全国書店新聞
             

平成15年6月11日号

実施店粘り強く説得

ポイントカード付き販売は再販違反として、日書連は出版社から小売店への指導を求めているが、5月8日付で小学館から、12日付で講談社から現在の取り組み状況を報告する文書が届いている。
両社とも「ポイントカードを利用した値引販売は再販契約違反」という認識のもと、小売店に粘り強く中止を求めており、解決するまで今しばらくの時間をとしている。
両社の回答要旨は以下。
[小学館の回答]貴会所属の皆様へ小社の「ポイントカード問題」への対応につきまして中間ではございますが活動状況を報告させていただきます。
先ずは、小社の行動計画につきまして遅れている部分があり、再販契約を遵守されている皆様にご心配をおかけしていますことをお詫び申し上げます。
小社の啓蒙活動は、ポイント還元率の高低を基準に対応方法を分けて、先方との直接の話し合い、あるいは公表文等で広く中止要請等を行っております。
還元率の高い法人との「直接の話し合い」を具体的に申し上げますと、昨年11月中旬から還元率5%以上を実施している小売店8法人を対象に中止の要請をいたしました。
現在までに、大きな問題の一つでありました、神田駅周辺のいわゆるポイントカード戦争と言われた区域の収束化が実現するなど計6法人につきましては、一定程度の前進が見られました。
残る2法人につきまして現段階では前進が表面には出ていません。
固有名詞を避けて業態のみになりますが全国展開の大型電気量販店および東京都の一般量販店でございます。
この2法人には現在、小社直接或いは当該の販売会社さんを介して積極的に中止要請を行っているところでございます。
先方には、問題解決の詰めの段階を見極め、私も小学館の社長として、また再販契約書の契約当事者としての責任から出席する考えがある旨を伝えてあります。
先方の経営者にも、ようやく理解が得られ始めたとの感触を抱いております。
また当該の取次会社の社長さんをはじめ上層部の方々が、この間題を真摯に受け止め積極的に行動されていますことを申し添えさせていただきます。
小社は、先方との相互理解を基本として行動します。
しかし話し合いでの解決が難しいと判断した場合は、契約書に則した対応も検討しなければならないと意を決しております。
[講談社の回答]小社は「ポイントカード」を利用した値引き販売は「再販契約違反」であるとの主張を一貫して表明してまいりました。
また、違反事例につきましては早急に中止されるよう要請してまいりました。
その結果、いくつかの事例で中止が決定され、あるいはポイント還元率が下げられるなど、一定の前進が見られております。
しかしながら、再販研究委員会で逐一ご報告しているように、話し合いが難航し進展が見られていない事例もあり、書店組合の皆様にご心配をおかけしていることも事実です。
小社は読者への本質的なサービスは、全国どこでも同一価格で買えるという定価販売が保障されることにあるものと確信しておりますし、貴会のご主張である「再販価格の維持こそが、出版物の多様性維持を通して目先の利便ではなく、本当の意味での消費者の利益に資するものである」との立場を共有しております。
しかしながら、「ポイントカード」は小売業、サービス業をはじめ、社会のいたるところで活用され、いまやごく普通の顧客サービスと認識されています。
このような状況のなかで、ポイントカードに対する業界全体の対応が、世間一般からどう見られるのか、読者の理解を得るにはどのようにしたらよいのかについても、配慮する必要があると考えております。
性急な対応が再販不要論につながるような事態は絶対に避けなければなりませんし、とくに他業界から書店業界に参入された方には、再販制度の趣旨を粘り強く説明し、理解をいただくことが欠かせないものと思います。
その意味で、直接取引の販売会社様には重要な役割をになって行動していただいており、解決の糸口を見出すべく話し合いを進めているところです。
こうした努力の上で、なお解決が難しいと判断した場合には、再販契約第5条に基づく対応を検討せざるを得ないことは先に表明しているとおりです。

古書の情報発信基地に

神田・小川町にある東京古書組合の本部「東京古書会館」が老朽化、昨年から建て直しを進めていたが、いよいよ7月5日に地上8階・地下1階の新会館が竣工、翌6日から一般公開を開始する。
同組合では竣工を記念して、一般読者にもっと古書に親しんでもらおうと、「古本拡張計画」と銘うったイベントを展開、今後は古書に関するさまざまな情報を発信していく。
旧会館は古書業者が参加する市場機能が中心だったが、新会館は一般読者にも公開。
古書に関する情報発信基地として古書検索や古書店検索が自由に行えるコーナーが設置され、古書に関する企画展示やミニイベントなども随時開催する。
「古本拡張計画」では、同組合による初めての新刊書『古本カタログ』(晶文社、A5判152頁、定価1890円)を発行するほか、同書に掲載した書籍を展示する「過去からの本、未来への本」(7月6日~12日)や、「乱歩が蒐めた書物展」(7月13日~19日)、イベントとしてトークライブ「本屋さんのつくり方」(7月8日午後6時)などを行う。

東京組合の新役員

東京組合は5月19日に開催した臨時理事会で副理事長と常務理事を決めた。
副理事長=丸岡義博(千代田・廣文館書店)、下向磐(府中・分梅書店)、舩坂良雄(渋谷・大盛堂書店)、奥村弘志(文京・南天堂書房)常務理事=柴崎繁(目黒・王様書房)、山口達郎(中央・千代田書店)、岡嶋成夫(江東・ブックロード)、越石武史(世田谷・甲文堂書店)、○家田通久(新宿・学友社書店)、小泉忠男(足立・小泉書店)、○鳥井匡(墨田・文栄堂書店)、新倉信(目黒・八雲堂書店)、高原淳(足立・高原書店)、○梅木秀孝(世田谷・梅木書店)(○は新任)

洋書1週間で取寄せ

国内洋書流通業界のトップ「日本洋書販売配給㈱」と、第2位の「タトル商会」は合併統合の準備を終え、6月2日、新会社「日本洋書販売㈱」を発足させた。
新会社の代表取締役社長にはタトルの賀川洋社長、代表取締役会長には洋販の渡辺正憲会長が就任した。
本社は豊島区池袋4―32―8、旧洋販本社。
新会社は年商70億円、数年以内に100億円の売上げが目標。
英文書籍のデータベースを用いて、英米から1週間以内で書籍を取り寄せるシステム改革を描いている。

ポイント、万引き問題解決へ行動

茨城県書店商業組合(大野豊治理事長)は5月27日午前10時半より水戸市・三の丸ホテルで第17回通常総会を開き、組合員112名(委任状含む)が出席した。
総会は川又英宏副理事長の司会で進行し、美野輪博一副理事長が開会宣言。
あいさつに立った大野理事長は「ポイントカードは県内でもヤマダ電機等が実施しているが、一向に改善されない。
小学館および講談社へ早期改善の要請書を送った。
また、青少年の万引き問題で、年間に1書店平均200万の被害があり、新年度で早急に改善に向けて行動していきたい」と述べた。
このあと大野理事長を議長に議案審議に入り、平成14年度事業報告、平成15年度事業計画案、決算、予算案などすべての議案を原案通り可決承認。
任期満了に伴う役員改選では、指名推薦の方法で大野豊治氏をはじめ理事25名、監事2名を選出した。
最後に来賓の県中小企業団体中央会・喜古謙一郎総務課長があいさつし、田所和雄副理事長の閉会の言葉で終了した。
総会終了後、午後1時から2時間にわたり、日書連情報化推進委員会の志賀健一委員長、教育システムの長尾幸彦氏(愛知・ナガヲ正文堂)を講師に招き、「日書連マークと学校図書館の電算化についての基本知識」等について説明とディスカッションを行った。
(松﨑正信)

参考図書

◇『改訂著作権が明解になる10章』著作権の基本的知識から利用管理まで、具体的な事例をあげながら分かりやすく、著作権の本質が理解できるように執筆された出版実務者必携のハンドブック。
初版刊行は平成11年。
今回の改訂版では平成14年改正までの内容を盛り込んでいる。
巻末に著作権関連法令を添付。
吉田大輔著、出版ニュース社発行。
四六判、376頁、定価本体2500円。

生活実用書・注目的新刊

21世紀の日本に間違いなく訪れるのが高齢化社会。
平均余命が伸びることは喜んでいいが、それに伴った介護の問題も深刻になっている。
果たして身近にいる肉親、知人、友人や自分自身すらも、どのような老後を送り、どのような死を迎えるのか、これだけは誰にもわからない。
だからこそ、現在ある時間を一生懸命生きようと思うのだが、それにしても「葬儀」をテーマにしてしまうと、なんだかどんよりと、とても重苦しい。
もともと「こういう本はこれから必要だよォ」と親しい書店店長が言ったことから端を発しているので、このテーマをKさんのせいにしながら、肝心の本を紹介する。
藤窪啓一著『葬儀するべきこと・進め方』(西東社1000円)は進行手順やしきたりを簡潔にまとめたものである。
核家族化した現代社会では葬儀に接することが少なくなっているので、心をこめて送ってあげられるようにと作られている。
遺族はいつまでも悲しんでいられないので、本書は見返しページからすでにチェックリストが印刷されている。
第一章危篤・臨終~納棺では、まず危篤を知らせる範囲を決める。
さらに預金の引き出し。
これは本人の死亡が確認された後では、口座が凍結されるからだ。
そしてここにも手順チェックのリストが付いている。
葬儀の手配から納骨、法要までが詳しく解説されているので、持っていると便利な本である。
一方、此経啓助著『都会のお葬式』(NHK出版生活人新書660円)は「矛盾だらけのお葬式」をめぐって、さまざまなデータを駆使し、現代の葬儀のあり方を考察している。
戒名の値段ひとつ取っても、どのように価格が決められているのか不明であるとか、年金暮らしの身なのに僧侶から多額の請求をされたなど、実際に疑問や不満を語る人がたくさんいる。
寅さんの渥美清、政治学者の丸山真男の死などは、あえて告別式をせずに身近な人々だけで故人を送った。
こうした密葬やひっそりと行うジミ葬も増えた。
さらにお骨や墓の問題もある。
古来の習俗と混じり合う仏式葬儀を否定するのではないが、葬儀に対する考え方が実に多様な時代を迎えたことがよくわかる。
この2冊、書店の棚に並んで置いてないから不思議だ。
(遊友出版斎藤一郎)

東京組合の各種委員会編成決まる

東京都書店商業組合は6月4日に定例理事会を開き、各種委員会の委員長と担当副理事長を別掲の通り決めた。
新理事を前に、萬田貴久理事長は「東京組合は日書連の中核を担う存在。
東京が計画し行動することで日書連、書店業界、出版業界に寄与することができる。
ともに頑張ろう」とあいさつした。
各種委員会報告では、ポイントカード問題で講談社、小学館から寄せられた回答は、強制的措置をとらず、時間をかけて話し合いによる解決を図りたいとのニュアンスと報告があった。
これに対し、両社の対応を批判するとともに、早急な解決を強く求めるとする意見があった。
また、先頃開かれた「読者のための出版流通ラウンドテーブル」については、「問題が詰めの段階に入っている中でいかがなものか」「書店組合がこれまで行ってきた運動は何だったのかということになりかねない」と危惧する意見が出された。
萬田理事長は「ポイントカードは再販契約違反と再三言ってきた。
切羽詰まった事態が刻一刻と近づいている。
再販研究委員会で厳しい議論をしているところ」と述べ、出版社に再販契約書にもとづく厳正な措置をとるようあらためて求めた。
〈東京組合委員会編成〉◇総務・財務=萬田貴久◇組織=鳥井匡(丸岡義博副理事長担当)◇指導・調査=小泉忠男(丸岡義博副理事長担当)◇経営・取引=山口達郎(下向磐副理事長担当)◇流通改善=柴崎繁(舩坂良雄副理事長担当)◇雑誌発売日=梅木秀孝(丸岡義博副理事長担当)◇出店問題=山田洋一(下向磐副理事長担当)◇事業=湯本光尚(奥村弘志副理事長担当)◇増売・共同仕入=越石武史(奥村弘志副理事長担当)◇厚生=家田通久(舩坂良雄副理事長担当)◇共同受注=新倉信(奥村弘志副理事長担当)◇出版物販売倫理=高原淳(丸岡義博副理事長担当)◇読書推進=大橋信夫(舩坂良雄副理事長担当)◇再販研究=岡嶋成夫(下向磐副理事長担当)

消費税額表示で書店へのしわ寄せを懸念

福島県書店商業組合は5月28日午後1時半から磐梯熱海温泉「四季彩一力」で第19回通常総会を開き、高島季雄理事長(高島書房)を再選した。
組合員98名(委任状含む)が出席した総会は岡部貢治専務理事(松文堂書店)の司会、長沢明彦副理事長(博向堂書店)の開会宣言で始まり、高島理事長が「消費税の税額表示方法を変えることでしわ寄せが来るのは、読者に最前線で接触する書店。
このほか万引き問題など、不況の上すべてのしわ寄せが書店に来ている。
こうした書店の悪条件を一つひとつ検証し、これまでと違う形の組合運動を構築したい」とあいさつ。
佐藤栄一理事(佐藤書店)を議長に議事を進行し、事業報告、事業計画、決算報告、収支予算などすべての議案を原案通り承認した。
恒例の各支部提出議案の審議では、「外税方式の定価表示を継続せよ」(県北)、「スリップに総額(定価)表示する案には絶対反対」(会津)、「図書券の発行継続を求める」(県北、県中)、「日書連は取次との支払いルールを再度確認し、100%支払いの強要は認めるな」(会津)、「出版文化を破壊する新古書店を法的に規制する運動をさらに推進」(相双)、「書店自ら再販の原則を守ることを強く確認する」(県南)、「客注品の発送に最大限の配慮を」(いわき)などの意見や要望が出された。
このあと書店東北ブロック会の藤原直会長が来賓あいさつ。
「組合員減少が日書連とすべての県組合にとって大きな悩みになっている。
組合運動において力として数は必要。
減少傾向に歯止めをかけるため、組合加入メリットを考えたい。
TRCに対抗する日書連マークは大きな武器になる。
新古書店問題については各県条例改正に努力をお願いしたい」と述べた。
また、日書連消費税問題特別委員会の下向磐委員長は、消費税の総額表示問題で「われわれは価格表示で書店に負担がないよう、また消費税率アップは出版物については適用除外にしてほしいと主張している。
将来税率が上がる仕組みに安易に賛成できないというのが福島組合の意見と思う。
みなさんの意見は戻って十分検討する」と述べた。
このあと役員改選を行い、理事20名、監事2名を選出。
第1回理事会で高島理事長を再選した。
総会終了後、第22回出版物小売業公正取引協議会福島県支部総会、書店永年勤続者表彰式、出版社新企画発表会、合同懇親会を行った。
〈福島組合役員〉▽理事長=高島季雄(高島書房)▽副理事長=長沢明彦(博向堂書店)佐藤良平(中央書店)小野久太郎(鹿島ブックセンター)▽専務理事=岡部貢治(松文堂書店)〈永年勤続者〉▽10年=景山みや子(高島書房)▽5年=舟山浩明、笹山公幸、今村正仁(博向堂書店)

北から南から

◇長野県書店商業組合第19期通常総会6月24日午後4時から松本浅間温泉「ホテルおもと」で開催する。
(高嶋雄一広報委員)

蓮田センター見学研修会を開催

城東日販会(本間守会長)及び日山会(小泉忠男会長)の会員15名は5月24日、出版共同流通蓮田センター見学研修会を行い、日販の雑誌無伝返品作業の現場を見学した。
蓮田センターは1日22時間稼動で、段ボールおよそ6万5千函、200万冊が処理され、返品搬入雑誌はごく一部を除いて故紙化対象となり同施設内で処理される。
案内に当たった石川氏は、「取次のお願い事項に沿っていただければ、函の専用ラベルによる一元管理の下、順調に作業が進むと数分以内で処理が完了できる」と協力を呼びかけた。
参加会員は意外に狭い現場を見て、それだけ作業スピードが速いことを実感したが、今後はモニター的視点で日販に入帳状況を伝えることで、完全な精度の処理を願っていくとした。
(小泉忠男広報委員)

情報化推進チームがスタート

青森県書店情報化推進チームの第1回会議が5月10日午後1時半から板坂町ふるさとセンターで行われ、7名が参加した。
チームの発足は「青森県図書情報センター」設立の準備を目的としたもので、学校図書館納入の研究、各書店の在庫・仕入れ等の情報をデータベース化し、適正な仕入れと販売が行えるシステムを構築する--の2点を柱とする。
会議では、学校図書館への販売状況・学校図書館の運営システム納入状況などが各研究員から報告され、使用されているMARCの特性を確認。
次に教育システムの司書ツールを取り上げ、台帳に登録し背ラベルを作成するところまで実演してみた。
どの程度の仕様のパソコンでスムーズに運用できるかなどの質問があり、最後に鶴谷理事長から情報センターのコンセプトについて説明がなされた。
(黒滝恭一広報委員)

再販・万引き問題等を審議

青森県書店商業組合の第16回通常総会が5月15日、青森市のアラスカ会館で開催された。
総会では、鶴谷祿郎理事長から再販問題、万引き問題への対策、日書連マークを利用しての学校図書館への販売戦略、図書情報センターの構想など今年度の活動方針が説明され、諸議案が審議された。
その他、万引きの発生状況、サン・ジョルディ記念講演、来年度東北ブロック大会の計画、情報化推進チームの発足等について、担当者から報告があった。
総会終了後、引き続き出版社・取次・流通関係者を招いて懇親会が行われた。
(黒滝恭一広報委員)

全組合員の共済会加入を促進

石川県書店商業組合は5月23日午後2時より、金沢市近郊の野々市文化会館で第15回通常総会を開催した。
森井清城理事長よりあいさつがあったのち、提出議案はいずれも原案通り可決承認された。
主な審議としては、例年実施している養護学校への図書寄贈を本年度も続行することを決定。
また、日書連共済会への加入については組合員全員1口加入を目標にしたいという提案に出席者全員が賛成の意を示した。
また組合賦課金完全集金も話題にのぼり、売上低下傾向の厳しい今日の状況を反映したような総会であった。
(横野浩広報委員)

新会長に澁谷眞氏

東京都書店商業組合青年部は6月5日午後3時半から文京区の東京ガーデンパレスで第13回通常総会を開き、新会長に澁谷眞氏(四季書房)を選出した。
総会は吉田圭一氏(吉田書籍部)の司会で進行。
鈴木康弘会長(優文堂書店)は「書店の利益を上げられる指針を立てて行動に移したいと思ったが、店頭活性化の思い切った施策を打てないままで申し訳なく思っている。
今年は目玉として世田谷区の区分地図を作成、店頭で客と対話のできる商材になった。
現場の声が生きた企画を出版社に提案できれば自信をもって売れる商品ができるのではないか。
ハリー・ポッター第5巻の洋書販売では目標を上回る予約をいただいた。
これからもご協力をお願いする」とあいさつした。
正副議長に梅木秀孝(梅木書店)、黒田忠弘(黒田書店)の両氏を選任して審議に入り、平成14年度活動・会計報告、平成15年度活動計画、収支予算を可決承認した。
活動報告では①児童書掘り出し選書の立ち上げを図る、②世田谷区区分地図は約5千部を販売、23区の制作を推進する――などが報告された。
TS流通協同組合からは、今年4月から実施の販売促進キャンペーンで約10店が新規加入したと報告があった。
役員改選では理事、監査を承認したのち初理事会で会長に澁谷眞氏、副会長に山辺真次(やまべ書店)、小宮仁(こみや書店)の各氏を選出した。
澁谷会長は「青年部でなければできないことを一つひとつやっていきたい。
青年部を活性化し、入っていてよかったと思える活動を行っていく」と所信を述べた。
相談役の東京組合・萬田貴久理事長は「出版人大会の講演で、資生堂の福原名誉会長より書店に対して厳しい指摘があった。
本日の朝日新聞『声』欄には、地方の書店に本がなかなか届かない実情が述べられていた。
依然として解消されない問題に一緒になって取り組まねばならない。
青年部の皆さんの指摘を受け、意見を反映しながら一つひとつ問題解決にあたりたい」と祝辞を述べた。

4月は2.9%減

日販経営相談センター調べの4月期書店売上げは、対前年同月比で2・9%減少したものの、マイナス幅は前月より0・3ポイント縮小した。
書店規模別では前月に続いて小書店の落ち込みが目立っており、40坪以下店が14・1%の大幅減。
これに対し41~80坪店、81~120坪店、121坪以上店は1~2%ほどの減少に止まった。
立地別では商店街が13・4%減で前月より厳しさを増している。
ジャンル別ではコミックが6・3%増で4カ月連続のプラスと好調を持続。
人気シリーズの売れ行きが落ち着きを見せてきた児童書は、3・0%減で久々に前年割れとなった。
学参書は、小・中学校の新課程効果があった前年より7・1%の減少。
専門書は2桁の大幅減。
客単価は5・2%増の1084・8円だった。

トーハンと城南支店撤退後の対応を協議

東京組合目黒・世田谷支部の青年部組織、青風会は5月22日に山辺真次会長以下7名でトーハン東京支店を訪ね、城南支店撤退後の対応について話し合いを行った。
トーハンからは石井孝文執行役員ほか7名が出席。
青風会は新刊追加や急ぎの注文品の対応等についての具体策を質問した。
これに対しトーハンは、東京支店の城南グループ及び本社の営業サポートセンター内に、注文、定期改正、事故品処理、書店店頭活性化等の窓口を設置して、きめ細かい対応を図ると回答した。
次いで行われた懇親会でも忌憚のない意見交換が行われ、青風会はさらなるサービスの向上を期待するとともに今後も協力関係を深め、売上向上を図る信頼関係を確認した。

米国で人気、0~3歳児の知育絵本

フレーベル館は、アメリカで発売後2年で200万部を突破した人気絵本シリーズ「ベイビー・アインシュタイン」の出版ライセンスを獲得。
8月22日に11タイトルの販売を開始する。
発売するのは絵本が9点で予価450円から750円。
カードが2点で各1300円。
同シリーズは0~3歳を対象に、乳幼児が音楽・アート・言葉・科学、自然や乗り物などのテーマと楽しく触れ合うことで脳と感性の発達をサポートする絵本。
フレーベル館では初年度に20作品の出版を予定しており、将来的にはオリジナル書籍の刊行も手掛けたいという。
発行元のベイビー・アインシュタイン社はウォルト・ディズニー・カンパニーの子会社で、乳幼児向け知育商品の世界的ブランド。
絵本とともにDVD、ビデオ、玩具、CDなどの様々な商品を展開している。

『おとなの時間』月刊化

講談社は5月27日午後、本社で下期雑誌企画発表会を行った。
保月常務は「ABC部数で『週刊現代』が64万部でトップに立ち、パートワークの『日本の街道』『鉄道の旅』がシルバー層のニーズをとらえるなど、明るい兆しが見える。
ジャンルごとに中期計画を策定し、雑誌は集中的プロモーション活動と、顧客の声を編集にフィードバックしていく」とあいさつ。
大塚取締役あいさつに続き、4企画の説明が行われた。
◇VOCE増刊『VOCEPLATINUM』10月1日発売予定。
A4変型無線綴じ、予価税込み700円。
8万部発行予定。
◇ViVi増刊『ViViGlamorous』10月10日に第1号刊行。
A4変型無線綴じ、予価税込み650円。
15万部発行予定。
◇『HUgE』「ホットドッグ・プレス」増刊を8月から年8回刊に定期化(1、5、7、11月を除く24日発売)。
A4判オフセット平綴じ、予価税込み650円。
8万部発行予定。
◇『おとなの時間』「週刊現代」増刊の季刊誌を9月から月刊化。
A4変形判オールカラー・中綴じ、15日発売、予価税込み490円。
15万部発行予定。

人事

◇小学館(5月29日)◎昇任、○新任代表取締役社長相賀昌宏専務取締役(編集統括・週刊誌局・広告局)白井勝也常務取締役(児童・学習局、コミック局、コミュニケーション局、マルチメディア局)中村滋同(マーケティング局)蜂谷紀生同(総務局)五十嵐光俊同(製作局、経理局)◎川島隆雄取締役(経理局)猪俣光一郎同(広告局)後藤庄三同(情報誌局、女性誌局)山岸博同(出版局)田部井満男同(非常勤)上野明雄同(非常勤)田辺茂男常勤監査役○堀内茂樹監査役○梅沢慎司同谷山尚義*増井昌弘常務は退任、植松国雄取締役は一ツ橋スタジオ代表取締役、千葉和治取締役は小学館プロダクション代表取締役、大竹靖夫取締役は昭和図書代表取締役専任。
◇小学館PS(5月29日付、○新任)代表取締役社長国近紘一代表取締役相賀昌宏常務取締役CSC本部本部長小泉明允取締役蜂谷紀生同特販支社長・営業企画部長・営業本部本部長加藤醇司同(非常勤)○山田忠男監査役本田隆正総務本部本部長・役員待遇○今津貞彦*今野勝介専務取締役は顧問に就任。
◇主婦と生活社(6月11日付)①販売営業部内の雑誌第1課と雑誌第2課を統合し、雑誌課とする。
②販売営業部内の書籍課とムック課を統合し書籍ムック課とする。
販売営業部次長(書籍課課長・次長待遇)今井陽敬雑誌課課長(雑誌第1課課長)澤村正憲書籍ムック課課長(ムック課課長)河野通彦

増収増益の好決算

第37回大阪屋友の会連合大会が4日、島根県・玉造温泉「ホテル玉泉」で開かれ、出版社133名、会員書店163名など、過去最多の341名が出席した。
総会では田村定良連合会長が「消費不況、少子化、メディアの多様化と売れない原因はたくさんあり、施策の効果が上がらない。
出版物の存在感が薄くなってきたのではないか。
本は面白くて、タメになるということをアピールしていくべきだ。
大阪屋は三好社長に交替したが、今後も鈴木会長には長い経験と知識で書店を指導願いたい」とあいさつ。
総務、経営、増売委員会からの事業報告と会計報告を原案通り承認した。
役員改選では大阪、兵庫など各地区推薦の役員を全員了承した。
この4月に三好社長にバトンタッチ、会長に就任した鈴木氏は「平成2年に就任した当時の売上げは930億円だった。
平成5年に1千億企業に仲間入りし、7年に関東大震災。
それからずっと1千億円をキープしてきたのは取引先と社員のおかげ」と、退任の弁。
三好勇治新社長は大阪屋の現況報告として、今期の決算概況を紹介。
「売上目標には及ばなかったが、前期比102%台、損益面でも前期を若干上回る増収増益になった。
第6次中期経営計画2年目に当たる今期は、最終年度の売上1200億円に向けた橋渡しの年と位置付け最善を尽くす」と強い意気込みを示した。
この中で三好社長は①新POSの開発と導入店500店の達成、②KBC、TBCと東西2つの倉庫約2千坪に1500社、31万点、3百万冊の在庫を保有、③市場流通商品の80%以上を受注から7営業日で供給する。
これら一連の流通改革を「1デイ、3デイ、7デイ作戦」として、9月から第一次をスタートする――と述べた。
出版社を代表して、講談社保月滋常務は「出版業界の景気は雨のち雨。
1~6月で前年比95%前後の低空飛行」と現況を分析したあと、個人情報保護法、ポイントカード、貸与権の出版業界の3つの課題をあげ、「ポイントカードはあくまで再販違反。
取次を通じ、また直接にも改善、中止をお願いしている。
話し合いの中で改善したい。
再販契約5条にペナルティ条項がある。
議論だけで遅々として進まなければ、スピード感をもって対応しなければいけない時期が来ているかもしれない」と述べた。
日書連を代表して今西副会長もポイントカード問題に触れ、「大手出版社が非常にエネルギーを注いでくれているが、日書連としても大きな関心を寄せている」と、出版社の対応を注視する方針を説明した。

読売新聞社出版局が調査研究本部に変更

読売新聞東京本社出版局は、6月1日付で調査研究本部と組織統合し、統合後は「調査研究本部」となることに伴い、出版局業務管理部は「調査研究本部管理部(出版販売・経理・制作)」に名称変更する。
4年前、中央公論新社の発足以来、書籍は中央公論新社から、読売新聞社出版局は報道性の強い週刊誌などの発行に特化する路線をとってきたが、今回の組織統合はこの路線をいっそう明確にするもの。

本屋のうちそと

どの町も高齢者が増えてきた。
お年寄りの一人暮らしや、二人とも高齢者のケース。
子どもたちはそれぞれの生活に追われ、親への気配りがない。
年寄りは夕飯のおかずを買いに行くのも大変なのだけど、生活を援助する気配りができない。
車があるのだから買い物は一緒に買ってきてあげればよいのに。
あるお宅は80歳のおばあさんが一人暮らし。
年寄り一人では大変だから住宅を建て直して同居しようかと言う話が出た。
ところが、本人は同居したくない。
二階建てにしておばあさんの部屋は南西の角8畳間。
それなら現在のまま、一軒自由に使えた方が良い。
たまに息子、娘が来ると、家が汚いだの、人を呼べないだの言いたい放題。
「それが嫌でね」と、おばあさん。
息子たちとは生活時間も食べるものも違い、同居するのが苦痛だ。
たまに泊まりに来ると、体調不良になる。
一番よくないのは生活リズムが変わることです。
「死んだら、後はどうなるのだろう」と心配しているが、後は野となれ山となれ。
また血圧が上がるから心配しないようにと話す。
この町のお年寄りの比率は人口の17%。
店のお客様も、みんな高齢になってしまった。
まだ、もう少しは商売を続けていられるだろうが、自分自身も老後の心配をしなくてはならない年。
10年先を見越した人生設計をとは思うが、今からでは、もう遅いか。
(とんぼ)