内一俊広報委員)

茨城総会 経済回復も厳しい書店環境改善へ 要点意識した経営求める

 茨城県書店商業組合は6月27日、水戸市の茨城県教科書販売会議室で第38回通常総会を開催し、組合員62名(委任状含む)が出席した。
 総会の司会進行は河原崎美津江理事が務め、秋山誠二理事による開会の辞に続き、青天目敦理事長(ヤマサン)があいさつ。「コロナ禍が過去のものとなりつつあり、人の賑わいが戻った旅行・外食業界を中心に経済活動回復の報が伝えられているものの、書店業界には客足が向かず、依然厳しい業況にあることをまずは認識しておくべきだ」と述べた。
 そして、状況改善の糸口と期待される2つのポイントを指摘。「1つは、デジタル化の進展に伴う電子決済や電子書籍の拡大。もう1点は、街の書店と公的な機関の交流の活発化を契機とした書店環境の改善への期待感の芽生えであり、この2点を意識した経営が組合員には求められる」として、「茨城組合としても一致団結して、書店環境の一層の改善に取り組んでいく」と結んだ。
 また、昨年度の具体的な活動例として、インボイス制度勉強会の開催、「いばらき読書フェスティバル2023」への参加、能登半島地震で被災した書店を支援するための義援金活動の実施――などを紹介した。
 続いて田所和雄副理事長を議長に議事を進行、令和5年度事業報告、収支決算報告書、監査報告、令和6年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り可決承認した。

新潟総会 「支援+自助努力」で現状打破へ JPICとの協働提案

 新潟県書店商業組合は6月21日、新潟市の萬松堂会議室で第40期通常総会を開催し、組合員39名(委任状含む)が出席した。
 西村行人理事長(萬松堂)を議長に議事を進行。令和5年度事業報告の概況を説明した西村理事長は、「既存店の売上が昨年対比で落ちているにもかかわらず、従業員の人件費、電気料金などの光熱費、運賃などの経費は増加している。大企業は5%以上の賃上げを実施しているが、書店の現状では難しい。しかし給与水準を引き上げないと人材を確保できない」として、「出版文化産業振興財団(JPIC)が中心となって書店の窮状を国に訴えた結果、経済産業省に書店振興プロジェクトチーム)が設置されるなど、書店支援の動きが活発化している。この動きに協力しながら自助努力も行い、現状を打破したい」と述べた。
 事業内容としては、能登半島地震の見舞金を組合員に給付したことを報告。続いて令和5年度収支決算の説明があり、承認された。
 令和6年度事業計画は、JPICとの協働を提案。収支予算とともに審議し、承認された。また、賦課金の見直しを提案し、承認された。
(酒井久和広報委員)

連載「春夏秋冬 本屋です」 子どもたちへの責任/小野正道(岡山・小野書店 代表取締役社長)

 いま我が国ではGIGAスクール構想のもと、1人1台端末・高速ネット環境下で「個別最適な学び」と「協働的な学び」を目指したICT教育が展開されています。
 先日ある小学校で、読み聞かせに絶対の自信を持つベテラン司書から興味深い話をお聞きしました。彼女いわく、今年の1年生は、兼務している学校すべてで同様の反応をします。読み聞かせをしようとタイトルを読んだ途端、彼女に向かって一
斉に「ぼく、それ知てるよ」「○○がすごいんだよ」「お化けがでてくるってこわ
ーい」などとしゃべりだすそうです。子どもたちの発言を一通り聞くのに数十分かかり、それだけで時間切れとなってしまうといいます。現在7歳の1年生は、コロナ禍の巣ごもりで3・4・5歳という、いわば単なる「生き物」から人間へと成長する非常に重要な時期に、家族など極めて限られた集団の中だけで生活せざるを得なかった致命的なハンデがあるのではないかというのです。
 社会性・協調性が未発達のままでは「個別最適な学び」はともかく、「協働的な学び」ができるのだろうかと考えてしまいます。この世代の子どもたちはどう育っていくのかという興味よりも、どう育てるのか、我々は大きな責任を負っているのだと感じました。

 

ABC雑誌発行社レポート 2023年下半期雑誌販売部数

[日本ABC協会 週刊誌、月刊誌とも減少続く 「週刊文春」は20万部台を維持]

 日本ABC協会は2023年下半期(7~12月)雑誌発行社レポートを発表した。
 販売部数は、週刊誌(21誌)が175万553部、月刊誌(75誌)が420万829部で、合計が595万1382部。各雑誌部数の前年同期比の平均は、週刊誌が7・7%減、月刊誌が12・4%減、合計が11・4%減となった。
 報告誌の状況は、「毎日が発見」(KADOKAWA)、「日経Linux」(日経BP)、「SPA!」(扶桑社)、「Mac Fan」(マイナビ出版)の4誌が報告を中止した。「てれびくん」(小学館)は、発行周期が月刊から年6回刊に変更となった。
 今回掲載の29社96誌の販売部数は別表の通り。前年同期比プラスは20誌だった。
 一般週刊誌は、「週刊文春」(文藝春秋)が20万8016部(前年同期比9・0%減)、「週刊現代」(講談社)が11万5377部(同20・5%減)、「週刊新潮」(新潮社)が11万4851部(同15・1%減)、「週刊ポスト」(小学館)が11万4265部(同7・6%減)と、それぞれ部数を落とした。
 ビジネス・マネー誌は、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)が9万148部(同5・1%増)、「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)が4万4034部(同4・5%増)、日経マネー」(日経BP)が3万5202部(同19・0%増)と、それぞれ伸長した。一方、「日経ビジネス」(日経BP)は14万1229部(同5・1%減)、「プレジデント」(プレジデント社)は10万3387部(同6・0%減)と、それぞれ部数を落とした。
 女性週刊誌は、「女性セブン」(小学館)が13万9360部(同8・1%減)、「女性自身」(光文社)が12万9388部(同9・5%減)、「週刊女性」(主婦と生活社)が5万5540部(同16・3%減と減少傾向が続く。
 女性ヤングアダルト誌では「otona MUSE」(宝島社)が6万970部(同4・6%増)。「CLASSY.」(光文社)が4万7059部(同6・8%増)、女性シニア誌では「素敵なあの人」(宝島社)が4万8103部(同7・7%増)と、それぞれ伸長した。

芥川賞に朝比奈さん・松永さん 直木賞は一穂さん

 第171回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が7月17日、東京都内で開かれ、芥川賞は朝比奈秋さんの「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)と松永K三蔵さんの「バリ山行」(群像3月号)に、直木賞は一穂ミチさんの「ツミデミック」(光文社)に決まった。副賞は各100万円。贈呈式は8月下旬に都内で開かれる。同日夜、都内会場で記者会見が開かれ、3氏が受賞の喜びを語った。

[書き続けることに挑戦 朝比奈さん]
 芥川賞の朝比奈さんは1981年、京都府生まれ。消化器内科医として働きなが
ら執筆を始め、2021年に「塩の道」で林芙美子文学賞、23年に「植物少女」で三島由紀夫賞を受けた。今回、初の候補で受賞した。受賞作は、顔や胴などがくっつき、互いの思考を共有する結合双生児の姉妹を描いた。
 川上未映子選考委員は、「小説にしかできない難しい設定に着手するという文学的な野心に満ちていて、挑戦がある」と評価した。
 朝比奈さんは「書き始めたのは5、6年前。生きるとは、体とは、精神とは、自我とは、意識とは、といった問題に対して理解を進めてようやく書き上げられた」と振り返った。
 今後の目標については、「大きな賞をもらうよりもっと難しいのは書き続けること。どんな小説でもいいので、ただ書き続けることに挑戦したい」と語った。

[「オモロイ純文」アピール 松永さん]
 同じく芥川賞の松永さんは1980年、茨城県生まれ。2021年に「カメオ」で群像新人文学賞優秀作を受けた。会社員として働きながら執筆し、今回、初の候補で受賞した。受賞作は兵庫県の六甲山が舞台。あえて登山道を外れる危険で難易度の高い登山と、主人公の会社員の人生を重ねる。
 川上選考委員は「登場人物の造形や登山の描写に説得力がある。特に自然の描写が見事な筆致で描かれている」と評価した。
 松永さんは「オモロイ純文運動」と書かれたTシャツを着て登壇。「純文学は難しいというイメージを持つかもしれないが、本作はなじみのない方も読みやすいと思う。面白い純文学もあるんだと思っていただければ」とアピールした。
 今作については「社会や世界の“ままならなさ”の中でいかに生きていくか、個人の挑戦、葛藤を書きたかった」と語った。

[パンデミックだから書けた 一穂さん]
 直木賞の一穂さんは1978年、大阪府生まれ。2007年に「雪よ林檎の香のごとく」でデビュー。会社員として働きながら執筆を続け、21年の「スモールワールズ」で吉川英治文学新人賞を受けた。今回、3度目の候補で受賞した。受賞作は、コロナ禍で犯罪に手を染める人々を描いた6つの短編集。
 三浦しをん選考委員は「短編集としての味わいがバラエティーに富み、大変な状況の中で生きる人の暮らしや感情が見事に書き分けられている」と評価した。
 一穂さんは「先行きの見えない閉塞感の中で書いたものもあれば、ウィズコロナの方向性が見えてきた時期に書いたものもある。リアルタイムのパンデミック下でなければ生まれなかった」と述べた。
 受賞については「今も自分が小説家だとは思えないくらい。普通のおばちゃんが小説を書いて、大きな賞をいただけることもあるので、人生面白い」と語った。

日販調査店頭売上 6月期は前年比3・1%増 雑誌・書籍・開発品が前年超え

 日本出版販売(日販)調べの6月期店頭売上は前年比3・1%増だった。ジャンル別では、雑誌は同1・7%増、書籍は同6・7%増、コミックは同2・6%減、開発品は同9・2%増だった。
 雑誌は月刊誌とムックが前年比プラスと好調だった。書籍は新書を除く全ジャンルが前年超えとなり、特に文芸書の『クスノキの女神』(実業之日本社)や『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)などが売上を牽引した。
 開発品は「タッチペンで音が聞ける!はじめてずかん1000 英語つき」(小学館)や「あつまれ どうぶつの森 喫茶ハトの巣タンブラーBOOK」(宝島社)などが売上を牽引し、3ヵ月連続の前年超えとなった。

日書連のうごき

7月3日 定価納入の研究WGに矢幡会長、平井副会長、小川理事、髙島、木野村両理事(いずれもWeb)が出席。
7月9日 書店議連・伊東良孝事務局長訪問に矢幡会長、平井副会長が出席。
7月12日 子どもの読書推進会議総会に春井副会長が出席。
7月17日 出版倫理協議会に事務局が出席。公取協会講演会に矢幡会長、柴﨑、平井両副会長が出席。
7月18日 JPO運営委員会に平井副会長(Web)が出席。全国書店再生支援財団評議員会、理事会に藤原、平井両副会長、林田、髙島両理事が出席。
7月19日 読書週間ポスター選考委員会に春井副会長が出席。
7月22日 出版平和堂委員会。同維持会に事務局が出席。書籍協会ブックイベントナビとの意見交換に事務局が出席。
7月23日 読進協常務理事会に矢幡会長が出席。取次協会出版輸送説明会に事務局が出席。
7月24日 文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。
7月30日 出版ゾーニング委員会に事務局が出席。

連載「本屋のあとがき」 未来感じる安野氏の新刊/宇田川 拓也(ときわ書房本店 文芸書・文庫担当)

 7月7日に行われた東京都知事選挙。結果はご存知の通りだが、それはともかく。2期8年を務めた現職知事が3選を果たすか、それとも覆されるのか。さらに立候補者が56人もいる前例のない事態に、メディアはただ状況を映すばかり。着目すべき政策や取り組みについて、注目すべき将来性のある候補者を取り上げるような、こちらが求めるものは見当たらず、早々に目を向けるのをやめてしまった。
 とはいえ、ネットの情報も鵜呑みにはできず、慎重に読み取る必要がある。選び抜かれ、知見に富んだ情報だけを摂取することは叶わないものかと、ため息をつきながら眺めていると、ひとりの候補者に目が留まった。AIエンジニア、起業家、そして作家としての顔を持つ安野貴博氏である。
 中身のあるマニフェストに加え、24時間体制で質問に答えるAIアバター、最新のウェブ技術を使った政策議論とアップデートなど、政治経験こそないが、そこには未来が感じられた。いつまでも代わり映えのしない政治経験者よりも、ずっと魅力的ではないか。開票結果は5位、15万票を獲得。見ている人は、見ているものである。
 そんな安野氏の新作小説が刊行された。『松岡まどか、起業します――AIスタートアップ戦記』(早川書房)は、騙された女子大学生が1年以内に時価総額10億円のスタートアップを成し遂げるべく奮闘する内容。AI技術が切り拓く令和のビジネス逆転劇に、手に汗握り、胸が熱くなった。