全国書店新聞
             

平成17年8月1日号

活字文化振興法歓迎の共同談話発表

書協、雑協の両団体は、7月22日に可決した文字・活字文化振興法に対し、同日付で次のような歓迎談話を発表した。
「本日(7月22日)、『文字・活字文化振興法』が可決成立したことは、活字文化に携わる出版者として誠に喜ばしく、法成立に尽力された活字文化議員連盟に深く感謝の意を表します。
同法の成立によって『わが国における文字・活字文化の振興に関する施策の総合的な推進』が、国・地方公共団体の責務として、関係機関等との連携のもとで図られることとなります。われわれ出版者も、自由な言論・表現・出版が保証されるもとで、同法の基本理念を実現すべく、決意を新たにするものです。
同法がめざす基本理念を実体化するためには、実行性ある施策の展開が不可欠です。両協会としては、さらに関連法案の見直し・整備がすすめられ、図書館等の読書環境の整備・充実、読書推進のための諸施策が進展することを、切に期待するものです」

業界の取組み一覧に/読者サービス洗い出す/日書連

日書連は7月21日に理事会を開き、以下の問題を検討した。
〔読者サービス〕
5月の総会で設置が決まったのが読者サービス委員会と、実態調査特別委員会。井門委員長は読者サービス委員会の当面の活動として「出版業界が行っている読者サービスと出版各団体の取り組みをマップにして、読者が求めているサービスを検討していきたい」と述べた。
〔実態調査〕
書店経営実態調査に向けて、先月の日書連理事会で行った予備調査の結果を高須委員長が報告。書店が一番困っているのは、①配本・返品問題、②支払い・請求問題、③売上げ減少、がベスト3だったと報告した。今後、集計結果も参考に調査項目を決定する。
〔流通改善〕
取協雑誌研究委員会(鶴巻和儀委員長)メンバーとの間で7月20日に行われた懇談会の模様を藤原委員長が報告した。
雑誌配本が減数される問題について、取次は「直近3号を見て判断している。実売があればゼロにはならないロジック」と説明。ムック誌が増えているという指摘には、逆に昨年から減り始めていることを指摘する一方、賞味期限の検討と発売日の標準化を考えていること、付録問題では「付録を付けた雑誌は特別定価で高くなっている場合もあるが、売上げは10%増加する」と説明。付録の形態は雑協との話し合いを続けていくなどと回答した。
「ハリー・ポッター」は第6巻が英米で発売になったが、日本版は来夏の発売予定。第5巻の5%の返品を含めた総括を7月25日に静山社と予定している。
雑誌発売日は、発売日本部森武文委員長に3日目地区の繰上げ、沖縄の週刊誌空輸など6項目を申し入れるが、今年度は出版社の直販雑誌について該当地区の発売日に合わせて調整するよう求めている。
〔再販〕
千代田区神保町の北沢書店1階45坪を昭和図書が借り「ブックハウス神保町」として店舗を運営する計画が持ちあがっている問題で
小学館蜂谷常務、昭和図書大竹社長が書店会館を訪れ日書連丸岡会長に説明したことが報告になった。
当初、ブックオフが入居目前まで行き、小学館が急遽契約。神保町の活性化を図るため謝恩価格本の常設、キャラクターグッズ販売、書店のナビゲータ的役割などを計画しているという。理事会では「謝恩価格本を常設することは矛盾するのでは」「出版社が直営するのはおかしい」などの声があがり、地元千代田支部でさらに同社の意向を聞くことになった。
〔情報化〕
7月7日に開かれた全国情報化委員長会議の研修の模様を志賀委員長が報告した。特に国立情報学研究所高野教授の連想検索ソフト「ウェブキャット・プラス」について、TRCの件名検索に対抗できるソフトと強調した。
また、東京国際ブックフェアで発表された読書端末「新シグマブック」はカラー液晶で、来夏にも製品化される見通しとした。
〔スタートアップ〕
本・コミックの貸与権問題で今夏にも貸与権料が決まる見通しだったが、決定がずれ込んおり、年内いっぱいかかると井門委員長から報告があった。
出版社から商品情報を収集して取次に配信する「商品基本情報センター」については、来年1月1日からデータ配信を開始し、書店からの事前注文が可能になると説明された。
〔組織強化〕
鶴谷副委員長は青森組合を例に、今年の取り組みを報告。組合員に実益ある事業として①返品共同輸送、②会員間の触れあいを豊かにする食事会、懇親会、③広報活動を紹介。あわせて青森県中央会の予算で加入をすすめるパンフレット「本との出合い」を作成してアウトサイダー書店に配布したことを紹介した。
栗田取引書店から取次ごとに加入要請を行い、取次各支店長に後押しをお願いする。今年の加入目標は5名。
〔指導教育〕
中小企業基盤整備機構から講師を派遣してもらい、11月17日午後4時から「会計啓発・普及セミナー」を開催予定。大橋委員長は「売上げが減少し、資金繰りが苦しい中で自社の状況を正しく把握し自己診断することが必要」と開催の趣旨を説明した。
〔増売運動〕
秋の読書週間書店くじは特賞を「オーストリア8日間の旅」とする書店くじ実施要領を承認したが、鈴木副会長からは「読者から4等の百円は魅力がないという声が上がっている。3等の5百円を増やすなど再検討を」と発言があった。
「春の書店くじ」Wチャンス賞には3634通の応募があり、この中から抽選で100名に1万円の図書カードを送る。
〔読書推進〕
「文字・活字文化振興法」が今国会で成立する見通しだと高須委員長が報告し、「子ども読書推進法」と合わせて、読書推進運動の大きな後ろ盾にしていきたいとした。
第4土曜日はこどもの本の日のキャンペーンは今秋の新潟、三重、大分の3県で全国を一巡したことになり、今後は児童書の販売勉強会を各地で開催するほか、全国100店ほどで、読み聞かせの常設を働きかけていく方針。
〔取引改善〕
取引慣行の透明化、取次の寡占化などの課題については、日書連で行う実態調査の結果を受けて行うことを下向委員長が説明した。
〔消費税〕
出版4団体で構成する税制等対策特別委員会のメンバーに、日書連からは丸岡会長はじめ、井門、面屋、下向、柴崎の5名の委員を決めた。
〔共同購買〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター」2006年版、ならびに各種雑誌袋の斡旋について中山理事長が説明。8月上旬に各書店に案内を送付する。
また、日書連共済会でカバーできない交通事故、不慮の災害などの補償制度として「安心財団」を研究していると報告があった。
〔広報〕
今年度の全国広報委員会は、10月13日午後1時から5時まで書店会館で開催すると山口委員長が報告。各県広報委員から事前に各県組合の検討事項、要望事項を寄せてもらう。

影山私案軸に継続検討/書店の景品規約見直し/小売公取協

書店の景品に関する公正競争規約の改訂問題で、出版物小売業公正取引協議会(井門照雄会長)は、7月21日の理事会で「影山私案」(別掲)を軸に検討した。この結果、商店街で行っているトレーディングスタンプの具体例を各県支部で収集するとともに同案を検討、9月理事会で再検討することになった。
理事会の前日、20日には公取委取引部菅久課長が書店会館を訪れ、同委員会の考え方を説明。この中で菅久課長は「平成8年に企業活動を停滞させないため景品規制を緩め、各業界ルールも見直した。一般ルールを越える上乗せ規制を持つ小売は書店業だけで、一般ルールと異なる拘束的制限には特段の理由がいる」「当時の3%ルールから一気に10%にしては問題なので激変緩和として7%を3年間に限って認めた。今回は10%の一般ルールに」と発言した。
これに対して小売公取協は影山私案を示し、①7%ルールは継続、②期間制限年2回60日を年2回90日に延長する、③商店街の景品にかかるトレーディングスタンプ特例は廃止、④低率(1%)のスタンプサービスによる景品は年間可能にする――という考えを示したが、公取委の考え方は限りなく一般ルールに近いものだった。
井門会長は「われわれは再販商品に景品はなじまないという考え方。いっそのこと規約を廃止してしまえという議論もあるが、ルールは残した方が景品競争は起きない」と指摘した。
また、「1%のトレーディングスタンプはやむなしということか」の質問に、影山専務理事は「現状で商店街は7%まで景品を出せる。これを廃止することが前提だ。公取協が決めるのは景品に関するサービスで、値引きに関するポイントサービスを容認したことにはならない」とした。
東京組合からは「読者は景品と値引きの区別がつかない。制限告示がない限り1%の低率には反対」と発言があり、各県支部で商店街の景品提供サービスの実例を含めて改定案を検討していくことを決めた。
〔影山私案〕
1、景品類の提供の制限(総付景品)については、現行通り100円又は取引価額の百分の7のいずれか高い価格の範囲とする。
2、景品類を提供することができる期間年2回60日の日数を緩和し、年2回90日に変更する。
3、一の商店街に属する小売業界の相当多数、又は一定地域における事業者と共同して行う景品類に該当するトレーディングスタンプその他これに類似するサービス券の提供については、これを廃止する。
4、出版物小売業の正常な商慣習として容認できるサービスの範囲を明確にし、景品類に該当する低率のトレーディングその他これに類似するサービス券等の提供の規定を創設する。

9月21日に全国会議/日書連共済会

日書連共済会は9月21日(水)午後4時半から東京文京区の東京ガーデンパレスで共済会地区委員長会議を開催する。
また、敬老の日を迎える数え76歳以上で5年以上継続加入している名義人、前名義人に「喜寿祝い金」として日書連共済会から5万円を贈るが、現在までに全国で63名の該当者をリストアップしている。

日書連理事に西氏

日書連7月理事会は福島組合理事長に就任した西猛氏(会津若松市・西沢書店)の日書連理事就任を承認した。西氏は指導教育、再販委員会に所属する。
また、日書連中国ブロック会は21日に行ったブロック会で今井直樹島根組合理事長が会長を退任。後任に吉田達史岡山組合理事長を選出した。

謝恩価格本の常設店?/北沢書店1階に昭和図書/7月理事会

〔再販〕
千代田区神保町の北沢書店1階45坪を昭和図書が借り「ブックハウス神保町」として店舗を運営する計画が持ちあがっている問題で
小学館蜂谷常務、昭和図書大竹社長が書店会館を訪れ日書連丸岡会長に説明したことが報告になった。
当初、ブックオフが入居目前まで行き、小学館が急遽契約。神保町の活性化を図るため謝恩価格本の常設、キャラクターグッズ販売、書店のナビゲータ的役割などを計画しているという。理事会では「謝恩価格本を常設することは矛盾するのでは」「出版社が直営するのはおかしい」などの声があがり、地元千代田支部でさらに同社の意向を聞くことになった。
〔情報化〕
7月7日に開かれた全国情報化委員長会議の研修の模様を志賀委員長が報告した。特に国立情報学研究所高野教授の連想検索ソフト「ウェブキャット・プラス」について、TRCの件名検索に対抗できるソフトと強調した。
また、東京国際ブックフェアで発表された読書端末「新シグマブック」はカラー液晶で、来夏にも製品化される見通しとした。
〔スタートアップ〕
本・コミックの貸与権問題で今夏にも貸与権料が決まる見通しだったが、決定がずれ込んおり、年内いっぱいかかると井門委員長から報告があった。
出版社から商品情報を収集して取次に配信する「商品基本情報センター」については、来年1月1日からデータ配信を開始し、書店からの事前注文が可能になると説明された。
〔組織強化〕
鶴谷副委員長は青森組合を例に、今年の取り組みを報告。組合員に実益ある事業として①返品共同輸送、②会員間の触れあいを豊かにする食事会、懇親会、③広報活動を紹介。あわせて青森県中央会の予算で加入をすすめるパンフレット「本との出合い」を作成してアウトサイダー書店に配布したことを紹介した。
栗田取引書店から取次ごとに加入要請を行い、取次各支店長に後押しをお願いする。今年の加入目標は5名。
〔指導教育〕
中小企業基盤整備機構から講師を派遣してもらい、11月17日午後4時から「会計啓発・普及セミナー」を開催予定。大橋委員長は「売上げが減少し、資金繰りが苦しい中で自社の状況を正しく把握し自己診断することが必要」と開催の趣旨を説明した。
〔増売運動〕
秋の読書週間書店くじは特賞を「オーストリア8日間の旅」とする書店くじ実施要領を承認したが、鈴木副会長からは「読者から4等の百円は魅力がないという声が上がっている。3等の5百円を増やすなど再検討を」と発言があった。
「春の書店くじ」Wチャンス賞には3634通の応募があり、この中から抽選で100名に1万円の図書カードを送る。
〔読書推進〕
「文字・活字文化振興法」が今国会で成立する見通しだと高須委員長が報告し、「子ども読書推進法」と合わせて、読書推進運動の大きな後ろ盾にしていきたいとした。
第4土曜日はこどもの本の日のキャンペーンは今秋の新潟、三重、大分の3県で全国を一巡したことになり、今後は児童書の販売勉強会を各地で開催するほか、全国100店ほどで、読み聞かせの常設を働きかけていく方針。
〔取引改善〕
取引慣行の透明化、取次の寡占化などの課題については、日書連で行う実態調査の結果を受けて行うことを下向委員長が説明した。
〔消費税〕
出版4団体で構成する税制等対策特別委員会のメンバーに、日書連からは丸岡会長はじめ、井門、面屋、下向、柴崎の5名の委員を決めた。
〔共同購買〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター」2006年版、ならびに各種雑誌袋の斡旋について中山理事長が説明。8月上旬に各書店に案内を送付する。
また、日書連共済会でカバーできない交通事故、不慮の災害などの補償制度として「安心財団」を研究していると報告があった。
〔広報〕
今年度の全国広報委員会は、10月13日午後1時から5時まで書店会館で開催すると山口委員長が報告。各県広報委員から事前に各県組合の検討事項、要望事項を寄せてもらう。

日書連共済会

(17・6・23~17・7・20)
▼病気傷害仙台市宮城野区東仙台5―35―2熊谷書店熊谷ちかよ殿3口
遠田郡小牛田町字藤ヶ崎56高橋売店高橋詮殿3口
朝霞市幸町1―5―3鈴木屋書店鈴木清殿
北区赤羽1―54―6金竜堂武藤量雄殿
▼死亡弔慰大田区東雪谷3―31―3本吉書店本吉喜代司殿2口
東浅井郡虎姫町本町1045いぬい書店乾潤朗殿
尼崎市開明町1―52日新堂書店津吉智子殿2口
▼病気傷害・死亡弔慰宇都宮市西1―4―2落合書店落合雄三殿42口
▼その他被災(ガラス破損)川口市栄町3―12―6志誠堂川口店植村稔殿3口3万円
▼地震福岡市東区箱崎1―36―37ブックイン金進堂長谷川澄男殿1口9万4千円

3ヵ月連続で前年割れ/中・小型店は9ヵ月連続/日販調べ

日販経営相談センター調べの書店6月期分類別売上げ調査がまとまった。6月期の平均は98・9%で、4月の2・0%減、5月の1・3%減に続き3カ月連続の前年割れとなった。規模別では121坪以上の書店のみ0・5%増と前年をクリアしたが、40坪以下、41~80坪は9カ月連続の前年割れ。
ジャンル別では新書が7・8%増と大幅な伸び。一昨年大ヒットした『バカの壁』の反動で長期にわたって苦戦が続いたが、その影響もおさまり、昨年から『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP)、『さおだけ屋はなぜ潰れないか』(光文社)が好調だ。コミックは6カ月連続の前年クリア。『20世紀少年』(小学館)の新作が好調。文芸書は2ケタマイナス。
客単価は平均1113・3円で前年同月比4・7%増。

萬田さん、8年間ご苦労さま

5月の総会で日書連会長を退任した萬田貴久相談役に感謝する会が7月21日午後4時半から駿河台の山の上ホテルで開かれた。
萬田氏のあとを引き継いだ丸岡会長が、萬田氏の8年間の在職中の激務と全国書店に対する指導に感謝の言葉を述べたあと、井門副会長の発声で乾杯。鈴木副会長から萬田氏に記念品が手渡された。
萬田氏は「オリオン書房は昭和23年に母が始めた。昭和38年、28歳の時に会社勤めをやめ、うちに戻った。父は都議4期目で、政財界に人脈のあった平凡出版岩堀社長から『君は実業の道を進め』とアドバイスされた」と、書店業に入った当時を振り返ったあと「中小企業は地域から離れられない宿命と使命がある。これからは、個人の力とチーム力をバランスよく発揮していくことが必要だろう」と組合活動に対する哲学を語り、出席した日書連理事に感謝の気持ちを述べた。

紀伊國屋書店1184億円で首位/日経流通新聞調べ・日本の専門店ランキング

日経流通新聞は7月13日付で第33回日本の専門店調査(2004年度)を発表した。これによると、2004年度の有力専門店460社の総売上伸び率は前年比4・3%で2003年度の3・8%を上回った。
22業種のうち増収増益だったのは14業種で、前回調査よりも5業種増えた。全体の経常増益率は8・5%となり、前回の7・6%を上回った。減収減益だったカジュアル衣料、カメラが増収増益に転じ、紳士服や時計・めがねなど9業種が10%以上の増益。減収減益は2業種に半減した。主力業種の大手企業が好調だったことも全体の収益力を押し上げたと同紙は分析している。
書店部門の売上高ランキングを見ると、紀伊國屋書店が0・6%減の1184億円で3年連続の首位。2位は丸善で7・9%減の992億円、3位の文教堂は1・7%減の534億円と、上位3社は揃って減収となった。売上高伸び率では、愛知のヴィレッジヴァンガード29・2%増、広島のフタバ図書22・1%増、新潟のトップカルチャー(蔦屋書店、峰弥書店)12・0%など、地方勢が高い伸びを示している。フタバ図書の成長について同紙は、従来は都心の路面店中心だったが、郊外大型SC内へ大型店を積極出店したことが後押ししたとしている。同社は昨年3月に広島県府中市、同年6月に岡山県粕屋町に大型店を出店している。
総売上高経常利益率は雑貨の扱いが7割を占めるヴィレッジヴァンガードが8・9%、1人当たり総売上高は文教堂が4788万円、3・3㎡当たり直営店舗売上高は三省堂書店が519万円、直営+FC新設店舗数はヴィレッジヴァンガードが26店で、それぞれトップだった。

面屋理事長下の新体制固まる/在阪取次各社など表敬訪問/大阪組合

大阪府書店商業組合は7月16日、組合会議室で理事会を開き、面屋理事長が6月理事会後の同組合の主な動きを説明。6月20日と7月5日、正副理事長で在阪取次6社と大阪市立中央図書館を表敬訪問し、新任あいさつしたと報告した。
さらに面屋理事長は委員会編成について説明し、6月理事会で空席のままだった共同受注委員長を法西一夫氏(フミヤ書店)に委嘱、法西氏は理事ではないため肩書は参事とすることを提案し、承認された。各副委員長人事も承認され、5月総代会、6月、7月理事会を経て、別掲の通り新体制が固まった。
経営健全化委員会からは、ブックサービスの取り寄せ便に組合員が加盟することでどういうメリットがあるか、研究したいと説明があった。出店問題委員会からは「TSUTAYA枚方店」が8月25日にオープン、「アシーネ鳳店」が増床予定と説明があった。
〔大阪組合役員〕
▽理事長=面屋龍延(清風堂書店)▽副理事長=戸和繁晴(トーワブックス)矢嶌茂(向文堂書店)藤田彰(ブックプラザ)
〔各委員長〕
▽総務・財務=辻山昌佑(門真銀座書店)▽定款等改正=冨士原純一(富士原文信堂)▽倫理=野村宜孝(野村呼文堂)▽再販・公取=矢嶌茂(向文堂書店)▽組織強化・出店問題=坂口昇(梁川書店)▽読書推進=虎谷健司(虎谷誠々堂書店)▽雑誌発売日励行=石尾義彦(萬石書房)▽経営健全化=灘憲司(ナダヤ書店)▽共同受注=法西一雄(フミヤ書店)▽広報=中島俊彦(BOOKS愛らんど)▽学校図書館・IT関連=藤田彰(ブックプラザ)▽事業・増売=辰野茂(辰野集文堂)
(中島俊彦広報委員)

チェーン店加入促進に向け交渉/兵庫移動理事会

兵庫県書店商業組合は7月12日、シーサイドホテル舞子ビラ神戸で移動理事会を開催した。
理事会は森井専務理事の進行で始まり、三上理事長が冒頭あいさつ。「本日は年に一度の移動理事会。今回設営いただいた第1支部(神戸支部)の皆様に感謝申し上げる」と述べたあと、日書連報告を行った。
各支部報告では3店の新規出店・増床が報告された。チェーン店等の場合は組合への加入意思がないことが多いが、今後も加入促進へ向けて交渉していくと報告があった。また、組合員の減少に伴い各支部とも理事・総代の人数にも影響が出てくるため、規約の変更も視野に入れ協議していくことになった。先月報告があった第2支部と伊丹地区との合併については、6月末日までに支部組合員より異議申し立てがなかったため、次年度9月1日より統合される運びとなる。9月18日の支部総会までは現・第2支部長の春名洋志氏(大和堂書店)が支部長を務める。
理事会終了後、発売日励行委員会を開催。このあと場所を移して合同懇親会を行った。
(中島良太広報委員)

ポイントカードなど意見交換/福井芦原温泉で北信越ブロック会

日書連北信越ブロック会(西村俊男会長)は7月10日、福井県芦原温泉「はいや松風園」でブロック会議を開催。12名が集まり、山積する各県の諸問題について討議した。
まず、日書連・萬田会長辞任の動きと、丸岡新会長誕生に至る経緯について報告。また、ポイントカード問題については、日書連と公取委との交渉経緯について説明があり、ポイント制は値引きであるとの議論の中で、再び再販の根幹を揺るがす方向に議論が進む悲しい事態になった。ポイントカードは中小書店が導入できるものではない。中小書店は売上激減、経営不振、閉店に追い込まれ、組合員減少に歯止めがかからない時期にある。大きな書店が優位になり、中小書店の衰退は紛れもなく現実の問題となっている、との報告があった。また、日書連移動理事会が10月20日、新潟市で行われることが報告された。各県組合からの報告は次の通り。
〔長野県〕
学校の先生たちが集まって出来た教育団体「信濃教育会」の出版部が現在、理科の教科書を発行して、県内各学校が採用。さらに「信教ネット」という小売業を経営し、組合員書店の経営を脅かしている。大手取次と取引を行いたいと交渉しているとの情報も。取次がこれまでの組合員書店との緊密な関係を無視し、既存書店を蔑ろにすることのないよう、取次の姿勢を問う議論を行った。また、図書券がなくなりカードのみとなることは読者も書店も困惑する点があり、県組合で「図書券」を作ろうかとの動きが出ている。
〔福井県〕
発売日問題を提起し、「ジャンプ」について各県の状況を話し合う。東京、大阪と同時発売を実施できるよう運動を展開し、全国同時発売を発売日励行委員会で議論願いたいとの要望が出された。
〔新潟県〕
組合員減少のおり、組合費の見直しを行い、組合運営が円滑に行われるようにしなければならない。
会議終了後、福井県組合の案内で福井県立恐竜博物館を見学。また、吉崎御坊・願慶寺では「肉付きの面」を拝顔。有意義な2日間となった。
(高嶋雄一広報委員)

「声」/北海道の深刻な不況に危機感/北海道・高野名書店・高野名正治

私たちが子どもの頃、小樽市の丸井今井デパートは北海道を代表し、父が商用の帰りに買ってくるみやげで丸井さんの包装紙はあこがれの的でした。今年10月、百数十年の歴史を閉じるのも北海道の不況の深刻さを現しています。
今、週刊誌はコンビニ、辞書は電子辞書、参考書は塾通いで不要となりました。民営化が議論されている郵政公社が、街の文具業者を切り捨て、大手通販から文具を安く購入しているといいます。
もし郵政民営化がされた場合、私たちの店より安く、郵便局の窓口でコンビニのように文具も販売されるでしょう。
零細店を苦しめる民営化には反対します。
また、政府税制調査会が打ち出す大増税路線は、特に弱者を苦しめる政治で温かみがなく、店を続けることが出来るか悩みます。
書店組合でも問題化していますが、本や雑誌の平均回転率が60日という中で、支払いが45日サイトでは支払いが出来ません。この矛盾を改善しなければ、何時つぶされるかという運命をたどることを意味し、書店組合員の危機を憂えるのです。
店番をしながら客の減る不況の商店街を見るにつけ、商店街を存続し危機を乗り切る方法はないのでしょうか。

人事

★トーハン関係会社
(○新任)
◇東販自動車㈱
代表取締役社長宮下洋二
常務取締役釼持宗平
取締役小林辰三郎
同関川立男
監査役藤井武彦
◇出版興業㈱
代表取締役社長石村忠昭
取締役伊藤晴樹
同吉浜茂
監査役川上浩明
◇㈱ジャパン・エイ・ヴイ・レンタルシステム
代表取締役社長○醍醐貴広
取締役加納慎
同高野脩
同酒井修
監査役星野安弘
◇東販リーシング㈱
代表取締役社長柴豊
取締役藤井武彦
同亀割卓
監査役吉田尚郎
◇㈱トーハン総研
代表取締役社長小倉俊一
取締役小林辰三郎
同藤井武彦
監査役吉田尚郎
◇㈱トーハン・システム・エンジニアリング
代表取締役社長
小林辰三郎
常務取締役嶋田豊秋
取締役行徳信夫
同上瀧博正
同中村勉
監査役藤井武彦
◇㈱トーハン・コンピュータ・サービス
代表取締役社長
小林辰三郎
取締役森山泰人
同中村勉
監査役藤井武彦
◇㈱トーハン・メディア・ウェイブ
代表取締役社長中村忍次
専務取締役小倉桂一郎
同近藤隆一
取締役橋本優
同酒井修
監査役藤井武彦
◇㈱トーハン・ロジテム
代表取締役社長池田禮
取締役中林剛
同森岡憲司
監査役藤井武彦
◇㈱ブックライナー
代表取締役社長
小林辰三郎
常務取締役五十嵐勝男
取締役高野仁
同風間賢一郎
同池田禮
監査役藤井武彦
◇㈱トーハン・メディア・ホールディングス
代表取締役社長中村忍次
取締役近藤隆一
同森村圭
監査役藤井武彦

万引き防止横浜モデルから全国展開へ/講談社取締役相談役・浜田博信

第57回東北ブロック大会が7月5日、6日の両日、花巻市の花巻温泉「ホテル千秋閣」で開かれ、万引き防止横浜モデル協議会会長の浜田博信講談社取締役相談役(出版文化産業振興財団理事)が、「しない・させない・見逃さない万引き防止横浜モデルから全国展開へ」をテーマに記念講演を行った。浜田取締役は協議会設立の経緯や取り組みについて説明し、今後も万引き防止の啓蒙活動を続けていくと述べた。
書店店頭での万引き被害は甚大なものになっており、書店の経営に非常に大きな影響が出ている。一方では、青少年の健全育成の観点から万引きは初発型犯罪だといわれ、犯罪の入り口になるとして社会的に大きな問題になっている。これは書店業界だけの問題ではない、出版界全体の問題であるということで、経済産業省の所管にある出版文化産業振興財団が、この問題を担当しようということになった。
いま書店で一番万引き被害に遭っているのはコミックといわれている。コミックを出している出版社にも責任があるのでお引き受けした。それと、本来なら子どもたちに夢と勇気、正義を教えるコミックが、犯罪に遭っている。コミックの先生方の団体である「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」に全面的に協力していただいて、一緒に活動してきた。
なぜ横浜モデルであるのかというと、中田宏横浜市長は非常に若い市長で、以前から青少年育成、非行化防止に熱心に取り組んでおられる。有力な書店もあって、実験しやすい、協力をしていただきやすいということで、横浜市にお願いし、市を挙げてご協力をいただくことになった。
協議会には、神奈川県書店商業組合、新古書のリサイクルブックストア協議会、青少年指導員連絡協議会、PTA連絡協議会、町内会連合会、保護司会協議会、民生委員・児童委員協議会、少年補導員連絡協議会、学校・警察連絡協議会、小中高の校長会、市、警察などが加わり、全体でこの問題に取り組もうとやってきた。
私も初めてこういうことを経験したが、子どもたちを健全に、安全に育てようといういろいろな団体・組織があることを知った。おそらく初めてのことではないかと思うが、書店での万引きという問題をテーマに、これらの団体が一堂に会し、意気投合して、自分たちに何ができるのか、できるところから取り組んでいこうと活動を進めてきた。
協議会の活動を総括して、私が良かったと思っているのは、子どもたちも参加してくれたということだ。万引きは窃盗であり、非常に陰湿な犯罪だが、これが白日の下となって討論のテーマになった。2003年12月と2004年10月には「青少年の明るい未来のためにSTOPthe万引き横浜モデルシンポジウム」を開催した。第1回のときは、これからどう取り組むのか、万引きがいかに重大な問題であるかということをみんなで認識しようと話し合った。
また「万引き防止標語」の募集に多くの子どもが参加し、6百人近くが応募してくれた。その中で、「万引きは遊びじゃないよ犯罪だ」を最優秀賞に選び、この標語を使用した万引き防止啓発ポスターを5千枚作成して市内の全小中高校や地域の書店に配布した。青少年指導員連絡協議会や民生・主任児童委員連絡会などの協力により、商店や町内掲示板などにも掲示した。
万引き防止モデル地区として、青葉区青葉台地区と西区横浜駅周辺モデル地区の2地区を決めて、地域ぐるみで万引き防止パトロールを実施した。各団体の方が交替でパトロールし、書店にも立ち寄っていただくという取り組みをした。
それと、規範意識を啓発する資料を作ろうということで、神奈川県学校・警察連絡協議会が中心になって、先生のための指導資料や、児童・生徒のための啓発資料を作成し、昨年の夏休み前に小中学校に送付して指導してもらった。また地元PTAの会報紙、保護司協会の機関紙などにも取り上げていただいた。
2年間の議論を通じて共通認識となったのは、犯罪の入り口である万引きを減らすことによって、青少年の非行化防止につなげようということだ。万引き防止に向けた取り組みは、青森県、岩手県、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、長野県、富山県、石川県、鳥取県、広島県、福岡県でも行われてきている。日書連会長の丸岡さんも、東京都万引防止協議会でこの問題に積極的に取り組んでいただいており、大変心強く思っている。
協議会で議論をしたから、シンポジウムをやったから、ポスターを作ったから万引きが減ったということでは全く無い。私は協議会は啓蒙活動と思っている。協議会で提言したこととして、まず子どもたちに万引きをしないという思いを持たせる。学校、家庭、地域でそういう気持ちを持たせる教育をしていくということだ。そして、大人が、万引きをさせない環境を作ること。これまで親も先生も万引きを軽く考えていたが、万引きを見逃さないという態度で臨むということを確認しあった。
第1回「STOPthe万引き」シンポジウムでは、犯罪心理学の先生に、なぜ万引きが増え、悪質化しているのかについて基調講演をいただいた。そのお話と私の考えを合わせて申し上げる。
1つは、規制緩和が進み、小売店が大型化して多くの商品を陳列するようになった。書店だけでなくいろいろな小売で万引きが増えている。もう1つはローコストオペレーションの導入だ。広い店を少人数で管理しており、盲点の増加が万引きを助長している。
そして、「たかが万引き」という思いが、本人だけでなく親や学校にもあった。万引きは軽く思われており、間違った健全育成観として、万引きくらいで警察に知らせるなという今までの風土があった。
それから万引きの仕方が集団化・凶悪化している。商店街と地域が分離し、お互いに顔が見えなくなった。かつては商店街のおじさんの書店で本を買い、万引きはやりようもなかった。郊外で店が展開されると、知らない人が来て管理しているわけであるから、心理的に万引きしやすくなったという話をうかがった。そして新古書店の増加により、私どもが迷惑している、換金がしやすい環境がどんどん広がってきていることが挙げられる。
6月23日に、万引き防止対策の全国組織として「全国万引犯罪防止機構」が設立された。丸岡会長や、名古屋の三洋堂書店の加藤社長が理事を務められている。書店業界のほか、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合、日本チェーンドラッグストア協会、日本フランチャイズチェーン協会など多くの団体が参加し、万引き問題に取り組もうというものだ。
日本EAS機器協議会という防犯機器メーカーの団体が中心にやっており、この機構の理事長を務められるのが、元東京地検特捜部長の河上和雄弁護士だ。横浜モデル協議会とどういう連携を取れるか、話し合っていこうと思っている。
雑協は7月から8月に、書店にお願いして雑誌愛読月間キャンペーンを行っているが、3年前から、携帯端末を使って情報をコピーする「デジタル万引き」を、マナーとしてやめてほしいという運動をしている。NTTドコモを中心とした電気通信事業者協会と連携して、デジタル万引きをしないよう呼びかけており、今後も継続してやっていこうと考えている。
万引き防止は、息の長い啓蒙活動が緒についたばかりだ。子どもの万引きに対する今の考え方を変えていかなければならない。東京都副知事の竹花さんが幻冬舎から『子どもたちを救おう』という本を出していて、この中に都の書店組合や万引き防止協議会が取り上げられている。竹花さんはいま、新宿歌舞伎町の浄化運動の先頭に立っているほか、青少年健全育成でも厳しい人である。そういう人が中心になってこれからやっていくと思う。それから、三洋堂書店の加藤社長が中経出版から『書店経営者が書いた万引き防止の完全対策』という本を出している。ぜひお読みいただいて、お店で参考にされたら良いと思う。

日書連デジタルコンテンツ研修会

検索キーワードを単語だけでなく文章でも指定でき、キーワードから関連性の高い単語を抽出、それを含む図書をもれなく探し出す検索方法「連想検索」。この方法を用いた図書検索サイト「WebcatPlus」「新書マップ」の開発・運営に携わる国立情報学研究所・高野明彦教授が、東京国際ブックフェア会期中の7月7日に東京ビッグサイトで開かれた日書連主催「情報化推進・デジタルコンテンツ研修会」で「本探しのための連想技術について」をテーマに講演。連想検索は探書のみならず本の販売にも力を発揮する技術であると話した。
〔9百万冊収録の検索サイト〕
WebcatPlus(http://webcatplus.nii.ac.jp/)は国立情報学研究所が開発し、2002年10月から公開を始めた図書検索サイト。日本全国の大学、研究機関などの学術情報基盤として構築・運用している「学術情報ネットワーク」の目録システムは、全国の大学図書館約千館にオンラインで接続し、どのような図書がどこの図書館にあるか即座に分かるようになっている。これをwebにアクセスしさえすれば一般の人でも自由に利用できるようにしたのがWebcatPlusだ。現在、日本語・英語図書合わせて約910万件を収録している。このうち日本語図書は約300万件。膨大なデータベースから漠然と検索して下さいと言ってもなかなかできるものではないが、「連想検索」という情報技術を使うことによって一般の人でも楽しみながら探書することができる。
実際にwebサイトの検索画面を見ながら説明しよう。東京国際ブックフェア「万引き防止」専門セミナーの内容を紹介する文章「万引き・内引きを始めあらゆるリスクを回避するためには、従業員の意識とセキュリティ機器を正しく融合・活用する必要がある。某書店で行なったロス率に関わるセキュリティ機器の費用対策効果実験を交え、多面的に提案する」を入力して検索してみると、連想検索結果として日本語図書300万冊の中から全39万6774冊がヒット。トップには『書店経営者が書いた万引き防止の完全対策』(加藤和裕著、中経出版)が表示された。文章というのは単語を1つひとつ取っていくと個性が現れる。こうした「心の指紋」をうまく捉えて検索に生かすというのがWebcatPlusの売りになっている。さらに、書名左のボックスにチェックを入れて再検索すると、『万引きする人、こんにちわ』『万引き日誌』などより「万引き」に関連の高い本の検索結果が増える。書店の皆さんが日々頭を悩ませているテーマにより接近することができる。各書名には「内容・目次あり」「所蔵図書館情報あり」といった情報がマークで表示される。「所蔵図書館情報あり」の書名をクリックすると、たとえぱ「所蔵図書館57館」と表示され、さらにリンクをたどると「一橋」「岡大」など所蔵大学名が略称で表示される。
データベースは1日4万点ずつ増えている。蔵書の所在を含めて複数組織できめ細かく管理しているデータベースとしては、我々のものが最大ではないか。海外の人たちに見せると、図書館千館単位というのはなかなかないと驚く。本の基本情報はすべて入っており、よくある新刊ガイドよりも内容的に深い。読者が本を選ぶとき、新刊書店が本を売るとき、WebcatPlusは大きな力を発揮するのではないか。日書連MARCとの連携も考えていきたい。
〔7千冊を千のテーマに分類〕
膨大な作品の中からどの本を選んだらいいかわからない初心者に、本の面白さを知ってもらうために始めたのがweb検索サービスの「新書マップ」(http://shinshomap.info/)。昨年6月から公開している。まず、約20人のスタッフが約7千冊を約千項目のテーマに分類して登録した。新刊は毎月更新している。5月は61タイトルを追加し、現在7765冊に増えた。
たとえば、「太平洋戦争と靖国」というキーワードを入力して検索すると、画面の天球がグルグルと回って円内に10の関連テーマが表示され、円の周囲を12の関連キーワードが取り囲む。表示されたテーマの中から「日の丸、君が代、靖国」をクリックすると、『この国のゆくえ』(岩波ジュニア新書)、『日の丸・君が代の戦後史』(岩波新書)などの書名リストとともに、本棚を模した背表紙写真が表示される。この本棚は往来堂がやっている文脈書棚のようなもので、テーマ別に約千個作った。『教育と国家』(講談社現代新書)は「愛国心」「日本人の教育・教養」のテーマにも含まれており、「愛国心」のリンクをクリックすると同テーマの書名リストに飛ぶ。各種テーマ間サーフィンを楽しむことができる。インターネット環境をもつ新刊書店は「新書マップ」を立ち上げておいて、店の書棚の延長と考えて使っていただきたい。1冊買いに来たお客様が関連テーマの本を2冊、3冊と買っていくこともあり得る。
紙で流通している本が30年後にどうなっているか、興味をもっている。そのとき、いま本を生業としている人たちの活動が生きてくるのは間違いない。そこにどうつなげていくかが、我々の課題である。知識を仕入れようと思ったら、まず本に行かざるを得ない。知識への興味を喚起すれば本は売れる。そして本が売れれば、日本の教育はいい方向に向かう。連想検索技術でその支援ができればと考えている。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・宮田桂子

◇2歳から『はやいぞブンブン』/こもりまこと=作/童心社800円/2005・4
小さな赤い車ブンブンは、ブルルーンと走るのが大好き。カーブを早く曲がったり、雨の中を走るのも大好き。走る楽しさと喜びが、スピード感あふれる言葉と共に伝わり、一緒にドライブ気分を味わえます。ぜひ、お父さんの声で読んであげてください。エンジン音を入れながら…。
◇4歳から『にじをみつけたあひるのダック』/フランセス・バリー=作/主婦の友社1400円/2004・5
まず本の形に目がいきます。1/4円形を開くと半円に。ダックは雨が降りそうなので、とっとこ、ぱたぱた家へ急ぎます。各頁の背景が赤、橙色、黄色、緑、青、藍色、紫の色彩で飛び出してきます。無事に家につき空を見上げると、はっきりきれいな虹が…。ずーっと忘れないよね。
◇小学校低学年向き『すてきなあまやどり』/バレリー・ゴルバチョフ=作・絵/徳間書店1600円/2003・5
ブタくんがずぶぬれで手に花を持って帰ってきた。雨にあったけど、木の下で雨やどりをしてぬれなかったはずなのに…。雨やどりの話が楽しい。初めにネズミが1匹、次にハリネズミ2匹と話がどんどん大きくなっていきます。大判ページでは大勢の動物たちに驚きます。でも本当の訳は?

ふるさとネットワーク/中国ブロック編

〔鳥取〕
この夏、鳥取県を舞台に撮影された映画「妖怪大戦争」が公開されます。この映画のプロデュースチームには、境港市出身の水木しげる先生もいらっしゃいます。先日境港で行われたイベント「妖怪大行進」にもお越しになり、大いに賑わいました。
映画では主人公の少年が「麒麟送子」となって悪霊軍団と闘うのですが、実際に毎年宇倍神社で行われるお祭りで、麒麟獅子は氏子の家を一軒一軒まわり、子どもを中心に家族皆獅子に頭を差し出し、噛んでもらいます。そうすることで、その一年が無病息災で過ごすことが出来ると言われています。江戸時代に創始され、今も鳥取県東部で大切に引き継がれています。
他にも鳥取県の自然の魅力たっぷりな秀峰大山や鳥取砂丘などでもロケが敢行されました。映画をご覧になった後は是非鳥取へお越しください。
(津田千鶴佳)
〔島根〕
その昔、山が夕日に光るとまで言われた銀山が、県中央部の山間にあります。その名を「石見銀山」と言います。中世から近世にかけて鉱山として栄えた天領です。
清水谷精錬所跡、大森代官後、全国の金、銀山の奉行も務めた、石見銀山初代奉行・大久保石見守長安の墓、さらには間歩(銀を掘るために掘った坑道)はいたるところにあります。この地区は、現在重要伝統的建造物群保存地区として、かつての繁栄の跡を偲ばせています。町並みにはそば屋、手芸品屋、画廊等あり、あたりには神社仏閣も点在しています。
今この町が、世界遺産登録を目指して本気で活動しています。かつての日本の銀の町、石見銀山が世界へ向けて大きく羽ばたこうとしています。どうか皆さんも応援よろしくお願いいたします。
(桑原利夫広報委員)
〔岡山〕
岡山には果物をはじめ色々な特産物がある。「さわら」という食材は調べれば調べるほど、岡山県の食文化の原点であるということがわかった。
その歴史は江戸幕府8代将軍徳川吉宗の時代にまでさかのぼる。当時、各藩ごとに領内産物帳というのがあって、「当地では、さわらなる魚が豊かである」と記されている。江戸時代から岡山県のさわらは特産物と認められていた。岡山の人々が古くからこの魚に親しんできたことは間違いなく、今でもさわらの取扱高と消費量は岡山が断然全国一である。「さしみ」や「たたき」などの生ものは、ほかでは滅多に食されていない。他府県から来た人は必ずと言っていいほど、このさわら料理のおいしさに感激する。
ぜひ全国からこの美味しいさわら料理を岡山へ食べに来てほしいものです。
(荒木健策広報委員)
〔広島〕
「広島平和コンサート2005」が8月6日午後7時半から広島市中区の広島平和記念公園芝生広場で開催される(雨天会場=広島市中区の広島国際会議場・フェニックスホール)。広島に原子爆弾が投下されてから60年目を迎える05年8月6日。広島から世界に向けて「核兵器廃絶と世界恒久平和」の願いを込めた被爆者と広島のメッセージを発信する。コンサートの模様はNHKが放送80周年記念番組として総合テレビ、衛星ハイビジョンで全国生放送する。
コンサートではミーシャ・マイスキー(チェロ)、五嶋龍(バイオリン)、佐藤しのぶ(ソプラノ)、槇原敬之など国内外から招いた歌手や演奏家と、佐渡裕指揮による広島交響楽団とワールド・ユース・オーケストラが平和や愛にちなんだ曲目を演奏。また、女優の吉永小百合が原爆詩朗読(東京から中継参加)、広島市長が平和宣言を行う。
〔山口〕
全国主要書店が入会している「書店未来研究会」(松信裕理事長)が行っている販売コンペで、山口県書店商業組合理事長店の冨永書店が史上初の3年連続日本一(独立書店の部)を達成した。対象書籍は昨年11月刊行の『中国の歴史』全12巻。未来研は紀伊國屋書店や有隣堂、ジュンク堂書店など主要書店380書店が加盟している格式ある書店の集合体。表彰式では松信理事長がハンディ戦全国第1位の盾を授与し、さらに講談社野間副社長が3年連続という偉業に対して「特別賞」の豪華盾を贈った。冨永理事長は「これ以上町の書店をなくさないためにも、社員任せではなく経営者自らも血ヘドを吐くほどの自助努力をすれば、私ども10万都市の書店が800万、1200万都市の書店と競うことも可能である。ぜひ全国の皆さんも懸命に頑張って、この難局を乗り切りましょう」とメッセージを述べた。(山本信一広報委員)
【中国地方出身の有名人】
中国地方出身の有名人を紹介しよう。まず鳥取県から。今回、津田千鶴佳さんに紹介していただいた映画『妖怪大戦争』のプロデュースチームの一員になっている水木しげるは、『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる妖怪漫画の第一人者。故郷の境港市には「水木しげるロード」がある。このほか『名探偵コナン』の青山剛昌、『「坊っちゃん」の時代』の谷口ジローがいる。プロ野球選手では川口和久(元広島、巨人)、小林繁(元巨人、阪神)、角盈男(元巨人、ヤクルト)、米田哲也(元阪急、阪神、近鉄)など名投手を多数輩出。
次に島根県。「気合だー!」が2004年度流行語大賞トップテンに選ばれたアニマル浜口は浜田市出身。元プロレスラーだが、今ではアテネ五輪銅メダリスト・浜口京子の変なオヤジとして有名。女子プロレスラーの豊田真奈美も益田市出身。音楽関係では女性シンガーソングライターの竹内まりや。出雲大社近くにある明治10年創業の老舗旅館「竹野屋」の娘だ。俳優では江角マキコ、佐野史郎、田中美佐子がいる。作家では明治を代表する文豪、森鴎外、漫画家では4コマで名作を残した園山俊二が島根県出身。
岡山県は政治と学問の世界で多数の人材を輩出している。犬養毅、平沼騏一郎、橋本龍太郎と内閣総理大臣経験者は3人。学者は精神病理学の小田晋や女性学の田嶋陽子のようなメディア積極露出派から、日本刑事法の第一人者、團藤重光のような重鎮まで。作家は正宗白鳥、内田百閒、柴田錬三郎、吉行淳之介から最近人気の小川洋子、あさのあつこまで錚々たる顔ぶれ。また、辰吉丈一郎と渡辺二郎、2人のボクシング世界チャンピオンは大阪出身と思われがちだが、実は岡山県出身だ。
広島県は芸能関係が強い。俳優では杉村春子、平幹二郎という大物がおり、大林宣彦、新藤兼人の両映画監督も広島出身だ。歌手は矢沢永吉、吉田拓郎、西城秀樹、浜田省吾、奥田民生、ケミストリーの堂珍嘉邦など数え切れず。お笑いでは安田大サーカスのクロちゃん、極楽とんぼの山本圭壱、アンガールズの田中卓志・山根良顕など旬のタレントが数多く出ている。作家では名誉県民に選ばれた阿川弘之をはじめ井伏鱒二、倉田百三、高橋源一郎などがいる。
山口県は歴代7人の首相経験者を出しており、全国ナンバーワンである。戦前は伊藤博文、山縣有朋、桂太郎、寺内正毅、田中儀一の5人、戦後は岸信介、佐藤栄作の2人が内閣総理大臣になっている。次期首相の呼び声も高い安倍晋三、民主党元代表の菅直人も山口県出身だ。作家では高樹のぶ子、伊集院静、宇野千代。また、詩人の中原中也、漫画家の弘兼憲史などがいる。俳優は岡本信人、川野太郎、田中絹代、前田吟、松田優作、山下真司など個性派・実力派が顔を揃える。『新世紀エヴァンゲリオン』の映画監督・庵野秀明は宇部市出身だ。