全国書店新聞
             

平成16年6月21日号

グレーゾーンの雑誌をシール止め/雑協倫理対策委員会

雑協などでつくる倫理対策委員会は、未成年者が成人向け図書を立ち読みできないようにするための自主規制策を6月7日に発表した。出版社が必要と判断した成人向け図書の小口に幅3センチの帯状のシールを貼り、封をした形で出荷する。
東京都青少年健全育成条例の改正で7月1日から区分陳列強化が義務付けられており、大手コンビニなどで構成する日本フランチャイズチェーン協会は、成人向け図書の包装・帯封等の完全実施を求めていた。今回の自主規制策の対象に上がっているのは、成人マークが付いた表示図書や指定図書ではないグレーゾーンの雑誌で、どの雑誌をシール止めするかは各出版社の判断に委ねられる。対応雑誌の配本は一般書店、コンビニなど全国の小売店が対象となる。

津本陽氏が講演/静岡文化講演会

静岡県書店商業組合は5月30日午後1時半から、静岡市・静岡銀行のホール「ユーフォニア」でサン・ジョルディ記念文化講演会を開催。作家の津本陽氏が「渋沢栄一虹を見ていた」の演題で講演した。
講演に先立ち、斉藤行雄理事長がサン・ジョルディの日の由来を解説。そして静岡県ではブックファースト運動や、学校での朝の読書運動など、官民上げて子どもの読書推進を強力に進めていることを聴衆に説明した。
渋沢栄一は明治維新で欧州から帰国後、「商法会所」を静岡に設立。明治6年に大蔵省を辞して「第一国立銀行」の総監役となり、その後の日本近代資本主義の発展に寄与した。訥々と語る津本氏のお話は、栄一が仕えた徳川慶喜が静岡に来るときの話題からで、ホールの中はあっという間に2時間が過ぎた。講演終了後は、津本氏の最新作『小説渋沢栄一(上・下)』サイン会の予定だったが、発売日が6月30日になったため残念ながら中止となった。
(白松猛広報委員)

司書ツールでTRCに対抗/志賀健一理事長を再選/北海道総会

北海道書店商業組合は6月8日午後3時から、札幌市中央区のJRタワーホテル日航で第28回通常総会を開催し、組合員126名(委任状含む)が出席。図書館流通センター(TRC)対策やポイントカード問題の解決、組合ホームページ開設による情報化促進などの活動方針を可決した。任期満了に伴う役員改選では、志賀健一理事長を再選した。総会は高橋謙一副理事長の司会で進行。松本勇副理事長の開会宣言で始まり、志賀理事長があいさつした。志賀理事長は「70年の歴史を誇る函館の森文化堂が閉店するなど、親しく付き合ってきた仲間が次から次へと消えている。札幌駅前に旭屋書店、三省堂書店が出店し、来年4月には紀伊國屋書店が大丸横にオープン。またコーチャンフォーが秋に出店と、札幌は大競争時代を象徴している」と道内の書店を巡る厳しい現況を説明したのち、書店組合の重点課題としてポイントカードとTRC問題について言及。
「ポイントカードは1年間にわたり出版社、取次と話し合い、一歩一歩前進しているが予断を許さぬ状況が続く。情報化推進では2年近くTRCとの戦いを続けている。TRCはTOOLi―S(ツールアイエス)という小中学校専用のサイトをつくり、調べ学習の検索にも使えるなど先生の評価が高い。これに対抗して日書連マークと司書ツールを書店に提供している。皆さんの町でも配布して、TRCに負けないよう自分の城を守ってほしい。難題が次から次へと降りかかるが、とにかく勝ち残っていかねばならない。皆で議論しながら運動していきたい」と述べた。
来賓の日書連消費税問題等特別委員会・下向磐委員長は、「今年前半で最大の事件はTRCと日教販の合併問題。日書連は3月に反対の声明を出し、合併断念につながった。もし合併を許したら一般書店には対抗手段がなく、出版界は大混乱に陥っただろう」と振り返り、万引、再販、消費税総額表示、出店等の現状を説明。出店については「大店法がなくなっても街づくり三法、商調法などがある。自分の町のルールに従った出店を求めて話し合いの努力をしていくことが重要」と述べ、最後に「売上が下がる中、取次に厳しく取り立てられれば中小はやっていけない。英知を結集し、書店を支援するという方向へ取次と話し合いをしていきたい」と結んだ。
議案審議では中尾邦幸理事を議長に選び、志賀理事長、伊澤崇専務理事、松山雄洋理事が、活動の総括と運動方針案を説明した。
このうち情報化推進対策では、日書連からの補助金でホームページを作成、メーリングリストや掲示板などネットワークの活用で迅速にコミュニケーションが図れる環境を作っていくとした。また流通改善では、ハリー・ポッター第5巻の対応について、今後も買切商品に普通正味を押し付けられることにならないよう、書店がいい形で売ることができる条件獲得へ交渉を続けると報告があった。
役員改選では理事22名、監事2名を承認。第1回理事会で志賀理事長を再選し別掲の3役を決定した。○新任。
▽理事長=志賀健一(旭川・旭川冨貴堂)▽副理事長=高宮要夫(留萌・誠文堂書店)、松本勇(帯広・松本書房)、○久住邦晴(久住書房)▽専務理事=伊澤崇(根室・伊澤書店)

井狩春男の必殺まるす固め

☆6月のつゆのあい間、朝からなんともすがすがしく風が渡り、陽ざしがやわらかく気持ちがいい。
ボクは東京は神田の書店で開かれている「新風舎出版賞フェア」を、新風舎のJ役員と一緒に見に出かけた。この出版賞の審査委員長をやっているからだ。自分が選んだ作品が本になって、読者と邂逅する晴れの舞台を見ておきたかったのだ。
J役員(女性)は23年前の1980年に新風舎が創業した時の、最初の社員……、というより、社長とともに同社を起こした人である。四畳半のアパートから始めて、いまや東京の青山に4つのビルを借りていて、大阪、福岡そしてニューヨークに支社を持つ。出版点数は、「出版ニュース」によると、講談社、学研に次いで第3位。やっとここまで来れて、書店における初めての大きなフェアがこれである。
通りを挟んで向こう側から書店の入口を見ると、巨大なたれ幕があって、デカデカと「新風舎出版賞フェア」とある。かわゆい動物のイラストがあって、明るくて目立っている。
フェアは、入口を入ってすぐ右側で、ワゴン3台をお借りして行われている。社員が心をこめて書いたPOPが本の上にたくさん立っている。本のカバーがカラフルである。愛子様のお気に入りの絵本だということでベストセラーになった「うしろにいるのだあれ」や、「まさかさかさま」「ダダダダだちょう~!」「ブサイク犬のなやみ」「もういちど」「みみながうさぎ」「明日僕は旅ニ出ル」といった絵本たち。平間至写真集を受賞した「野鳥たちの四季」「カエルのこころ」「新宿ネコグラフィー」「ドコデモドア」といった写真集たち。単行本もたくさん並んでいて、受賞作でないのに、ボクの本「本は読むより書くほうが10倍楽しい」も置いてくれている。新風舎文庫もにぎやか。嵐山光三郎「口笛の歌が聴こえる」、小松左京「地には平和を」、新井満「ヴェクサシオン」……といったデビュー作シリーズ。市川森一「傷だらけの天使」、大石静「ふたりっ子」……といった向田邦子賞受賞作家シリーズもある。
J役員とボクは3台のワゴンを少し離れたところからながめていた。入ってくる客がたいがいフェアの前に立ってくれている。1人の客が、文庫を1冊レジに運ぶ。「あっ、買ってくれた!」。J役員は、思わず声を出して、うしろを向いた。彼女は、泣いていた。

街の本屋の販売力示そう/冨永信理事長を再選/山口総会

山口県書店商業組合は5月28日午前11時から新山口のホテルみやけで第16回通常総会を開催した。
冒頭、冨永信理事長があいさつ。「今の書店界は様々な要因で本質を見失っている。ただここ今日に至っては出版社、取次に責任転嫁するのではなく、書店界全体が自らを戒め叡智を結集。自店の売上げ、利益向上に寄与すべく、まず経営者が店売、外売の販売競争に全力集中すべき。私事だが、当店(岩国市・冨永書店)は講談社主催『書店未来研』販売コンクールハンディ戦(独立店の部)で『類語辞典』に続き『百寺巡礼』で2年連続日本一の栄を賜った。リーダー自らが血ヘドを吐いてトップダウンすれば、人口10万人の県庁所在地でもない小都市の中小書店でも全国レベルの実績を残せることを実証した。皆さんも書店人としてのプライドを持ち、血ヘドを吐いていただきたい。そうすれば自ずと活路は開ける」と話し、出席者一堂感銘を受けた。
このあと武智薫専務理事を議長に議案審議を行い、平成15年度収支決算報告、事業報告等、すべての議案を原案通り承認した。役員改選では新年度も冨永信理事長体制で臨むことを満場一致で承認した。
議事終了後、トーハン・大山豊広島支店長が「現下の書店における雑誌強力販売のノウハウ」を講演した。(山本信一広報委員)
〈山口組合役員〉
▽理事長=冨永信(冨永書店)
▽副理事長=中野哲男(中野書店)都野隆司(都野書店)
▽専務理事=武智薫(明林堂書店)菅原公夫(文栄堂)

新副理事長に辰野氏/読書ノート、7月から配布/大阪組合

大阪府書店商業組合は6月12日午後2時から組合会議室で定例理事会を開催。金田副理事長の退任を受けて辰野常務理事が副理事長、虎谷理事が常務理事にそれぞれ繰り上がることを承認した。主な審議・報告事項は以下の通り。
〔総務・財務・規約等委員会〕
読売新聞社主催「第2回子どもの本フェスティバルinおおさか」に協力する。11月13日、14日の両日、大阪市・ビジネスパーク21で開催。前回は事前連絡が密でなかったので運営について双方に不満が残ったが、今回は緊密に連絡相談して円滑に運営したい。
〔出版販売倫理委員会〕
「子ども110番の店」の旗を対応マニュアルをつけて近日中に組合員に配布する。大阪府青少年課には組合員名簿、対応マニュアルを提出、関係各機関に連絡してもらう。組合員は支部ごとに警察等とのコミュニケーションを密にする一助としてもらいたい。「子ども110番の店」は子どもの犯罪被害を防ぐための駆け込み場所になるのが本来の目的だが、同時に「110番」の文字を掲げることによる万引き抑止効果も期待されている。
〔読書推進委員会〕
6月15日午後2時から業界3団体の第1回実行委員会を開催。6月18日頃の朝日新聞紙上で「読書ノート」頒布の告知公告掲載。7月7日頃から配布予定。「読書ノート」を利用して学校とのパイプ作りに活かしてもらいたい。今後の「帯コンクール」事業などにつながる成果をあげたい。

区分地図の発行年度内完結目指す/東京青年部総会

東京都書店商業組合青年部は6月8日午後4時半から湯島の東京ガーデンパレスで第14回通常総会を開き、会員121名(委任状含む)が出席した。
総会は吉田圭一理事の司会で始まり、澁谷眞会長が「会員減少に歯止めがかからず、期中7名が脱退したが、5名の新規加入があったのは喜ばしい」とあいさつ。正副議長に梅木秀孝、黒田忠弘両理事を選んで議案審議を行い、平成15年度活動報告、会計報告、平成16年度活動計画、収支予算などすべての議案を原案通り承認した。
地図事業部からは「昨年4月に世田谷区区分地図を発行して1年経過し、現在8区(世田谷、目黒、中野、杉並、練馬、板橋、品川、大田)の区分地図を発行。次回は渋谷、港、新宿、豊島区を予定し、2004年度中に23区を発行したい」との報告があった。また、TS流通協同組合からは「今期は幻冬舎、光文社等との新規取引が始まったが、希望の多い講談社との取引も粘り強く交渉を続ける」と報告があった。
質疑応答では、「取次の書店売上データを見ると今年に入ってプラスが続いている。データの信頼性に疑問がある。規模別に青年部独自のデータをとれないか」との意見が出された。澁谷会長は同意して「PОSが入っていない店のデータは無視されているようだ。独自データについては何らかの方策を考える」と答えた。また、公共図書館の複本問題が書店売上を圧迫しているとの意見に対して、澁谷会長は「死活問題。親会と相談して対策を検討する」と述べた。
相談役の東京組合・萬田貴久理事長は「先日、東京組合報二〇〇号記念誌を発行したが、歴史を知ることで現在の問題を解決する糸口がみつかることもある。柴崎、岡嶋両氏など青年部出身者が日書連、東京組合で活躍している。強力な支援を」とあいさつした。

難局乗り切りへ気勢/福岡組合移動理事会

福岡県書店商業組合(山口尚之理事長)は6月7、8日の両日、佐賀県武雄温泉「京都屋旅館」で恒例の移動理事会を開いた。九州は2日に梅雨入り宣言がなされ、移動理事会当日も生憎の天候。天候のせいばかりではないだろうが、今年は出席者が出版社、取次、運輸、書店合わせて40人という、いつになく寂しい移動理事会となった。
山口理事長のあいさつは書店業界を取り巻く難問山積の状況を反映した、厳しいものに。そんな状況に負けていられないと、参加者全員は元気を出してこの難局を乗り越えるぞと気勢をあげ、懇親会は盛り上がった。翌日はゴルフ組と観光組とに分かれ、移動理事会を終えた。
(鹿子島慶正広報委員)

過去最高の純利益に/売上7年連続マイナスでも/トーハン

トーハンの平成15年度売上高は6445億5700万円、前年比96・8%で、7年連続の前年割れとなった。しかし、厚生年金基金の将来分の代行返上に伴う返上益52億円を特別利益に計上したことにより当期純利益は53億2100万円と過去最高の利益となった。
売上高の内訳は書籍2457億1500万円(96・5%)、雑誌3591億3900万円(98・4%)、NM商品397億100万円(85・5%)。返品率は書籍38・7%、雑誌31・3%、NM商品16・1%、合計で前年より1・1%多い33・6%。
損益計算では、売上総利益は売上原価率の低下で売上伸長率を0・7ポイント下回る97・5%。販売管理費は返品前年比が送品前年比を上回ったことなどから売上伸長率を1・3ポイント上回り、営業利益は123億円で94・6%。営業外費用は売上割引が99・2%と売上伸長率を2・4ポイント上回った。経常利益は67億円で前年比90・8%にとどまった。
特別損益では厚生年金基金代行部分返上益52億円を計上したほか、固定資産の簿価と時価の減損会計を早期適用して特別損失に計上した。この結果、税引前当期純利益は前年より50・2%多い99億5900万円、当期純利益も53億2100万円で前年比152・5%となった。
決算概況を説明した藤井副社長は「期の前半の売上げが95・2%と落ち込んだのが大きかった。12月以降は前年をクリアしている。今期は売上減の状況下で経費節減に努めた。貸倒引当金は厳しい基準で見直し、将来に備えて積み増した。平成17年から減損会計が適用されるが、当社は2年前倒しで適用し、財務体質を一層強化した。16年度は第1四半期の出だしは順調で、増収増益を目指したい」と述べた。
1年間の取引書店閉店は394店、2万584坪。平成16年度売上目標は101・5%。4月1日現在の社員数は男1872名、女445名、合計で前年より92名少ない2317名。

トーハン損益計算書
(単位百万円)
売上高644、557
売上原価569、010
売上総利益75、546
販売費及び一般管理費
63、239
営業利益12、306
営業外収益2、637
受取利息277
その他の営業外収益
2、360
営業外費用8、232
支払利息29
売上割引8、168
その他の営業外費用34
経常利益6、711
特別利益5、250
特別損失2、002
税引前当期純利益
9、959
法人税等4、638
当期純利益5、321
前期繰越利益1、269
役員退職慰労積立取崩11
当期未処分利益6、602

参考図書

◇『出版年鑑+日本書籍総目録2004』
B5判2分冊3200頁の出版年鑑と出版者7600者、65万点の書籍を収録した日本書籍総目録CD―ROMが付く。定価3万
6750円。発売出版ニュース社。
第1巻は資料・名簿、第2巻は目録・索引。今年から雑誌「出版ニュース」の2003年主要記事900頁分を収録したほか、電子書籍目録約1万1千点を加えた。
◇『東京組合報二百号記念誌』
平成4年発行「東京組合50年史」以降の活動を中心に、昭和36年の創刊から今年1月の200号までの歩みをたどる。第1章は東京組合の現状。第2章の歴史編は大曽根、大川、酒井、土橋、小沢と懐かしい歴代理事長の発言を記録するとともに、組合報の前史としてGHQの検閲を受けた昭和23年2月号など貴重な資料を紹介する。A5判848頁、上製箱入り。

図書券連続前年割れ/早期に完全カード化めざす/図書普及

日本図書普及は6月14日記者会見を行い、第44期(平成15年4月1日~16年3月31日)の決算概要を発表した。
これによると、図書券・図書カードは発行726億7300万円(前年比97・7%)、回収696億500万円(同98・0%)となり、2年連続の前年割れ。内訳は図書券が発行535億円(93・2%)、回収540億円(93・4%)、図書カードは発行191億円(112・8%)、回収155億円(117・8%)。カード発行のうち、一般カードは116・2%、広告カードは105・8%の伸びだった。
損益面では今期から取次諸掛、加盟店引換手数料を減額したこと、株価上昇から有価証券売却益が予想以上に得られたことで税引後当期純利益は54・6%増の1億8900万円。
3月末現在の加盟店は352店減の1万1353店。カード読取り機の設置店数は375店増えて9391店。
記者発表で同社佐藤専務は「昨年11月から山陰で図書券の発行を停止、カードのみとする完全カード化の先行テストを行った。5カ月を経過して回収の60%以上がカード化されている。今秋には東北、山陽、四国で第二次テストを行い、日書連の理解も得て早期に全国カード化を実現したい」と述べた。
図書普及損益計算書
(単位百万円)
売上高447
売上原価256
販売費及び一般管理費
3、603
営業損失3、412
営業外収益2、054
受取利息1、121
有価証券売却益908
賃貸収入7
雑収入17
営業外費用91
支払保証料91
経常損失1、449
特別利益2、101
未回収収益2、101
特別損失331
収益計上券回収損326
固定資産処分損4
税引前当期純利益320
法人税、住民税及び事業税96
法人税等調整額35
当期純利益189
前期繰越利益17
当期未処分利益206

日書連のうごき

5月6日出版再販研究委員会。日書連会計監査会へ安井、長谷川両監事。出版物公取協編集委員会。
5月7日図書普及㈱決算役員会。SJの日・春の書店くじ抽選会開催。
5月11日JPO運営委員会へ志賀委員、出版倫理協議会へ丸岡委員出席。静山社へ藤原委員長、白幡専務で訪問。情報化推進委員会開催。
5月12日JPIC理事・評議員会、全出版人大会へ萬田会長他日書連幹部出席。
5月14日出版ICタグ実証実験説明会へ山口委員他、共通雑誌コードセンター委員会へ井門委員出席。
5月17日出版再販研究小委員会へ岡嶋委員長他。
5月18日税制対策特別委小委員会へ下向委員長他出席。民主党大躍進パーティーへ丸岡副会長他出席。
5月20日日書連、共済会理事会。出版物小売公取協通常総会開催。第4土曜日は子どもの本の日実行委へ高須委員長他出席。
5月21日第16回日書連通常総会開催(於池之端文化センター)。九州雑誌センター株主総会へ萬田会長他出席。
5月25日出版倫理協議会へ丸岡委員他出席。
5月27日リサイクルブックストア協議会ICタグ実験へ山口委員。書籍データセンター株主総会へ白幡専務。全国中小企業団体中央会総会へ萬田会長出席。
5月28日読書推進運動協議会理事会、総会へ萬田会長出席。
5月31日出版倫理協議会ゾーニング委員会へ丸岡委員出席。

催し

◇トーハン書店大学「店舗マネジメント基礎セミナー」7月1日午前10時からトーハン本社大ホールで開催。新任店長や店長候補などを対象に数値管理、マーチャンダイジング、リーダーシップ、社員・パートの指導育成を習得する。講師はカスタマーズ・アイの池田誠代表取締役。受講料全国書店共助会加入店1万円、非加入店2万円。
◇トーハン書店大学「購買促進セミナー」
7月8日午後1時半からトーハン本社大ホールで開催。公開経営指導協会の講師、河野英俊氏を講師に入口、レイアウト、陳列、POPなど客の立場に立った売場改善の手法を学ぶ。受講料は加入店5千円、非加入店1万3千円。申し込みはいずれも03・3267・8686番へ。

18店舗で情報共有/志夢ネット

日本書店大学で学んだ有志で3年前に設立した㈱日本書店大学館(近藤秀二社長)は、7社18店で文献社のシステムを導入して売上データ等を共有、増売を目指す「志夢ネット」を発足。6月8日に東京・神楽坂の日本出版クラブで出版社向け説明会を開いた。7社はブックスなにわ(宮城)、一清堂(埼玉)、鴨川書店(千葉)、天真堂書店(山梨)、ラックス(京都)、丸善書店(同)、オクショウ(兵庫)。
席上、近藤社長は「有志が企業の枠を取り払って1つの企業体として情報インフラ整備を行い、ナショナルチェーンに対抗すべきと思った」と日本書店大学館設立の経緯を説明。「7社が中核になり、厳しくなるばかりの中小書店の受け皿になりたい」と話した。
また、志夢ネットの方針について、清宮映晶取締役は「地域読者のニーズに応えることを第一に、安易にベストセラーをほしがるのではなく、ロングセラーを掘り起こして売上アップにつなげていく」と述べ、「仕入れる」より「売る」ことを重視する姿勢を明確にした。さらに、同業他社の売行、陳列状況の情報提供、販売方法の提案、本部一括仕入れ商品の販売結果報告などの方針を示した。
最後に7社18店舗のオーナー、店長が壇上にあがり、「1人の経営者が成果をあげる時代は終わった。志をともにする者が集まり、1つの結合体として繁栄を目指す」(ブックスなにわ)、「ナショナルチェーンだけが書店ではない。やり方によってはまだ儲かる道はある」(一清堂)など熱い思いを語った。

売場の活性化提案/太洋社すいか祭

太洋社の夏の市会、第14回すいか祭りが6月12日午前、文京区水道の本社3階特設会場で開かれた。今年のテーマは「売りたい本が売れる本!本屋さんは読者のナビゲーター」。コミック、書籍、児童書の売行き良好書、SA機器の展示に加えて、新たに雑誌の提案棚を設け、店頭の活性化を提案した。
イベント会場であいさつした太洋社国弘社長は冒頭、昨年9月の戸田流通センター開設に伴う送品ミスに触れ「取引先書店、出版社に深くお詫びする。暖かいご声援をいただき挽回している状況だ。ミスを教訓に、お役に立つ取次に育っていきたい」としたあと、「今回のすいか祭りでは井狩さんの講演会、売行き良好書の展示、初めて雑誌増売企画の提案棚も設けた。太洋会の増売企画はこれから1年間、書店と一緒になり積極的に販売していく。太洋社の営業は売ってくださいの掛け声ばかりというお叱りがあったが、今回は課ごとに競争し、企画商品を売っていく。厳しい注文、ご意見をいただきたい。今日は日頃のストレスを発散して、暑い夏を乗り切り、活性化につなげてほしい」と述べた。
国弘社長によれば、同社の5月締め今期決算は、書籍が前年比109%、雑誌100%、合計で103%になる見通し。利益面は戸田センターの投資によりマイナスになるという。
6階特設会場では本紙にコラムを好評連載している井狩春男氏がベストセラーの方程式を中心に講演を行った。

連合大会に351名/55周年で増売キャンペーン/大阪屋友の会

大阪屋友の会連合大会が6月8日、香川県ことひら温泉「琴参閣」で開かれ、書店162名、出版社143名など総勢351名が出席した。
午後3時半からの総会であいさつした田村定良連合会長(田村書店)は書店の経営環境について「業界は年初より4月頃まで回復の兆しがあったが、連休明けは悪く、先週は雑誌がよいと一喜一憂の状態で、いぜんトンネルから抜け出ていない。アナログ書店はコンビニやネット書店に脅かされている。客のニーズに素早く応え、シーズンに何を売るか的確に把握するには情報武装が必要だ。大阪屋とのネットワークを利用して情報収集し、3デイパワーの納品体制をつくればお客様に喜ばれる新しい書店の展望が開けるのではないか」と提案した。
議事は毛利元治総務委員長、工藤恭孝経営委員長、高坂喜一増売委員長が事業報告を行い、新年度も「創業55周年記念企画」を含め、力を合わせて増売に取り組む方針を確認した。
来賓として祝辞を述べた大阪屋三好勇治社長は、同社の第57期業績について「売上げは前期を若干下回り、返品増加や先行投資も加わって収益面でもわずかながらマイナスとなる見通し。今期は第6次中期経営計画の3年目、創立55周年に合わせて、売上6・31%増の高い目標を掲げた」と説明した。
三好社長は目標達成のための課題として①富士山マガジンサービスと提携した雑誌定期購読新システムの本格稼動、②1300社、27万点、250万冊を在庫するKBC、TBC東西2つの倉庫を一体運用する、③新雑誌コードに対応するSA機器GOGOキャンペーンとWEB―OPASの推進、④配本システムの再構築、⑤「55周年GOGO増売キャンペーン」への積極的参加を提示し、「創立55周年の記念となる成果を収めていただきたい」と呼びかけた。
友の会とタイアップしたSA機器の特別斡旋は、現在のところPOSレジ280台、ハンディターミナル470台。9月末までキャンペーンを継続する。
出版社を代表して小学館蜂谷紀生常務は「昨今の出版業界は巨人打線と同じで、当たれば大量得点だが、あてにならない。昨年の阪神打線のように投打がかみ合うには時間がかかる」としたあと、日産がトヨタからハイブリッドの技術供与を受けアメリカで生産販売する報道を紹介して「出版業界もコストダウンのためには大同団結が必要になる。友の会の伝統であるきめ細かい販売力にますます磨きをかけていただきたい」と訴えた。
日書連を代表して今西英雄副会長は「日書連は5月総会で中小書店の活路開拓、相互扶助という事業目的を明確にした。新しい時代の友の会の活動に期待している」とあいさつした。
特別ゲストの作家・藤本義一氏が「読書と人間を考える」を記念講演したあと、懇親会を行った。

本屋のうちそと

めっきり客数の減った店内に、まったく買う気のない中高生の立ち読みばかりが目立ち気が滅入る。他に客がいれば相互に監視の目がはたらき、さほど万引きの心配もないが、明らかに怪しいと思ってもつきまとう訳にもいかず防ぎようがないのが現実だ。そんな緊張感から逃れるために、閉店前にシャッターを閉めて追い出しにかかる日が増えてきた。
そんなある日、中学生三人組の万引きを発見し、問いただそうとする隙に一人が逃げ出した。残った二人を問い詰め学校に連絡したが、先生は「遠慮なく警察に連絡して下さい」と言う。立ち読み少年を犯罪者の目で見なければならない本屋の性も悲しいが、かまっていられないという学校の態度には教育の放棄を感じてしまう。
同じ時期、棚を整理してレジに戻ると小さな紙片が目に入った。「うちの長男は中学生のころから現在も不登校です。この店が好きなようでよく来ます。ありがとう母」と書いてある。思い当たる子供がいて、店にとってはうっとうしい「立ち読み常連」のひとりだ。当然万引きを警戒しなければならない「客」でもあった。
思わぬ感謝の手紙に、いろいろな客が様々な思いでこの店を選んでくれていることを改めて考えさせられた。午前中は話好きの年配客で店頭は賑わう。昼下がりの閑散とした店の隅で黙々とマンガを読んでいる行き場のない少年達も話しかければ力になれることもあるのだろうと思うと、イライラひとすじの身が恥ずかしくなる。(どんこ水)