全国書店新聞
             

平成14年11月11日号

◇3氏に黄綬褒章

11月3日付の秋の叙勲で全国教科書供給協会の関係で以下の3氏が黄綬褒章を受章した。
金森正雄(愛知県・東文堂書店)、西廼隆男(奈良県・西廼書店)、波多野リツ子(東京・波多野書店)

東京組合は70万円販売

第12回神保町ブックフェスティバルが11月2日から4日までの3日間、神田神保町「すずらん通り」「さくら通り」で行われた。
昨年までは2日間だったが、今年は1日延長。
3日とも秋の好天にめぐまれ、新刊や掘り出し物を求める読者、家族連れで賑わった。
フェスティバルは東京組合千代田支部の主催、千代田区、毎日新聞社、東京都書店商業組合が後援。
車をシャットアウトした通りに出版社など116社がワゴンを並べ、「本の得々市」として自由価格本・汚損本を販売したほか、東京組合大田支部、中野・杉並支部など7支部と青年部はワゴン30台でバーゲン本170万円を販売した。
白山通りに面した小学館前の広場はドラえもんシールラリーや人形劇、紙芝居が行われ、講談社のおはなし隊キャラバンも。
隣接する集英社前では、児童図書出版協会加盟出版社が児童書を並べ、バーゲンセールを行った。
イベントでは三省堂神田本店特設会場、有斐閣前で菊地秀行、阿部龍太郎、重松清、土屋淑子、合田道人各氏がサイン会、古本チャリティオークション、救世軍ブラスバンド、ジャズバンド演奏などが賑やかに行われた。

Pカードは再販違反

筑摩書房は11月1日付で「再販制度弾力運用とポイントカード」を発表し、書店に対しポイントカードによる販売方法は再販違反だと注意を呼びかけた。
同文書で筑摩書房は、ポイントカードによる販売方法は「再販契約に照らし合わせると違反と認定せざるを得ません」とし、「特に競合店排除・新規参入店阻止につながる場合については、読者から近隣書店あるいは専門書店などを奪う結果となる弊害も予測され、出版物の販売方法としては問題がある」と指摘。
再販契約を十分理解した上で販売活動にあたってほしいとしている。

地域の読書活動に貢献

読書推進運動協議会は11月6日午前11時から新宿の日本出版クラブ会館で第32回野間読書推進賞の贈呈式を行い、「よこはま文庫の会」「沖縄県子どもの本研究会」の2団体、福島県・吉田まさ子、石川県・勝尾外美子の2氏に本賞を、「広島市よい本をすすめる母の会」に奨励賞を贈った。
贈呈式では、はじめに読進協野間佐和子会長が「野間読書推進賞は本年で32回目。
これまでに141の団体・個人を表彰してきました。
受賞者の方々はそれぞれの地域で長い間、読書活動を通じて教育と文化の発展に力を尽くされてきました。
こども読書推進法、ブックスタート、朝の読書運動と地道な取り組みで、こどもの読書環境は整備されてきましたが、今後とも読書推進という価値ある事業に一層のご助力をお願いします」とあいさつ。
選考委員を代表して全国学校図書館協議会笠原良郎顧問が経過報告を行ったあと、野間会長から受賞者一人ひとりに賞状と賞杯、副賞が手渡された。
祝辞を述べた文部科学省生涯学習政策局高杉良知社会教育官は「昨年12月に成立した子ども読書推進法に基づき、本年8月に基本計画を策定した。
すべての子どもたちがあらゆる場所で自主的に読書活動が行えるよう環境整備していくのが基本理念。
本日の受賞者は長年にわたって、これを実践し支えてきた。
今後も、各団体と連携して図書館の充実、司書教諭の養成、家庭との連携を図っていきたい」と、読書活動に対する国の施策を明らかにした。
これに続いて各受賞者があいさつ。
沖縄県子どもの本研究会の宮田智子代表は「沖縄県が本土復帰した翌年、昭和48年に会を設立した。
以後、会員研修を兼ねて本土から児童文学作家、研究者を招いて講座を30年重ねて来た。
一人でも多くの子どもに読書の楽しみを伝えていきたい」と述べたほか、個人の部の受賞者、勝尾外美子さんは最近始めたという老人ホームでの絵本の読み聞かせについて、「老人たちから知らなかったことを教えてもらうなど、子どもとは違う手応えがある。
子どもたちの話もきちんと受け止め、話し合える自分でありたい」などと、ボランティアとしての喜びを語った。

「レディース・ランチ」に90名参加

京都府書店商業組合は10月13日午後12時半より、JR京都駅近くの新都ホテルで、書店業に携わる女性の食事会「お楽しみ!昼下がりのレディース・ランチ」を開催した。
この催しは、大阪組合で以前企画され大好評であったとのことで、京都組合でもぜひにと厚生委員会(宇野耕治委員長)で事前にアンケートを実施、一番要望の多かった食事会に決定したもの。
主婦の外出しやすい日と時間帯を考慮し、日曜の昼間となった。
当初50名程の参加を見込んでいたが、予想を越えて倍近くの90名が参加した。
食事会では中村晃造理事長があいさつ、野村忠弘活性化委員長が乾杯の音頭をとった。
当日は好天にも恵まれ、緑豊かな庭園の見えるレストランで終始和やかで華やかな雰囲気であった。
会の終了後にはアンケートを回収。
宇野委員長は「書店業は女性のきめ細かな仕事や補助なしでは成り立たないもの。
日頃の感謝の気持ちを形にしたかった」と語っており、委員会ではアンケートを参考に次回の企画を検討していく。
(梅澤マサミ広報委員)

青少年条例改定について大阪府と懇談

大阪府書店商業組合は10月23日午後2時から、組合会議室で大阪府生活文化部青少年課の担当者2名と懇談した。
青少年健全育成条例の改定にあたり書店業界の意見を聞きかせてほしいという府の意向によるもので、組合からは金田副理事長、虎谷出版販売倫理委員長、戸和経営活性化委員長、石尾総務委員長、中島出店問題委員長が出席した。
この席で大阪府は、「包括指定の基準を他県に合わせたい。
現行では、いかがわしい描写のページ数が総ページ数の3分の1以上となっているものを、5分の1または20ページ以上としたい」と表明した。
これに対して組合側は、書店ではとてもチェックしきれず不可能と反論。
さらに区分陳列について東京都や神奈川県の条例を参考にする考えのようであったので、「両都県の規制は書店の実情を把握していない。
衝立で区分したり棚を1本別に用意できるのは大型店だが、そういった出版物は多くの場合小書店が取り扱うことになるだろう。
実際に対応できるのは紐をかけたりビニールでカバーすること。
そのコスト負担が過大なことが理解されていない。
結局弱いところに規制のしわ寄せがいくのではないか」と反論した。
そして、区分陳列の仕方の具体例条項に「レジ近辺の店員が監視することができる場所に展示すること」を入れて欲しいと戸和委員長から要望があった。
また、「健全育成ということであれば、最近の万引き蔓延の風潮をなんとかして欲しい」と万引き被害の実情を説明した。
大阪府は、最終案がまとまれば金田副理事長に提示する、インターネットなどを通じて広く世間一般の意見を求め参考にする、12月頃には最終案をまとめる予定である−−と説明した。
(中島俊彦広報委員)

生活実用書・注目的新刊

寄席では落語、講談、義太夫以外のものを色物という。
講談や義太夫に対して落語も色物と呼ぶ時代があったが、現在は含めない。
今は奇術、曲芸、太神楽、百面相、紙切り、声帯模写、漫才、漫談、歌謡漫談などが色物である。
なかでも「奇術」という言い方は、最早死語に近い言い回しだが、ひとたび寄席に入ってみれば、違和感はない。
寄席で違和感はないのだが、書店では「手品」である。
マギー司郎著『マギーの超特撰小ネタ手品32これでみーんな幸せになれちゃいますからねー』(海竜社1200円)は、お馴染みのマギー司郎氏が教えてくれる不思議簡単痛快面白手品集である。
「一人でも」、「家族で」、「二人以上で」、「大勢で」それぞれ「楽しめる手品」の四章に分かれている。
スタートは「なんだか気分がサッパリしないとき気分をサッパリさわやかにする手品」。
右の耳から左の耳へティッシュペーパーが通りぬけるという手品なのだが、何よりあの独特の語り口調に魅了されてしまう。
「ねえ?ちょっとすごいでしょ?まるで手品みたいでしょ?」なんて書いてあると、知らないうちに思わず笑ったり、妙に納得してしまうのである。
途中「ちょっと休憩ー!」のコラムでは、師匠のマギー信沢や弟子達の話ばかりでなく、著者の手品への思いと姿勢が飄々と語られる。
エッセイとしても面白い。
しかも表情豊かな写真もいっぱいだ。
マギー司郎監修『ウケまくるマジック&手品』(池田書店860円)は大抵の書店の「実用書」の棚に並ぶ本。
こちらはベスト50の手品が、トランプ、ロープ、コップ、ハンカチ、コインなどの使用材料別に7章が二色刷り、イラストで紹介される。
たとえば「そのほか編」の「割りばしバランス」は、割ったハシの一方の端を細く割いて、その割いた所を指の間にはさんで、宙に浮いたように見せてしまう手品。
すぐできる、かんたん、少し練習の三段階分類では「かんたん」に属している。
監修者のキャラクターは出てこない。
そう編集された本なのである。
いずれも作り方は違うが手品を楽しめる本。
年末年始は特にそうだが、宴会やパーティにもってこいである。
(遊友出版斎藤一郎)

“著名人の1冊”でPR

サン・ジョルディの日実行委員会が10月30日午後3時半から書店会館で行われ、キャンペーン企画などについて協議した。
委員会では萬田貴久実行委員長が「東京国際ブックフェアの中で実施している読者謝恩セールや仕入れコーナーの評価を出版社からうかがい、フェアにどう関わっていくか方向性を決めたい」とあいさつ。
企画については、キャンペーンキーワードを、読書を強く印象づける「本が好き」と設定応募型キャンペーン「心が揺れた1冊の本」「本のある風景」を継続実施する−−などが提案された。
また今回は“著名人の「心が揺れた1冊の本」”を実施し、キャンペーンの話題性を高めることにした。
広報活動としては、イメージキャラクター・森川美穂や各種媒体によるPR、ポスター等の制作配布、日書連ホームページに専用のホームページを開設−−などを実施していく。
日本縦断記念文化講演会は来年も全国10ブロックで開催を予定し、今後出版社に協賛を要請する。
東京国際ブックフェアで実施している「読者謝恩セールコーナー」については、フェアの目玉のひとつとして今後も展開を図ることにした。

32名を新たに合祀

この1年間に逝去した出版業界の功労者を祀る第34回「出版平和堂合祀祭・合同慰霊祭」が、10月28日に箱根の出版平和堂で行われた。
合祀祭は例年10月1日に行われているが、台風の影響でこの日に順延となっていた。
新合祀者は32名で書店関係は、村上榮一(マルイゲタ)、宮武清(宮武書店)、酒井正敏(書泉)、平松正典(京都府教科図書販売)、藤原佐一郎(金港堂)、藤井善信(福岡県教科図書)、今井彰(島根県教科図書販売)の7氏。
式では出版平和財団野間佐和子会長があいさつ。
黙祷、新合祀者奉告ののち、日書連萬田貴久会長が祭祀奉読を行った。
第2部では記念撮影のあと懇親会が開かれ、故人をしのび思い出話に花を咲かせた。

「まんがの日」大賞

漫画が描き続けている「情熱、勇気、夢、感動」のテーマを現実世界で実現している人や活動に贈られる「まんがの日大賞」の授賞式が10月31日、東京・恵比須のウェスティンホテル東京で開かれた。
今年から11月3日を「まんがの日」と定めたことを記念して制定されたもので、同制定委員会(やなせたかし委員長)が選考。
二足歩行ロボット「ASIMO」開発チーム、サッカーの中山雅史選手(ジュビロ磐田)、阪神甲子園球場、モーニング娘。
など人気アイドルグループで構成する「ハロー!プロジェクト」の4つが選ばれた。
授賞式の席上、やなせ委員長は「漫画は文化ということを、国内外に広く知らしめたい」とあいさつ。
竹宮恵子、ちばてつや、水島新司、里中満智子の著名漫画家4氏をプレゼンターに授賞式が行われた。
最後に司会のタレント伊集院光さんが、コミックスを買うとオリジナルジグソーパズル、図書カードをプレゼントする「まんがの日制定記念愛読者感謝書店キャンペーン」について説明し、「全国の本屋さんでコミックスを買ってください」と呼びかけた。

あなたの街の本屋さんへ行こう!

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は今年も恒例「あなたの街の本屋さんへ行こう!」キャンペーンを実施している。
京都組合単独の取り組みとなって今年で3回目。
主婦の友社共催、取次京栄会、日本書籍出版京会京都支部後援。
組合加盟書店にはチラシ400枚、ポスター2枚、応募券回収袋のセットを取次より配送。
今回はスタンプラリー形式を止め、チラシについている申込書の書店印を1箇所にし、読者が応募しやすくした。
チラシは主婦の友新年号の宣伝も兼ねており、新年号や定期購読の申込欄もある。
賞品は特賞=5万円旅行クーポン券、準特賞=有名レストラン食事券、BOOKS賞=図書券3千円分50本、同千円分200本。
このほか出版社賞を多数用意した。
キャンペーンは12月31日まで。
書店は来年1月15日までに応募券を取次または組合へ送付、1月下旬に抽選会を行い、2月上旬に賞品の発送を予定。
応募数は第1回3033名、第2回3562名と増加。
実行委員会はキャンペーンが回を重ねるごとに読者に浸透し、さらに応募が増えることを期待している。
(梅澤マサミ広報委員)

志賀委員長ら講師に情報化勉強会

青森県書店商業組合と同青年部は10月18日午後1時半から青森市「ラ・プラス青い森」で第3回書店情報化勉強会を開き、組合員など30名が出席した。
今回は日書連書店情報化推進委員会の志賀健一委員長、名古屋市・ナガヲ正文堂代表取締役専務の長尾幸彦氏を講師に、書店情報化推進に対する日書連の取り組み図書館納品とMARC日書連MARCと「図書館ITサポートシリーズ」(機能・図書業務・料金・学校へのセールストークなど)−−を学んだ。
志賀委員長は「組合員主体で運用できる書誌MARCシステムを開発するにあたり、データをどのように構築するかで紆余曲折があったが、大阪屋の協力が得られることになり初めて書店が学校に図書を納入できるデータベースができた。
児童出協や沖縄の地方出版物データベースも利用可能になる見込みがあり、楽楽本屋さんとの連携も考慮に入れるなど、システムの充実を図っている」と日書連の取り組みを報告した。
(黒滝恭一広報委員)

組合加入推進運動呼びかけ

静岡県書店商業組合は10月24日午後4時から静岡市のク・ポール会館で第15回定時総代会を開催。
任期満了に伴う役員改選で斉藤行雄理事長(谷島屋)を再選した。
総代53名(委任状含む)が出席した総代会は、中野弘道常務理事(焼津谷島屋)の司会で進行。
冒頭、あいさつした斉藤理事長は「出版業界は7年連続マイナス成長と依然アゲンストの状況で、日書連も防御の政策が多い。
そんな中、若い読者を育てる運動として『朝の読書』は全国で1万校に達し、本の面白さを口で相手に伝える『ブックトーク』は全国に先駆け当県は進んでいる」と述べた。
また、今後取り組むべき課題は組合加入促進として、「今、当県一番の問題は組合員の減少。
本年も30店の脱退があり、かつて450店あった組合員数は320店まで減少した。
組合員の減少は財務の悪化となっている。
この秋、組合加入推進運動を強く呼びかける。
各支部ごとに加入目標数をもって組合員増員を推進する」との考えを示した。
議案審議では古沢隆副理事長(マルサン書店)を議長に7つの議案を審議。
佐塚照夫常務理事(佐塚文化堂)、沼田渉副理事長(サガミヤ)から事業報告、決算、予算案が報告され、いずれも原案通り可決承認された。
また、第7号議案の任期満了に伴う役員改選の件では役員32名、執行委員5名すべて留任することが承認された。
総代会終了後、懇親会の席で恒例の7年勤続従業員の表彰式を行い、今年度は18名に記念品と賞状が斉藤理事長から手渡された。
(稲勝元広報委員)

秋のキャンペーン始まる

「第4土曜日は、こどもの本の日」秋のキャンペーンが福島、群馬、鹿児島の3県でスタート。
9月28日に福島13書店、群馬8書店、鹿児島5書店で読み聞かせイベントが行われた。
3書店の実践報告を要約して紹介する。
◇菊池書店(福島県相馬郡)店が狭く通路でも無理なので、住居部分の居間でやるという離れ業。
近所の子供達が来てくれたのがうれしかった。
駄菓子屋のような本屋なので、こうしたいつもの顔触れがたまたま読み聞かせを楽しんでくれるのが新鮮でした。
◇シロキヤ書店(群馬県桐生市)読み聞かせイベントは初めてで不安な面もありましたが、読み手の方の協力もあり無事に終わることができました。
最後まで静かに聞いてもらい、満足した様子を見ることができて安心しました。
◇金海堂伊敷店(鹿児島県鹿児島市)参加者が少なく、もっと積極的に声かけ、チラシ配りをすべきだったと反省しました。
しかし小人数ながらも目を輝かせて本を見る子供達の姿はとても印象的でした。
これを機に親子ともに絵本に触れてほしいと思いました。

産学連携の好著が受賞

技術と経営の進歩や発展に役立つ優れた書籍を表彰する第2回「日経BP・BizTech図書賞」の表彰式が11月1日、千代田区の赤坂プリンスホテルで開かれた。
受賞図書は『TLOとライセンス・アソシエイト研究者と産業界の橋渡し役』(渡部俊也、隅蔵康一著、ビーケイシー刊)、『プロジェクト摩擦tribologist「米ぬか」でつくった驚異の新素材』(堀切川一男著、講談社刊)、『「利益」が見えれば会社が見えるムラタ流「情報化マトリックス経営」のすべて』(泉谷裕編著、日本経済新聞社刊)の3点。
表彰式では日経BP社の河村社長あいさつに続き、野中郁次郎審査委員長(一橋大学大学院教授)が講評。
『TLO』『プロジェクト摩擦』の2作品を「現役の研究者の手によるものだが、産学連携のコンセプトを平易かつ具体的に記述している」、『「利益」が』を「村田製作所のシステムの現状と、その背景にある経営理念を明らかにしている」と述べ、各受賞者がスピーチした。
懇親会では日経BP社・吉村会長あいさつに続き、日書連・萬田会長が「産学連携をキーワードにすると、受賞図書はノーベル化学賞田中耕一氏の業績と共通項を感じる。
店頭前面にノーベル賞関係書とともに並べ、書店の立場から学術伝播に貢献したい」と話し、乾杯の音頭をとった。

学校図書館システムイー・スリップ開発

新学習指導要領で学校図書館の学習情報センターとしての役割が期待されているが、トーハンはインターネットを利用した会員制学校図書館ネットワークシステム「e−slip」を開発、11月1日より販売開始する。
「e−slip」の特徴は■新刊・既刊百万点の書誌データベースから読者対象別や検索項目を複合した多角的検索がリアルタイムで可能、■選定リストに基づく選定会議の結果を直接書店に発注できる、■書店からの納品時に、書誌データが自動的に共有蔵書データベースに登録され、現場業務が簡便化できるなど。
トーハンがサーバーを運用管理するASP方式のため、学校・自治体はシステム開発、運用、メンテナンスが不要で、コストが大幅に削減される。
システム利用料は学校1校につき年額5万円(初期費用2万円)、書店は年額6万円(同5万円)。
今後2年で100エリア、1600校、550店の導入を目指す。

本屋のうちそと

学校の玄関に「業者のご用は3時以降にお願いします」という張り紙が張られた。
市役所からは「勤務時間内の業者の方の立ち入りはご遠慮下さい」という主旨の文書が回ってきた。
言われてみれば当然のことなのだが、学校には放課後、役所は昼休みにしか入れなくなり、1日のサイクルが変わった。
企画物の予約活動も大幅にパワーダウンである。
新学期の教材採用時期には教材業者が我が物顔で朝から職員室に陣取り、辞典の採用など入り込む余地がなかった。
競争しやすくなった面もある。
学校に出入りの業者と言えば、ほかに文具屋、事務機屋、旅行代理店など。
役所にはさらに土建業、飲食業、銀行、保険業などが加わる。
業者を辞書で引くと、「商工業を営んでいる人。
仕事の依頼や発注をする相手」とある。
当事者なのに「談合」等のイメージがつきまとい、あまり好感のもてない名称だが、本屋とて立派な業者、世の中の役に立っているという自負はある。
しかし、最近耳にする「ワン切り業者」も業者なのだろうか。
「ワン切り」とは携帯電話の通話料を節約するためのテクニック。
それを悪用して法外な料金を請求するという立派な詐欺だ。
ありもしない資格試験で向上心につけこむ「士商法」はあまり立派でないが、これも詐欺。
「全国書店配本」をエサに、地方の「文化人」に出版を持ちかける「自費出版商法」は詐欺まがい。
いずれも業者や商法、出版業などの単語で括ってほしくない、とんでもない食わせ者だ。
(どんこ水)

ブッキングから三原順未収録作品集

ブッキングは、少女漫画家・三原順の未収録作品集『LOSTANDFOUND』を12月10日に発売する。
主婦と生活社発行、A5判上製化粧函入・656頁、本体1万1429円。
ブッキングが運営する復刊ドットコムでは、復刊第1号として三原順の『かくれちゃったのだぁれだ』を発売、その後三原作品は6点が復刊され好調な売行きを示している。
主婦と生活社は三原作品2点を復刊し、かねてから「三原順未収録作品集」を企画していたが、ブッキングと協力して復刊ドットコム専売で発行することになった。
限定1千部で9月中旬から受注を始めたが、高額商品にもかかわらず1カ月足らずで完売、急遽増刷を決定する人気となっている。

『絵で見る冠婚葬祭』を増売

東京三省研の第8回定例総会が11月1日午後4時半から後楽園の東京ドームホテルで行われた。
総会では武田初男理事長が「書店業界は『ハリー・ポッター』の売上げを引くと相変わらずのマイナスが続き、中規模店がどんどん抜けている。
新刊をもっと多く、注文品を早くという読者の要望に応える店づくりにより、なじみ客を増やす努力が必要だ。
本屋の店頭で野菜を売ってもいい。
そういう商財を開発し、売っていくチャンネルを作りたい。
当会は三省堂の辞書を中心に成り立つ会。
情報交換しながら運営していこう」とあいさつした。
三省堂を代表して五味敏雄社長は「昨年120周年を迎えた三省堂のブランドを守っていく責務がある一方で、今までの成功体験に甘んじてはいけない。
平成14年の中学教科書は大きく伸びた。
15年版の高校教科書も含め5・8%伸び、学校市場で検討した。
デジタル辞書も普及がめざましく、1日に百万件のアクセス数がある。
辞書のニーズはあるが、紙のマーケットは減っている。
デジタルと紙の並立時代に、紙の辞書の特性を訴え、きちんと販売していきたい」と、同社を取り巻く課題について報告した。
新年度事業では『絵で見る冠婚葬祭大事典』『キッズクラウン英和辞典』を増売商品に取り上げることを決めたほか、辞書総合、単品、名入れ各部門の販売優秀書店を表彰した。

サントーク廣文館ら4店に飾り付け大賞

「月見」をテーマに、9月上旬に開催した祥伝社の書籍フェア「祥伝社オンステージ2002」飾り付けコンペの審査会が11月1日午前11時から神保町の同社で行われた。
飾り付け大賞に福山市・サントーク廣文館など4店、手書きPOP大賞に和歌山市・宮井平安堂本店、優秀賞39店が選ばれたほか、直営72店のうち6割に当たる41店が応募した明屋書店に特別法人賞が贈られた。
今年の飾り付けコンペは163店が応募。
一次審査を通過した94書店の中から藤岡社長、村木取締役販売部長、渡辺取締役書籍出版部統括部長ら社内選考委員6名と、報道関係者5名で最終審査を行った。
審査会で藤岡社長は「厳しい時代を乗り切るには売上拡大とコストダウンしかない。
世の中の先を読む創作活動が出版社の使命。
雑誌では『メロン』を立ち上げ、書籍部門では企画の洗い直しと、小説部門で編集改革を行っている。
オンステージも、書店の危機意識から協力的になっている。
本業をしっかり固めて、新しいこともやっていきたい」と、あいさつした。
2002オン・ステージには祥伝社文庫25点119冊セットが1322セット、黄金文庫25点124冊セットが910セット、祥伝社新書16点77冊セットが700セット、計2932セット出荷された。
◇飾り付け大賞=堺市・書院バンブーハウス、福山市・サントーク廣文館、小田原市・ブックプラザ伊勢治、福島市・西沢書店◇手書きPOP大賞=和歌山市・宮井平安堂

−無題−

◇『日本実業出版社のあゆみ巻三・出版のチャレンジャーとして』1950年、広島で創業した同社の年史。
巻一、巻二に続き1984年から16年間の足取りをたどった。
創業社長、中村進が急逝し現会長・中村洋一郎氏が42歳の若さで社長に就任して以来の事業の発展と飛躍、出版活動の奇跡を描く。
資料として中村会長の人物と戦略をめぐる座談会、編集者十則、年表、刊行物一覧などを収める。
A5判344頁、非売品。

布製絵本の第6弾

世界文化社から、布でできたお人形遊び絵本『ふんわりくまちゃんのできるかな』が発売になった。
B5変型・布製・8頁。
1890円。
ぬいぐるみのクマを絵本のポケットに入れたり、洋服を着せたりして遊ぶ本。
ボタン、ファスナー、マジックテープが付いていて指先の感触を楽しみながら遊べる。
汚れても丸洗いできる布製絵本シリーズ第6弾。
同社では同書はじめ、お子様の年齢別に推薦図書をセレクトした絵本カタログ「えほんのおくりもの」(A5判20頁)を製作、書店に頒布している。
問い合わせは同社営業部へ。